No.421008

真・恋姫†無双~二人の王佐~ 第二章 第七話『帰還』

syoukiさん

ついに我らが一刀が帰ってきた!!

その知らせを聞いて喜ぶ桂花と華琳

そして戦局は一刀の登場で大きく変化するのであった…

続きを表示

2012-05-10 18:31:43 投稿 / 全15ページ    総閲覧数:10665   閲覧ユーザー数:7631

<注意>

 

この作品の桂花は一刀の妹という設定の為、恋姫シリーズでみられる一刀への罵声や毒は一切言いません。というよりもむしろ逆に甘えてきます。

 

 

 

それにオリキャラが何人も出てきます。一例として桂花の母や妹、華琳の母などまだまだ沢山出す予定です。

 

 

 

そしてキャラの仕官時期が違ったり所属が違ったりするかもしれません。(そのあたりはまだ未定です。)

 

 

 

あと一刀にオリジナル設定を設けていますので、恋姫シリーズの一刀とは身体能力や言葉遣いなど多少変わっています。ですが根本的な所は一緒のつもりです。

 

 

 

それと一刀には以前の記憶がありません。なぜ無いのかはそのうち出てきますのでそれまでお楽しみに♪

 

 

ですが一度読んでみてください!それで「おもしろい」と思ってさらに読み続けていただけたらうれしいです。

 

 

 

 

 

 

<王佐の才>

 

『帝王を補佐するにふさわしい才能(武・智)又はそれを持つ者のこと言う。(辞書引用)』

 

 

 

 

 

 

 

これは、平和な世を作ろうと乱世を駆け抜けた双子の男女の物語である。

~曹操軍本陣~

 

兵士「ぜぇ、はぁ……ほ、報告、です!!」

 

『!?』

 

華琳「話なさい」

 

兵士「は、はい…実は…」

 

(余談だが、後日この報告をした兵は伝令係から親衛隊へと昇進し、給料も大幅に上がったという…)

 

兵士「荀鳳様がお戻りになられました!!」

 

兵士の告げた言葉を聞いた瞬間、目に涙を浮かべながら桂花と華琳は同時に口を開いた。

 

桂花・華琳「「出陣よ!!」」

 

皆『御意!!』

華琳と桂花が一刀を迎えに行くために出陣したのに対し、麗羽はというと…

 

猪々子「麗羽様!アニキが帰ってきたぜ!!」

 

麗羽「アニキ?それは一体誰ですの?」

 

猪々子「えっ!?麗羽様はアニキのことを待っていたんじゃないんですか?」

 

麗羽「だ・か・ら!!そのアニキって誰ですの?わたくし『アニキ』なんて方知りませんわ」

 

斗詩「あっ!もしかして文ちゃんが言っているのって一刀さんのこと?」

 

猪々子「うん」

 

麗羽「なんですって!?それは本当ですの!!」

 

猪々子「だからさっきからそう言ってるんじゃないですか麗羽様~」

 

麗羽「それを早く言いなさい!!で、一刀さんは、一体、どこにいるんですの!!」

 

 

ガクガクガクガク…

 

 

猪々子「あばばばば!?」

 

麗羽はあまりにも興奮しすぎて加減ができず猪々子をガクガクと揺すりながら詰め寄った。

 

斗詩「文ちゃん!?麗羽様落ち着いてください!!それじゃあ文ちゃんが話せませんよ!!」

 

麗羽「そ、そうですわね…つい興奮してしまいましたわ」

 

斗詩に諭された麗羽が手を離すと猪々子は後ろに倒れた。

 

斗詩「だ、大丈夫?文ちゃん?」

 

猪々子「あう~、な、なんとか…」

 

斗詩に起こされた猪々子はふらふらになりながら答えた。

 

麗羽「ほら、早く言いなさい猪々子!!さもないとお仕置きですわよ!!」

 

猪々子「い、言いますよ麗羽様!!ア、アニキは前線で一人で呂布と戦っていましたよ!!」

 

麗羽「なんですって!!一刀さんがたった一人で“あの”呂布と戦っているですって!?こうしてはいられませんわ!!斗詩さん!!」

 

斗詩「は、はい!!」

 

麗羽「今すぐに全軍に通達なさい!!これから我々は一刀さんを助けにいきますわよ!!」

 

斗詩「だ、駄目ですよ麗羽様!?総大将が最前線に行くなんてそんなの危険すぎますよ!!」

 

麗羽「そんなの知ったことありませんわ!!わたくしは一刀さんに会いにいくんですわ!!」

 

麗羽は斗詩の言うことなど耳を貸さずに出発しようとした。

 

猪々子「マズイ!!麗羽様の目が本気だ!!全員で麗羽様を取り押さえるんだ!!」

 

袁紹軍兵士『ぎょ、御意!!』

 

麗羽「は~な~し~な~さ~い!!!!!!!!!」

 

猪々子「だ~め~で~す~~!!!!!!!!」

 

という訳で桂花と華琳は軍を動かして一刀を迎えに行ったが、麗羽は連合の総大将という立場になっているため、進軍できなかったのだった。

一方、一刀達はというと…

 

美雷「一刀…様」

 

一刀「ただいま、美雷」

 

呂布「………お前、強い」

 

呂布は突然現れた一刀の強さを瞬時に見抜くと警戒のため後退した。

 

秋蘭「……か、一刀殿!?本当に一刀殿なのか!!」

 

春蘭「何?一刀だと!?」

 

