『何処へ行ってしまったんだ!ミス・ヴァリエールはッ!!』
――ミスタ・コルベール!私は此処に居ます――
『ヴァリエール!何処行ったのよ!もう!!』
――――ツ、ツェルプストー!私は此処にいるのよ気づいて!!――――――――――――――
『おぉぉ・・・春の使い魔召喚の儀式でこんな事故が起きるなんて開校して初めての事じゃ・・・ミス・ヴァリエールがこのまま見つからなかったら、公爵にはなんと言ったらいいのじゃろう・・・』
―――――――――――オールド・オスマン!オールド・オスマン!私は此処に居ます!――――――――――――――――
『ゼロのルイズは何処に行ったんだぁ?まぁゼロだから姿もゼロになっちゃったんだろうなぁ~』
―――――――――――――――――わ、私・・・ゼロなんて呼ばれたくない・・・――――――――――――――――――――――――――――――
『姿もゼロ!魔法の才能もゼロ!いい得てるな!ギャハハハハハハッ!』
――――――――――――――――――――――――――一緒じゃないんだ・・・―――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――私が見えてないんだ…――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――私の居場所は其処には無いんだ―――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――いっそこのまま私なんてこの世界から・・・・・・・―――――――――――――――――――――
「嫌ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」
少女が悪夢から目を覚ました。
少女は目を覚まして、自分がベッドで寝ている事に気づいた。
「どうした?大丈夫か!?」
「え…此処どこ・・・私さっきまでサモン・サーヴァントの儀式してて急に爆発して二人が消えて・・・爆発して・・・。」
「まだ、混乱しているようだな。だけど安心じゃ!アンタもアンタのツレの姉ちゃんも身体には異常はないはずだからな!」
話しかけてきた老人は少女を心配している様だが、老人は少女が混乱しているのだと少女が発した言葉の羅列を聞くと判ったのだろうと、少女を安心させる様に言葉を並べていく。
「ツレの姉ちゃんはまだ眠ってるだろうけど大丈夫だろう・・・『あやつりの輪』も外れたし、じきに目が覚めるさ・・・。」
「だ、誰よアナタ・・・それに此処何処なのよ・・・。」
老人が少女に声を掛けて、安心させる様に言っているが、少女は老人の話をあまり聞かずに居て自分が現在思っている言葉をそのまま口にするのが現状で精一杯のようだった。
「ん・・・・・・・・」
「む、静かにするんだ・・・お前さんのツレが目、覚ますぞ・・・。」
女は目が覚めたようだ。
ゆっくりと目を覚まして横たえられていたベッドから身を起こす。
「ここは・・・」
女が目覚めてゆっくりと声を発する。
「ほう・・・『あやつりの輪』が外れたばかりだと言うのに・・・」
「頭が痛い・・・」
老人が声を掛けると女が頭痛がすると言ってベッドから起きてすぐに床に膝間付く様に倒れそうになる。
「無理するな、これは『あやつりの輪』これを着けられればその者の思考は止まり、人の意のままに操られるようになる。」
老人が『あやつりの輪』を手に持ちそう声をかけるも女はまだ気分が優れていない様。
「ちょっと、アナタ大丈夫なの?さっき変な大きい竜に乗っていた人よね・・・?それに此処何処なのよ?トリステイン魔法学院に帰してよ!!」
「何も思い出せない・・・」
「大丈夫。時間が立てば記憶も戻るはずじゃ。」
「ねぇさっきから訳が解らないんだけど・・・?それにちゃんと話聞いてる・・・?」
トリステイン魔法学院にて
サモン・サーヴァントの儀式をしていて
ハルケギニアの地から突如
異世界に来た少女
「私は『ルイズ』ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。歴史有るトリステイン王国ヴァリエール公爵家の三女よ。アナタは一体誰なの?見たところマント着けてるし貴族っぽいんだけど・・・。」
帝国に操られていた
生まれながらに魔導の力を持つ
謎の少女・・・
「私・・・名前は・・・『ティナ』・・・」
「ほう、強い精神力を持っておる。まぁ暫く安静にしときなさい。」
「そう・・・ティナ・・・ね・・・、名前は分かったは。
ねぇお爺さん正直に答えて、此処はハルケギニアの何処なのかしら?」
ルイズは先ほどの会話を聞いて、操られていて記憶に混乱を来たしているティナに現状を聞くより助けてくれた老人の男に話をした方が有利だと思い、老人の方に聞くことにした。
