数年後、少年は青年になった。
当時に比べ風間ファミリーにも新しい仲間が増え、さらに順風した生活を送ることとなった青年だったが、少しだけ心残りがあった。
それは少年時代に遊んだ小雪のことである。
小雪とは、それほど遊んではいなかったが自分を含め当時の風間ファミリーは仲間だと思ってはいた。しかし、ある日を境にまったく現れなかった。幼なかった風間ファミリーにはその理由を知るすべはなく、ただ消えてしまった仲間と認識していた。
「今頃……ユキは何してるかな?」
ふいに青年は小雪を思い出す。
短い時間だったが、いつしか彼にとって小雪は初恋の相手感覚になっていた。もちろん『感覚』だけで恋愛感情とは違う。だけどそれに近い感じではあった。
「やまーと!」
声がした。それは懐かしい声。
「……ユキ?」
幻聴かと思うが。
「大和っ! やまーと!」
声は何度も自分を呼び、それは幻聴ではないと確信させる。
二人の青年と一人の女性いた。
その女性側は満面の笑みで言った。
「また、会えたね大和♪」
その笑顔は、青年の心に何を突き刺した。
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これはある青年の断片話。