鈴々「……ありゃ?何も来ないのだ、っていつの間にか旅人のお兄ちゃんがいるのだ!?」

 

愛紗「えっ!?た、旅人殿!?」

 

季衣と三羽烏は未だ正気に戻らないが、あまりの出来事に驚いていた秋蘭と目を瞑っていた春蘭、愛紗、鈴々の四人は一刀の存在にようやく気がついた。

 

春蘭「か、一刀貴様ぁぁぁ!!生きていたのなら何故我々に連絡をしなかったのだ!!わ、私達はともかく、華琳様と桂花がどれだけ心配していたのかわかっているのか!!」

 

一刀「ごめん、春蘭。だけどその話はこの戦が終わってからでいいかな?」

 

春蘭「ちっ、しょうがないな…」

 

一刀「ありがとう春蘭」

 

春蘭「ふ、ふんっ///」

 

一刀に詰め寄ろうとした春蘭だったが、今の状況を思い出して大人しく引き下がった。

 

愛紗「二度も我々を助けていただきありがとうございます旅人殿」

 

鈴々「お兄ちゃん凄いのだ!!」

 

一刀「ありがとう。それと関羽さん、で良いのかな?僕は荀鳳って言うから次からはそう呼んでほしいな」

 

愛紗「えっ!?あっ、はい……荀鳳殿////」

 

一刀の優しい微笑みに愛紗は顔を真っ赤にして頷いた。

 

鈴々「愛紗ったら顔が真っ赤なのだ~♪」

 

愛紗「う、うるさいぞ、鈴々!!」

 

鈴々「愛紗が怒ったのだ~♪」

 

愛紗「鈴々!!」

 

一刀「ふふっ(まるで昔の桂花と蘭花みたいだな)」

 

美雷「一刀様…」

 

一刀「…ん?」

 

美雷「こ、これを…」

 

美雷は背にあった黒牙刀を抜くとそのまま一刀に渡した。

 

美雷「本当は桂花ちゃんが自分の手で返すって言ってたんだけど…今一刀様にはこれが必要だと思うから…」

 

一刀「ありがとう美雷。……これを握るのは約一年ぶり、か…………うん、やっぱりこれが一番しっくりくるな」

 

一刀は美雷から黒牙刀を受け取ると数回ほど軽く振ったあとに呂布の方を向いた。そして、

 

一刀「さてと、呂布さん。いきなりだけど俺と一騎打ちしてくれるかい?」

 

春・秋・愛・鈴・美「「「「「えっ!?」」」」」

 

後退してから一歩も動いていない呂布に一騎打ちを申し込んだのだった。

 

呂布「………いいよ。お前、強いから本気で相手してやる」

 

一刀「ありがとう。それじゃあ少し場所を移動しようか。あの辺りなら邪魔をするものがないから丁度と思うよ」

 

呂布「……わかった」

 

一刀「よし、それじゃあ五人共、俺が呂布の相手をするから、みんなはそこの四人の介抱と他の董卓軍の相手を頼むね」

 

春・秋・愛・鈴・美「「「「「えっ?」」」」」

 

春蘭「ちょ、ちょっと待て一刀!!お前いきなり何を言って…」

 

一刀「それじゃあまたあとでね!!」

 

そう言うと一刀は呆気に取られている五人を置いて行ってしまったのだった。

秋蘭「くっ、どうやら一刀殿もだいぶ腕を上げたようだがあの呂布相手に一人で挑むのは危険すぎるぞ!!今からでも追いかけて援護しなくては!!姉者、美雷いくぞ!!」

 

愛紗「鈴々、我々もついて……鈴々?」

 

秋蘭「姉者?それに美雷までどうしたのだ?」

 

春蘭・鈴々・美雷「「「………」」」

 

秋蘭「どうしたのだ姉者!早く追わなければ!!」

 

春蘭「…いや、私は行かないぞ」

 

秋蘭「姉者!?一体何を言っているのだ!?」

 

鈴々「鈴々も行かないのだ!」

 

愛紗「鈴々!?お前まで何を言っている!!」

 

美雷「私も二人と同じ意見です」

 

秋蘭「美雷、お前もか…」

 

三人の発言に秋蘭と愛紗は驚きを隠せないでいた。

 

秋蘭「どうしてそんな事を言うのだ姉者!!一人であの呂布に挑むなど無謀なのは姉者にもわかっているだろう?」

 

春蘭「ああ、確かに我々ではそうだろうな………だがアイツは違う…」

 

秋蘭「姉者?」

 

愛紗「鈴々!!お前は我々の恩人を見捨てるのか!!」

 

鈴々「にゃ?愛紗にはお兄ちゃんの強さがわからないのか?」

 

愛紗「何?」

 

鈴々「悔しいけどお兄ちゃんは鈴々達よりもずーーっと強いのだ。だからもし一緒に戦ったらきっと鈴々達は足手まといにしかならないのだ…」

 

春蘭「張飛の言う通りだ。今の我々の実力ではかえって一刀の邪魔になるだけだ…」

 

秋蘭「姉者………」

愛紗「鈴々………」

 

春蘭と鈴々は悔しそうに言うと、一刀と呂布のいる方へ視線を向けた。秋蘭と愛紗も二人の見ている方を見ると視線の先では一刀と呂布が対峙している姿があった。

 

美雷「さて、それじゃあ私達は一刀様が呂布と戦っている間に他の董卓軍を何とかしましょうか♪でも………まずはやっぱり季衣ちゃん達を正気に戻すことでしょうかね♪」

 

