戻って来たフィリップは士の状態を診察した。
士の話だと、夏海達のことを忘れただけでなく、自分の名前さえ思い出せないらしい。
「典型的な記憶喪失だ。」
フィリップの出した結果は、そうだった。
「そんな、士くんが…また……」
「また?またってどういうことですか?」
なのはが尋ねる。
「士くんは、前にも記憶喪失になってるんです。それが私達が旅を始めた理由なんですけど…でも今の士くんは、あの時よりもっと状況がひどいです。自分の名前も思い出せないなんて……」
悲しむ夏海。と、そこに白いギターを持った一人の男がやって来た。
「やれやれ、やっと戻ってこれた…って士!?士じゃないか!」
男は士に駆け寄る。
「心配したんだぞ!今までどこ行ってたんだ!」
「…誰だ?」
「いや誰だって、ひどいな!俺だよ!早川だ!」
「…だから誰だ?」
「おいおい、確かに俺達は数週間くらい会ってないけど、顔まで忘れるか普通?」
「早川さん。そうじゃないんです」
夏海は早川と名乗った男に話しかけた。
「そうじゃないって、どういう意味だよ夏海ちゃん?」
「実は…」
夏海は早川に士が記憶喪失に陥っていることを話した。
「本当…なのか?」
早川は、信じられないといった顔をしていた。
らちがあかないので、フェイトが尋ねる。
「あの、この人は?」
夏海とユウスケが紹介する。
「私達と一緒に旅をしている早川健さんです。快傑ズバットに変身します」
「ライダーじゃないけど、大切な仲間だ。」
「早川健です。よろしく」
早川はおじぎをした。
ダンテが呆れる。
「おいおい、そんなわけのわかんねぇ奴までいんのかよ。この世界には」
「俺達も充分わけがわからんと思うがな。」
バージルがさりげなくツッコんだ。
照井は二人を無視し、夏海達に尋ねる。
「しかしどうする?せっかく戻って来ても記憶喪失では、どうにもならんぞ。」
そこへ、
「やっほー!元気してる?」
小さなコウモリが飛んで来た。
彼女の名はキバーラ。夏海に力を与え、仮面ライダーキバーラに変身させるモンスターである。
「あら?士じゃない。戻って来たんだ?」
夏海はキバーラにも士が記憶喪失に陥っていることを話す。
「じゃあ、士に深い関わりのあるものとかを見せたらいいんじゃない?そうすればもしかしたら…」
海東が閃く。
「そうだ!あれだよ!あれを見せればいい!ディケイドライバーとライドブッカー。士にとって一番関わりがあるものじゃないか!」
「そうか!夏海ちゃん!」
「はい!」
夏海はユウスケに言われ、ディケイドライバーとライドブッカーを取って来て士に見せた。
「…何だこりゃ?」
しかし、士の記憶は戻らなかった。
「だったらこれだ!」
早川は懐からある物を取り出した。
それはスーパーショッカーを倒したあと、みんなで撮った写真。そこには、どこまでも続いていく道が描かれた背景ロールをバックに、それぞれポーズを取りながら微笑む士達が写っていた。
しかし、
「…悪い。思い出せない」
士の記憶は戻らなかった。
その後、夏海達は仮面ライダーのことを説明したり、仮面ライダーに変身してみせたりもしたが、士は何も思い出さなかった。
亜樹子は唸る。
「これは、重症ね…」
はやてが思案する。
「他に記憶喪失を治す方法ってあらへんかなぁ?」
「ショック療法、とか…?」
フェイトが言った瞬間、
「じゃあこれが一番ね!」
レディがミサイルランチャーを取り出して士に向けた。
「だめだよレディちゃん!」
なのはが慌てて止める。
と、
「そうだぜ。こういうのは、私に任せな!」
ヴィータが鉄槌型デバイス、グラーフアイゼンを起動させ、
「うおらぁっ!!」
ガンッ!!
士の頭を殴った。
「ぐあっ!!」
士は吹き飛ばされた。
「どうだ?なんか思い出したか?」
「…痛いばっかでなんも思い出さねぇよ!」
士は頭を抑えながら抗議した。
「やっぱりこれで…」
レディはなのはを押し退け、再びミサイルランチャーを構える。
それをトリッシュが止めた。
「やめなさいよ。そんなの撃ったら死んじゃうわ。それに、ショック療法っていったらこれしかないでしょ!」
トリッシュは士の頭を掴み、
バリバリバリッ!!
