No.411144

ストライクウィッチーズBLACK第3話「夢」

ゴルゴムとの戦いを終え、放浪の旅に出た南光太郎
そんな彼を待っていたのは、ネウロイとの戦いだった
1人ぼっちの英雄は、その心の傷を癒すことが出来るのか!?
仮面ライダーBLACK×ストライクウィッチーズです

2012-04-19 22:28:14 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:4039   閲覧ユーザー数:4007

たくさんのものを見てきた…

 

俺を本当の子供のように育ててくれた父さんの死

 

我が身かわいさに子供を襲った大人たち

 

子供よりも賞金の掛かった虫を優先した親

 

純粋さを失わない子供達

 

自分の危険を顧みずに俺を救ってくれた怪人

 

そして…月の世紀王と成り果てた親友

 

 

 

あれから、毎晩同じ夢を見る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光太郎

「それにしても…ウィッチにネウロイ…今日は本当に色々なことが起きたな」

 

明日からは、また戦いの日々がやってくる

ならば、今日はゆっくりと休んだほうがいいだろう

光太郎は静かに眼を閉じた

 

 

―――コンコン

 

 

光太郎

「ん?こんな時間に一体誰だろう…?開いてるよ」

 

ドアノブがゆっくりと回り、人影が光太郎の部屋に入ってくる

窓から差し込む月の光で、人影の正体が顕わとなる

 

信彦

「…光太郎」

 

光太郎

「信彦!?」

 

信彦

「……そうだよ、ボクだよ…。会いたかったよ、光太郎…」

 

光太郎

「本当に…本当に信彦なんだな…!よかった…!生きていたのか」

 

光太郎はベッドから跳ね起きて、信彦の下へ駆け寄る

その瞳からは止め処なく涙があふれていた

 

信彦

「…ウッ…た、助けてくれ…!痛い…!助けてくれ光太郎!!」

 

不意に信彦が膝を折り、その場にへたれ込む

その瞳からは、腕からは、足からは、首からは、赤い血が流れ落ちている

やがて血は信彦の体を包み込み、その姿を醜く変える

 

シャドームーン

「…夢の中へなら逃げられるとでも思ったのか!ブラックサン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

光太郎

「やめろぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおぉぉぉぉおおおお!!!」

 

今度こそ、光太郎は本当にベッドから飛び起きる

そして、自分がミーナ中佐から待機するように命じられていた、何の変哲もない部屋を見渡す

そこに、信彦の姿はない…

 

光太郎

「またか…また、あの夢を…!クソッ…!…俺はいつまで…!」

 

あれから、毎晩同じ夢を見る

登場人物は、自分と信彦、偶に杏子や克美が出てくることもある

だが、最後には必ずみんないなくなってしまう

光太郎は、そんな夢をずっと見続けていた

 

光太郎

「(俺は一体、いつからこんなに弱くなってしまったんだ…)」

 

光太郎は外の空気を吸うために、一度部屋を出ようと思い

ドアの方へと視線を向けた

 

 

 

 

――そこに、一人の少女が立っていた

 

 

 

 

サーニャ

「あの…大丈夫…ですか?夜間哨戒から帰ってきたら悲鳴が聞こえて、びっくりして…それで…」

 

光太郎はすっと血の気が引くのを感じた

今まで、誰にも見られなかった…見せることの出来なかった弱い自分

それを、明日から共に戦うことになる少女に見つかってしまった…

 

 

仮面ライダーは常に強くあり続けなければならない

 

 

そんな強迫観念にも近い思いが、光太郎の胸を締め付けていた

実際、光太郎がシャドームーンに破れ、命を落とした時

人はとてつもなく弱くなった

裏切り、奪い、殺す…それが当たり前となってしまった

さらには、『ゴルゴム親衛隊』などという正気を疑う集団まで出てきた

 

光太郎

「(それも全て…俺の心が弱かったことが責任だ…ならば、俺は常に強くあり続けなければならない)」

 

サーニャ

「あの…」

 

光太郎

「あ、ああ…心配をかけちゃってごめんね。俺は大丈夫だよ」

 

見られたくはなかった…

だが見られてしまった以上、変に誤魔化しては余計に不自然だ

顔を無理やり笑みの形に歪め、光太郎は声を返した

 

サーニャ

「あの…少しお話をしませんか?」

 

光太郎

「えっ?」

 

光太郎としては早いところ会話を終了させたかったが

どうやら目の前の少女はそうではなかったようだ

 

 

 

 

 

 

 

サーニャ

「光太郎さん、501に入ることしたんですね」

 

光太郎

「ああ…いつまでも考えていても仕方がないからね。今、俺に出来ることは何だろうと…出来ることをやってみようと思ったんだ」

 

サーニャ

「…すごいですね、光太郎さんは…」

 

光太郎

「俺はちっともすごくなんかないさ…俺にしてみれば、君達のほうがよっぽどすごいよ」

 

自分が戦えるのは、全ての元凶となった石ころが埋め込まれているからであり

ウィッチ達のように、自分が本来持っている力ではないのだから…

 

光太郎のそんな考えを見抜くかのように、今度はサーニャが言葉を返す

 

サーニャ

「ううん…光太郎さんはすごいですよ。私達もミーナ隊長から聞いたんです…ゴルゴムのこと…

光太郎さんは、たった一人でゴルゴムと戦っていたんですよね?」

 

光太郎

「そんなことはないさ。俺にだって共にゴルゴムと戦う仲間達がいたよ」

 

仲間達がいた…そう、『いる』のではなく、『いた』

全ては過去の話だ

今となっては、共にゴルゴムを脱出したバトルホッパーも、光太郎を支えてくれた杏子や克美も、生命のエキスで救ってくれたクジラ怪人もいない

 

光太郎

「…サーニャちゃん」

 

サーニャ

「はい?」

 

光太郎

「自分勝手な頼みで悪いけど…今夜見たものは忘れてくれないか?」

 

サーニャ

「…分かりました。何か辛いことがあったんですよね…」

 

光太郎

「ありがとう…。君は優しいな」

 

光太郎はサーニャに笑みを向ける

今度は先ほどの作り笑いではない、心からの笑顔だ

 

サーニャ

「っ…///し、失礼しますっ!」

 

サーニャは光太郎の部屋を、らしくない走り方で出て行く

その頬が赤く染まっていたのは、気のせいだったのか…?

 

光太郎

「(俺は…もっともっと強くなるぞ、信彦…!だから、どこか遠い所から俺の事を見ていてくれ!)」

 

 

もちろんだ、兄弟。ボクはいつでもここからお前の事を見守っているぞ…

 

 

 

 

 

 

 


 
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