すると突然美雷が未だ正気に戻っていない四人の下へ歩きだした。

 

美雷「季衣ちゃん、起きて季衣ちゃん!!」

 

秋蘭「美雷……一つ聞いてもいいか?」

 

美雷「なんですか?」

 

秋蘭「お前達はずっと一刀の帰りを待っていたのだろう?それなのに何故、呂布と一人で戦おうとする一刀を引き止めなかったのだ?一刀のことが心配ではないのか?」

 

すると秋蘭の質問に美雷は眉一つ動かさず答えた。

 

美雷「そんなの簡単です。私は…いえ、私達は信じているんですよ♪」

 

秋蘭「信じている?」

 

美雷「はい、一刀様は約束は決して破らないお方なんです。自分で言い出した事は特にです。それに一年前のあの日、一刀様は桂花ちゃんにこう言ったそうです。“必ず帰って来る”って。……だからまだ桂花ちゃんに会っていない一刀様は絶対に負けないし、死にもしないんですよ。なんて……これでは理由にはなりませんか秋蘭様?」

 

秋蘭「ふっ、そうか。いや…それで十分だよ」

 

美雷「そうですか♪」

 

秋蘭「よし、では私と姉者は華雄と張遼の部隊を相手してくる。なので、美雷は季衣達の介抱と華琳様への報告を頼む」

 

美雷「あ、報告だったらすでにしてありますよ?私の部下に全速力で一刀様が帰ってきたことを桂花ちゃん達に伝えるように言っておきましたから♪」

 

秋蘭「そうか、さすがだな。わかった。では季衣達を頼んだぞ」

 

美雷「わかりました♪」

 

秋蘭「さて、それじゃあ…関羽!」

 

秋蘭は鈴々と話している関羽を呼んだ。

 

愛紗「なんだ?」

 

秋蘭「我々はこれから先鋒の援護に向かうが、そちらはどうする?」

 

愛紗「我々は劉備様が心配なので一度本陣と合流しようと思っている」

 

秋蘭「そうか、なら御武運を。」

 

愛紗「お互いに」

 

秋蘭「ああ、ではいくぞ姉者!!

 

春蘭「お、おう!!」

 

そう言うと秋蘭は春蘭と共に前線へ、愛紗と鈴々は桃香達を探しに本陣へ向かい、美雷は未だに正気を取り戻していない季衣達の介抱に残ったのだった。

~一刀・呂布SIDE~

 

ここは前局と袁紹軍率いる本陣の中間にあたる地点。見渡す限り何も無いこの場所で一刀と呂布が対峙していた。

 

呂布「……お前を倒して袁紹の頸を取る」

 

一刀「その前に一つ聞いてもいいかな?」

 

呂布「……なに?」

 

方天画戟を構えた呂布だったが一刀が質問をしてきたので武器を下ろした。

 

一刀「飛将軍、呂奉先、君は何故戦うんだい?」

 

呂布「…………」

 

一拍おいたあと、呂布はゆっくりと答えた。

 

呂布「……恋はただ守りたいだけ。……恋の家族と月を傷つけようとするお前達みたいのから」

 

一刀「守りたいだけ、か…。ならもう一ついいかな?」

 

呂布「……(コクン)」

 

一刀「ありがとう。じゃあ聞くけど今洛陽では何が起きているんだ?あの噂のほとんどが嘘なのはわかるけど何故そんなことに?」

 

呂布「………(フルフル)恋、詳しくは知らない。……でもこれだけは言える。……月は悪いことなんて何もしてない。……それなのにみんなが月をいじめる。……だから恋が戦って月や家族を守る。……それだけ」

 

一刀「……そうか、君も家族や守りたいものの為に戦っているんだね。……この戦い、多分間違っているのは連合で正義は君たち董卓軍にあるのかもしれない…」

 

呂布「………なら退く?」

 

一刀「いや、それはできない」

 

一刀は即座に答えた。

 

呂布「……なんで?」

 

一刀「君が討とうしているのは俺の大切な友達なんだ」

 

呂布「………恋と同じ?」

 

一刀「ああ、そうだね。君と同じだ」

 

呂布「……そう」

 

どうやら呂布も無意識のうちに一刀の中にどこか自分と似ている部分があることを感じているようだった。

 

一刀「そういう君こそ退くことはできないかな?もしかしたら君たちを助けることができるかもしれない」

 

呂布「……(フルフル)。……恋はまだお前を信用できない」

 

一刀「……だよな。会ったばかりの奴をいきなり信用しろなんて無理な話か」

 

呂布「……だから…」

 

チャキッ!!

 

呂布が身の丈ほどある戟『方天画戟』を構えた…

 

一刀「なら…」

 

スッ…

 

一刀もまた『黒牙刀』を両手で持って構え、そして…

 

 

 

一刀「君を倒して先に進む!!」

呂布「……お前を倒して袁紹の頸をとる!」

 

 

ガキンッ!!!

 

 

二人ともほぼ同時に走り出すと真ん中でぶつかった。

 

 

ゴウッッッッッッ!!!!!!!