電流を流した。
「ぐああああああああああああ!!!」
士は倒れた。
「どう?何か思い出した?」
「お、思い、出すか、こんなので…!!」
士は痺れながらも抗議する。
「だから言ってるでしょ?これが一番なのよ!」
レディは再びミサイルランチャーを構えた。
「う、うわあああああああああ!!!」
度重なるショック療法という名の拷問に命の危機を感じた士は、とうとう逃げ出してしまった。
「士!」
「士くん!」
ユウスケと夏海は慌てて士を追いかける。
「逃げちまった…」
「私があいつの頭にこれぶっぱなしたら、記憶喪失なんてすぐ治るのに…」
「だから、死んじゃうって。それより、もっと電流強めた方が…」
ゴンッ!ビシッ!ガスッ!
シグナムがげんこつでヴィータの頭を、バージルが納刀した閻魔刀でレディの頭を、ダンテが近くにあった鈍器のようなものでトリッシュの頭を、それぞれ殴った。
「いって!何すんだよシグナム!」
「それはこちらの台詞だ!お前は何をやっている!?」
「バージル!閻魔刀はひどいわよ!」
「命があっただけマシだと思え。」
「何で私だけ鈍器のようなもの!?」
「なんとなくだ。つーか、はしゃぎすぎなんだよお前は」
ヴィータ、レディ、トリッシュは抗議し、シグナム、バージル、ダンテはあしらう。
「今思ったけど、ウチの女子って過激な人ばっかりだねぇ…。」
「だよなぁ…。」
「仕方ないわ。作者が好きなキャラクターを集めた結果、こうなったんだもの」
右天、左天、離琉がため息をついた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
フェイトは謝り続けていた。
「すいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいません」
はやても謝り続けていた。
海東も早川も苦笑していた。
しばらくして、夏海とユウスケが戻って来た。
「ごめんなさい、見失いました。」
「そうか…いずれにせよ、今のままじゃ士は使い物にならない。」
「じゃあどうするんだよ海東さん?」
ユウスケは尋ねる。それに対して海東は、決断を下す。
「…仕方ない。僕達だけでハイパーショッカーを倒そう」
「…それしかなさそうだな…」
早川は不本意ながらも同意した。
翔太郎は驚く。
「ちょっと待てよ!俺達やあんた達を含めて、ライダーは七人しかいないんだぞ!?その人も戦力になるかもしんねぇけど」
実際はすでに二人倒されているため、五人である。だが彼らはそれを知らない。
「それに、敵のアジトもわかっていないんだ。どうやって攻めるつもりだい?」
「そのことなら心配はいらない。奴らのアジトは、俺がバッチリ突き止めてあるからな。そのために出かけてたんだ」
早川が進み出た。
アルカがアークライトに尋ねる。
「いかがいたしますか?この方の話だと、すぐにでも仕掛けられるようですが。」
「ふむ……」
アークライトは数秒の思案の後、夏海達に進言した。
「我々も同行しよう。我々はライダーではないが、それに匹敵するだけの働きはできる」
海東は驚いた。
「いいのかい?君達がこれ以上加担する必要は…」
「ここでハイパーショッカーを潰しておかなければ、我々の世界にも危険が及ぶ。それだけはなんとしても避けたいのだ」
「…わかった。こっちとしても助かる」
「よろしくお願いします。」
海東と夏海は頭を下げた。
「ライダー以外の連中まで戦うとあっちゃあ黙ってるわけにはいかねぇな。俺達も協力するぜ。だろ?フィリップ、照井」
「ああ。」
「そうだな。元の世界に帰るためにも、引き下がるわけにはいかない。手を貸そう」
翔太郎、フィリップ、照井も協力した。
「あたしは?」
「お前は戦えねぇだろ。ここで待ってろ」
翔太郎が言った瞬間、亜樹子がスリッパで翔太郎を殴った。
「っ痛ぇ!何すんだ亜樹子!」
「あたしも行く!」
「はぁ?」
「こうなったら、寄りかかった船だよ翔太郎くん!」
というわけで、亜樹子も行くことになった。
早川は笑う。
「いいねぇその気概!気に入ったよ!なかなか見所があるじゃないか!」
「ありがとう。協力してくれて」
ユウスケが礼を言った。
バージルがアークライトに言う。
「そうと決まったら、まず一度戻って理事長に報告した方がいい。」
「そうだな。我々は一度戻らせてもらう」
「じゃあ僕達も一緒に行こう。」
海東達もついてくることになり、一同は廃病院に向かった。
「そうか、行くのか…」
スパーダはアークライトから報告を受けた。
「ご心配なく。我々は必ず戻って参ります。勝利を手土産に」
「頼んだぞ。」
「はい。理事長も、他の生徒達を…」
「うむ。」
アークライトはその場をあとにした。
戦いに向かおうとする生徒会役員達。そこへ、
「待ってくれ!」
照山、セツナ、未央、梔、イヴの五人が来た。
