約4,5ヶ月ぶりの投稿となりました。しかも突然の改訂版で驚かせたとおもいます。なぜ改訂版を書いているかというと、作者はこの最近まで入院生活をおくっており、暇なときに自分の作品をよんでいるといろいろハショリすぎと感じまして、2人の飛将軍を書き直そうと考えました。改訂版は基本以前の作品の流れに沿ったものにしていきますが、大幅に変える予定の話もあります。ご了承のほうもうしわけありませんがよろしくおねがいします
caval
side ???
まるで真冬の雪国のように一面が真っ白な空間の中に一刀は倒れていた。
「う・・・うう・・・ここは・・・?」
胸の痛みが一刀の覚醒を促し、ゆっくりとだが一刀は体を起こしていく。
最初はこの異様な光景に思考が麻痺していたが、自分の頭のなかで赤壁のことが思い出された時、一刀は1つの考えにたどりついた。
「これが死後の世界・・・なのか・・・?なにもない・・・この世界が・・・」
その後しばらく呆然としていたが、なにか出口など自分以外の物を探そうと考え、一刀はただひたすらその真っ白な空間を歩き続けた。しかし・・・
「なにもない!くっそ・・・」
4時間ほど歩き、疲れがでてきた一刀は大の字に寝転び、地面と同じ真っ白な空を見上げた。
そうしているうちに自分のなかで死というものを強く感じてきた。
「桃香・・・愛紗・・・鈴々・・・」
桃園で共に歩むと誓いあった姉妹たち。
「朱里・・・雛里・・・月・・・詠・・・音々音」
政務から軍事までその智謀をもって自分を支えてくれた女の子たち
「恋・・・星・・・翠・・・蒲公英・・・桔梗・・・紫苑・・・焔耶・・・白蓮・・・麗羽・・・斗詩・・・猪々子・・・美以・・・ミケ・・・トラ・・・シャム・・・」
時にはその武をもって敵に立ち向かい、時に愛し合い、時に一緒になって遊び騒いだ女の子たち。
いつまでも続くとおもっていた自分が愛した女の子たちとの時間はあまりにも突然に終焉を迎えたのだと気がついた時、一刀が大粒の涙を流していた。
「みんな・・・ごめん・・・ごめん・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
やりたかったことや言いたかったことはたくさんあった・・・でもそれはもう二度とかなわない夢。
「涙を拭きなさい。北郷一刀」
嗚咽を漏らしながら泣き叫んでいた一刀の隣に、1人の女性が立っていた。その女性はもしこの世に天女がいるのならば、この人のことをいうのだろうと思わせるような美しき女性で、水色主体のゆったりとした服と白い羽衣をみにつけている。
「あなたは・・・?」
「私の名は訳あってお教えすることはできません。あえて言うなら『導くもの』といったところでしょうか」
「『導くもの』・・・その導くものがおれの所にいるということは、導かれる対象者はおれか・・・」
一刀の言葉に女性は笑みを浮かべた。
「ええ、そのとおりです。先に結論から言っておきます。一刀様、あなたが望めばあの世界。恋姫たちがいる世界へ舞い戻ることができるでしょう」
「本当か?!桃香たちの元にもどれるのか?!」
女性の言葉が終わると同時に一刀は女性の肩をつかんでいた。二度と会えないとおもっていた少女たちに会えるかもしれない・・・まさしく藁にもつかみたい気持ちでいっぱいだったが・・・
「一刀様落ち着いてください・・・恋姫たちのいる世界にもどることはできるでしょう。しかし・・・その世界で一刀様の知り合いに出会ったとしてその方に一刀様との記憶は無い可能性が高いです・・・」
一刀の心の中で生まれかけていた希望がガラスのように割れていく感じがした。
「同じ人物で同じ容姿を持つ・・・でも記憶が違う・・・パラレルワールドか・・・」
「私たちはそれを『外史』と呼んでいます。ここは外史と外史との狭間といったところです」
ここで女性は一呼吸を置き、そして、
「一刀様・・・愛した女性に自分の記憶がなかったとしてもあなたは恋姫の世界へ戻りますか?」
―――みんなにまた会える可能性がある・・・ならば・・・
「いかせてくれ。決して可能性が0でないのならば試したい」
「わかりました・・・またあの世界に戻るにあたって1つ記憶にとどめておいていただきたいことがございます」
「おぼえておかなければならないこと・・・」
「いまから行かれる世界はどの世界に向かったとしても決して一刀様に寛容ではないでしょう・・・我らもできる限りは支援しますが・・・一刀様自身で乗り越えていただかないといけない状況は多いでしょう」
「おれ自身で・・・」
女性はそういうと空に向けて手を伸ばすと2筋の光が女性と一刀の間で一層輝き、その光は2本の日本刀に姿を構築した。
「覚悟はよろしいですか・・・?」
刀を一刀に差し出しながら問う。
―――もしかしたら人を切らなければならなくなるかもしれない・・・でもみんなにまた会うためにやってみせる・・・
一刀はその刀を受け取りながら首を縦に振る。
「では・・・ご武運を・・・」
その言葉の直後に一刀の視界は目を開けられぬほどの光で包まれていった。
side赤壁
「ご主人様・・・ご主人様・・・」
恋は徐々に冷たくなっていく一刀の体を自身の体であたためようと涙を流しながら抱きしめる。しかし恋の努力も空しく一刀の体温は下がっていく。
北郷隊・呂布隊の兵士たちも目に涙を浮かべながら安全圏への後退を開始していく。突然の本船反転に蜀呉連合軍に動揺が走ったが本陣からの追撃の命に進軍を開始していく。
当然ながら本船転進の報告は本陣に伝えられる。多少の同様こそ走ったものの、戦況が決まったからだろうというふうに意見がまとまり迎えに出ることに。
岸に到着した本船を迎えた君主、軍師たちだったが、本船の悲痛な雰囲気になかなか乗り込めない。そんななか1人の少女が長い袖を振りながら本船に乗り込んでいった。恋の第1の部下を自負する陳宮こと音々音その人。
―――恋殿が帰ってきたのなら最初に迎えるのは、ねねの役目なのです!
