No.419598

東方若泡録 Like Pop Dream ~うたかた夢想~ 二つめ

華狼さん

 恋姫は進まないのになんでこっちはすぱすぱ行けるんだろう。
 ってなわけで2話目です。 恋姫のほうはもう少しかかりそうかと。

2012-05-07 00:54:23 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1057   閲覧ユーザー数:1021

 

 

 東方若泡録 Like Pop Dream ~うたかた夢想~

 

 

 ・2話 少年、幻想入り・

 

 

 

 ・Etranger  …なんでフランス語よ?

 

 

 東方に関しての詳しいことはggrks。 知っているなら細かいことはご容赦願う。 よしこれで万事解決。(説明しろよ)

 いや私も詳しくは知らないんで。 え? じゃあ書くな? ソーリーワタシニホンゴイマイチアルヨー

 

 と まぁ適当になったが巻きで行きましょう。

 

 

 幻想郷の一角、主をレミリア・スカーレットとする紅魔館。

 基本妖の類しか住んでいないこの館だが。 何事にも例外は存在する。

 即ち人間が住んでいる。

 

 一人は皆さん知っての如くレミリアの『瀟洒な従者』十六夜咲夜。

 

 そしてもう一人。 それは本当に普通の人間、年齢は16・7歳あたりの中背痩躯の少年だった。

 

 

 

 事の発端は博霊神社の巫女、博霊 霊夢からもたらされた。

 外の世界との境界上に存在する博霊神社はその性質上、そこから出入りすることは並ではまず出来ない。

 無縁塚を筆頭として他の場所からなら、偶発的に迷い込んだりまた故意につれてくることは可能なのだが。

 

 何故かは分からないがそんな博霊神社の敷地内に、人間が一人外から入り込んでしまったのだった。

 

 

 

 時は昼方、今日も今日とて参拝客なんかこないんだろうなと思いつつも霊夢は竹箒を手にほぼ無意味ではあるが石畳を掃いていた。 …何が無意味って、地面を乱すのは閑古鳥を鳴かせる空風ぐらいなんだもん。

 

 「今日は霖之助さんのところでお煎餅でも食べようかしらね。 …たしかいいのが戸棚の奥に残ってたっけ。」 

 そんなことを独白していると傍の草むらがガサリと。 その音に反応して顔を向けたら、

 

 「……、 誰?」

 

 言ってしまえば特に特徴の無い見た目…いや顔の作り自体は整っている部類の、霊夢からすれば少し年上の少年が立っていた。

 格好はシンプルなデザインのブレザーの上下にシャツ・ネクタイと、現代では定番の学生スタイル。

 

 霊夢は霊夢でどこかの兎の格好に似てるわねと頭をよぎり、その少年も少年でこの状況に対してポカンとした表情で居たが、いつまでもそうしているわけにもいかないから事情聴取と相成った。

 で。

 聞けば目が覚めると森の中に倒れていたと少年は言い、しかしその時然り後の調査の結果然り原因は分からず、仕方ないからひとまず神社に置くこととなった。

 

 なんでも外の世界にいたときの記憶の大半が霞んでいるらしく、しかし思い出そうとすればするほどに絶対に帰りたくないとのこと。

 五大r オネエサン方の一角である八雲 紫は男を一緒に住まわせるのはどうなのと若干渋っていたが、

 紫に会わせる前、つまりは事情聴取の後あたりで絶対に帰りたくない、なんでもするから置いてくれと本気の様子での土下座なんてされたものだから流石の霊夢でも仕方なしと置くことにした。

 

 …まぁナニかしようとしたところで、スペルカードどころか魔術妖術の片鱗も見えない普通の少年なんかがどうこうできる道理は無いわけで。

 

 

 

 そして数日が経ったわけであるが。

 

 先にも書いたが博霊神社、はっきり言ってやることは無い。

 閑古鳥が烏合の衆の如くに目白押しで大合唱していてとても静かなのが常である。 …なんか文面に矛盾が無かった? まぁいいや。

 

 異変でもあれば八面六臂の大活躍ってなものだが、そんなことは日常茶飯事に起きないし起きたとしても普通の少年が出来ることはそれこそ皆無。

 

 妙な男が博霊神社の敷地内から幻想入りと聞いて新聞記者の烏や白黒魔法使いにお値段以上(以下略)が来たり、小さい鬼がすすめた酒で少年がぶっ倒れたりとしたし他のあれこれも起きたりしたが、それもいつもとさして変わらないこと。

 

 まぁ少年からすればどこを見ても美人美少女ばっかりなのはよきかなよきかなではあっても、同時にこの少年は義理堅い性格をしていてあまりにもやることの無い状況にやりきれずにいて、とにかくなにかやることをと言って聞かない。

