No.407858

ニュータイプとイノベイターが幻想入り

アムロとリボンズの幻想入りです。

これは去年の三月に書いた小説で(完結していません)今、書いているIS作品の前に、興味本位で書いていたものです。文章の表現など、下手ですが(現在もですが……)そこは温かい目で見てもらえたら嬉しいです。

戦闘シーンがISみたいな感じですが、この時の作者はISを知りませんでした。悪しからず。

2012-04-13 23:06:08 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:4761   閲覧ユーザー数:4693

アクシズが光に包まれて地球から離れていく。なんとかなったのか……。だが、シャアはどこだ? 

 

 

  いきなり目が覚めた。長く寝ていたせいか身体がおもい。

 

 起き上がると、そこは押し入れや綺麗な絵がある和式の部屋だった。来ている服は地球連邦軍の制服だ。

 

 此処は一体? アムロに不思議に思いながら自分がどうなったかを思い出していた。

 

 ――確か俺はνガンダムでアクシズを押し返していて、いきなり緑の光に包まれて・・・意識がなくなったのか・・・しかし、さっきから感じるプレッシャーはなんだ?それほど強いものではないが警戒はしたほうがいいだろう。

 

 そして、障子に影が映り開けられる。

 

「あっお目覚めなりましたか?」

 

 良かったです、と感嘆のため息をつく女性は頭にキャップをかぶり、明るい雰囲気があると共に、清楚な雰囲気をだしていた。

 

「一体俺はいつからここに?」

「そうですね……2日前かな?使いの者があなたを見つけたのです。かなり衰弱していたみたいで危なかったんですよ?それで保護していたのです」

「そうだったのか……ありがとう」

 

 アムロはお礼を言うと一番疑問に思っていることを聞いた。

 

「何回も質問して悪いが、ここは一体どこなんだ?」

「あぁ、外来人の方だから当然か。ここは幻想卿というところです」

 

 幻想郷……聞いたことのない言葉だ、そう思いつつ、女性は続けた。

 

「幻想卿は私の主人とある神社の巫女の力で結界を張って成り立っています。妖怪が多いですが里には人間もいますよ」 

 妖怪……そんなものがいるとは、もしかしてこの女性も……。

 

「君もその妖怪なのか?」

 

「えぇ、九尾の狐の八雲藍です。藍って呼んでください」

 

 と微笑みながら答える藍、敵意は完全に無いと判断したアムロはまだ告げて無かった名を告げる。

 

「俺はアムロ・レイだ。呼び方は好きに頼む。後、敬語で話すことはないから気軽に話してくれ」

「分かった。よろしく、アムロ」

 

 と言い終わった後、思い出したように藍は言った。

 

「これから朝食なんだけどアムロもどう?」

「あぁ、お願いするよ。」

 

 身体に力が入らないほど減っているのだ、なにか食べないと身体がもたない。

 

「それじゃあちょっと着いてきて。」

 

 そう言われアムロは立ち上がると改めて身体の重さを実感した。

 

 

 藍に言われ先ほどの部屋より少し広い部屋で待っていた。

 

 移動の際に見たのだがかなりの屋敷だったのだ。かなり広いが一体何人がすんでいるのだろう、そう考えていると扉が開いた。藍かと思ったが、扉からは少女が出てきた。

 

 少女も藍と同じようにキャップ(緑)をしているが、完全にかぶってはなく猫耳が見えている。今さっき起きたばかりなのか、目を擦っている。少女は擦り終わるとアムロに気がついた。 

 

「お兄ちゃん目が覚めたんだ~」

 

 と笑顔を見せながら、とてとてと近づいてくる。

 

「君が俺をたすけてくれたのかい?」

「うんっ」

 

 少女は元気いっぱいに答えてくれた。この少女が藍の使いの・・・妖怪なのか?

 

「わたし、橙(ちぇん)って言うんだよ~。お兄ちゃんは~?」

「俺はアムロ・レイって言うんだ。アムロって呼んでくれ」

「ふーん……アムロか~。よろしくね、アムロお兄ちゃん!」

 

 笑顔で言われ、よろしくな、と橙につられて笑顔で返した。それにしてもお兄ちゃんか。そう言われたのは初めてだな。

 

「でもよっかたぁ。お兄ちゃんが倒れてるのを見たときはびっくりしちゃったけど、元気になってくれてよかったなぁ」

 

 そんな話をしていると藍が来た。

 

「橙、おはよ。紫様は起きた?」

 

 起きて無かったですよ?と答える橙に対して藍はため息をついた。

 

