No.412933

ACE学園 第18話『新たな門出』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-23 07:36:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1058   閲覧ユーザー数:1047

 

『乾杯!!』

 

 

高等部にある食堂で士樹、アインハルト、刹那、イカロスは各々のコップを軽くぶつけ合う。

 

 

「今回の二次創作規制は、本当にやばかったね」

 

「ああ、一貫の終わりかと思ったぞ」

 

 

「いい移転先が見つかって本当に安心しました……」

 

「死んでも死にきれませんよ、まだ士樹の子供を産んでいませんから」

 

「いつも通りだな、お前は」

 

 

皆が一安心するなか、自重しないアインハルトに刹那は(二次創作的な意味で)日常が戻ってきたことを感じていた。

 

 

「今日も、ここの炒飯は美味しいね」

 

「材料の調達先がとても気になるがな。というより、地球で取れる材料ほとんど使われてないだろ」

 

「後、君に突っ込む資格はないよ」

 

 

刹那はベヒーモスの肉がふんだんに使われたピザをまじまじと見つめ、イカロスは黙々とベヒーモスの肉とニラの炒めものを食べる。

 

 

「…………」

 

「イカロスも気に入っているようだな」

 

「分かるの?」

 

「イカロスはああやって気に入った料理の技術を盗んでいるんだ」

「幸せ者だねぇ」

 

「ところ構わずいちゃつく奴に言われたくない」

 

 

会話はいったん中断し、一同は食事に集中した。

 

 

「士樹、あ〜ん」

 

 

アインハルトが沈黙を破るようにサンドイッチを士樹に差し出す。

 

「あ〜ん」

 

 

なんのためらいもなく士樹はそのサンドイッチをパクリと食べる。

 

「……イカロス、これは何だ?」

 

「? 恋人どうしはこうするのが常識ではないのですか?」

 

「……まあ、いいか」

 

照れながらも場の空気を考慮し、刹那はイカロスに肉とニラの炒めものを食べさせてもらう。

 

 

「やっぱりお前らだったか」

 

「士樹とアインハルトに……誰だ?」

 

 

城戸真司と剣崎一真が料理を載せたトレーを持ってこっちにやってきた。

 

 

「工藤刹那さんとその彼女のイカロスさんです」

 

「この2人は、城戸真司と剣崎一真だ」

 

「剣崎……仮面ライダーブレイドか」

 

「よく分かったな。お前も原作知識とやらを持っているのか」

 

「そんなところだ」

 

「それにしても、真司、何で僕達がここにいると分かったんだい?」

 

「あれだけ甘ったるい空気を誰でも分かるって」

 

「誉め言葉として受け取っておくよ」

 

 

喉を水で潤した後、士樹は豚の角煮を頬張る。

 

 

「へぇ、刹那も仮面ライダーなのか」

 

「ああ、また今度模擬戦をしないか。たまには、純粋に剣だけで戦いたい」

 

「いいぞ。また連絡してくれよ」

 

 

刹那は同系統の武器を使う剣崎とすっかり意気投合していた。

 

 

「刹那」

 

「何だ、イカロ――」

 

振り向いた瞬間、刹那はイカロスに唇をふさがれた。無口でおとなしい印象の強いイカロスがこのような行動に出ると予想出来たおらず、その場の全員が固まっていた。

 

 

(イカロスさん、意外と大胆ですね……)

 

(あの狸、イカロスにも何か吹き込んだのか)

 

(こいつの回りに普通のカップルはいないのか)

 

(……はいっ!?)

 

 

四者四様の思考が渦巻くなか、イカロスはようやく刹那から離れた。

 

 

「イ、イカロス、いきなり何をするんだ?」

 

「こういう時は、こうした方がいいと智樹さんから借りた漫画に書いてありました」

 

「あいつか……だが、悪くはないな」

 

(グッジョブです、智樹さん)

 

 

アインハルトは心の中で親指を立てた。刹那も満更ではない様子だ。

 

 

「さっき授業で作った餃子を食べないか? 1人1個か2個だけだが、いちおう皆の分は有るぞ」

 

「ありがたく頂くよ。真司の餃子はかなり美味しいからね」

 

「ありがたくいただきます」

 

 

真司が持ってきた餃子をテーブルの上に置くと、皆は迷わず食べにいった。真司と剣崎が加わったことによりパーティーは更に賑やかになっていった。

 

 

 

「祭りはここか…」

 

 

 

ヘビ柄の服を着たガラの悪そうな少年の浅倉威がやってくるなりバタンと倒れた。

 

 

「浅倉、どうした!? しっかりしろ!!」

 

「どこか具合でも悪いのですか?」

 

 

心配して駆け寄った真司とイカロスを出迎えたのは、腹の虫がなる音だった。

 

 

「頼む……財布を落としてしまったんだ……食い物を……分け……てくれ……」

 

 

浅倉が特に怪我をしているわけでもないことを知った一同は安堵のため息をついた。

 

 

「どこの幻想殺しだ、ここの浅倉は?」

 

「正史と違って基本的に無害だよ。何故か行き倒れていることが多いけどね」

 

「あいかわらずACE学園には面白い奴らが多いな」

 

「君のところも負けてないよ。普段はメイドさんのカブトとか生徒会長がその筆頭じゃないか」

 

「前者はともかく後者にはあまり関わりたくない。必ずと言っていいほどトラブルが発生する」

 

「……風都にはまだ知らないことがたくさん有るんですね」

 

「その様子だとまだ毒牙にかかってないみたいだね」

 

「ああ、警戒してるんだが、その兆候がまるでない」

 

 

士樹は、デザートのゼリーをいくつか皿に載せていく。

 

 

「刹那、そこら辺に有るもので雑炊っぽい物を作っておいてくれる? その間に僕はこれを浅倉に食べさせてくる」

 

「分かった」

 

「運ぶのは私に任せてください。刹那さんほどではないですが、力仕事なら割と得意ですので」

 

「任せたよ」

 

「頼む……早く……食い物を……」

 

「はいはい。今から行くよ」

 

 

浅倉が餓死しない内に手を打とうと士樹はゼリーを浅倉の所へと持っていった。

 


 
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