 

 

そして、二人の激突で周囲に砂塵を巻き起こすほどの衝撃波が発生した。

 

 

一刀「はああああぁぁぁぁ!!」

呂布「ああああああっっっっ!!」

 

 

こうしてついに、一年前の黄巾の乱で黄巾党達から恐れられた“鮮血の鬼神”こと呂布と“白刃の鬼神”こと荀鳳の“鬼神”と呼ばれる者同士の激闘が幕を開けたのだった。

そんな二人の激突を近くの岩場で美雷が気絶した四人の介抱をしながら見ていた。

 

美雷「一刀様…」

 

先ほどはあんなこと言った美雷だが、やはり一刀が気になるので大した移動はせず、四人の介抱をしながら一刀のことを見守っていた。

 

凪「………はっ!!ここ…は?」

 

真桜「……おっ?ウチなんでこんなとこにおるんやったっけ?」

 

沙和「……んっ?あれ~?ここはどこなの~?」

 

季衣「……あれ?ボク、なんでこんな所にいるんだっけ?」

 

すると、凪、真桜、沙和、季衣の四人が同時に目を覚ました。

 

美雷「うわ~、みんな同時に気がつくなんてさすがご都合主義な世界!!」

 

凪「えっ?」

 

美雷「あ、何でもないから気にしないで♪それよりも、ここは戦場のど真ん中だけど四人共……さっきのことって覚えている?」

 

世界に対してツッコミを入れたあと、美雷は気がひけたものの先ほどの出来事について四人に尋ねてみた。

 

凪・真桜・沙和・季衣『!?』

 

美雷「思い出した?」

 

凪・真桜・沙和・季衣『(コクン)』

 

やはり、とても怖かったのだろう、四人共先ほどの呂布の威圧を思い出すと途端に暗い顔になった。

 

美雷「そっか…」

 

美雷も一刀が来てくれるまでは四人と同じ気持ちだったのでただ言葉を返すだけだった。

 

凪「そうです!!あのあと春蘭様達はどうなっ……って!な、なんですかあれは!?」

 

すると、先ほどの出来事を思い出した凪がここにはいない春蘭達を探そうと辺りを見回したが、それもすぐにある光景に釘付けとなった。なぜなら、そこでは自分達が束になっても適わなかったはずの呂布と、たった一人で互角に戦っている青年の姿を見つけたからである。

 

真桜「だ、誰やあれ……ウチらが全く適わなかったあの呂布と互角に戦っているあのにいちゃんは?」

 

沙和「驚きなの~」

 

季衣「あの兄ちゃんすっご~い!!」

 

他の三人も凪の言葉で振り向き、凪同様その光景に驚いた。

 

凪「美、美雷殿、あのお方は一体…」

 

美雷「えっ?あっ、そっか~!凪ちゃん達は知らないんだっけ?じゃあどこから話そう…えっと、まずあの方は荀鳳様って言って桂花ちゃんの双子のお兄さんなんだよ♪」

 

何故凪達が一刀のことを知らないのか?それは一刀のことを話してもし今どこにいるか聞かれた時に答えられないのと、桂花と華琳が一刀のいない悲しさに耐えながらも必死に仕事をしている姿を見て、暗黙の掟として曹家も荀家もこの一年の間、一刀の話題を一切出さなかったからであった。

 

凪「ええっーー!?あのお方が桂花殿の兄上の荀鳳殿なのですか!!」

 

真桜「あの男嫌いの桂花に兄なんかおったんか!!驚きや…」

 

季衣「あの兄ちゃんって桂花の兄ちゃんなんだ!?」

 

沙和「うっそ~!?全然似てないの~!!」

 

美雷「沙、沙和ちゃん!?あ、あのね?双子だからって絶対に似るとは限らないからね!?それと!!今の言葉、本人の前でぜっっっったいに言ったら駄目だよ!!!もし言ったら一生後悔することになるからね!!わかった?」

 

沙和「わ、わかったの!!」

 

美雷はいきなり沙和が絶対に本人には聞かせられない禁句を言ったので慌てて沙和を注意した。沙和も今まで一度も見たことがないような美雷の迫力にこれは冗談ではなく本当のことだと理解するとこのことは二度と口にしないことを心に誓ったのだった。

 

美雷「そ、それでもって荀鳳様は桂花ちゃんも含め、私達が本来仕えているお方なんだ。……でも、一年前の黄巾の乱の時にね。荀鳳様は私達を助ける為に一人で黄巾党と戦って、その後ずっと行方不明になっていたんだ…」

 

凪「そうだったのですか…。それにしても、我々が束になっても適わなかった呂布と互角に戦えるなんて…」

 

凪は目の前で行われている激闘を、息を呑んで見つめていた。

 

美雷「あー、そのこと?」

 

凪「美雷殿は何か知っているのですか!?」

 

美雷「凪ちゃん達は聞いたことないかな?一年前の黄巾の乱の時に黄巾党を震えあがらせた二人の人物、『鮮血の鬼神』と『白刃の鬼神』の噂を?」

 

凪「それはもちろん存じています」

 

沙和「確か噂では二人ともたった一人で黄巾党およそ三万人を全滅させたって聞いたの~」

 

真桜「そんでその内の一人『鮮血の鬼神』って呼ばれとんのが、あの『飛将軍』とも呼ばれとる呂布なんやろ?」

 

美雷「じゃあもう一人は?」

 

凪「え~っと、噂だとあの項羽の生まれ変わりとも呂布の双子の姉妹とも言われていますが正確なところは……ってまさか!?」

 

美雷「そう!!そのまさかだよ♪」

 

真桜「なんやて!?マジでか!?」

 

季衣「え?どういうことなの?」

 

