No.411996 ストライクウィッチーズBLACK第4話「変身」ヨルムンガンドさん 2012-04-21 18:56:35 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:3749 閲覧ユーザー数:3698 |
これは、先日のとある出来事――
ミーナ
『どういうことですかっ!?本気でそれを仰っているんですか!?』
上官
『もちろんだとも、ヴィルケ中佐。送ってもらった彼の戦闘データを見たが、すばらしいの一言に尽きる…!
アレを我々の手中におさめない手はないだろう』
ミーナと通信で会話している上官の声は、興奮を隠しきれていない
まるで、新しい玩具を自慢する子供のようだった
ミーナ
『…お言葉ですが、それは我々ウィッチだけでは戦力不足ということですか?』
上官
『おや、これは失礼。私はね、ただ憎き怨敵ネウロイを一刻も早く殲滅するための戦力増加を推奨しているだけなのだが、気に触ったのなら謝るとしよう』
全く悪びれた様子もなく、上官が淡々と謝罪の言葉を口にする
ミーナにとってそれは挑発以外の何物でもなかった
上官
『さて…それでは本題に戻るとしよう。とにかく、南光太郎には501でネウロイと戦ってもらうこととなる。これは決まったことなのだよ』
ミーナ
『ですが、彼の意思は…』
上官
『徴兵令…という言葉を知っているかね、ヴィルケ中佐?』
ミーナ
『?…ネウロイが現れて間もない頃に出された、一定の年齢に達した国民を軍に動員させるという東の国の法律……まさか!?』
上官
『なに、彼に不自由な思いはさせんさ。では、南光太郎…いや、南中尉をよろしくたのむよ』
ミーナ
『お待ちください!まだ話は……って、もう切れてる…』
――――早朝、501基地ブリーフィングルーム
ミーナ
「――と、いうわけで。みんなにも昨日ある程度の説明はしたけど、今日から皆さんの仲間となる、南光太郎さんです。
階級は中尉。異世界から来たということもあって、まだこの世界のこともよく分からないでしょうから
皆さん、仲良くしてあげてね」
光太郎
「改めて、南光太郎です!まだ分からないことも多くて、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします!」
光太郎は深々と頭を下げた
ミーナ
「階級証や、必要な書類などはここにありますから」
そう言って、ミーナが光太郎に小さな木箱を手渡す
おそらくはその中に階級証や書類が入っているのだろう…
だが、光太郎にはそれよりも、その木箱の上に置かれている物の方が気になった
それは――拳銃
ピストルマニアではない光太郎には、それがなんと言う名称の拳銃かは分からないが
なんにせよ、光太郎には必要のないものだった
光太郎
「あの…」
ミーナ
「どうかしましたか?」
光太郎は木箱の上の拳銃を手に取る
光太郎
「これは…俺には必要ありません」
そう言って、ミーナに拳銃を返す光太郎をミーナは…
いや、501のメンバー全員が目を丸くして見ている
ミーナ
「…それは何かあった時にあなたの身を守ってくれるものですよ?」
光太郎
「いいえ、これは人が人を殺すためのものです」
化け物になっても、人殺しになるつもりはない
そんな光太郎の聞こえない呟きに応えるように、ミーナが拳銃を受け取る
ミーナ
「分かりました。では…解散!」
ミーナの合図と共に、座っていた隊員たちが起立する
そして、ミーナが部屋を立ち去ると同時に何人かは部屋を出て行く
そんな中、光太郎に近づいてくる影があった
宮藤
「南さん!」
光太郎
「えと…君は芳佳ちゃんだったよね。どうしたんだい?」
芳佳は光太郎の問いには答えず、興奮した様子で光太郎の手をとる
芳佳
「仲間です!!」
光太郎
「え…?何が?」
いきなり仲間宣言された光太郎はわけが分からず、頭に疑問符を浮かべている
そんな光太郎にリーネが助け舟を出した
リーネ
「芳佳ちゃんも501に入ったとき、銃を受け取らずにミーナ中佐に返したんですよ」
芳佳
「はい!だから南さんを見てびっくりしちゃいました」
光太郎
「そうか…そうだったんだ」
ルッキーニ
「ねぇねぇ!そんなことより、ブラックサンの鎧ってどこにおいてるの!?あたしにもあれ着てみたい!」
シャーリー
「悪いな、南…ルッキーニの奴がどうしても着たいって聞かないんだよ。ちょっと貸してやってくれないか?」
いつの間にか、落ち着かない様子のルッキーニと、申し訳なさそうな表情のシャーリーが光太郎の前に立っていた