「恋殿~!どこ・・・・で・・・す・・・か・・・?」
兵士たちの間を縫ってねねは恋の姿を探していると船首近くで、うずくまって何かを抱きしめている恋を見つけた。駆け寄っていくと恋がだれを抱きしめているのかもはっきりと目に入った。
―――あのバカ君主!帰ってきたのならさっさといつもの笑顔を見せやがれなのです!
ねねはいつものように「ちんきゅうキック」を放とうとしたが恋の様子が変なことにきがついた。
「・・・ねね・・・ご主人様が・・・グスッ・・・恋守れなかった・・・」
恋も背後にねねが近づいてきたのが、気がついたらしく涙を浮かべながら振り返った。
振り返ったことで恋の服が血で真っ赤になっているのが、ねねの目に入ってきた。それを見たねねの頭に最悪の結果がよぎった。あわてて駆け寄り首元に手を当てる。しかし生存しているのであればあるはずの反応がない・・・。
「・・・認めないのです!ねねの心をあれだけ乱しておいて死ぬなんてゆるさないのです!ねねは・・・ねねは・・・!」
泣き崩れるねねを恋は右腕を伸ばして抱き寄せる。
「恋どのぉ・・・」
「ねね・・・」
しばらく2人が泣き続けていると冷たくなっていた一刀の体が輝き始めた。
それと同時に2人のそばに1人の女性が立っていた。
「・・・!ねね!」
「わかってるのです!」
気配にまったくきがつけなかった2人だったが阿吽の呼吸で恋が2人を守るように立ち、ねねが一刀の体を少しでも離そうと動き始めるが・・・
「え・・・!恋殿!バカ君主の体が!」
ねねの普段とは違った焦りと悲鳴に恋もあわてて振り返る。
そこには足元から砂のように消えていっている一刀の姿があった。
「ご主人様!」
恋はあわてて一刀の体に手を触れようと伸ばすが・・・その手は触ることができる場所はもう上半身のみになっていた。
2人がこの非日常的な状況にあわてていると、女性が口を開いた。
「北郷一刀は死に、その魂は新たな世界に転生されようとしている。その道のりは険しく危うい。その険しき道を己らの力で助けんとおもうならば、北郷一刀の体に手を触れなさい。しかしそれは同時にこの世界との永遠の別れを意味する・・・もう時間はほとんどないがよく考えなさい」
恋は女性の言葉を聴きすこし落ち着いたのか目を閉じた・・・そして・・・
「我は・・・呂奉先。深紅の呂旗があるべき場所はご主人様のそばだから・・・」
そういうと恋は一刀の左手に両手を置いた。
「恋殿が行くところにねねは必ずついていきますぞ~!」
ねねは恋と逆側の右手に手を添えた。
次の瞬間一刀、恋、ねねの3人は強烈な光のなかに飲み込まれていった。
光が収まり3人が先ほどまでいたところに女性といつのまに現れたのか白いビキニを着たマッチョが並びたっていた。
「貂蝉よ・・・お主のご主人様は送り出せたのか?」
「ええ、でもこれからしばらくは私といえでも手を出せなくなってしまった・・・」
「うむ・・・まさか安定をしていたはずの『世界』が暴走をし始めるとは・・・」
「この世界のご主人様は天寿を全うするはずだった・・・それを防げなかった私はどんなことをしてでもご主人様を救うわん・・・」
女性の体が光りだしたとおもうと、次の瞬間その場に筋肉マッチョにピンクのビキニパンツをはいた化け物がいた。そう化け物が・・・
「だれぇが!一度みたら3日は悪夢に出て来そうな化け物ですってぇぇぇ」
地の文に突っかかってこないでください。
あとがぎ
前書きでも書きましたが、改訂版2人の飛将軍第2話になります。第1話は以前のものから変更なしなので、2話からになりました。
以前の2話ではあまり詳しく描かなかった、真っ白な世界(外史の狭間)でのことや、なぞの女性(貂蝉)との会話、恋たちの新外史への移動が今回の目的です。そして最初の変更点として記憶もちの恋姫を増やしました。
1人目が音々音になります。恋とのセットでないとあまりにも空気になってしまって、作者自身も忘却してしまうことが多々ありました。好きなキャラでもあるので今回は活躍していただく予定です。
以前の26話以降についてはいまのところどうするか決めていません。あの続きが気になる方がいらっしゃいましたら大変申し訳ありません・・・orz
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作者の入院等で更新が遅れたことお詫び申し上げます。そして真に勝手ながら改訂版を執筆していきます。
第1話の変更はありません。
第1話⇒http://www.tinami.com/view/226737