「俺達も連れて行ってくれ!」
「私達も、お手伝いしたいんです!」
「大丈夫だ!足手纏いにはならない!」
照山、セツナ、イヴが頼む。
「お前ら…けどお前らが来たら…」
ダンテは渋るが、梔がカンペを掲げる。
【理事長から許可をもらってる】
未央も続く。
「むしろみんなを助けなさいって言われたよ?」
「理事長が?」
離琉は少し考え、結論を出す。
「わかったわ。一緒に行きましょう」
「離琉。」
アークライトは反対するが、離琉は言う。
「アークライト。これは理事長の優しさよ?それを無にするのは、かえって失礼だわ。」
「………お前が言うなら。」
「ありがとうアークライト」
アークライトは渋々了承した。
士はどこかの橋の下に逃げ込んでいた。
柱を背にして座る士。すると、士はおもむろに服のポケットに手を伸ばし、中から二枚のカードを取り出した。
そこにはライダーらしき何者かが描かれていたが、シルエットがぼやけていて、どんな姿かわからない。
いつの間にかポケットに入っていたカード。自分の記憶の手がかりになるかと持っているのだが、何も思い出せない。
と、
「門矢士」
自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
その方向を見ると、そこには一人の男が立っていた。男は士に歩み寄って来る。
「誰だ?」
士が尋ねると、
「覚えていないのか?かつてお前に右腕を奪われた男だ。」
と男が返した。
「右腕?右腕ならちゃんとあるだろ。」
「そんなことはどうでもいい。俺はお前に、聞かなければならないことがある。」
「何だ?」
「なぜお前は戦わない?」
士は答える。
「俺は記憶喪失なんだ。俺は仮面ライダーだったらしいが、今の俺には何の力もない。それに、俺はハイパーショッカーって連中に負けたらしいからな」
次の瞬間、男は士の胸ぐらを掴んで士を立たせ、
バキィッ!!
士を殴り倒した。
「ぐあっ!!」
倒れた士に向けて、男は言い放つ。
「今のお前は覚えていないだろうが、俺はこう言った。『命ある限り戦え』と。力があるかないか、勝ったか負けたかは関係ない。お前には大切なものがある。背負わなければならない過去がある。」
士は殴られた頬を抑えながら男の話を聞いていた。
「何度でも立ち上がれ。できないというのなら……」
その時、ハイパーショッカーの怪人達が現れた。
男は怪人達を見ながら士に言う。
「もう一度教えてやる…」
怪人達は二人に向かって来る。
「戦うとはこういうことだ。」
男は左手で自分の右腕を掴み、
「うおおおおおおおおおおおお!!!」
右腕を引き抜いた。
男の右腕は、機械でできた義手だった。だが、まだ終わらない。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
男は新たに取り出したアタッチメント、レーザーアームを右腕に取り付けた。
男の名は結城丈二。かつての大ショッカーの科学者。
結城は怪人達に戦いを挑んだ。
士はそれを黙って見ていた。
早川に案内され、アークライト達はハイパーショッカーのアジトへ向かっていた。
「奴らのアジトはこの先だ。」
早川に言われ、なのはは青くなった。
「ここって…」
照山も驚く。
「オイオイ!俺達が最初に飛ばされて来た所じゃねぇか!」
そう、ここは彼らが最初に飛ばされて来た荒野だった。早川の話だと、ハイパーショッカーのアジトは、この荒野のすぐ先らしい。
「運が悪かったら、あの時にもう敵の全戦力とかち合ってたかも…」
「だな。ここで最初にやり合った怪人どもは多分、侵略に出かける途中だった連中か、帰って来る途中だった連中だ」
右天と左天の発言に、なのはとはやては背筋が寒くなる。
「なんだ、こんなに近くに連中のアジトがあったのか。わかってたら潰してやったのに」
「馬鹿か。もしあの時連中の全戦力とやり合っていたら、何人犠牲が出ていたか…」
「あ、そうか。」
ダンテの軽はずみな発言をバージルが諫めた。
と、フェイトが荒野を見渡して、何かを探している。
そして、
「やっぱりいない…」
肩を落とした。
なのはが尋ねる。
「もしかして、光輝くんを捜してたの?」
「うん。もしかしたらまだこの辺りにいるんじゃないかなって……」
言われてはやても捜す。
「あー…おらへんなぁ光輝くん。ついでに言えばドナルドくんもおらへん。一体どないしたんやろ?」
「何だ、何の話だ?」
早川が混じってきたので、翔太郎が説明する。
「俺達の世界にはもう一人仮面ライダーがいるんだよ。どういうわけかそいつだけ来てなくてな、そいつの友達も来てないみたいだが。世界の架け橋に巻き込まれなかったか、別の場所に飛ばされたのか……」
「会えるといいな。」
早川がそう言った、
その時、
ズゴゴゴゴゴ…!!!
