第二話 異端者
「此処が許昌か……」
俺はあの後、何里歩いたか解らないが長い距離を歩いた後この許昌の城門に辿りついた。
「じゃあ、失礼して…」 「そこのお前、チョイ待った!!!」 「はい?」
城門の脇にいた一人の鎧を纏った男が、恐らく門番であろう男が俺を呼びとめた。
「お前は旅人か? それとも商人か?」
「旅人です。もしかして、通行手形など必要でしたか?」
「話は速いな、あんた見たいに綺麗な格好かつ若い男は手形を持ってない事が多いしな。後はこの乱世だ、黄巾の輩が暴れて大方家を失くした流民が多いんだ。 それで、持ってないんだろ? こっち来い、…様の領土内だけだがこれがあれば城門を行き来出来るぞ」
「ありがとうございます!! (華琳じゃない? どうなってんだよ……)」
黙々と門番について行く一刀、やがて到着したのか扉の前で門番の男は止まり一刀に向けて話しかけた。
「何せ暴れられたら困るしな、こうした応接室があるんだよな。 まぁ、そこに座ってくれ。」
質素な木のテーブルが1つとイスが4つあるだけの寂しい部屋だが身分確認する事を考えればこれで十分かもしれない。
「それで本題に入るぞ。 まず、お前の名前、年齢、出身を答えてくれ」
「……(弱ったな、下手に史実の武将の名前使えないぞ。少なくても星が居たってことは彼女達は居る事が確定してるし……仕方ない) 姓は北(ホン)、名は純(ジュン)。字は郷(ゴウ)です。 出身は幽州の奥にある国鮮卑から参りました。 年齢は20です」
「鮮卑って事は異民族か? まあいいや、あんた、鮮卑の人間じゃ不味いから幽州の北平出身でいいか?」
「? は、はい……」
「わっはっは!!」
一瞬、彼の意図が解らない一刀は身を強張らせて彼を警戒した。その姿を見た門番はこの様に大爆笑した。
「何故、会って間もないお前を心配するかって? 簡単だよ、あんたはいい人そうだからさ。これでも俺は人の事見る目はあるんだぜ?」
「は、はぁ…」
「それに貴様は、この乱世に頭角を現す定めじゃ」
「え? 貴方は一体…」
その疑問の答えを見せるかのように男は煙に包まれ、晴れた時に一人の老人が現れた。
「我が名は禰衡(ネイコウ)という。 貴様との関連を言えばワシは外史の管理人の一人だ。まぁ、本業は人相見なのだがな。」
禰衡の名前は聞いた事ある。確か、自称外交官で正史だと黄祖を怒らせて殺害された人だ。
「正史でのワシの評価は大方そんなもんよ。あ奴はこっちでも短気でのぅ死にかけたわ」
「は、はぁ」
もはや困惑しか出来ない一刀であり、禰衡に対して相槌しか打てなくなってしまった。
「本当に俺なんかが乱世に頭角を現せる事が出来るのでしょうか?」
「まぁ、御主は種馬しか能がないから優秀な女傑を誘惑すればよかろう?」
「う、うぅ…」
「わっはっは!! 気にするでない。 ワシが見た感じでは、貴様は武勇も智略も人並み以上ってところじゃな。 まぁ、人材不足を露にしている董卓や公孫讃には優遇されるであろうな。」
「ばっさり言いますね…そりゃあ俺は「じゃがな…」 どうかしましたか?」
どうやらまだ続きがあったため一刀の言葉を遮り続けて話した。
「大局はどういうわけか貴様をこの乱世に頭角を現せたい…つまりひとつの勢力の主に仕立て上げたいらしくてな。 恐らく今後、貴様は義勇軍かそれ相応の軍団を任される様になるやもしれんな。」
「……今、俺がすべきことは何でしょうか?」
「まず、選択肢は4つ。 一つ目はこの許昌を奪い、この地に住む荀彧の娘を誑かして統治し、来るべく反董卓連合に参加する。二つ目は彼女達を得た後この地以外で挙兵する。これが真っ当かも知れんの。此処の領主は無名だが良い統治をしている。そやつから奪ったとなれば例え天の御使いの肩書きがあっても上手く統治できん。三つ目は彼女達を正史通り曹操の元に行かせ、別の女傑達を確保しに行く。四つ目だがワシはお勧めせぬぞ?(ネタ被り的な意味で)董卓や袁紹、公孫賛に付き従い戦うかじゃ……」
「一つ良いですか? 禰衡さん、桂花は…荀彧は曹操にぞっこんだし、男嫌いだから取り付く島もないと思うのですが…」
それを聞き禰衡は何を言っているのだ、こいつは?っといった顔をして改めて一刀に向きなおした。
「敬語でなくて良いぞ……良いか、北郷一刀。貴様が来たのは似ているが似ていない世界じゃ。 つまり、男嫌いなのは其の者の個性であった場合拭えないが、少なくとも彼女は曹操と言う人物を知らないし神の様に崇拝はしていない。つまり、今だけが好機なのじゃよ。それに彼女を口説き落とせば荀家と言う名家の後押しも得る事が出来る。」
「…この地以外で挙兵できそうな場所は?」
「少なくともこの地以外、周囲は黄巾党が犇き在っておる。陳留では曹操が頭角を現し始めたから彼女を仲間にする際は素早く動いた方がよかろうな。」
「……解った。 とりあえず、許可書をくれないか? 実際の街並みを見て判断したいんだ。」
そう言うと禰衡は笑いながら懐より一つの竹簡を取りだした。
「此処に貴様の偽名を書いた手形がある。これで此処へはすんなり入れる。行ってきな。北純!!!」
「そう大声で偽名と言わないでで欲しいな……あぁ、行ってくるよ」
一刀は礼を述べた後、城門を通過して中へと歩み始めた。
「…でかいし、賑やかだな……」
入って見れば許昌の街並みは行き交う人々、露店を開き商いに精を出す商人等が生き生きとしていた生活の営みが行われていた。
「一つ目は選べないな…桂花が居ればこれ以上に出来るけど…戦乱で出来れば汚したくない。」
行き交う人々の顔を擦れ違いざまに見ていた一刀はこう言葉を漏らした。魏の頃の町とは比較できないが少なくともこの時代にしては良い統治がなされていると見れるからである。
「この路銀じゃ、何も買えないかもしれないけど…せっかくだし露店巡ろうかな!!
