No.421068

ISアスラン戦記 プロローグ

タナトスさん

カガリと喧嘩別れをした次の日のオーブ軍での演習中に事故に遭い気が付いたらベットの上だった。

しかも、自分と違う世界と解り困惑するアスラン。

はたしてアスランの明日はどっちだ?

2012-05-10 20:49:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6911   閲覧ユーザー数:6611

 

 

 

 

始まりはいつも突然だ。

 

俺ことアスラン・ザラがこの世界に来てから早1ヶ月が過ぎ去った。

 

日記をこうして書いている訳だが色々と思うところがあるのも事実だ。

 

だが、俺はこの日記を書いている。

 

元の世界を忘れない為に。

 

事のあらましはカガリと喧嘩別れをした次の日のオーブ軍での演習中に事故に遭い気が付いたらベットの上だった。

 

最初が病院かと思ったが違うみたいだった。

 

俺は混乱する頭を何とか平常に戻し、体の状態を確認した。

 

体調は良いのに心が晴れないのはカガリと喧嘩別れした挙句に事故に遭ったと言う何とも情けない自分を認識しなければならない事が心を重くした。

 

そんな時だった。

 

織斑 千冬が現れたのは。

 

彼女は唐突に自己紹介を始める。

 

「私の名前は織斑 千冬。このIS学園の教師をしている」

 

そう言ってきたのだ。

 

最初は学校に海岸沿いの学校に墜落したのかと鬱になったが演習は海上で行っていたからそんな事が無い筈だと心を落ち着かせた。

 

そして、自分も織斑先生に挨拶をした。

 

「自分はオーブ首長国国防軍参謀本部所属、アスラン・ザラ准将であります」

 

ついくせで役職と階級を名乗りながら敬礼をしてしまった。

 

軍人の礼儀を一般市民が何処まで理解してくれるか不安ではあったが軍人の挨拶を一般人にする。

 

ここまで来ると最早職業病である。

 

俺をマジマジと見ながら織斑先生はこう呟いた。

 

「あんな物に乗っていたのだから軍人とは思っていたが……その若さで一国家の参謀本部の准将とは……優秀なのかコネなのか判断が付かないな……」

 

その言葉に俺は苦笑した。

 

まあそれもそうだろう。

 

僅か20歳で参謀本部の准将閣下なのだ。

 

コネといわれても致し方無い。

 

そして、織斑先生の言葉で俺は思い出した。

 

「ジャスティス!! 俺の機体は!?」

 

今ここに至って、俺は自分の愛機を思い出した。

 

そして、織斑先生が言ったIS学園なる学校についても疑問を感じた。

 

矢継ぎ早に質問する俺を織斑先生は何とか落ち着かせると順を追って説明してくれた。

 

先ず、IS学園とは『IS』インフィニットストラトスなる機動兵器に関連した技術収得の為の各国が融資する日本国内に設けられた専門高等学校であると言う事。

 

ISとは希代の天才科学者にして天災科学者、篠ノ之 束なる科学者が開発した宇宙空間における活動を目的としたマルチフォーマルスーツであり、その兵器的側面が各国に注目され軍事目的に利用されている事。

 

何故かISは女性にしか起動する事が出来ず、何時の間にか『女尊男卑』なる風潮がこの世界にはある事。

 

しかも、ISの要であるコアユニットは篠ノ之博士にしか生成は不可能で博士自体がコア開発を中止しその数が467個しか存在しないとの事。

 

その為、各国の政府や一部の国から認可されたIS関連企業がISコアを独占しISの開発を行っている事などだ。

 

その話を聞いて俺は何とも脆弱で脆い軍事システムだろう。

MSみたいにOSさえ適合すれば訓練しだいでナチュラルだろうがコーディネーターだろうが関係なく乗れると言うのに。

 

そして、ある疑問が沸き起こる。

 

何故、『俺にその様な話をするのか?』と言う疑問だ。

 

その疑問を問いただした時、織斑先生が鋭い目付きをする。

 

俺はここからが本題である事を理解した。

 

何故ならあの時の彼女の目は歴戦の戦士の目であり、もし俺が良からぬ輩で何かこの学園に危害を加えるなら容赦しないとその目が訴えていた。

 

だがしかし、彼女も存外にお人好しだ。

 

不振な侵入者である俺に何の拘束も見張りも着けずこの様な医務室に放置するのだ。

 