突然凄まじい地響きが起きた。
「なになに!?何なのこれ!?」
たちまちパニックに陥る亜樹子。
「みんな、気を付けるんだ!何か出て来る!」
すると、フィリップの予告通り、荒野の地面が割れて、中から何かの生き物のような形状をした巨大な空中要塞が出て来た。
「うおわっ!鉄屑のバケモノだ!」
イヴが驚く。と、笑い声が聞こえてきた。
「はははは!素晴らしいだろう?我らハイパーショッカーの決戦兵器、『ハイパークライシス要塞』は!」
全員が声のした方を見ると、そこには大勢の怪人を引き連れたハイパーゾル大佐がいた。
「鳴滝さん!」
「知っているんですか?」
驚く夏海にセツナが尋ね、海東が説明する。
「士のことを世界の破壊者って呼んで追い回してる人さ。前にスーパーショッカーの大幹部として、士を倒そうとしたこともある」
「破壊者を倒すために破壊者に成り下がったか。愚かな…」
「こういうのを、ミイラ取りがミイラになるって言うんだよな。」
シグナムとヴィータが罵倒した。
「うるさい!これも全てディケイドを倒すためだ!奴は危険なのだ!」
「どーだか?私からすればあんた達ハイパーショッカーの方がはるかに危険だと思うわ。」
「同感ね。だいたい、それだったら他のライダーまで倒す必要ないじゃない」
レディとトリッシュはハイパーゾル大佐の言うことを信じようとしない。
「黙れ!そもそもライダーでもないお前達が、なぜライダー達に加担する!?」
「別に。お前らを潰せば、元の世界に帰れるかもしれねぇってだけだよ。」
ダンテは自分の考えをそのまま言った。
「そうか、お前達が報告にあった別世界の人間か。ならこうしよう。ハイパーショッカーに協力すれば、お前達を元の世界に」
「我々はお前達に協力などしない!」
アルカはハイパーゾル大佐の提案を拒否した。
「…いいだろう。ならばお前達も倒してくれる!龍騎とファイズは倒してある。もう援軍は来ないぞ!」
ハイパーゾル大佐が言った、その時、
「そいつはどうかな!」
声が聞こえた。
全員が見る。
声の主は士だった。
「士くん!」
「来たのか。だが、今のお前は…!」
「心配するな。夏みかん、早川」
言うが早いか、士はディケイドライバーを取り出して腰に装着。ディケイドライバーがベルトになる。
さらに士はライドブッカーを取り出してベルトの左腰に装着した。
次の瞬間、ボロボロだったディケイドライバーとライドブッカーは眩いばかりの光に包まれ、光が消えた時、二つのツールは修復されていた。
照井は驚く。
「記憶が戻ったのか!」
「ああ、全て思い出した。仲間のことも、俺が仮面ライダーであるということも!」
ハイパーゾル大佐は歯ぎしりする。
「おのれディケイド!やはり生きていたか!」
「俺がそんな簡単に死ぬやつじゃないことは、お前が一番よくわかってるだろ?しかしお前も懲りないな。またゾル大佐か?」
「違う!私はハイパーゾル大佐だ!」
「違いがわからねぇよ。」
士の言う通り、ゾル大佐とハイパーゾル大佐は、全く外見が変わっていない。
密かに気にしていることを言われて再び歯ぎしりするハイパーゾル大佐だが、すぐに冷静になる。
「我々に勝つつもりか?一度我々に負けた貴様が!」
「勝ったか負けたかは関係ない!」
士はハイパーゾル大佐を一喝した。そのまま続ける。
「俺には、大切なものがある。背負わなければならない過去がある。俺はそれを守るために、命ある限り何度でも立ち上がる!そして、こいつらも!」
士が言った瞬間、士の背後に世界の架け橋が現れ、中から、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド、響鬼、カブト、電王、キバの平成ライダーズが出て来た。士の記憶が戻ったため、ライダー達が復活したのだ。
士はハイパーゾル大佐に向けて言い放つ。
「ハイパーショッカーは、俺が潰す!」
完全に気圧されているハイパーゾル大佐は、それでも士に言う。
「お前は一体何なんだ!」
対して士は、もう何度も言ってきた台詞を言う。
「通りすがりの仮面ライダーだ!覚えとけ!」
士はライドブッカーからカードを取り出し、
「変身!」
〈KAMEN RIDE・DECADE!〉
