マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START
四話 戦術機
欧州連合 SIDE
地中海に二隻の空母が進んで行く、甲板には西洋の鎧と思わせる戦術機が地中海に拭き注ぐ太陽光に照らされて輝いていた
その戦術機は欧州連合が進めているECTSF計画で第3世代機として開発されたEF―2000・タイフーンであった
コクピットにはユーロファイタス国連派遣部隊レインダンス中隊モニカ・ジアコーザが機体をチェックしていた
『―さあて、
「また我々に呼び出しですか?」
『ま、そんなところだ』
『毎度毎度自分達の都合に合わせるように国連の連中ども私らを四六時中監視しているんじゃないかしら?』
「イギリスはまだしもアメ公はBETAだけに熱い視線を送ってくればいいのに…」
『それは言えているわ……パブロ良かったじゃない、あんたのケツを掘る奴がいるかもよ?』
『―それは勘弁してくれ、姉御』
『後ろでふんぞり返っている連中は放って置いておくとして、先行している部隊によると襲撃は組織的な侵攻ではないとされている、しかしこのご時世何が起こるか分からない、全員気を抜くなよ』
『『「―了解ッ!」』』
甲板で作業員が慌ただしく動く中、タイフーンは甲板に備え付けられているカタパルトに向かっていく
タイフーンがカタパルトに乗ると腰に装備した跳躍ユニットを稼動始め、周囲に轟音を響かせた
カタパルトが作動して勢いよくタイフーンは離陸を始めた
欧州連合 SIDE END
アスカ SIDE
「Eセンサーに反応無し……もうすぐイタリアかぁ…」
ここまでくるのにレーダーを掻い潜るため海中を移動したり、レーザー級の照射範囲外を飛行していた
今は海面すれすれを飛行している
今回は戦術機をみるために
シチリアはBETAとの最前線でシチリアが陥落すると約140kmの海峡を渡りアフリカの侵攻を許してしまう
そうなればアフリカの資源に依存している欧州、中東戦線支える物資などが無くなりドミノ倒しのように東半球全体が失陥する
「とりあいず今は静観するしかないよな」
今の自分は戦場では厄介な存在だ、静かに静観するべくラジエルの速度を徐々に下げ海面に胴体を出す形にして外壁部迷彩皮膜を展開した
ハッキングした監視衛星とモニターを見比べながらシチリアの様子を見るとそこは二種類の戦術機が駆け抜けて行く
「あれはトーネードとタイフーン?」
トーネードは第一世代機フリーダムファイターをイギリス・西ドイツ・イタリアが改修した機体だ
このトーネードはあの国と同じく砲戦を主体とした運用が行われている
さらに細かく見ると両腕には近接固定武装のクローが装備されて強化改修型された第1.5世代機と分類されるトーネードADVであることが分かった
そしてタイフーンはハイヴへの長躯侵攻を可能とする作戦行動半径、
「ヴェーダの情報によると現在はイギリスが独自で実戦運用部隊にて実戦による試験を行っている・・・ということはあの部隊はレインダンスか」
レインダンスとはユーロファイタス社が各国のアピールを目的としたESFP(Experimental Surface Fighter Program)運用部隊で、
「BETA接近中、戦闘開始!」
「それじゃあ静かに見学させてもらうか」
シチリアの沖に展開している艦隊がBETAに目掛けて砲撃を始めた
砲撃が終わると同時にタイフーンがBETAに向かって突撃、トーネードは両肩に装備されたミサイルコンテナが展開されミサイルが発射され、ミサイルはそれぞれ不規則に軌道を変えながらBETAに向かい周囲に爆発を起こした
突撃級がタイフーンに向かうがタイフーンは跳躍ユニットを駆使して飛び越え突撃級の後ろに回り込み突撃砲を撃つ
後方の攻撃に対処出来ない突撃級はその場に倒れた
アスカ SIDE END
欧州連合 SIDE
『グレアム、北から回り込め!モニカ、レイチェル、フランコ!敵に突撃を仕掛けるぜ!』
『『『「了解―!」』』』
『A小隊全機
タイフーンは背中に装備している
長刀は日の光に当たり刃が輝きながらBETAを切り刻む
「食らえ―ッ!」
