俺がハルヒの死を知ったのは、帰り道で別れてから4時間後、古泉からの電話だった。
昼間なのに薄暗い地下室で、ハルヒは静かに眠っていた。 「最後にお別れをしたい」と言うと
ハルヒの両親や古泉達は静かに部屋を出て行ったのだった。
二人きりの部屋、空調の風を切る音だけが俺の耳に届く。
「ハルヒ、冗談は止せ。 まだ許せる、起きてくれ」
「……」
ハルヒは答えない。 息も吸わない。
横たわっている彼女の肌は瑞々しく、触れた感触は生きていた時と同じ位の熱だった。
そっと頬に当てた指を押し込むと、確かな弾力が俺の指を押し戻す。
「なあ、お前は神様なんだろ? 起きて何とか言ってくれよ」
ブラウスの襟を掴み揺すっても、俺の手の動きから少し遅れて頭が動くだけだった。
「なあ、明日は皆で遊びに行こうか。 ……学校なら気にしなくても良い、偶にはサボろう」
「……」
「何とか言ってくれよ!」
パツンという音とともにボタンが弾け、ブラジャーに包まれた豊かな胸が露わになる。
「す、すまん。 そう言う意味では無くて、その……」
吸い込まれるように谷間から手を差し入れて揉みし抱く。 この辺で殴られるんだよな?
俺は反撃が来ないのを良いことに舌を入れると、口から水分が奪われた。 脱脂綿か。
俺は口と鼻に詰まった脱脂綿を抜き去り、良いように体をさする。
俺は自分のした行為を恐れた。 馬鹿な、死んでいるんだぞ。 いや死んでいない。
まだ温かい、そうだ、死人の顔じゃない。 これで最後だ、もう触れられない。
俺は狂ったのか? ハルヒに覆い被さる掛布を払いのけて脚を持ち上げた。
「……ハルヒ、好きだ、愛してる」
その日、病院の霊安室からキョンとハルヒは忽然と姿を消してしまった。
・・・・・・
3年が経ったころ、古泉の元にキョン発見の知らせが届いた。 場所は遠く離れた北海道。
傍らにはホルマリンを塗布され、あの日のままに止まったハルヒの亡骸と二歳位の子供が居たそうだ、
人と接点の無かった彼はどうやって子供を授かったのか? あの日、密室からどうやって消えたのか?
実情を知るのは気の触れてしまった彼一人、誰も判らない。
死体と狂人、そして、その娘は今もどこかで狂った歯車を噛み合わせながら暮らしているらしい。
おわり
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色々書きたくて書いてみた奴
一応閲覧注意