「ハルケギニア・・・?その様な名前は聞いた事がないな・・・それに君には『あやつりの輪』が着けられていた形跡も無かったようじゃし・・・。」
「え!?ハルケギニアを知らないって・・・じゃぁ此処は何処だって言うのよ!?ロバ・アルカリイエだって言うの??、それともエルフが住んでるって言われてるサハラ??ちょっと本当の事を・・・。」
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
◆◆◆
ザッシュ・・・ザッシュ・・・ザッシュ・・・
炭鉱の町ナルシェ、此処は常に吹き荒ぶ吹雪により雪で町全体が覆われている凍土の町。
ナルシェでの生活は炭鉱と呼ばれる石炭を採掘する事のできる鉱山で、主に石炭、類稀に出てくる宝石の原石等で生活をされる事からこの町は『炭鉱の町ナルシェ』と呼ばれる様になっている。
ナルシェに住む者は炭鉱に住み着いているモンスター達とも上手に暮らして行かなくては行けない為、会話が成り立たなくてもモンスター達に餌を与え自分達の言う事をある程度聞いてくれるように躾ける習慣が存在する。
だがモンスターの中にはやはり人間に躾ける事など出来ない獰猛な類のモンスターも多数存在しており、そのような奴等とは意思疎通、ましては会話等不可能であるから退治等を無理にせず、躾ける事の出来た犬型のモンスターによって、獰猛なモンスターの『臭い』等を識別させて炭鉱に住んでる人々の仕事の安全を図ってナルシェでの生活は成り立っている。
ザッシュ・・・ザッシュ・・・バゥッ!・・・ザッシュ・・・・ザッシュ・・・・・・バゥッ!・・・・バゥッッ!!
「此処に居るのか・・・」
「バゥバゥッ!」
犬型のモンスターによってナルシェのガードたる彼等は外部からの敵対者も追跡が可能。
通常の犬等と違って犬型の『モンスター』であるから、その能力たるは追跡能力の他にも戦闘能力も犬よりも優れている。
「よーくやったぞ~。ありがとうな!・・・。
良し、行くぞッ!。」
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
どうやら犬型のモンスター達がターゲットである敵対者を発見したようだ。
ナルシェのガードの一人が敵対者が潜んでいると思われる民家の扉を荒々しく叩いて中に居るであろう敵対者と住人に対して警告を発している。
「ここを開けろ!!。
魔導アーマーに乗っていた娘を出せ!!」
そう彼等は炭鉱の町、ナルシェのガード。
敵対し、住民に被害が及ばす者を許しはしない。
自分達より強く仲間のガード達を屠ったのは承知でも彼等は止まれない。
それこそが自分達が『ガード』たる所以だからだ・・・。
それこそが彼等の仕事だからだ・・・。
◆◆◆
「・・・ちょっと本当の事を・・・・」
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
「「「!!」」」
「ここを開けろ!!。
魔導アーマーに乗っていた娘を出せ!!」
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
荒々しい扉を叩く音は続く。
扉を叩いている者が荒々しく声を中に居る者に発している。
「ここを開けるんだ!」
「娘を出せ!!」
「そいつは帝国の手先なんだぞ!!」
どうやら荒々しく扉を叩いている者達は複数居る模様。
老人は即座に行動を起こそうと扉の方に向かおうとした。
そして不穏な単語を聞いたティナ達が老人の男の方に歩み寄っていった。
「帝国・・・?魔導アーマー・・・?」
「ちょっと・・・また何か起こるって言うの・・・」
不穏に思ったルイズと記憶が混雑しており良く理解できていないティナ。
二人は互いに別々の様々な考えをしている。
(もう嫌・・・本当何なのよ・・・私はみんなと同じように二年の春の使い魔の召喚の儀式で同じ様に義魔法の儀式をしていただけなのに・・・。
平民の変な二人には暴言を言われるわ、その二人はいきなり消えちゃうわ・・・恐いよ・・・恐いよちぃ姉様・・・。)
ルイズはこの場に居ない二人目の姉である『ちぃ姉様』カトレアの事を考えている。
カトレアは常に失敗続きだったルイズにもやさしくしてくれており、使用人ですら小馬鹿にし陰口を叩かれていた自分に対して心から頼る対象にもなっていた。
「とにかく此処を出るんじゃ・・・。
ワシが説明しても奴等は聞かんじゃろう・・・。
こっちじゃ!!」
そう言うと老人は表の扉では無く裏にある扉の方にルイズとティナを連れて行くように即した。
「ねぇ・・・どうするの・・・?」
「話は今は出来ん!!これを持っていけ・・・『エリクサー』と言う万能な秘薬じゃ・・・。
とにかく今は奴等から逃げる事だけを考えるんじゃ・・・。」
老人はルイズに対してそう受け答え、『エリクサー』と呼ばれる万能な秘薬を渡した。
