No.409834

魔法少女リリカルなのはStrikerS00(仮)--03 決意--

ケイさん

再び魔法少女の世界へ降り立ったガンダムマイスター刹那・F・セイエイ。イノベイターへと変革した刹那に訪れる再会と新たなる出会い。魔法少女リリカルなのはA's00~とある日常~(仮)の設定を踏まえたクロスオーバー作品です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。

2012-04-17 00:37:14 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:15483   閲覧ユーザー数:14282

導入部三話目。

--決意--

 

光を感じ、目を開けると見慣れない天井だった。

自分は森の中にいたはず。

首だけを動かし辺りを見渡す。

窓からは暗闇しか見えない。夜のようだ。

白い壁に清潔感漂う空気と独特の匂い。

身につけているのは、制服ではなく患者が着るやや薄い青い色の服。

自分は病室のベッドの上だと直ぐに理解した。

上半身を起こすと少し痛みが走ったが、問題はなさそうだ。

……いや、ある意味問題があるのだが。

「何故だ?」

独り言は室内に虚しく響くだけだった。

 

 

「ガンダムエクシア、刹那・F・セイエイ。未来を切り拓く!」

「人間風情が!」

連邦政府、アロウズを裏から操り、神の如く人類を支配しようとするイノベイター。

O(オー)ガンダムを駆るリボンズ・アルマークとの最後の戦い。

ビームサーベルを構えた0(オー)ガンダムと、GNソード改を構えた自分の駆るエクシアが正面から激突する。

互いの武器が機体を刺し貫き、爆発を起こす。

そこで、一度気を失った。

 

気がつけば森の中で仰向けに倒れていた。

「ここは……っ!」

体を起こそうとすると、全身に痛みが走った。

《気がつきましたか?》

「誰だ!?」

突然、女性の声が聞こえてきた。

すぐさま体を起こし、警戒態勢をとる。

痛みなど気にしていられない。

もし、自分の敵だったら……しかし、その心配は霧散した。

《私の声を忘れてしまったのですか?》

「なに?」

《マスターのガンダム。エクシアです》

「エクシア……だと?」

《はい》

「待て、それが本当なら……ここは」

《ミッドチルダ……魔法が存在する世界といえばよろしいですか?》

「……馬鹿な!」

《事実です。マスターの胸元とご自分の姿を確認してください》

「胸元?」

視線を下げると、そこには翡翠の宝石のネックレス。

そして、パイロットスーツを着ていたはずの自分の姿は、青と白を基調とした【ソレスタルビーイング】の制服。

宝石を手に取り呟く。

「デバイスになった……ガンダムエクシア」

《その通りです》

「何故、俺はまた……」

《思慮しているところ申し訳ありませんが、アンノウンが接近しています》

「なに?」

《数は十》

「敵か?」

辺りを見回す。

暫くすると、カプセルの様な形をした機械が現れた。

「なんだ、コイツは」

《生体反応はありません。自律行動が可能な兵器でしょうか》

「そんなものが何故こんなところに……」

《来ます!》

エクシアが警告すると、青い閃光が一筋放たれる。

「くっ!」

咄嗟に左に飛び、何とか回避する。

《魔力による攻撃ではありません》

「つまり……」

当たれば、只では済まないということ。

どうする?

《何を迷っているのですか?マスターは戦う術を知っているはずですよ》

「……エクシア」

《セットアップ》

光に包まれエクシアの装甲に似た鎧を纏う。

そこで違和感を感じた。

《現在使用可能な武装は、両腰のGNビームサーベル二本のみです。また、GNドライヴ(太陽炉)に不具合があります。あまり無理はしないでください》

「不具合?それは……」

《いずれ説明します。今は……》

「……了解。エクシア、補助を頼む」

《お任せを》

 