仮面ライダーディケイドに変身した。
「士のやつ、戻ったみたいだな。」
早川は満足そうに頷いた。
「僕達も行こう!」
海東は銃の形をしたツール、ディエンドライバーを出し、カードを装填。
「変身!」
〈KAMEN RIDE・DIEND!〉
仮面ライダーディエンドに変身した。
「キバーラ!」
「はいは~い♪」
夏海の呼びかけに応えてキバーラが登場。夏海の手に収まり、夏海はキバーラを前に向ける。
「「変身」」
夏海は仮面ライダーキバーラに変身した。
「変身!」
ユウスケも変身ベルト、アークルを出現させ、仮面ライダークウガに変身した。
「変身!バァイスイッチオーーーン!!」
早川の周囲で爆発が起きた。そして、
「ズバット参上!!ズバット解決!!人呼んでさすらいのヒーロー!!快傑ズバット!!」
早川は快傑ズバットに変身した。
「行くぜフィリップ、照井!」
「ああ。」
「わかった。」
〈CYCLONE!〉
〈JOKER!〉
〈ACCELE!〉
「「変身!」」
「変・身!」
〈CYCLONE/JOKER!〉
〈ACCELE!〉
翔太郎と照井もWとアクセルに変身した。
「亜樹子!フィリップの身体、頼んだぜ!」
「オッケー!」
亜樹子はフィリップの身体を抱えて下がった。
その時、また世界の架け橋が現れた。
「何だ?今度はどんなライダーが出て来るんだ?」
ダンテが興味本意で見ていると、世界の架け橋から一人の少年と、少女が出て来た。
フェイトが驚く。
「えっ!?あの女の子、私?」
そう、少女は幼少期のフェイトにそっくりなのだ。
しかし、ディケイドは慌てずに言う。
「何だ、お前もきたのか風上光。フェイトまで連れて来やがって」
「すいません。僕は止めたんですけど、一緒に行くって聞かなくって。」
「光が行くなら、私も行きたいもん。」
なのはとはやてが驚く。
「やっぱりあれフェイトちゃんなんだ!」
「しかもなんか積極的やし!」
フェイト(大)は目を白黒させている。
「オイオイ、ただでさえごった煮状態だってのに、まだ増えんのか。勘弁してくれよ。収拾つかなくなっちまうぞ」
「安心しろダンテ。もうなっている」
ダンテとバージルはそんな会話をしていた。
「まあいい。来た限りは手伝ってもらうぞ?」
「もちろんです!行きますよフェイト!」
「うん!」
二人はディケイドライバーとディエンドライバーを取り出し、
「「変身!」」
〈KAMEN RIDE・DECADE!〉
〈KAMEN RIDE・DIEND!〉
ディケイドとディエンドに変身した。
「ちっちゃい私が仮面ライダーに変身して…きゅううぅ~」
フェイト(大)は目を回した。なのはとはやてが受け止める。
「フェイトちゃん!」
「しっかりするんや!」
「ほう、テスタロッサがライダーに…」
「あとで戦いたいとか考えてるんならやめといた方がいいぞ。」
ヴィータはシグナムに釘を刺しておいた。
「…そろそろいいかね?」
アークライトは尋ねた。
「ああ、いいぜ。」
ダンテが了承した。
「では……生徒会の威信にかけ、ハイパーショッカーを殲滅する!」
アークライトの号令を聞いた生徒会役員達は、構えを取る、武器を持つ、デバイスを起動させるなど、戦いの準備を整えていく。
そして、
「It's show time!」
ダンテの言葉を皮切りに、全員が突撃した。
「奴らを倒せ!!」
ハイパーゾル大佐も号令をかける。
こうして戦いが始まった。
ハイパー死神博士はモニターで状況を見ていた。
「むぅ…」
ハイパー死神博士から見て、戦況はあまりよくなかった。
ハイパー死神博士はハイパーネオ生命体のもとへ行く。
「ハイパーネオ生命体よ!まだ最強の怪人はできんのか!?」
「もうちょっと待ってね……よし、できた!」
ハイパーネオ生命体がそう言うと、ポットの中から一体の怪人が出て来た。
「こやつは!…こやつなら…ふふふ…」
ハイパー死神博士は不気味に笑った。
ライダー達の激闘を、すぐ近くの崖の上から見る者がいた。
銀八である。
「理事長に言われて見に来たけど、なんか大丈夫そうだな。」
ライダー達もそうだが、生徒会役員達も強い。ライダーに引けを取らない力で、ハイパーショッカーの怪人達を次々と葬っている。