『毎回気持ち悪いんだよ――!』
要撃級の尾が斬られ長刀に串刺しされるもの、戦車級は食らい突こうと接近するが蹴り飛ばされ腕に備え付けられているブレードに刻まれていくモノがいた
『B小隊掃討完了、センサー反応無し』
『了解、こちらも掃討完了――よーし、全機小型種遭遇に警戒しつつ集結しろ』
タイフーン、トーネードはレインダンスの中隊指揮菅ヒュー・ウィンストンの元に集まってくる
どの機体も目立った損傷がなく、まだ十分に戦える状態だった
「36mmが400発に120mmの残弾は1発、それにくらべてBWS-3の使用頻度は
『ドイツからは斧、イギリスは大剣ばかり重たいものを持たせて、上の連中はヘビーなものそろえてなにをしたいんだか・・・そろそろ軽い物を持たせてくれないかしら?』
「たしかに固定武装だけ使用しているわけにもいかないわ、レイピアみたいな細いやつがあればいいかもしれない」
『細いって言ったら東洋にカナタ?カタチ?と言われる近接武器もあるわね』
『それを言うならカタナですって姉御!』
『どれでもいいじゃない』
『HQよりレインダンス01、こちらでも状況を確認した、このエリアの警戒にはこちらの部隊が引き継ぐ貴隊はこれより帰艦せよ・・・お疲れ様でした』
『
『『『「了解―!」』』』
レインダンスはその場を離れるように飛び去る
タイフーン、トーネードは地面に対して水平方向に飛行を始めた
「ところで大尉、タイフーンの先行配備の候補はまだ分からないのですか?」
『幾つも候補を選定しているが、もっとも有力候補は“西ドイツ陸軍第44戦術機甲大隊”が挙げられている』
「西ドイツの44戦術機甲大隊って第一次グレートブリテン防衛線で活躍して七英雄と呼ばれる部隊じゃないですか!」
『上は、タイフーンを各軍に配備するには宣伝にインパクトがあるプロパガンダみたいのが必要になってくると思っているらしい』
「同情するわ・・・」
『たしかに各地にデリバリー状態なるのだけは同感する』
『ま、騒いでも仕方ない、決めるのは上だ、今のオレ達はいちはやくタイフーンを仕上げないとにならないからな・・・』
12機のタイフーンとトーネードは山と山の間を縫うように進んで行く
欧州連合 SIDE END
アスカ SIDE
「これが戦術機の戦い方・・・」
レーザー級の照射範囲外での飛行、各部を動かし機体全体で空中制御、様々なBETAの対処などヴェーダでは知りえない情報があった
けど戦術機の動きに違和感がある
着地の瞬間に跳躍ユニットを吹かし衝撃を和らげながら地面に着地した
それが単機ではなく全機同じパターンだ、着地している時に突撃砲でも撃てないのか?
「隅々まで調べないと分からないな、ハロ過去に廃棄された戦術機をピックアップしてなるべく人やBETAが居ない場所を探し出してくれないか?」
「了解!了解!」
軍に行ってもすんなり見せてくれないだろうし、戦場近くだと小型種に発見されやすい、ここは地道に調べ上げていくしかないな
Eセンサーの反応を見ながら機体を浮上させその場から離れていく
「ピックアップ完了!」
モニターに表示された情報を見ると北アフリカが表示された
たしか地中海を南下すればすぐに行ける距離でありアフリカはまだBETAに侵攻を受けていない、アフリカ軍は第1世代機ファントムの砂漠戦対応仕様が現役で活躍している
それとこの世界では戦術機などの兵器は損傷、破壊されたものはその場で廃棄されて、そのジャンク品を調べれば今後のためにも役立つ
「そうと決まればアフリカに向かうか!ハロ、トレミーの現在位置は?」
「南大西洋北上中!」
「この調子だと明後日あたりに合流するのか、それと各国の対BETAに関する計画は?」
「ハッキング中!ハッキング中!」
BETAと長年戦争しているから人類は何か対抗策あると思い、さらに幅広く様々な分野にハッキングを行っていた
さすがに国家クラスの計画を調べるのは骨が折れる、もうしばらく時間が掛かりそうだ
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ゴールデンウィーク前に投稿!
それと肩の調子は完治しました
今回は話は短いです