「紫様ったら、いつも自分で起きないんだから……! アムロと橙は朝食用意してるから先に食べててね」

 

 と言いつつどこかに行く藍。先にたべようよ、促す橙にアムロも同意した。

 

「なぁ橙。紫様っていうのは藍の主人のことか?」

 

 朝食を食べながらアムロは橙に聞く。

 

「うんっ、そうだよ。藍さまは紫さまの式神で、橙は藍さまの式神なの。すごい人なんだけど、よく寝てるんだ~」

 

 と答えてくれる橙。式神って自分の分身みたいなものなのだろうか?橙に聞こうとすると、

 

「紫様!私にもたれないで自分で歩いてくださいよ!」

「だって、眠いんだから仕方ないでしょ?もうちょっとだけ……」

「紫様!起きてください!もうすぐ着きますよ!」

 

 そんな会話を聞いて茫然とした俺に対して橙は苦笑する。紫さまもこれを直したらもっとすごいのに、「また今日も」と言いたげな言い方だ。どうやら毎日こんな感じらしいな。

 

「ふあぁぁ……まだ寝たりないわぁ。後で寝ようかしら」

 

 と、襖を開けて入った女性を見た。黄色のロングヘアーで美しい女性だ。藍や橙のようにキャップをかぶっていた。しかしこのプレッシャーは彼女のものか?底が見えない程の力を感じる……こんな感じは初めてだ。

 

「あなた……例の倒れてた外来人ね。気分はどう?」

「おかげさまで、いい調子です。あなたが紫さんですか?」

 

 えぇそうよ、と答える紫。敵意は感じられないが自然と身構えてしまう。

 

 「そんなに身構えなくていいわよ。あなた……高いニュータイプの力を持っているのね。だから私の力を感じちゃうのか。心配しなくていいわよ。何も危害は加えないわ」

「なんで僕がニュータイプだって分かるんです?」

「まぁ、難しい話は後で聞くから朝食にしましょ」

 

 そう促すと藍と紫は席に着き食事を取り始めた。同時に幻想郷の事、そして自分が何者であるかを話した。

 

 

 

「じゃあ僕は自分の世界で行方不明になっているんですか?」

 

 そうなるわね、と紫が言う。アクシズで光に包まれた後、僕は行方不明になっているという。

 

「だって貴方も私の「スキマ」で見たでしょ?」

 

 朝食を食べ終わった後、俺は紫に呼ばれて紫と2人で話している。この幻想郷の妖怪は各自、能力をもっているのだという。紫の能力は「境界を操る程度の能力」らしい。実体だけでなく、夢や空間などの実体のないものまで操れる。その能力を使って僕の世界を覗いてもらい行方不明が分かったのである。

 

「普通、幻想郷に入る人間は、私が境界の揺らぎを起こすために入ってしまうのだけれど・・・貴方は違うわ」

 どう言うことなんです?と問う僕に紫は続けた。

 

 「ある人物から頼まれたのよ。貴方ともう一人の人間をこの幻想卿に入れてくれって」

 

 一体だれがそんなことを?もう一人の人間っていうのはシャアか?

 

「一体誰なんです?頼まれた人物って?」

 ・・・今は言えないわ。でも貴方以外にも貴方の世界での人物が幻想郷に居ると聞いたわ。だけどそのほとんどは・・・・・・亡くなっている人たちの意志。何人かは実体を持ってるらしいの」

 

  もちろん、もう一人は実体をもってるわ、と微笑する紫。

 

「その人が言っていたわ。「この幻想郷で大変な事が起こる。解決するにはあの2人の力が必要なのよ。」って」

 それが俺ともう一人ってわけか……」

「それとその人から預かってるものがあるの」

 

 と渡されたのはサイコフレームだった。

 

「サイコフレーム!なんで?」

「私には詳しい事は分からないけど、貴方の力になるそうよ」

 

 サイコフレーム――νガンダムに装備させていたサイコミュの一つだ。まだ未知の力が隠されていると言っていたな。

 

「私にもこの幻想郷で何が起こるか分からないわ。もしそうなったら……」

「大変です!!紫様!妖夢からすぐに冥界に来てほしいと!冥界が大変なことに!」

 

 そう言って慌てながら襖を開けた藍。

 

「分かったわ!すぐに行きましょ! ……貴方も着いてきて! これが異変かもしれないわ」

 

 そう言われた俺はすぐに紫、藍、橙の後につづいた。すごく嫌な胸騒ぎがする……そう感じずにはいられなかった。

 妖夢の案内で冥界には着いた。長い階段をなんとか登り(4人は空が飛べるのでいろいろ手伝ってもらいながら)、着いた。

 

 これがまた屋敷なんだが、庭が庭園見みたいに綺麗なんだ。桜は咲いてるし、すごいなんだよ。だがなんでそんなところにザクが!?