「つーか、何で理事長は俺を行かせたんだ?俺には何の力もねぇってのに…」
銀八が愚痴っていると、
「イーッ!」
ハイパーショッカーの怪人達が現れた。
「えっ!?いやちょっ、マジで!?ちょっと待て!ちょっと待てってマジで!俺は非戦闘員だから!来んな!こっち来んなってぎゃああああ!!」
そこへ海東ディエンドが現れ、怪人達を倒した。
「おや?君は…」
「あ、あんた確か、ディエンド!」
「こんな所で何をしてるんだい?」
「理事長に言われてガキどもを見に来たんだよ。ったく、俺は戦えねぇってのに…」
「じゃあ戦えるようにしてあげよう。」
「は?」
海東ディエンドはカードを一枚取り出すと、ディエンドライバーに装填。
〈FORM RIDE・GINPACHI/GINTOKI!〉
銀八に向けて引き金を引いた。
すると、銀八は木刀を持った侍になった。
「いやいやいやいや!!これはまずいだろ!!ヤバイって!!設定無視すんな!!」
「確かにそれだけじゃキツイね。なら大サービスだ。感謝したまえ」
海東ディエンドは再びカードを装填。
〈ATTACK RIDE・SCOOTER!〉
引き金を引いた。
すると、スクーターが現れた。
「武器増やしゃあいいってわけじゃねぇんだよ!!何考えて「じゃあ頑張ってね~♪」オイコラ逃げんな!!」
海東ディエンドは行ってしまった。まもなくして怪人達が現れる。
「くそっ!こうなりゃヤケだ!うおおおおおおおおおお!!!」
銀八はスクーターに飛び乗って怪人達に突撃した。
【メイデンリストリクション】
梔はカンペを掲げつつ左腕に装着されているジェットガントレットの噴射口を怪人達に向け、そこから香りを飛ばす。
怪人達は香りを吸い込み、身体が麻痺して動けなくなる。
【セツナ!未央!今!】
「オッケー!ディーンドライブ・フォックスハウンド!!」
「未央ちゃん豪速Q~!!」
セツナはマッハ2の速度で怪人達に拳を叩き込み、未央は中にオリハルコンを入れてある超重量のぬいぐるみを怪人達に投げつけた。
怪人達は倒された。
「ヴァルカンショックイグニション!!」
照山は巨大な火球を投げつけ、怪人達を爆砕した。
「離琉、もう充分だ。私から離れろ」
「わかったわ。」
今までサイコキネシスで岩石を飛ばして弾幕を張っていた離琉は、アークライトから離れた。
向かって来る怪人達。
しかし、
「エデンズシード!!」
怪人達はアークライトを中心に起きた大爆発によって消滅した。
「もういいかな?」
「ああ、チャージ完了だ。」
ナイフ投げで弾幕を張っていた右天は左天から離れた。
「二重第四波動!!」
直後、左天は両拳から炎を放って怪人達を焼き払った。
アルカは地面に手をつき、
「伝導アグニッシュワッタス!!」
マイクロウェーブを伝導させ、怪人達の足元から火柱を発生させた。
「デッドリーメイルストロム!!」
イヴは両手を合わせてドリルに変身させ、怪人達を貫いた。
「ドライブ!!」
ダンテはリベリオンに魔力を集中させ、衝撃波を飛ばして怪人達をなぎ払う。
「次元斬!!」
バージルは空間を斬り裂き、斬られた空間は崩壊する。その連鎖崩壊に巻き込まれた怪人達は、全身を斬り刻まれて絶命した。
「行くわよトリッシュ!」
「いいわ!」
レディはミサイルランチャーをぶっぱなした。トリッシュはミサイルに飛び乗って電撃を付加し、ミサイルから飛び降りる。
怪人達は爆発に巻き込まれた。
「ディバインバスター!!」
「プラズマスマッシャー!!」
「デアボリック・エミッション!!」
「飛竜一閃!!」
「シュワルベフリーゲン!!」
なのは、フェイト、はやて、シグナム、ヴィータも魔法を使って怪人達を倒していく。
「あの人達強すぎでしょ…」
光ディケイドは呟いた。
「私達も負けてられないね!」
「…そうですね!」
フェイトディエンドに言われ、光ディケイドはディケイドライバーにカードを装填する。フェイトディエンドもディエンドライバーにカードを装填。
〈FINAL ATTACK RIDE・DE DE DE DECADE!〉
〈FINAL ATTACK RIDE・DI DI DI DIEND!〉