両腰のマウントラッチが半回転し、ビームサーベルの柄が前方に向く。

左右の柄を握り締め、ラッチから引き抜き、光輝く刀身を出現させる。

無人機の群れに飛び込みビームサーベルを振るう。

二体の無人機を切り裂き瞬時に沈黙させる。

刹那の敵対行動に、無人機は散開し攻撃を開始する。

無人機の攻撃をビームサーベルの刀身で弾き、再び無人機に肉薄しビームサーベルを振るい、三体の無人機を撃破する。

「さっきから何だ?……手応えが」

《どうやら、バリアの様なものが展開されたようです。今の状態でも問題なさそうですが、もう少し出力を上げます》

「頼む」

無人機の攻撃を回避しながら、距離を詰めて二体切り裂く。

(残り三体……くっ、体が……だが!)

と、無人機が反転し逃走を開始する。

「逃がすか!」

激痛の走る体を無理して動かし、無人機を追いかけると少し開けた場所に出た。

無人機の動きが一瞬止まったのを見逃さず、加速しその勢いのまま無人機にビームサーベルを突き刺す。

残りの一体が振り向くが、攻撃態勢に入る前に距離を詰める。

「これで!」

擦れ違い様に十字切り裂く。

直後、背後で爆発音が響く。

「はぁ……はぁ……っ!」

《マスター!》

全身の力が抜け、急速に意識が遠のいていく。

倒れる。

そう思ったところで、意識が途絶えた。

 

 

「あの無人機はいったい……それに、何故ここ(・・)に来てしまった」

独り言は再び虚しく響く。

と、カラっと軽い音と共にドアが開いた。

「あら、気がついたのね」

白衣を来た女性が入ってきて、近づいてくる。

「意識はしっかりしているみたいね?」

「ああ、大丈夫だ。あんたは?」

「あなたの主治医よ」

そう言うと、どこかに連絡を入れ始めた。

「……ええ、気がつきました。意識もしっかりしていますからもう大丈夫です。……ええ、それでは」

様子を窺っていると、こちらを振り向いた。

「ちょっと、待っててね」

「……一つ聞きたい」

「何かしら?」

「俺は森の中にいたはずだ。誰がここに運んだ?」

「それは、これから来る人達に聞くといいわ」

 

暫くすると、バタバタと足音が聞こえてきた。

「あらあら、病院内を走るなんて」

と、主治医の女性が頬に手を当てて呟いている。

ガラっと勢いよくドアが開く。

「刹那!」

「刹那君!」

女性が二人、自分の名前を呼びながら飛び込んでくる。

「俺を……!?」

金髪の女性にいきなり抱きつかれ、体勢が崩れそうになるのをベッドに片手をついて堪える。

「お、おい。離れてくれ」

「あ、ごめん」

金髪の女性は目尻の涙を指で拭いながら離れる。

よく見ると、もう片方の女性。栗色の髪をした女性も目尻に涙を溜めている。

「十年ぶりだね。刹那」

「また会えて嬉しいよ」

「何故、俺の名前を知っている?初対面の筈だ」

「え?」

「私達のこと、覚えていないの?」

「なに?」

「私達は、一日も忘れた日はなかったよ?」

「……」

こちらで自分の名前を知っている人間。

金髪と栗色の髪の女性。

自分の知る二人の少女が、目の前の女性に重なる。

「ま、まさか……」

「思い出してくれた?」

「フェイト、なのは……?」

「うん。刹那君」

「ば、馬鹿な。あれから……」

「馬鹿って酷くない?あれから、もう十年だよ?私達だってもう大人だよ」

「待て、十年だと?」

「そうだよ?」

「刹那?」

 