 

 ザクは僕の世界の機体だ。緑色な白兵戦用のMS。高さは俺達と変わらず、武装も変わっていない。しかし、数がとても多いのだ。

 

 紫に「戦えないのだから隠れてなさい」と言われ5人(もう一人は前から戦っていた)の戦う姿を見ていた。

 

 5人は弾幕を放ち当たると、ザクは倒れ消えていく。もう長時間戦っているが一向に減らない。始めはいい調子だったが、徐々に数に圧倒されている。

 

――みんなボロボロになって戦ってるのに俺は何をしている!

 

 その時だ。突然サイコフレームが光った。あの時のように。

 

「うわっ!」

 

 アムロを中心に球型に光る。そして光は凝縮した。アムロは驚く。いきなりパイロットスーツを基点にあの機体の武装を装備していたのだから。

 

「これは・・・νガンダムの?しかし、なんだ?力が出てくる。これなら!」

 

 アムロは装備されたバーニアを使い、紫達のところまで向かった。

 

 

 

「キリがないわね。こいつら、弱いくせに数が多い!」

「確かに。攻撃が単調だからまだ良かったです」

「でも藍様・・・・・・そろそろ体力が・・・・・・」

 

 紫、橙、藍は固まって徐々に追い詰められていた。

 

「くっ!紫達が!」

「幽々子様!今は助けに行けれません! ここを切り抜けないと!」

 

 幽々子と妖夢は3人を助けるため奮闘しているが自分たちも限界が近かった。

 

 3人はここまで早く来るために体力を使いすぎたのだ。そのため、徐々に数に対応できなくなっていたのだ。

 

 「紫様……もう……」

 「まだあきらめないで藍! 大丈夫だから、橙も!」

 「はぁ……はぁ……紫様……」

 

 2人とも体力の限界だった。紫は2人を庇いながら周りを見ると、バズーカで構えていた。

 

 「せめて、この子たちは!」  

 

 その瞬間、一つの線がザクを貫いた。一つ、また一つと貫いている。その線の元を辿って後ろを向くと、

 

 「アムロ・・・・・・その姿は!?」

 「説明は後です! 早く2人を! それとこいつらは僕がやります! 妖夢達と一緒に安全な場所に!」

 「分かったわ。でも大丈夫なの?」

 「えぇ!この武装は僕が乗っていた機体の武装なんで!それにサイコフレームのおかげで感覚もよくなってるから大丈夫です!」  

 「分かったわ、気をつけるのよ」

 

 そう言うと、紫は移動を始めた。

 

 ――身体が軽い。こんなこと初めてなのに、使い方が分かる!数こそ多いがこれなら!

 

 「行け!フィンファンネル!」

 

 同時に左後ろにあった板が、離れて6つになり黒の部分を中心に板が折れ曲がり長い板の間からメガ粒子砲が放たれる。

 また右手にあるビームライフル、後ろのブースターに付けていたνハイパーバズーカを左手に持ち、シールド内部に搭載されているミサイルを構え、

 

 「この攻撃なら!」

 

 全ての武装を一斉発射した。発射音やフィンファンネルの移動音が響く。ビームやミサイルは次々と命中しザクは消えていく。

 

 ――だいぶ数は減ったな。だがキリがないぞ、これは。リーダー的な機体がいそうだが……ん?中に強いプレッシャーを奴がいるな・・・・・・こいつを叩けば!

 

 アムロはザクを倒しながらプレッシャーを目指した。 

 

 

 そのころ5人は紫の作った結界の中でアムロの戦いを見守っていた。

 

「なんて奴だ……あの数を一気に減らしたなんて……!」

 

 妖夢は驚いていた。なにもできなかった外来人がいきなり武装を装備し、敵を蹴散らしているのだから。

 

「紫様! あの外来人は何者なんです!?」

「……それは答えられないわ」

 

なんでなんですか!と続ける妖夢に幽々子が割り込む。

 

「そんなことどうでもいいじゃない。それにしてもすごい勢いね。彼、大丈夫なのかしら?」 

「今の彼には強い意志を感じるわ。何かを守りたいという意思が・・・・・・だからきっと大丈夫よ」

 

 紫は感じていた。強い意志の中に哀しみがあることを。

 

――確かに強い意志を感じるけど、この哀しみは一体……

 

