No.412672

魔法少女とま☆ラビ(第八話)

月野美夕さん

オリジナルの魔法少女シリーズとして描いてきたイラストの文章化・第八話です。
今回は過去に描いてあったイラストにはないシーンのため、挿絵がないです(^^;)
でも、次回ではそのかわりというワケではありませんが、たぶん挿絵が二枚になりそうな予感。

2012-04-22 20:56:50 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:585   閲覧ユーザー数:555

<魔法少女とま☆ラビ>

 

 

第八話

 

 

大キャぐるみットのしているその様子・三匹の肩車に対してこちらも負けじと肩車を・・・と、意味不明なところで張り合うマヌケなことを言ってた虎次郎に、横から喝を入れるビンタをした’とま’は、すかさず虎次郎を自分の方へ引っ張りながら、ラビと夕子に叫んだ。

 

「あたしと虎次郎が先に行って、上のヤツの気を引くから、ラビちゃん、夕子ちゃん、その間になんとかして!」

 

「えええ~!? そ、そんなこと急に言われたって・・・・・・!」

戸惑うラビに、ジッと考える夕子。だが、のんきにしている時間はなく、そうしている間に大キャぐるみットは早速、

嫌いな歌を歌う天敵とみなしているフーセンアニマルを一匹見つけ出し、危害を加え始めた。

 

先ほどの自分、束の間ではあったが穏やかな気持ちになれた時間を与えてくれたフーセンアニマル。それが攻撃されていく姿を見て、夕子は一気にカッとなり、冷静さを失ったそのまま、ただ真っ直ぐに切り込んでいった。

 

「あっ!夕子ちゃん、待って!」

 

引き止めようと声をかけるラビの声も届かず、夕子はがむしゃらに立ち向かっていってしまい、案の定、夕子は大キャぐるみットの大きな盾により剣撃を受け流され、その瞬間に空いた脇腹から槍で振り払われてしまった。

 

「ちくしょう・・・このネコ野郎!!よくも、よくも・・・!!」

 

誰にも話していないことではあったが、夕子は幼い頃から一人でいることが多い子であり、その寂しさをずっと来る日も来る日も繰り返してきていたのである。

そんな頃、ふとした偶然から幼い頃の夕子は一匹のフーセンアニマルと出会い、心を通わせた経緯を持つ。

そのことから、フーセンアニマルという存在には、ひときわ特別な思いを持っていたのであった。

何度も立ち向かい、切り込んでいく夕子だが、その単調な攻撃に大キャぐるみットは汗することなく受け流しては槍で叩き、受け流しては槍で叩きを繰り返すのだった。

 

「ヤバイ、夕子のやつ相当頭に血が上ってるな・・・あいつは内心、けっこうフーセンアニマルを気に入ってただろうから・・・。」

「でも、あんな感情に任せた単純攻撃、このままじゃ負けちまうぞ!」

「・・・にしても、大キャぐるみットがちょっと手強いのは知ってたが、取り乱しているとはいえあの夕子があんなあっさり・・・こんなにまでだったか??」

 

その様子を見ていた虎次郎が、自分の知っている大キャぐるみットの戦闘力よりも、今目の前にいるそれが明らかに上回っており、まさに異常ともいえる脅威を発揮している様子を見て、ボソッとそう呟いたその次の時。

 

キャぐるみットの二番目、大きな盾と槍を持って攻撃と守備をしていたキャぐるみットの額が赤く輝きだし、そこには

一本のニンジンが浮かび上がってきたのだった。

 

それを見た虎次郎はビックリしながら叫んだ。

 

「あっ!あれは不思議ニンジン!そうか、そういうことだったか!!」

 

’とま’が虎次郎の声に振り返ると、虎次郎は大慌てで皆に呼びかけた。

「おい! 不思議ニンジンがあるぞ! あそこだ、二番目のやつのおでこ!」

「そうだったんだ、不思議ニンジンの力を取り込んでたからだった!だからあいつ、普通のと違ってあんなに戦闘力があるんだな!」

 