沙和「???」

 

どうやら凪と真桜は美雷の言葉で“白刃の鬼神”の正体に気付いたようだが、沙和と季衣は未だわからないようであった。

 

凪「荀鳳殿があの“白刃の鬼神”なのですか!?」

 

美雷「うん、そうだよ♪」

 

沙和・季衣『ええええぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!』

 

美雷「噂が出始めたのが一刀様が行方不明になった直後なのと、その時の戦いで一刀様が倒した黄巾党の人数が大体三万人くらいだったはずだから間違いないと思うよ♪」

 

四人『…………』

 

四人とも開いた口が塞がらないといった表情をしたあと、向こうで壮絶な戦いをしている一刀と呂布を見つめた。

 

美雷「……まぁ、周りが何て言おうが私達はただ一刀様が無事に帰ってきてくれたことが一番嬉しいんだけどね」

 

ぼそりとそう呟いた美雷の目からは一刀が帰ってきたことに対する嬉し涙が流れていた。だが、四人とも一刀と呂布の戦いに釘付けなのと美雷に背を向けていた所為で、つぶやきと泣き顔を見た者はいなかったのだった。

一方、その話題の二人である『鮮血の鬼神』と『白刃の鬼神』こと一刀と呂布による一騎打ちは熾烈を極めるものとなっていた。

 

呂布「……はっ!!」

 

 

ドカンっ!!!

 

 

呂布が戟を振り下ろせば地面に穴が開いて大岩が転がり…

 

 

一刀「ふっ!!」

 

 

ズパンッ!!!

 

 

一刀が黒牙刀を振るえば纏った気の刃で地面や岩が切り裂かれ…

 

 

一刀「はああああぁぁぁぁ!!」

 

呂布「ああああああっっっっ!!」

 

 

ガキィン!!!!

 

ブワッッッ!!!!

 

 

そして、二人の武器がぶつかればその度に衝撃波が発生していたため、二人が戦う前は平地だったこの場所はすでに陥没と溝、そして大小様々な大きさの岩が転がる岩場と化していたのだった。

 

一刀「はあああっっ!!!」

 

呂布「くっ!」

 

 

ガキンッ!!

 

 

呂布「ああああぁっ!!」

 

一刀「…っ!!」

 

 

一瞬だけ鍔迫り合いをしてからすぐさまお互いに離れ、また違う角度からぶつかり合う一刀と呂布。

 

一刀「はあぁっっ!!!」

 

呂布「っ!!」

 

一刀が上段から呂布の頭上へ黒牙刀を振り下ろせば呂布はそれを一歩横へずれてかわし、尚且つ

 

呂布「………ああぁっ!!」

 

その移動した反動を利用して回転しながら戟を一刀の首を狙った。

 

一刀「うわっ!?……なら……これでどうだああぁぁっ!!!!」

 

一刀はそれを紙一重でしゃがんで避けると、そこから立ち上がりながらの突きを繰り出した。

 

呂布「!?……んっ!!」

 

だが呂布はそれを後ろに飛んでかわして地面に着地した。両者とも尋常ではない動きで攻撃をしているものの、防御も回避も尋常ではないほどの動きでしているため、お互いに致命傷を与えておらず、この一騎打ちが始まってすでに二十分以上が経っていたのだがお互いにほぼ無傷であった。

~汜水関の塀の上~

 

陳宮「マ、マズイのです~!!」

 

そんな一刀と呂布の一騎打ち、そして戦場全体を見渡している先ほど深紅の呂旗を掲げた女の子陳宮は呟いた。

 

董卓軍兵士「陳宮様!!このままでは……」

 

陳宮「わかっているのです!多少休憩を挟みながらだったとはいえ駆け足で虎牢関からここまでの移動で兵達もかなり疲れているのです。だから長時間の戦闘は望ましくないのです。だから恋殿が一直線で総大将の袁紹の頸を取れればよかったのですが…」

 

陳宮は未だに一刀と戦っている呂布を見た。

 

陳宮「まさか連合に恋殿と互角に戦える者がいるなんて予想外だったのです。恋殿も顔には出しませんがおそらくとても疲れているはずなのです…」

 

董卓軍兵士「……いかかがなさいますか?」

 

陳宮は目を瞑って少し考えたあと悔しそうに口を開いた。

 

陳宮「………て、撤退の合図の銅鑼を鳴らすのです…悔しいですがこの戦い、我々の負けなのです!!」

 

董卓軍兵士「くっ!御意です……」

 

陳宮同様、兵士もとても悔しそうに言った。

 

陳宮「恋殿達と合流でき次第虎牢関へ向けて出発するのです!もちろん時間を稼ぐ為に門には鍵と障害物を置くのを忘れたら駄目ですぞ!!」

 

董卓軍兵士「はっ!!」

 

そう命令を出した陳休の目には悔しさからくる涙で滲んでいたのだった…

一刀「はぁ、はぁ、ここまでやるとは思わなかったよ呂布さん」

 

呂布「ふぅ、ふぅ、………お前もなかなかやる。……恋とここまでやる奴は初めて」

 

一刀「ははっ、それは光栄だな。それじゃあそろそろお互いに“本当の本気”でいこうか?」

 

呂布「……わかった。……でも恋、本気の本気になると本当に手加減できなくなる。それでもいい?」

 

一刀「ああ、俺も“あの姿”になると加減が難しいから多分お互いに丁度よくなると思うよ」

 