「すみません・・・記憶が混乱していて・・・何が起こっているのか解らない状態なのに・・・。」
ティナが此処までしてくれた老人に対して思うが侭に言葉を発し礼を言うが、老人はとにかく急げとティナとルイズに対して裏口である扉まで連れていき、すぐに事情を話す。」
「裏の炭鉱から逃げれるはず・・・。
此処は、ワシが食い止める!!さぁ、早くッ!!」
老人に即されて裏口から外に連れ出される二人。
ティナもルイズも老人の声量の荒さから察するに現状があまりにも好ましくないと言うのは察して、言われるが侭に扉の外に続いている架け橋を渡ろうと走って行く。
「ハァハァ・・・もう・・・本当なんなのよ!!・・・私は!・・・ハァハァ・・・貴族なのよっ!!・・・ハァハァ・・・。」
「ハァハァ・・・私にも・・・ハァハァ・・・良く解らないわ!・・・ハァハァ・・・。」
二人は走る。
途切れ途切れではあるが会話を多少しなければルイズは不安で心が押しつぶされそうになるし。
ティナは老人が自分達を助けてくれたと言う現状を理解し、その老人に対して心配と感謝と謝罪の念を想いながらも走り続ける。
「ハァハァ・・・急いで!ルイズ!・・・」
「ちょっと!・・・ハァハァ・・・何で呼び捨てなのよ!?・・・ハァハァ・・・。」
走った分幾分か気分が高揚なのかルイズが先ほどとは違い普段からするような強気な態度が出てくる様になってきている。
(なんで・・・貴族の私がこんなに必死に走らなきゃいけないのよ・・・!!
しかもさっき会ったばっかの変な女に呼び捨てにされて呼ばれる様だし・・・ッッ!!)
「あそこに居るぞ!!!」
「「!!?」」
橋の下から屈強なナルシェのガード達が叫んでいる。
(何、何なの・・・恐い恐い恐い恐い怖い恐いコワイこわい怖い怖いコワイコワイコワイ恐い・・・)
ルイズは普段の生活では全く経験した事が無い現状に対して、コワイ・・・。
と、思う事しか出来なくなってきており橋の上で恐怖によって座り込んでしまって居る始末。
対してティナはそんなルイズに激励をして、立ち止まっているより明らかに自分達を追いかけてくるガード達に対して、逃げる事を優先させようと手にとって移動しようとする。
「ルイズ!今はとにかく逃げるのよ!私にも良く分かってないけど逃げなきゃ行けないってのだけは解るわ!!早くッ!」
「えぐっ・・・ひっく・・・・・い゛や゛よ゛・・・もうわ゛げわかんないじ!!!・・・ひっぐっ・・・」
泣きながらもルイズも走る。
ティナに手を繋がれて走る。
屈強なガード達から逃げるように、二人は走る・・・・。
◆◆◆
「ハァハァハァハァ・・・・。」
二人は橋を駆け抜けて、炭鉱の洞窟まできた。
洞窟の中をひたすらに走って、走って、走り続けていく。
「ハァハァ・・・此処まで来たら大丈夫なんじゃないの・・・?ハァハァ・・・。」
公爵令嬢として育ってきたルイズは今まで生まれてきた中でここまで走った事は無かったのかもしれない。
そして走り続けてきた為の疲労感と高揚感が同時に有り、気の抜けたような言葉をティナに対して発している。
「判らない・・・ハァハァ・・・・でもまだ逃げなくちゃ取り合えず町の外までは・・・。」
ティナがルイズに対してそう返答をしていると男達の声が聞こえてくる。
「いたぞ!!!」
「「!!」」
二人は同時に戦慄する・・・。
ルイズに関しては先ほどの高揚感が一気に消えて、今度は今まであった疲労感に足された絶望と言う恐怖が身体中に駆け巡っている。
逃げても逃げてもガード達は追いかけてくる――
ナルシェのガード達は敵対者を決して許さない――
逃げても逃げても逃げても逃げても――
ほら捕まえた――
ガード達に囲まれてしまった二人は洞窟の壁まで追い詰められる。
四方を壁とガード達に囲まれた二人は逃げ道はない。
「イヤァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
ルイズは恐怖の余りに叫びだす。
ティナはルイズを庇って壁際をずっと下がる。
下がれど下がれど、四方は囲まれ逃げ道はない。
――ビシィィッ――
「え・・・?」
――ビシィィッビキッ!――
「ゆ、床が・・・!」
――ドゴォンッ!――
床が抜けてティナとルイズは下に落ちていく。
「キャアアアアアアアアアァァァァァッァ・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・・・・・・・・・・
ドシャッ・・・・
To Be Continued
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2話目です。
短いです・・・
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