ディメンションブラストとディメンションシュートを放った。
「ズバットアターーーック!!!」
ズバットは飛び蹴りを繰り出し、怪人達を倒した。
「はあああーっ!!」
キバーラはソニックスタッブを放って怪人達を倒した。
「だあっ!!」
クウガもマイティキックを食らわせる。
〈METAL・MAXIMUM DRIVE!〉
〈ACCELE・MAXIMUM DRIVE!〉
「『メタルブランディング!!』」
「はあっ!!」
Wはメタルブランディングで、アクセルはダイナミックエースで、それぞれ怪人達を一掃する。
〈FINAL ATTACK RIDE・DE DE DE DECADE!〉
〈FINAL ATTACK RIDE・DI DI DI DIEND!〉
「はっ!!」
「ふっ!!」
ディメンションキックとディメンションシュートを放つ士ディケイドと海東ディエンド。他のライダー達も必殺技を繰り出していく…
千体近くいた怪人達だったが、ライダー達の奮闘により、もはやハイパーゾル大佐を残すのみとなった。
「ぐっ…まさかライダー以外にこれだけの力を持つ者がいるとは…!」悔しがるハイパーゾル大佐。もはや勝負は決まったも同然だ。
キバーラが言う。
「おじいちゃんの居場所を教えて下さい。あなたが何かしたことはもうわかっているんです!」
「さっさと言わねぇと、笑いのツボを押されちまうぞ?」
士ディケイドが笑った。
はやては海東ディエンドに尋ねる。
「笑いのツボって?」
「文字通り相手を笑わせるツボ。怪人にも効くんだ」
「ふぅん…」
「はやて、まさか教えてもらおうなんて考えてるんじゃ…」
「え!?いやいや!そんなことは!」
フェイトに本音を言い当てられ、慌てて否定するはやて。
その時、何かが飛んで来て爆発が起きた。
吹き飛ばされるライダー達。
ハイパーゾル大佐も巻き込まれ、鳴滝に戻ってしまった。
「今度こそ勝ったと思ったのに…おのれディケイドォォォーッ!!!」
鳴滝は叫んだが、ライダー達には聞こえていなかった。
やがて爆煙が消え、中から一体の怪人が姿を現した。
「何だこいつは!?」
「今までの怪人とは、明らかにレベルが違う!」
驚く照山とアルカ。
しかし、一番驚いたのはクウガとキバーラだった。
「こいつ、ドラスじゃないか!?」
「しかも色が赤いです!」
そう、この怪人こそハイパーネオ生命体が造り上げた怪人、赤ドラスである。
士ディケイドは恐れない。
「同じような手を使いやがって…またぶっ飛ばしてやる!」
「油断するな士!赤ドラスは通常のドラスより数段強い!」
「つまり、前に戦ったスーパーショッカーのドラスよりも強いってことか…!」
ズバットはドラスとの戦いを思い出した。
そこに、電王が進み出る。
「大丈夫だよ!前のやつだって倒せたんだ!こいつにも勝てる!」
「そんなに簡単にいくかなぁ?」
未央は疑問を浮かべたが、
「迷ってる暇はない。行くぜ!」
士ディケイドは構わず戦いを挑んだ。他の者も続く。
「おいおい、ヤベェじゃねぇか…」
どうにか怪人達を倒した銀八は、ライダー達と赤ドラスの戦いを見ていたが、銀八の言う通り、ヤバかった。
赤ドラスは凄まじいまでの戦闘力で、ライダー達と互角の戦いを演じていたのだ。
「クッソ…どうする…?」
銀八は考えたが、
「…これしかなさそうだな…」
とスクーターを走らせた。
「未央ちゃんパ~ンチ!!」
未央は怪力を生かした拳を繰り出す。だが、赤ドラスは何のダメージも受けていない。
「あ、あれ~…」
苦笑いする未央。赤ドラスは構うことなく未央の腕を掴み、放り投げた。
「ならば…ディーンドライブ・フォックスハウンド+惑星砕き!!」
アークライトはスピードとパワーの能力を合成し、スピードを乗せた必殺の拳を放つ。
だが赤ドラスはこれを片手で止める。
「何!?ぐあっ!!」
赤ドラスはアークライトを殴り倒した。
「貴様の頑丈さは相当のものだが…」
「!?」
「マイクロウェーブの前では無意味だ!」
アルカは飛びかかり、赤ドラスにアグニッシュワッタスを叩き込もうとするが、赤ドラスは触手のようなものを出してアルカを弾き飛ばした。
【メイデンリストリクション】