どこから行こうかな…「いや…話しなさいよ!!!!」 え?」
どっからともなく聞きなれた女性の声が聞こえた。
「どっからだ? 「いいじゃねぇか、お前一人で露店巡るより俺達と廻ろうぜ?」…!? け、桂花!?」
ゴロツキ共が彼女の嫌がる素振を見ても尚押さえつけている。あのままだと……
「絶対にさせるかよ!!!」
一刀はそう自分に鼓舞し、路地裏に鞘を入れたままの愛剣を構え静かに近付く。
「近寄るんじゃないわよ! この変態!!」
「何おぅ!? 兄貴!! やっちまいましょうぜ?」
「へっへっへ……そうだな、此処は路地裏だし、誰も気付かないだろうしな。」
「いや…離しなさいよ!」
ヘッヘッヘと取り巻きの二人の男は笑っており警戒が緩んでいるなら…
「残念だったな…お前の声なんて、誰も聞いちゃいないぜ? さぁ、お楽しみの時間だ……」
「そうだな、此処ならお前らが叫ぶ断末魔も聞かれないで済む。」
そう一刀は吐き捨て、男達の頭目掛けて剣を振るった。
「ふぅ……け、君、大丈夫かい?」
サイドチェンジ/???
私は普段家を出た事がない。だから屋敷の外を見たかった。 実際に民達がどんな営みを行っているかもお母様やお父様、使用人達から聞くのではなく実際に見たかった。なのに…
「いや…離しなさいよ!」
「いいじゃねぇか、お前一人で露店巡るより俺達と廻ろうぜ?」
賑わってたこの路地で様々な品々を見ていたらあの汚らわしい男三人が私の腕を掴んで路地裏に連れて行かれてしまった。
「近寄るんじゃないわよ! この変態!!」
私は主格だと思われる男にそう吐き捨てたが取り巻きの男達は私の両腕を押さえつける。
「何おぅ!? 兄貴!! やっちまいましょうぜ?」
「へっへっへ……そうだな、此処は路地裏だし、誰も気付かないだろうしな。」
「いやあぁぁ!!」
あぁ…私は此処で終わるのね。 仕えるべき主も、添い遂げる夫も見つからずこの淫獣共に汚され売られるのだろう…
「残念だったな…お前の声なんて、誰も聞いちゃいないぜ? さぁ、お楽しみの時間だ……「そうだな、此処ならお前らが叫ぶ断末魔も聞かれないで済む。」 は?」
ドカッ!! 鈍い打撃音と共に私を組み伏した男が力なく倒れ込んだ。他の二人は既に伸びていたる。
「君、大丈夫?」
目を開ければそこには獣様な醜男ではなく、茶髪で人の良さそうな青年が私の目の前に現れた。
「っあ……」
私はあまりのかっこ良さに動揺して下を向いてしまった。
「…もしかして、どっか痛むところがあるのか?」
「いえ…ありがとうございます。」
彼はやはり今時珍しい青年なのかもしれない。見ず知らずの私を助け、その上私の事を心配してくれる。
「立てるかい?」
「あっ…」
彼が差し出す手を私は無意識に取ってしまった。 気付いた時には胸の高鳴りが最高潮に達した。
あぁ…見つけた。 私が仕えるべき人を……。そして最愛の……。
サイドチェンジ/一刀
「俺は北純。無事で良かった。じゃあ、失礼するよ」
俺はこの場を後にしようと思った。このタイミングで誘っても恐らく助けたからその恩だと思って俺に力を貸せと言っている様なものだ。 彼女の才智は確かに俺には居るのかもしれない、だけど俺は…桂花とは、いや…彼女達と対等な立場で接していきたいと思っているから、彼女の弱みに付け込んでどうこうする気は全くない。
「あ、あの北純様!!!」
「(ゑ? 今何って言った?) どうかしたかい?」
「私は姓を荀、名を彧と言います! お礼がしたいので私の家に来て頂けませんか?」
「(……嘘、だろ?) え? 荀って事はあの?」
頼む、姿形が、名前が似ているだけだと言ってくれ……
「はい! その荀家で間違いありません。 ご迷惑ですか?」
何だろう…華琳に向ける様な眼差しで今の俺は見られている。変な気持だな、前は罵倒の限りを尽くしたり、落とし穴で俺を嵌めようとしたりと…
「(本当に違うんだな、少し寂しいな)……俺は唯の流民で此処に流れ着いた人だよ? 君の様な名家の人間と関われ…「関係ありません!!」……」
「北純様は私を助けてくれました。 其の恩人の出生等関係ありません!! それに恩を返さなくてはいけません! そ、それに貴方の事が…」