ベッドの傍に椅子を二つ置き、フェイトとなのはが座る。

主治医と名乗った女性には、暫く席を外してもらった。

「あれから、十年……か。なのはは教導官。フェイトは執務官になった……と」

「うん」

「……」

「刹那……どうかしたの?」

「……俺が元の世界で過ごしたのは三年程だ」

「三年!?」

「ああ。だが、こちらでは十年経っていた」

「だから、私達のことが分からなかったんだね」

「……何が起きたのかは分からないが、事実として受け止めるしかないか」

軽く息を吐く。

「俺は森の中にいたはずだが?」

「私達がここに運んだんだよ」

「二人が?」

「うん。はやてちゃんに頼まれて調査に行ったら、刹那君が居たんだ」

「そうか。……俺が倒した無人機は?」

「それは……ごめん。今は、説明出来ない」

「いや、いい。俺がここに運ばれてどれくらい経った?」

「まだ一時間ちょっと」

「……エクシアは何処だ?」

「私が預かっているよ」

なのはが上着のポケットから翡翠の宝石を取り出す。

《お気づきになりましたか。マスター》

「エクシア」

「刹那君には申し訳ないんだけど、エクシアは暫く私が預からせてもらうね」

「何故だ?」

なのはとフェイトが少し悲しい表情を見せる。

「刹那君は次元漂流者だから、デバイスの所持は認められていないの」

「……」

「ごめんね」

「いや。……なのは」

「なに?」

「少しだけ、エクシアと話をさせてくれ」

「……」

「頼む」

「いいよ」

なのはを真っ直ぐ見ながら頼むと、俺にエクシア渡してくれた。

 

エクシアに念話で語りかける。

(エクシア、聞きたいことがある。今のお前の状態はどうなんだ?)

(……リボンズ・アルマークとの戦いで機体はかなりのダメージを負いました。右腕はGNソード諸共大破。太陽炉の損傷もかなり酷いです)

(ならば、何故起動できた?)

(こちらの世界に飛ばされた直後に自分の状態を確認。太陽炉の修復が第一と判断し、自己修復にて最低限の回復に努めました)

(自己修復?……以前は、そんな機能はなかったはず)

(本来、この世界で優秀なデバイスマイスターによって作りだされたデバイスは、自己修復機能を持っています。軽微な損傷は自己修復で直ります)

(以前、なかったのは?)

(私は本来デバイスではありません。こちらに来て、デバイスになってしまった(・・・・・・・)存在です)

(そうだったな)

(これは私の推測ですが、おそらく第四世代の技術で修復されたことで付加されたのではないかと思われます)

(太陽炉の完全修復は可能か?)

(自己修復ではおそらく不可能です。ある程度までは直せますが、時間がかかります。きちんとした設備で修復作業をするのが一番です)

(……GNソードの修復は?)

(それは可能です。今は、太陽炉の修復を最優先させていますが……GNソードの修復を優先しますか?)

(いや、太陽炉の修復をそのまま続けてくれ)

(了解しました)

(なのはにお前を預けるが、くれぐれも……)

(わかっています。しかし、このまま持ち逃げも出来るのに……信用しているのですね)

(信用しているは確かだが、持ち逃げは無理だな。体にまだ痛みがあるし、二人の実力は知っているだろう?)

(……確かに)

 

エクシアとの念話をやめ、なのはの方を向く。

「もう、いいの?」

「ああ。必要なことは聞いたしな」

「差し支えなければ、内容を聞いても?」

フェイトが管理局員としての顔で聞く。

「……どうしてもというなら、実力行使をするが?」

エクシアを掲げて言う。

もちろん、冗談だ。

それにエクシアに言ったとおり、この二人には勝てる気がしない。

「……」

フェイトは苦笑して、肩を竦めた。

「なのは、エクシアを頼む。ただ……」

「分かってるよ。エクシアは解析しない。誓うよ」

「私も」

しっかりと、こちらを見据えて二人が誓いを立てる。

「すまない。そうしてもらえると助かる」

「うん」

「なのは、今日はこのくらいで」

「そうだね」

そう言うと、二人とも席を立つ。

「また来るね。刹那」

「刹那君は怪我人だから、暫くは無理しないで休んでね」

「ああ」

《マスター。また後ほど》

二人が病室から出たのを確認して、横になろうとした時だったドア越しに声が聞こえる。

「高町教導官にフェイト執務官。お二人とも大人なんですし、立場も立場なんですから、病院の廊下を走っては駄目ですよ」

「「ごめんなさい」」

……先程のことで怒られていた。

 