 

 

 そこで霊夢は一つ案を思いついた。

 

 

 

 

 

 

 ・巫女と無茶振り

 

 

 ある日霊夢はレミリアを訪れた。

 

 紅魔館の中庭に一つ咲いた日除けのパラソル。

 その下でティータイム中のレミリアの後ろから霊夢は近づいた。

 

 「あら霊夢。 今日は何の用事かしら?」

 斜め後ろに咲夜を侍らせて、椅子に座って丸いテーブルに向かい紅茶を飲むレミリア。

 そんな彼女も背後からの霊夢を見留め、優雅な様子で声をかけた。

 

 「ちょっと話があるのよ。 あ 私もお茶もらうわ。」

 

 そして茶席の相伴に預かり、少年の云々を手元のカップの紅茶を口にしながら説明したところ、

 

 「…なるほどね。 博霊の神社に男が、って聞いてたけどそういうことなの。」

 「ん レミリア、あなた知ってたの?」

 普段からそう出歩くタチでないレミリアが知っていたことで霊夢は意外そうな顔だった。

 

 「咲夜が教えてくれたのよ。 その咲夜も知ったのは香霖堂の店主からってことだけど。 ねぇ?」

 「はい。 ただ彼も魔理沙がそう言っていたと。」

 悪事千里を走る… っていや別に悪い子としたわけじゃ無いか。 もとい世間は狭いと言ったところだろう。

 妖怪変化の類が魔法使いやら半妖やらと普通に生活しているこの幻想郷といえど、魔法使いから妖怪、人間へと噂は渡っていく世の常は変わらないのだ。

 

 「それで、その男がどうかしたの?」

 カチャンとカップをソーサーに戻したレミリアは、ここで今現在の話題の核心への言及を。

 話の流れから言ってその男に関係した話をしにきたのだろうが、はてそれなら何のようなのか。少なくともレミリアにはその男との面識は無い。

 

 何の用かは知らないレミリアに霊夢、どうということもない様子で本題を口に出した。

 

 「あぁそれだった。 彼を紅魔館で働かせてやってほしいのよ。」

 

 …さらりとけっこうなことをのたまう霊夢。 それによってレミリアと咲夜は一瞬フリーズした。

 

 「…、いきなり何を言っているの?」

 「それがね、置いてもらってるのにやることが無さ過ぎて嫌だ、何でもいいから仕事をくれって。

 だからここなら丁度いいかなって。」

 「いえ、その理屈はおかしくないかしら? …人里にでも働きに出せば?」

 「それは追々として考えてるんだけどね。 一応私が管理する以上、魔や霊の存在に慣れさせといたほうがいいでしょ?

 永遠亭は人手は間に合ってるってことだし、香霖堂だってだめだったし。 

 まぁ駄目ならそれでいいわ。 あとは白玉楼とかにでも聞いて回るから。」

 

 言いつつ霊夢は再びカップに口をつける。

 表情に期待している色はほぼ無く、考えていることは次に行く白玉楼へどうやって押し付けようか、だった。

 

 だが、

 

 「や、 …そうね。

 

 …

 

 …いいわよ、使ってあげても。」

 

 数拍の空白の後、レミリアは霊夢の申し出を了承する旨を口に出した。 予想してなかっただけに霊夢の目が丸くなる。

 「あら意外ね。 てっきり一蹴されるかと思ってたけど。」

 「今までならそうしていたでしょうね。 でも今のフランにはちょうどいい刺激になるんじゃないか って。」

 「フランド-ル?」

 

 「あの子、あなたや魔理沙の影響で屋敷の中をよく動き回るようになってしばらくだわ。

 何事にも変わる時がある。 それが来てるのだったらいい機会よ。

 仕事の合間の話し相手にでもなってもらうわ。 普通の人間に接するのが一番大きな変化になるでしょう。」

 「…、なに、人身御供ってわけ?」

 「悪い言い方ね。 一応ではあっても友人の客、なんだから。相応に注意はするわよ。

 でも名目は雇用なのだから、役に立たないようなら返品するからそのつもりで。」

 「それならたぶん問題は無いわ。 無駄に義理堅いところあるからそれだけ仕事を覚えるのも早いでしょ。」

 何の気無しに言って、霊夢は一番手近にあったクッキーをつまんで口に放る。

 