「どういうこと?」

「いいか、よく聞け。夕子の持ってるあの剣、さっき見たろ?あれには不思議ニンジンを取り込んであるって言ったよな。」

「だから・・・。」

 

その説明にピーンときたとまは、続けていった。

 

「あ、そういうことかぁ! 不思議ニンジンの力を取り込んであるあいつは、普通のと違ってやたらと強くなった大キャぐるみットになっちゃってるのね!」

 

「そういうこと。それに、俺たちは元々あいつが来た方向へ進もうとしてたろ?つまり結局あいつの所へ行くことになってたんだな。」

 

「それはわかったけど、結局どうやって倒すのよ~~!!」

’とま’と虎次郎、その二人の話の腰を折るように、ラビは虎次郎の話に割り込んできた。

 

「う~~ん・・・たぶんあの大キャぐるみットのやつは、まともに不思議ニンジンの力なんて扱えるハズがないから・・・。」

「たぶんだぞ、あの盾に力を集中してるのが精一杯なんじゃないか? だからさっきから夕子が攻撃を受けてるのに、なかなか致命傷を受けてない・・・。」

 

「とはいえ、徐々にだが夕子のダメージも大きくなってきてる。急がないと・・・!」

 

頭に血が上ったまま、冷静さを欠いた状態で攻撃を仕掛けては返り討ちにあい続けている夕子。

それを見てあせる虎次郎と’とま’。

しかし、そんな状況の中で、ハッとした顔でラビは、あの時聞いた自分の杖の声のことを思い出し、再びそれを求めて、じっと集中を始めていた。

それに気づいた’とま’は、すかさず虎次郎に言う。

 

「虎次郎!とにかくあたし達でまず、夕子ちゃんを落ち着かせましょう!」

「その後のことは、ラビちゃんに任せて!ラビちゃん、頼んだわよ!!」

 

そう言って、’とま’は虎次郎と共に夕子のもとへと向かい、まずは夕子を大キャぐるみットのそばから引き離し、一旦距離を取るように伝えた。

’とま’と虎次郎に腕を引かれながらも、まだ夕子は気が立っている。

 

「離しなさい!あの魔物、許さない・・・絶対に許さないんだから!!」

 

ピシッ!

 

二人が言ってもまったく聞き入れようとしなかった夕子に、虎次郎は頬を叩いて文句を言った。

 

「おい!夕子がそんなんでどうするんだ! お前が冷静になれなかったら、皆全滅しちまうぞ!!」

「そしたら、龍魔を倒して夕霧を救うことなんて永久に出来ないぞ、それでもいいのか?」

「いいか、ラビが今あっちで何かする気だ。だから、お前はそれに合わせて攻撃をするんだ。ただし、さっきやってたような攻撃じゃないぞ、お前も魔法剣攻撃できちんとやるんだ。」

 

「たぶん、ラビは何かの魔法を出す気だろうから、うまくいったらお前と合わせて魔法連携攻撃だな。」

「ラビが動き出すまで、俺ととまが時間を稼いでみるから、お前も呪文を詠唱してタイミングを合わせられるようにしておけ!」

「ってわけで、行くぞ、’とま’!」

 

「まったく・・・勝手に決めるんだから!それより、後で色々と聞きたいことがあるんだから、ちゃんとしてよね!」

と、文句を言いながらもそれしか方法がないことから、’とま’は虎次郎に続いていった。

 

その虎次郎の一連のセリフの中に出ていた内容を聞いていた’とま’は、大キャぐるみットに向かい走り出しながら、

(なに?・・・龍魔? それに夕霧?どういうこと?)

と頭の中で疑問に思いながら、その小さな体を生かして素早く大キャぐるみットの足元にまわり、虎次郎の動きをサポート

するのだった。

 

 

 

 


 
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