最後の一言は小声で呟いた為、彼には聞こえずに済んだ。
「……なら、御世話になるよ。 よろしくね、荀彧さん。」
「桂花と呼んでください。 「え?」 私の真名です。純潔と命を守ってくれた貴方様には屋敷でのお礼をしてもまだ足りない位です!!」
「…真名までは預けてくれるのは嬉しいけど…呼べn「ダメですか?」……俺の事は一刀って呼んでくれないか? それが俺の真名だ」
「はい!! 一刀様!! こちらです!」
桂花はこれ以上にない笑顔を一刀に向けた。そして屋敷へ案内すべく彼を誘導し始めた。
(……大局は俺を受け入れた上でこの乱世を駆け巡る英傑の役に俺を選んだのか…華琳……俺は君みたいな覇王になれないかもしれないけど、いずれ君の隣に入れる様な人間になってみせる!!)
決意を新たに桂花の後を追う為、確実な一歩を一刀は歩み始めた。
「許劭よ、これはワシではなく貴様の役周りではないか?」
彼が消えた後、同じ場所に白髪の老人と一人のフードを被った男が姿を現した。
そう、老人とは禰衡である。
「御苦労さまです。 前の外史で彼と私は既に会っています。ですので…今私が合えば彼は其の事を追求するのでしょう…」
「ふん、貴様は小心者じゃな。 まぁ良い、それよりもだな……あの筋肉共はどうしたのだ?」
「彼女達なら今頃あの時の外史にいるのでは? かなりのイケメンが居るみたいだし」
そう許劭と呼ばれたフードの男は苦笑しながら話した。
「つまり、しばらくはワシが助言すればよいのであろ? 全く、神も難儀な事をしてくれる」
「……そうですね」
二つの気配はそう会話をしながら自然と溶けて消えた。
あとがき!!!
桂花キャラ崩壊\(^0^)/
ファンの方には最初に言っておきますごペンなさい!! いや、ごめんなさい!!
HDDタンが急逝してから速攻で書き上げた結果がこれだよ!!
あぁ…これで大学のレポートも書きづらく…
とまぁ皆様には関係があまりない事は置いておいて置きまして。許昌は彼女の出身地であるし出ても、大丈夫だ、問題ない。って思ったのでこういたした次第。 かといってメインヒロインか? と言われたらう~ん……見ての通り一刀君は確かに魏のメンツを愛してますが中でも華琳様にぞっこんの雰囲気ですのでひょっとしたらそうなるやもしれません。
さて、新PCが届くまでネカフェ行こうか迷いましたが残念ながらインターシップのマナー講座や各種手続き、4年になれるかどうかの時期になってしまい上手く時間が取れづにいます。
そう思うと去年の今日、つまり2年生の時期は時間にも余裕がありかなり書く事が出来たなぁと実感しています。
速い物で私は此処で書かせてもらって1年(事故による休止期間を抜かせばまだ半年ですが…)立った事になります。
本来なら怒涛の投稿ラッシュと行きたいのですが実を言えば実験が高度になり、より多くかつ高度な内容の課題請求をされているためそれに時間を取られてしまいます。
けど、やめるつもりは少なくともありません。 月に一度投稿できるか出来ないかのペースで迷惑掛けると思いますが今後とも御使いの転生、彷徨えしは我が想いを応援して下さると嬉しいです。
っと言い忘れてました。
HDDタンには実は3話分のストックをしたのですがバックアップを奇跡的に取っていたこの2話目と先に投稿した御使いの転生4章七話(前半部分のみ)とその設定集だけがUSBのレポート達の中に紛れ込んでいました。
ですので今日投稿出来たのはある意味幸運でした。皆さんも大事な物はしっかりと保存を…
因みに今回の急逝により秘蔵のエロゲCG全てがおじゃんになったと言っておきましょう…(´・ω・`)
一言!!!
好きな物?
ラーメン! つけ麺! 僕、タンメン!
各作に登場した人々「「「ジー」」」
み、見るなぁ!!!!!
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OH…もうやだ、自分の実行力と計画性の無さにorz
って訳で祝一周年!!!! 8888
それでは、記念と云ってはあれですが新シリーズを投稿始める事をここに宣言します!!!!
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