 

五日後。

午前中に検査を終えて、体に異常がないと判明し、午後に退院することになった。

病室にはその知らせを受けたなのはとフェイトが姿を見せた。

聞けば二人とも仕事が忙しい立場らしいが、次元漂流者の保護者という理由でこちらに来たそうだ。

「はい。これ、あなたが着ていた服ね。ちゃんと洗濯しておいてあるから」

主治医の女性はそう言って病室から出ていく。

【ソレスタルビーイング】の制服を受け取り、着替えようと思ったが。

「……」

「どうかした?刹那」

「着替えたいんだが?」

「あ、そうだよね。私達が居たら着替えられないよね」

なのはとフェイトは慌てて病室を出ていく。

ドアが閉まったのを確認して着替える。

「……退院はいいが、どこへ行けばいいんだろうな」

着替えながら疑問を口にしても、答える者はいなかった。

 

着替えを終えて廊下に出る。

「待たせた」

「あら、似合っているわね」

「うんうん」

主治医の言葉に頷くなのは。

「……」

「どうした、フェイト?」

「な、何でもないよ」

両手をパタパタ振って、答えるフェイト。

「そうか。……世話になったな、センセイ」

「検査では異常は出なかったけど、一応暫くは無理しないようにね」

「ああ」

「それじゃあ、私は仕事があるからここで」

「ありがとうございました」

なのはとフェイトが立ち去る女性に頭に下げる。

「さ、私達も行こうか」

「どこへ行くんだ?」

「地上本部だよ」

「地上本部……管理局か?」

「そう」

前を歩く二人の後をついて行くと駐車場に着き、一台の車の前で立ち止まる。

「この車は?」

「私のだよ」

「なのはの?」

「うん。さ、乗って」

「ああ」

ドアを開け、後部座席に座わる。フェイトは助手席に座る。

 

車を運転するなのはに話しかける。

「本当に運転できるんだな。なのは」

「あ、信用してなかった?」

「そうではないが……」

少し悲しそうな声で返事が返ってきたため、些か悪い気になる。

「にゃはは、冗談だよ。フェイトちゃんも免許持ってるよ」

「そうなのか?」

「うん。刹那は?」

「運転できる」

「こっちでも運転できるように免許とってみる?」

「……考えておこう」

 

外の景色を見ながら、疑問を口にする。

「地上本部とやらに行ってどうすんだ?」

「刹那の今後について話し合うんだよ」

「俺の?」

「うん」

「刹那君は次元漂流者だからね」

それもそうだなと納得する。

 

病室からも見えていた巨大な建物に辿り着く。

「ここが……」

「そう、管理局の地上本部」

「ここの会議室を一部屋借りているんだ。こっちだよ」

「ああ」

二人の後をついて行くが、途中すれ違う人間の視線が少し気になった。

この格好では仕方がないか。

「「失礼します」」

「待っとったよ」

部屋に入ると、茶色の髪の女性と黒髪の男性が席から立ち上がり迎え入れる。

「久しぶりやね、刹那君。私のこと覚えてる?八神はやてや」

「はやて……歩けるようになったのか?」

「そうやよ」

「久しぶりだな、刹那。元気そうでなによりだ」

「もしかして、クロノか?」

「ああ」

はやてとクロノに挨拶を済ませると、小さな少女(?)が飛んできた。

「初めまして、刹那・F・セイエイさん。リインフォース(ツヴァイ)です」

「……リイン、フォース?」

自分の記憶が正しければ、大人の女性の姿をしていたはず。

「……はやて?」

「まぁ、そういう反応になるよね。この子は、リインフォース(ツヴァイ)初代(アインス)の想いを受け継いだ。私の新しい家族や」

「想いを受け継いだ……では、リインフォースは……」

「空に……還ったよ」

少し悲しい顔を見せるはやてに、そうか、としか言えなかった。

「挨拶も終わったことやし、ささ座って座って」

「ああ」

 