 

 ようやくアムロはそのプレッシャーの元へ辿りついた。それは高さ3メートル、横2メートル程の穴だった。その穴からは深い負の感情を感じる。

 

「これをどうにかすればザクは消えると思うが……」

 

その時、穴が変形し周りのザク達はそれに吸収されにして見覚えのある機体へと変化した。

 

「この機体は……ガンダム!」

 

 それはかつて自分が乗っていた機体、RX-78-2ガンダムだった。戸惑う時間もなくガンダムはビームライフルをアムロに放った。

 

「くっ!」

 

 アムロは避けるものの相手はすぐにビームサーベルを持ち、向かってきた。

 

 ――展開が早い!なんて奴だ!プレッシャーこそ感じるが、この気持ち悪い感じはなんだ?

 

 アムロもビームサーベルを抜き応戦する。2つの光の刃が交錯しアムロはガンダムを押し、よろけさせる。

「そこだっ!」

 サーベルを相手の向けながら貫いた――と思いきやいきなり消えていた。

 

――うしろかっ!

 

 アムロが向き直るとガンダムはライフルを構え放った。万事休すか、と思った時、目の前に紫色の何かが身代りになってくれていた。

 

「これは……紫のスキマ?」

「全く危ないわね……」

 

 後ろに振り向くとそこには紫がいた。

 

「もう大丈夫なんですか?」

「えぇ、なんとか妖力はちょっと戻ってきたわよ。私が援護するから早く蹴りをつけなさい」

 

 そう言うと紫はガンダムの周りに10個ぐらいのスキマを召喚し、そこから多量の弾幕を打ち続ける。ガンダムは避けずにシールドでガードしている。

 

「今のうちに相手にとどめを!」

「はいっ!」

 

 そう言うとアムロはガンダムに接近する。紫はスキマを閉じた。砂ぼこりで相手が見えないが彼なら大丈夫だろう。

 

 ガンダムは砂ぼこりで周りが見えずに困惑していた。アムロはそれを見逃さない。

 

「くらえっ!」

 

 その声にガンダムは上を見たその瞬間にアムロの放ったビームライフルに直撃し、消滅した。

 

――プレッシャーもない、終わったか……。

 

 アムロは安堵のため息をついた。いつの間にか元の姿に戻っており、アムロは紫に礼を言った。

 

 「助かりました、紫さん。敵はもういないみたいです」

 「そう……お礼を言うのはこっちよ。あのままだったら私たち、危なかったわ。みんな助かって本当に良かったわ」

 「紫様!アムロ!」

 

 その声に2人は振り向くと4人がこっちに向かってきていた。

 

「2人とも大丈夫そうね。もし良かったらうちで休まない?」

「えぇ、そうさせてもらうわ、幽々子。アムロ、貴方も来なさい。今はゆっくり休みましょ。それに……みんなで考えなきゃならないこともあるから」

「そうですね。分かりました」

「という事は、あれは貴方の世界の機体だったってことなの?」

「えぇ、だいぶ古い機体ですがさっきみたいに大群で来られたらやっかいです」

 

 4人(橙は疲れて寝てしまってている)は先ほど戦場になった屋敷――白玉楼――で今後のことを話合っている。不思議なことに白玉楼じたいに傷一つ付いていないのだ。理由は分からないが、今はいいか。

 

「あれだけで終わった感じがしません。たぶん同じ様な事が幻想郷内でまた起こるとおもいます」

「確かにそう考えるのが良さそうね」

「でも紫? また出るとしてもどこに出るか分からないじゃない」

 

 この白玉楼の主、西行寺幽々子は言う。

 

 水色を基調とした着物を着ており、ピンクのショートヘアで頭に付けているキャップには幽霊を思わせる三角の布がキャップの前側に付いている。

 

 「う~ん……そうよね。問題はそこなのよね。でもまだ手がかりもないし、難しいわ。アムロ、何か感じたりする?」

 「いえ。あの不気味なプレッシャーは感じられないです。場所を特定するのは紫様の言う通り難しいです」

 「そういえば、アムロさんのその感じる力は一体何なんです?」

 

 今まで口を閉じていた、魂魄妖夢が言う。

 

 さらさらしたショートヘアに黒いリボンを付けている。また、白いシャツに青緑色のベスト、スカートも質素で彼女の実直さが伺える。すぐ隣には人魂? が浮いている。話によれば幽夢は半霊で人魂と身体が分かれているらしい。

 