しかも一応は治外法権が認められているこの重要施設でだ。

 

俺の世界では考えられない。

 

しかも、対等の条件で話をする為に護衛もつけずに俺と一対一で話をしている。

 

本来ならこういう場合は最低でも護衛を一人、戸口に一人つけるのが普通だ。

 

ソレすらない。

 

しかも監視カメラや収音マイクすら存在しない。

 

何とも甘い。

 

ソレが俺が彼女に抱いた第一感情であった。

 

そして彼女は俺の愛機、インフィニットジャスティスの事を説明する。

 

彼女の話では突如として、18メーターの巨体がISの訓練を行うアリーナに落ちてきたらしい。

 

その衝撃で近くの職員室の窓ガラスと廊下のガラスが多数粉々に割れたそうだ。

 

挙句の果てにアリーナの観客席とシールド発生装置がお釈迦で修理するより新しく作り直す方が早い程の被害を出したそうだ。

 

ざっと見積もっても修繕費が約25億円だそうだ。

 

不幸中の幸いは今は冬休みで生徒は帰省して殆どいなかったし、墜落したアリーナには人がいなかった事である。

 

ソレを聞いた瞬間、確かにコレは状況が最悪である事を認識した。

 

幾ら防御最強のIS技術を応用したシールドでも高さ18.9メートル、重さ79.67トンが遥か上空から落下すれば壊れるに決まっているらしい。

 

昨日から厄日だ。

 

カガリと喧嘩別れするわ、演習中に事故るわ、今度は多額の借金が追加だ。

 

俺は天を仰いでこう言った。

 

「神よ……俺に何か怨みでもあるのか……?」

 

と。

 

その後の話で何とか俺は俺がこの学園に被害を加えるつもりは無い事を理解してくれた。

 

後、俺の事情も話した。

 

ジャスティスの所在を問いただした。

 

その時の織斑先生のあの当惑した。

何と言ったら良いのやら解らないと言う表情は忘れられない。

 

そんな顔で彼女はこう言った。

 

「ジャスティスだったかあのロボット……いやモビルスーツか……兎に角、お前の機体はだ……」

 

「俺の機体は……?」

 

「ISになってしまった」

 

流石の俺もこの時ばかりは間の抜けた声を出してしまった。

 

「兎に角、明日、見に行くぞ。今日はここで寝ろ」

 

そう言われ俺は織斑先生が出て行った後こう言った。

 

「本当に厄日だ……」

 

と。

 

 

 

 

 

そして、眠れぬ夜を過ごした後、俺は早朝、織斑先生に連れられて。

 

地下にある研究スペースに案内された。

 

そこで俺が見た物は、

 

ジャスティスが約2から3メートルにまで縮小された姿だった。

 

しかもPS装甲はダウンしている状態でビームライフルとビームキャリーシールドをその手に持って立っていた。

 

「ジャスティス……こんなミニマムになってしまって……」

 

俺はそんな言葉しか掛けられなかった。

 

「いや、突っ込むとこソコ!? もう少しあるだろ!? 何でISになったとか、本当にコレ俺の機体?とか!!」

 

織斑先生の突っ込みを他所に俺は真面目に話した。

 

「確かに見た目はジャスティスだが……動くのか?」

 

「ボケて真面目な話に無理やり戻すな!! まあ、いい……結論から言えばお前が乗れば動く。しかも、高度なロックが掛かっていて、ディスプレーには『アスラン・ザラ以外の搭乗は認められない』と言う画面まで出てきた」

 

織斑先生は俺に向き直りこう言った。

 

「つまり、お前にコレを動かしてもらいたい」

 

俺はその言葉にこう言った。

 

「つまり、俺にISが動かせる。と?」

 

その言葉に織斑先生が頷く。

 

「ああ、お前は人類で2番目に男でISが動かせる。動かす代わりに日本政府がお前の借金をチャラにするし、戸籍や身分証まで発行してくれる」

 

借金を盾に脅しか。

 

挙句、身寄りの無い異世界で身分まで保証とは。

 

よほど男でISが動かせるのは希少価値が高いらしい。

 

「さらに来年の四月からIS学園にお前は通ってもらう」

 

俺の意見は無しですか?

 

「無論あるとでも?」

 

心を読まないで!?

 

こうして、俺ことアスラン・ザラの異世界での生活が始まった。

 

 

 

 

 

 


 
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