各々自由に席に着く。

内容は、俺の身の振り方だ。

「さて、刹那。君は次元漂流者でデバイス所有者だ。ここまではいいか?」

「ああ。そして、次元漂流者というのはデバイスの所持を認められていない、だったな」

「その通りだ」

クロノに確認するように、なのはから聞いたことを言う。

「だが、俺は前回……十年前は所持を許されていたが?」

「あれは君が地球に着いたこと、結果的にジュエルシード事件の解決に関わったことで、僕達アースラスタッフ内に留めておいたからだ」

クロノの話を聞いて、自分としては助かったとは思うが、組織の人間としてそれはいいのかと思ってしまう。

だが、大事なのは今だ。

「それで、俺はどうしたらいい?」

「デバイスの所有許可は、管理局員になるか、嘱託魔導師になるか、ミッドでの永住権を取得し管理局に申請するかのいずれかです」

リインフォースがクロノの言葉引き継ぐ形で答える。

「せやけど、刹那君は管理局に入るつもりはないんやろ?」

「ああ」

「あとはミッドでの永住権だが、これは時間が掛かるし、一時的に身柄が管理局預かりになる。これも君は望まないだろう?」

「……そうだな」

では、どうする?

なのは達は信用できるが、エクシアが他の者の手に渡れば解析され、最悪争いの火種になりかねない。

「回りくどい言い方は、やはり良くないな。単刀直入に言おう」

「なんだ?」

「二ヶ月後に機動六課と呼ばれる部隊が正式に活動を開始する。君にはその部隊に参加して欲しい」

「お兄ちゃん!?」

「クロノ君、本気?」

フェイトとなのはが声を上げる。

はやては表情を崩さないところをみると、事前にクロノと打ち合わせていたようだ。

「ん?……おにいちゃん?」

「あっ」

「フェイトは君が元の世界に帰ったあと、ハラオウン家の養子になった」

「……そう言えば、そんな話があったな」

「だから、今の私はフェイト・(テスタロッサ)・ハラオウンだよ」

「そうか」

「でも、今まで通りフェイトって呼んでくれる?」

「……ああ。わかった」

「ありがとう。刹那」

何故、礼を言うのか分からないが嬉しいようだ。満面の笑みを浮かべている。

「話が逸れた。機動六課……だったな。詳しく聞かせてもらえるか?」

クロノが頷き話を続ける。

「機動六課は四年前にミッドで起きた空港火災を機に、はやてが思い描いた新設部隊だ。ロストロギアの密輸や闇取引の対応や対策、それを専門とした部隊だが、試験運用のため活動期間は一年となる」