呂布「……ん、なら見せる。……恋の本気「ジャン!ジャン!ジャン!ジャ~~~ン!」と思ったけど、恋もう帰る時間だからまた今度」

 

一刀「この状態で帰れるとでも?」

 

今の二人の立ち位置は最初とは逆で、呂布の後ろに袁紹軍、一刀の後ろには汜水関になっているため、進軍するのであれば問題無く進めるが陣に帰るのであればお互いが邪魔をしている形になっていた。

 

呂布「……うん」

 

一刀「どうやってだ?」

 

呂布「……こうやる。……はっ!!!」

 

すると、いきなり呂布は戟をかえすと近くにあった大岩を袁紹軍目掛けてまるでゴルフのように戟で打って飛ばしたのだった。

 

一刀「マジかよ!?…ん?でもあの大きさの岩なら途中で…」

 

呂布「……うん、だからこうする」

 

飛距離が足りないと即座に見抜いた一刀が安堵を浮かべようとした瞬間、呂布はさらに近くにあった一回り小さい岩を先ほどと同じ要領で飛ばした。しかも今度は先に飛ばした大岩目掛けて…

 

一刀「なっ!?くっ、そういうことか!!」

 

なんと呂布の狙いは大岩を直接袁紹軍にぶつけるのではなく、初めから先に飛ばした大岩に後から別の岩を当てることで飛距離を伸ばすことと、岩同士の衝突で砕けた岩を袁紹軍に降らせることだったのだ。しかもこの方法ならば同時に相手の不意も付くことができる効果的な方法であった。

 

呂布「……早く行かないと危な「くそっ!!」いよ…」

 

すぐさまこのあと起こることを予想し、麗羽が危険だと判断した一刀は、呂布が言葉を言い終わる前に呂布の脇をすり抜けて麗羽の下へ走り出していった。呂布は一刀の行動に一瞬驚いた表情を見せたが、そのあと悲しそうな表情に変わると一刀の背中を見送りながら呟いた。

 

呂布「……ごめんなさい。…こんな卑怯なこと、本当はしたら駄目。……だけど恋、月をどうしても守りたいの。……月は住むところがなくて困っていた恋とセキト達を拾ってくれた恩人……だからごめんなさい」

 

だが、呂布の一刀へ謝罪の言葉は決して本人には届くことはないのだった…

~袁紹軍~

 

呂布の弾いた大岩が飛んでくるのを見た袁紹軍は大混乱に陥っていた。

 

斗詩「れれ、麗羽様!?い、岩が!?大岩がこっちに飛んできますよ!!??」

 

麗羽「そんなこと、こちらからでも確認できてますわよ!!」

 

斗詩「はは、早く逃げないと!!」

 

麗羽「そ、そうですわね!!」

 

大将である麗羽がこの慌てようなので命令らしい命令も出ぬまま、兵達はただ蜘蛛の子を散らすかのように逃げ惑うだけであった。

 

猪々子「いや、あれくらいの岩ならアタイがぶっ壊しましょうか?」

 

すると猪々子が突然そんなことを言ってきた。

 

麗羽「猪々子ったらそんなこと出来るのですの!?」

 

斗詩「文ちゃんってそんなことできたんだ!!」

 

猪々子「うんにゃ、できたら格好いいと思うからやってみようかなと思って」

 

麗羽「猪々子さん、貴女って人は…」

 

麗羽は猪々子のあまりの適当ぶりに頭を押さえた。

 

斗詩「文ちゃぁん……」

 

兵士「お三方!!早く避難を!!」

 

麗羽「そうですわね!!……っておや?」

 

兵士に言われて我に返った三人はまた走りだしたが、その中で麗羽はふと何かに気付いたようで立ち止まってしまった。

 

斗詩「れ、麗羽様!!何やってるんですか!!立ち止まらず走ってください!!」

 

麗羽「いえ、あの大岩……もしかしてここまで来ないんじゃありませんこと?」

 

斗詩「えっ?」

 

猪々子「…あっ、本当だ!!な~んだ、あの軌道手前に落下するじゃん!!」

 

麗羽「まったく、焦って損しましたわ。そもそも我が名門袁……えっ!?」

 

大岩がこちらに来ないとわかった途端、麗羽は元来た道を引き返した。だが、それが間違いだったと麗羽自身が気付くのは二発目の岩が一発目の岩に衝突して岩の破片が目の前に迫ってからであった。

 

斗詩「麗羽様!?」

 

猪々子「くっ、これじゃあ間に合わない!?」

 

猪々子も斗詩も麗羽を守ろうと駆け出したものの、気付くのが遅かったので動き出すのが遅れ、距離的に間に合いそうもなかったのだった。

 

麗羽「(あーー、これではもうわたくし助かりませんわね。それならせめて最後に一刀さんに会いたかったですわ…)」

 

麗羽も自らの死を悟り、目を瞑ってこのあとくる自身への衝撃に備えて身構えた。

 

 

……ドドドドドドカーーン!!!!!!!