梔は香りを飛ばす。だが赤ドラスの動きは止まらない。
【あたしのメイデンリストリクションが効かない!?】
梔はカンペで驚愕を現す。
「おらぁっ!!」
「うおおっ!!」
ダンテとバージルが斬り込む。二人の強烈な攻撃に、さすがの赤ドラスも押される。
次の瞬間、赤ドラスの下半身が凍りついた。
「!!っ退け!!」
バージルはダンテとともに下がる。その直後、
「第四波動!!」
左天の炎が赤ドラスを包んだ。
「これで倒れてくれりゃあいいんだが……チッ、やっぱそう簡単にはいかねぇか…」
炎の中から無傷の赤ドラスが現れ、左天は舌打ちした。
その時、
「俺の教え子に手ぇ出すんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」
スクーターに乗った銀八が、赤ドラスに木刀を振りかざした。
しかし、
「ごはっ!!」
あえなく殴り飛ばされた。
「何のために出てきたんだよ。」
ダンテは呟いた。
「こうなったら、俺達全員の必殺技を叩き込む!行くぞ!!」
〈FINAL KAMEN RIDE ・DECADE!〉
士ディケイドはケータッチを装着し、最強コンプリートフォームになった。
同時に他のライダー達も、最強フォームになっていく。
「私と左天で動きを止める!行けるな左天!?」
「はい!」
「私も手伝います!」
「頼む!行くぞ、カンダタストリング!」
〈ATTACK RIDE・LIGHTNING BIND!〉
アークライトは手から斬糸を出して赤ドラスの上半身を絡め取り、左天は赤ドラスの下半身を凍らせ、フェイトディエンドはディエンドライバーからバインド魔法を撃ち出して赤ドラスの全身を拘束する。フェイト(大)は、もうツッコまない。
「今だ!!」
アークライトが合図した。
「スターライト…」
「プラズマザンバー…」
「ラグナロク…」
「「「ブレイカァァァァーッ!!!」」」
なのは、フェイト、はやては最強魔法を放つ。
「「ジャックポット!!」」
ダンテはバージルにエボニーを渡し、魔力を込めた銃弾を撃った。
その後も必殺技の嵐は赤ドラスを襲い続け、
〈FINAL ATTACK RIDE・DE DE DE DECADE!〉
最後に士ディケイドと光ディケイドがディメンションキックを同時に放った。
「グオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
赤ドラスは爆発した。
「勝った!勝ったぞ!僕達は勝ったんだ!」
イヴがセツナ、未央、梔とハイタッチする。
「やったな士!」
「よかった、士くんの記憶が元に戻って!」
「本当に心配したんだからな!」
「全く、手間のかかる男だよ君は。」
「…悪かったな、心配かけさせて…」
勝利の余韻に浸る一同。
しかし、それは周囲の爆発によって止められた。
再び吹き飛ぶライダー達。
そこへ、ハイパークライシス要塞が飛んで来た。
ハイパークライシス要塞の顔面部分に、ハイパーネオ生命体の姿が浮かぶ。
「すごいねぇ、僕が造った最高のオモチャを壊すなんて。でも、まだまだ遊びは終わらないよ!さあ、新しいオモチャだ!」
ハイパーネオ生命体はハイパークライシス要塞を操り、巨大な狼型のロボット、ウルフメカを投擲した。
「ウソだろオイ…」
翔太郎は呟いた。
「もっともっと遊ぼうよ!ハイパーネオ生命体として復活した、この僕とね!」
ハイパーネオ生命体が言うと同時に、ウルフメカは突撃を開始した。
『うわああああああああああ!!!!!』
その圧倒的な力に、ライダー達は吹き飛ばされた………。
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今回でディケイド編は終了です。光とフェイトと早川はまた出て来ます。
次回からはクロス編です。お楽しみに
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今回はゼロディアスさんの『魔法少女リリカルなのはULTRAMAN&HEROS』から風上光とフェイト、矢部野 和麻呂さんの『日本一の男と世界の破壊者』から早川健が登場します。
それでは後編です。