「ロストロギア専門……」

なのはとフェイトは、はやてからの調査依頼で森に向かい、そこで俺を発見した。

「もしかして、俺が森で……」

「【ガジェットドローンと】呼んでいる。特定のロストロギアに反応にして、それを回収しようとする」

「ガジェット」

「機動六課の敵とも言えるが、話を続けよう。部隊には部隊長であるはやて。ヴォルケンリッター。なのはとフェイトも参加する」

「随分な部隊だな。それだけの者達が参加する部隊なら、サポートもかなり優秀な奴らが揃っているのではないか?」

「まぁ、十分時間を掛けて人材集めをしたかんな~、みんな優秀だよ」

はやてがニコニコしながら答える。

「ならば、俺が参加するまでもないのではないか?」

「少数精鋭ではあるが、FW(フォワード)は新人のため、戦闘は少々心許ない。だから、君には遊撃要因、隊長陣の補佐として参加して欲しい」

「確かに実戦経験が少ない人間が、あの無人機を相手にするのは辛いかもしれないな……隊長は?」

「スターズ分隊はなのは。ライトニング分隊はフェイトだ」

「二人が隊長か」

「スターズ分隊の副隊長はヴィータ。ライトニング分隊の副隊長はシグナムだ」

「その二人が副隊長なら補佐は要らないだろう?」

「そうとも言えない。なのはは教導官だから、FWを常に鍛えながら前線に出れるが、フェイトは執務官の仕事もあるし、シグナム達も最初の頃は隊に居ないことが多いだろう」

「そこで、俺が必要……と?」

「そうだ」

クロノの話は理解できたが、やはり少々無理なこじつけな気がする。

それに、いくら新人が参加するといってもなのは達ならばあの無人機など造作もない相手だ。

まだ、何かあるのか?……別の敵対者がいるのか?だとすれば、今の俺とエクシアでは……。

 

「君が民間協力者として参加してくれれば、エクシアは返すし、あとは僕の方で根回しはしておく。どうだ?」

「よく言う」

厳しい表情でクロノを見据える。

その様子を見たなのはとフェイトが若干緊張した顔をする。

「俺は管理局に入る気はない。だが、エクシアを取り上げられるわけにはいかない。そして、お前の言う機動六課への参加。選択肢などない」

「ふ、流石に気づいたか。それで?」

「一つ聞きたい」

「なんだ?」

「俺はこの世界……お前達風に言うなら、この次元の海に存在する世界の出身者ではない」

「……そうだな」

「何らかの要因で、再び元の世界に帰るかもしれない。部隊の期間中、もしくは部隊解散後か。それでも俺の力を必要とするのか?居なくなるかもしれない人間をあてにするのか?」

「……」

全員が黙る。

そうだ、それは絶対ないとは言い切れないのだ。

前回は、時間移動能力を行う者の力を借りて自らの意思で帰った。

だが、こちら側へ来る際は自分の意志とは無関係だった。

それが、帰りにも起こりえる可能性はある。

だが、俺が聞きたい答え(・・・・・・)は力云々のことではない。

暫く沈黙が続いたが、それを破ったのはフェイトだった。

「その時は……」

「?」

「その時は、笑顔で見送るよ」

「フェイト?」

「刹那に迷惑はかけない。絶対に」

「……」

こちらをしっかり見据える。

多少、瞳が揺らいでいるが決意が見える。

「クロノ」

「何だ?」

「お前の話、受けよう」

「ありがとう」

クロノとはやてが頭を下げ、なのはとフェイトは安堵の顔をする。

「ただ、条件をつけさせてくれ」

「言ってくれ、極力君の要望に答えよう」

「前線の出る以上、今のエクシアの状態ではかなり無理がある。修理を頼みたい。ただし、機動六課活動中も修理には必ず俺の立会で行うこと。戦闘に関しては俺の独自判断で動けること。この二つだ」

「……わかった。いいか?はやて」

「私は構わないよ。隊長の二人は?」

「私も特にはないかな」

「私も。刹那君が参加してくれるなら心強いし」

「決まりだな」

「ああ」

「では」

クロノが立ち上がると、三人も立ち上がる。

「刹那・F・セイエイ。君の協力に感謝する。よろしく頼む」

クロノ達が軍隊の敬礼をする。

それを見て苦笑してしまう。

「俺は軍人ではない。敬礼は要らない。よろしく頼む」

「刹那君」

「なんだ?」

「はい」

なのはが翡翠の宝石を取り出し、それを受け取る。

「エクシア」

《お久しぶりです。マスター》

「話は聞いていたな?」

《はい》

「これからお前の力が必要になる」

《どこまでもお供します。私は、マスターのガンダムですから》

「ああ」

【ガンダムマイスター】の異世界での戦いが再び始まる。

読了おつかれさまでした。


 
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