 

 

当たれば致命傷になりかねないほどの大きさの岩が多数、轟音をともに袁紹軍がいた地帯に降り注いだのだった。

 

斗詩・猪々子「「麗羽様ぁぁぁぁ!!!!!!」

 

二人共麗羽の名を呼ぶが、岩が落下した音でかき消されて届くことはなく、尚且つ落下の衝撃で発生した砂煙が辺りを包みこんだため、麗羽の姿も捉えることできなくなっていた。

 

斗詩「……そんな、麗羽様が、岩の下敷きに…わわ、私どうしたら…」

 

猪々子「あたいの所為だ……あたいがしっかりと麗羽様を見ていなかったから…」

 

そう言いながら猪々子と斗詩はその場に崩れ落ちた。二人が麗羽を最後に見た時には、すでに大岩が麗羽の眼前にまで迫っており、とても麗羽の身体能力では避けるのは不可能だと、長年側で仕えてきた経験からわかっているからであった。

 

兵士「だ、誰か出てくるぞ!!」

 

だが、そんな落ち込む二人の耳に兵士の叫ぶ声が聞こえてきた。

 

猪々子「んっ?……お、おい斗詩!!あれを見ろ!!」

 

斗詩「えっ?……ああっ麗羽様!!それにあの人はっ!?」

 

兵士の声で正気に戻った二人が上を見上げるとそこには、

 

麗羽「きゃっ!?……い、一体何が……あっ…」

 

一刀「ふ~、なんとか間に合ったな…」

 

麗羽「か、一刀さん……」

 

麗羽をお姫様抱っこした状態の一刀が砂煙の中から出てきたのであった。しかも、麗羽を助けるために、先ほどの戦闘ではなっていなかった一刀の超本気の姿である『白極装衣』状態で来たのだった。そして、麗羽と岩がぶつかる寸前に一刀が麗羽を救い出したのである。

 

一刀「一年ぶりだね、麗羽」

 

麗羽「う、う……うわあああぁぁぁぁん!!一刀さーーーーーん!!!!!!」

 

麗羽は助けてくれたのが一刀だとわかると感極まってしまい、周りに部下がいるのも忘れて一刀に抱きついて泣き出してしまった。麗羽も桂花や華琳同様、一刀がいない悲しみに耐えながらも袁家の当主として頑張ってきた内の一人だったので一刀との再会で今まで抑えていた気持ちが溢れ出したのだった。

 

一刀「麗羽…」

 

麗羽「わたくし本当に心配しましたのよ!!」

 

一刀「そっか、…………ありがとう麗羽」

 

麗羽「一刀さん//////」

 

一刀が優しい笑みと麗羽の頭を撫でてあげると麗羽はすぐに泣き止んだ。

 

一刀「(呂布は………もういないか…)」

 

麗羽が泣き止むと一刀は先ほどまで自分がいる場所に目を向けた。だが、すでにそこには呂布の姿は無く、ただ荒れた大地があるだけであった。

 

斗詩・猪々子「「麗羽様、お怪我は!!」」

 

そうして一刀が元いた場所を見つめていると、斗詩と猪々子が走ってやってきた。

 

麗羽「大丈夫ですわ。一刀さんに助けていただきましたから怪我一つありませんわ」

 

斗詩「そうですか~、よかったです!」

 

猪々子「(にやにや)」

 

涙を拭きながら麗羽が言った。そんな主の無事にほっとした表情になった斗詩とは対照的に、なぜか猪々子は麗羽を見てニヤニヤしていた。

 

麗羽「猪々子?貴女、さっきからわたくしを見て笑ってニヤニヤしますけど一体何ですの?もしかして、わたくしの顔に何かついていますかしら?」

 

麗羽は猪々子の態度が気になって聞いてみた。すると…

 

猪々子「あの~、麗羽さま?今、ご自分がどんな格好しているか気付いてます?」

 

麗羽「へっ?どんな姿って………あっ!?……こ、この体勢は/////」

 

猪々子に言われて麗羽はようやく今自分が戦場のど真ん中で一刀にお姫様抱っこされているのに気がつくと急に恥ずかしくなって顔を赤らめた。

 

一刀「あっ、ごめん!!今の麗羽はもう袁家の当主だからこれは無礼だよね!?すぐに降ろすね!!」

 

麗羽「い、いえ!!べ、別にかまわ…(っ!?)…そ、そうですわね!!そうしてもらえますか一刀さん!!」

 

そんな麗羽に気がついた一刀が降ろそうとしたのだが、麗羽はそれを止めて一刀にお姫様抱っこをもう少し続けてほしいとお願いしようとした。だが、突如何かに気づいた麗羽は意見を変えて最終的に降ろしてもらうことを希望したのだった。

 

一刀「えっ?あ、ああ…」

 

斗詩・猪々子「「???」」

 

一刀は一瞬麗羽がもう少し続けてほしいと言おうとした気がしたものの、麗羽が降ろしてほしいと言ったので一刀は言われた通り麗羽を地面に降ろしてあげた。

 

一刀「それじゃあ足元に気をつけてね麗羽」

 

麗羽「…あ、ありがとうございますわ………ほっ」

 

一刀「麗羽?」

 

麗羽「い、いいえ、何でもありませんわ!気になさらないでください!!」

 

一刀「そう?ならいいけど…」

 

そんな一刀と麗羽のやりとりを見ていた斗詩と猪々子は麗羽の態度に疑問を感じていた。二人の知る麗羽だったら「もう少しこのままで!」とか言いそうなのに言わなかったからである。

 

猪々子「(なあ斗詩、あの態度、いつもの麗羽様らしくないよな?)」

 

斗詩「(…うん)」

 

麗羽らしくない行動に疑問を感じた斗詩達であったが、そのあとすぐに現れた者達を見て即座に納得することとなる。

 

桂花「お兄ぃぃぃ様ぁぁぁぁぁぁ~!!!!!!!!!!!」

 