2人の言葉から察するに、501のメンバーはブラックのリプラスフォーム(強化皮膚)を鎧と勘違いしているようだ
光太郎
「ごめんねルッキーニちゃん。アレは鎧じゃなくて…」
光太郎が呟くのとほぼ同時に基地から警報が鳴り響く
宮藤
「ネウロイ!?」
シャーリー
「おいおい…もう予報は当てにならないな…。出撃だ!行くぞ、ルッキーニ!ほら、南も早く鎧を持って……こ…い…?」
下から円を描くようにしながら右腕を前に構え
右サイドで両腕を力強く構え
溜めた力を解放するかのように、右腕を左斜め上へ突き出し
さらに、素早く左腕を右斜め上へ突き出し
円を描くようにしながら、左腕を左側へ移動させ
両腕を右斜め上方向へ構える
光太郎
「変んん……身ッ!!」
キングストーン周辺の細胞が強烈な閃光と共に変身ベルトの形を創り
ベルト中心部のエナジーリアクターがエネルギーを増幅して全身へと送り込む。
特殊冬眠遺伝子・MBGの活動により、光太郎の身体が奇怪な「バッタ男」の姿へと変わる
更にその上を強化皮膚・リプラスフォームが包み込む
ブラック
「俺は世紀王!ブラックサンッ!!」
宮藤
「う…そ」
ルッキーニ
「ねぇ、いまのどっから出したの!?」
リーネ
「今のって…」
シャーリー
「南、お前……」
その場にいた4人が光太郎の変身を見て絶句する
彼女達は光太郎が何か特殊な鎧のようなものを着て戦っているのだと思い込んでいた
だが…それは大きな間違いだった
血のように赤い瞳はさっきまで彼女たちを写していた光太郎本人の目であり…
黒光りするボディは紛れもなく、光太郎の皮膚なのだ
ブラック
「(気味の悪いものを見せてしまったな…)」
宮藤
「南さん……」
立ち尽くしている光太郎を見て、芳佳が口を開いた
ブラック
「…これは鎧ではないんだ。紛れもない俺自身の肉体なんだよ」
ブラックが俯きながら、拳を握る
その姿は、どこか泣いているようにも見えた――
ブラック
「俺は先に行ってネウロイを倒す!君達はミーナ中佐にそのことを伝えておいてくれ!トオッ!!」
言うが早いか、ブラックは近くの窓から飛び出し、改造人間の超感覚を駆使してネウロイの位置を判断し
シャドームーンを倒し、創生王に近い存在となったことで得た飛行能力を使ってネウロイの元へと向かっていた
シャーリー
「あっ!おい待て南!クッソ…一体何がどうなってるんだ…」
シャーリーの問いに答えられる人物はその場にはいなかった…
ミーナ
「なんですって!?」
シャーリーたちから報告を受けたミーナの声がハンガー内に響く
坂本
「南の奴…勝手なことを」
坂本は呆れながらも、仕方がない奴だといった体で答える
宮藤
「それに…南さん、まるでネウロイの場所が分かっているみたいでした…」
リーネ
「教えてくださいミーナ隊長…南さんは一体…?」
何者なんですか?
聞くだけなら簡単なことだが、リーネには何故かそれがためらわれた
なにかとてつもなく恐ろしいことを知ってしまうような気がして…
ミーナ
「それは私達も気になっていたところなの…今思えば、南さんは私達に自分の力のことを教えてくれなかった…
ゴルゴムと戦うための力と言っていたけど、その力はどうやって得たのか…一度聞いてみる必要があるわね」
バルクホルン
「なんにせよ、今はネウロイの殲滅が最優先事項だ。早く準備を済ませろ」
ミーナ
「そうね…サーニャさん。ネウロイの数と距離は?」
呼びかけられたサーニャが頷
魔道針を立て、ネウロイの位置を探る
サーニャ
「…え…どういうこと…」
魔道針でネウロイを探知していたサーニャから驚愕に満ちた声が漏れる
エイラ
「ナンダ!?どうしたんダ、サーニャ!?」
サーニャ
「…ネウロイの反応…すでにロストしています」
バルクホルン
「なっ…ま、待て!もう一度よく探すんだ!」
聞き捨てならない発言に待ったをかけたバルクホルンに対し
サーニャは冷静な口調で返事をする
サーニャ
「ネウロイが出現していたと思われる位置に、別の巨大なエネルギー反応…おそらく、光太郎さんです」
光太郎が501を飛び出して、約15分
移動の時間を抜けば、光太郎が戦闘を行った時間は5分足らず
その5分で…世界の常識が打ち砕かれた
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ゴルゴムとの戦いを終え、放浪の旅に出た南光太郎
そんな彼を待っていたのは、ネウロイとの戦いだった
1人ぼっちの英雄は、その心の傷を癒すことが出来るのか!?
仮面ライダーBLACK×ストライクウィッチーズです