 「ふぅん?」

 しかしレミリアは言葉の端々にあった差異を目ざとく感じ取り、含みのある笑みを霊夢に向けた。

 ニッと上がった口の端から小さく長い犬歯がわずかにのぞく。

 「なによ?」

 「いいえ。 それなりに信頼関係はできてるんだなって思っただけよ。」

 聞く限りでは例の少年が神社に住み始めて一週間程しか経っていない。

 それでも『たぶん問題は無い』『無駄に義理堅いところあるから』といった性格面を信頼…とまでは流石に言えないかもしれないが、理解しているあたりからもう赤の他人ではないのだろう。

 

 「…、はぁ。 ブン屋のカラスにも同じようなこと言われたけどね、そんなつもりはさらさら無いから。

 欲しかったらどうぞご自由に。 早いもの勝ちよ。 咲夜も。」

 「…何故私に振るのかしら?」

 レミリアの言をかったるそうに流して、霊夢は咲夜に話を飛び火させる。

 「人間同士で年も近いみたいだし。 この吸血鬼やどこかのスキマみたいに長く生きて枯れてはいないでしょ?」

 「ちょっと? … まぁいいわ。」

 『どこかのスキマ』と同格に扱われたのがカチンときたらしいレミリアだったがどうにかスルー。

 

 余談だがこの時、その『どこかのスキマ』が意外と可愛らしいくしゃみをしていたとかなんとか。 誰得情報なんでしょうね。

 

 「じゃあ早速その彼を使わせてもらおうかしら。 連れてきてもらえる?」

 「ええ。 でも本当に普通の人間みたいだから。 咲夜と同じに扱わないでよ?」

 欲しかったらどうぞご自由に などと言ってはいたが、やはり同居人としての情は既に芽生えているらしく。

 

 さらりと無茶な扱いへの釘を刺しておいて、霊夢はパラソルの下から出て行った。

 

 「咲夜、話の彼はあなたに任せるわ。 とりあえずこの席の片付けでも手伝わせてみなさい。」

 「分かりました。」

 「それと服は… 男物なんてあった?」

 「いえ、流石にそれは。」

 「だったら、 …、 あなたとおそろいのメイド服でも着せておこうかしら?」

 「…男性に、ですか?」

 「面白いと思わない? ふふふっ」

 

 と、早くも少年の扱いがひどくなってきたとき。

 

 「あぁ~、それとね~!」

 

 上空から女の子の声。

 二人が見上げると、去って行ったはずの霊夢が上空に戻ってきていた。 内容は、

 

 「門番寝てたわよ~、 私が来たときから~!」

 

 …こういうものだった。

 

 そう言い残して霊夢は再びふよふよと飛んで去っていった。

 

 残された二人の頭には愛称『中国』の幸せそうな寝顔が浮かぶ。 門の脇に立ったままであるが。

 

 「…お嬢様、いっそのことその彼に門番をさせたほうがいいかもしれませんね。」

 「…考えておくわ。」

 

 …ガラス玉一つ落とされた 落ちたとき何か弾き出した の法則である。

 

 澄ましているようで静かに怒っている咲夜と、呆れた様子で額に手を当てるレミリア。

 

 その二人のもとに霊夢が少年を連れてきたのは、上記の時間から三十分以内の後である。

 

 

 

 

 

 

 

 ・あとがき・

 

 

 ま~たやっちゃった。 まったく私はよく知りもしないのになんでやっちゃうかな本当…

 

 ってなわけで。 恋姫の傍らに東方を書き始めた華狼です。

 前回は導入もどきもいいとこだったので。 今回からのあとがきです。

 

 まぁ始めたって言ってもこの『うたかた夢想』が最初で最後になるでしょうけど。そのくらいに私は東方を知りません。

 

 でもなんでやったか。

 「やりたかったからです」以外に言うことは出来ません。 出来心で馬鹿をやる輩の気持ちが今なら理解できるかも。

 

 言っておきますがこれ、数回で終わります。 つまりはかなり荒っぽく今後進めます。

 今回は会話や説明が多かったですがそれも最初だからで、あとは書きたいところまでザクザク行きます。

 

 『少年』は徹してしゃべりません。 基本他者視点からと地の文での描写になります。

 現世でなにかあって、でも記憶がほとんどぼんやりしていて、けどもう帰りたくなくて と言うところです。

 性格は作中にも出ましたが、義理堅いところのある優しい性格です。

 

 

 

 

 

 

 

 最後に。

 

 この話のテーマは『夢』です。 『Like Pop Dream』、つまりは『うたかた(泡沫)のような夢』です。 

 

 少女が見たのは、刹那にパチンと弾けて消える、淡く淡い、ただの一時の夢です。

 

 

 では。 次の話が出たときにまた。

 

 

 

 

 PS、 咲夜のフランに対する呼び方は『妹様』でいいのでしょうか?

 

 

 

 

 


 
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