華琳「一刀!!!!!!!!!」

 

一刀「えっ!?」

 

一刀が麗羽を降ろした直後、こちらに向かって馬を全速力で走らせる桂花と華琳の姿が見えたのだった。

一刀「桂花!!それに華琳も!!」

 

一刀も『白極装衣』を解いて走り寄った。

 

桂花「うううぅぅぅ、うわぁぁぁぁん、お兄様ぁぁ!!!!!」

 

華琳「一刀!!!!」

 

一刀「二人共、心配かけてごめんね。それとただいま」

 

桂花「ぐすっ、お帰りなさいお兄様」

 

華琳「馬鹿一刀!!貴方………一体今まで何してたのよ!!!心配したじゃない!!」

 

桂花と華琳は馬から降りると桂花は一刀に抱きついて泣きだし、華琳も怒りながらも目に涙を浮かべて抱きついた。

 

凛花「…一刀」

 

一刀「母様、それにみんなも……」

 

桂花と華琳に少し遅れて凛花達も到着すると皆も一刀の周りに駆け寄った。そして以前から荀家に仕えていた兵達は一刀の無事な姿を確認して歓喜の雄叫びをあげていた。

 

琴「ぐすっ、ご無事で何よりです一刀様」

 

一刀「琴姉ちゃん……心配かけてごめんね」

 

風里「ぐすん、必ず帰ってくるって信じてました、一刀様」

 

一刀「風里…ありがとう。信じて待っててくれて」

 

凛花「おかえりなさい一刀」

 

一刀「はい、ただいま戻りました母様」

 

琳奈「私達も心配してたのよ一刀君?」

 

一刀「琳奈様、風の噂で聞きました。行く当てのない母様達を客将として雇ってくれたそうで……本当にありがとうございます」

 

琳奈「気にしないで♪私はただ凛花と一緒に居たかっただけだから♪」

 

一刀「そうですか。それでもありがとうございます」

 

琳奈「まったく、どこかの誰かに似て律儀なんだから♪」

 

琳奈が微笑ましく思っていると立ち直った華琳が一刀に詰め寄った。

 

華琳「一刀!!そんなことより早く私の質問に答えなさい!!全部お母様から聞いてるのよ!!黄巾党を倒してから今まで貴方一体どこに行ってたのよ!!」

 

麗羽「そうですわ!!あの後わたくし達、貴方を助けに戻ったのですわよ!!それなのに一刀さんはいらっしゃらなくて……わたくし心配で心配で…」

 

桂花「お兄様、それは桂花も聞きたいと思っていたことです!!なぜ、もっと早く帰ってきて下さらなかったのですか?」

 

一刀「ごめんね。実はあの後色々あったんだ」

 

感動の再会の余韻は残るものの、一刀がおよそ一年もの間帰って来なかった理由が知りたい三人は真相が聞きたくて詰め寄ってきた。

 

一刀「あのね…」

 

このあと、一刀が空白の一年の出来事を語り始めるのだろう皆が思っていた。だが、ここで誰も予想だにしなかった事が起こった。

孫策「ちょっと失礼するわね~♪」

 

一刀「……ん?」

 

華琳「孫策!?」

 

風里「あれ?あの人どこかで…」

 

一刀が話そうとしたその時、突然周りの兵達を押しのけて雪蓮こと孫策が現れた。突然の孫策登場に驚いていた一行だっただが、若干一名ほど孫策の顔に見覚えがあるようで思い出そうと考えこんだ。

 

華琳「悪いけど話なら後にして「あっ!いた!!やっと見つけたわよ“一刀”♡♡♡」えっ?」

 

みんな『えっ???』

 

雪蓮「ずーーーっと会いたかったわ一刀…いえ、私の旦那様♡♡♡」

 

すると孫策は一刀を見つけた途端、走り出すと一刀に抱きつき、しかも一刀のことを自分の旦那様と呼んだのだ。

 

桂花・華琳・麗羽「「「!?!?!?」」」

 

当然孫策の旦那様発言に驚愕した三人だったが、孫策の行動はそれだけでなく…

 

一刀「だ、旦那様って…それに何で僕の真名を知って☆!●※#?△!?」

 

雪蓮「ちゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ♡♡♡」

 

みんな『!!!!!!!!???????????』

 

風里「…………あっ!?思い出しました!!あの方は子供の頃に泥棒に捕まった私を助けてくれた人ですよ!!………って、ななななな、何であの時助けてくれた方が一刀様に接吻してるんですかっ!!!!!!!!!!!!?」

 

ようやく孫策のことを思い出した風里の目に飛び込んできたのは一刀を抱きしめるだけでなく、いきなり一刀の唇にキスをしていた孫策の姿であった。

 

桂花・華琳・麗羽「「「そそそそ、孫策ーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!」」」

 

こうして戦いが終わったはずの汜水関に、また新たな戦いを告げる桂花、華琳、麗羽の三人の絶叫が響いたのだった…

~次回予告~

 

 

雪蓮のいきなりの口づけに動揺する一刀。当然桂花、華琳、麗羽の三人は黙っているはずもなく…

 

 

そして、戦いの舞台は虎牢関へ

 

 

次回[真・恋姫†無双~二人の王佐~]第二章 第八話『修羅場』

 

 

 

『恋敵(ライバル)が忘れた頃にやってきた!?』なんてね♪

 

 

 

それではまた次回!


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
64
4

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択