「俺達の世界ではニュータイプと呼ばれる人たちがいるんだ。ニュータイプは普通の人間に比べてずば抜けた直感力と洞察力、そして空間認識能力が高いんだ。離れてる人やその状況を把握できるし意志の疎通もできる」

「ということは、アムロさんもニュータイプか。でもニュータイプの能力はどうやってみに身に着くんですか?」

「そこはよく分からないんだが、人によって違うらしいんだよ」

「なるほど……アムロさん。一対一で私と戦ってもらえませんか?」

 

 なに言ってるの妖夢?と幽々子が聞く。

 

「こんな風に戦う人間は初めてだから、お願いしたいんです!」

 

 どうしようかと悩む僕だったが、

 

「いいんじゃないかな? アムロも一度は幻想郷の住人と戦って見たほうがいいと思うし」

「そうね。藍の言う通りだわ。アムロ……妖夢と一戦やってみなさい?いいわね?」

 

 半ば強制的な感じもするが仕方ない……。

 

「分かったよ。妖夢、よろしく頼む」

「えぇ! ありがとうございます!」

 

 満面の笑みを浮かべながら妖夢は言った。まぁ、戦ってみたかったと思ってたしいいかな。

 

「でもどこでするんだ?」

 

 それなら、と幽々子が言う。

 

「庭でやっちゃいなさいよ。結界をしてるから屋敷には傷つかないわ」

 

 なるほど。さっきの戦いでも結界をしていたから大丈夫だったのか。

 

「じゃあ、行きましょう。アムロさん」

 

 俺は頷き、妖夢の後に続いた。

 

 

 

「戦うのはいいですけど、あの時みたいに装備できる方法わかるんですか?」

「不思議なことに分かるんだ。初めてなのにさ、変な感覚だ」

 

 サイコフレームを握る。人の心の光を感じる・・・・・・あの時と同じだ。光が広がりそして凝縮する。

 

「改めてみるとすごい格好ですね・・・・・・でも貴方の実力は本物のはず。いきますよ!」

「あぁ、来い!」

 

 

「くっ!」

 

 妖夢の攻撃は凄まじいものだった。

 振りかざした剣や半霊からの弾幕、剣術、反応速度、どれをとっても目を見張るものがある。だが問題は……。

 

 「人符『現世斬』」

 

 そう言うと妖夢が消えた。またか、と思いつつ気配を感じる。

 

「正面か!」

 

 ビームサーベルを構え――ガキィィィィン!

 

 振り下ろされていた妖夢の刀とビームサーベルが激突する。

 スペルカードという物を使って、幻想郷の住人(全員ではないが)は技を出せるのだが、妖夢の技を見る限り、どの妖怪も強力なスペルカードを使いそうだな。

 

「アムロさん凄いです!現世斬のスピードに反応できるなんて。正面しか超スピードで切りつけれないとはいえ・・・・・・これがアムロさんの力!」

 

 後退しながら妖夢は言う。

 

「いや、妖夢の速度も大したもんだよ。フィンファンネルの攻撃を避けれるし、弾幕や刀で壊せそうだったんだからさ」

「ありがとうございます!そういえばアムロさんはあまり攻撃していませんけど遠慮してるんですか?」

「いや、そんな事無いが、幻想郷の戦いがどんなものか確かめたかったしな。じゃあ今度はこっちからいくぞ!」

 

 ダミーバルーンを射出しながら妖夢に猛スピードで接近する。妖夢は一瞬隙を見せたがすぐに構え直す。

 ――バシュン

 突然ダミーバルーンが小さな爆発をおこした。

 

 ――ダミーバルーンは射出後、数秒後に爆発する。その爆発で戸惑った相手は煙で視界を奪われ隙ができる。その間に追撃を行うのだ。

 

 

「いけ!フィンファンネル!」

 

 その掛け声とともに右の背中に装備していたフィンファンネルが射出され、変形しメガ粒子砲が発射される。

 

「これしきのこと!」

 

 すると妖夢は煙を刀の振り下ろしで散らし、次の瞬間、妖夢に直撃しそうなメガ粒子砲を切ったのだ。

 

――なんて奴だ!ビームを切るなんて……。

 

「切れぬものなどあまりない!」

 

 妖夢が叫ぶと、猛スピードでアムロに接近した。接近戦か……、アムロはその場で止まりビームサーベルをしまい構えている。

 

「舐めないでください!」

 

 アムロのその行動に妖夢は憤り、そのスピードのまま刀をアムロに振りかざし、かすめる程度の距離で振り落とすと

 

「そんな……」

 

 妖夢は絶句した。なんとアムロは白羽取りをしていた。

 

「なんとか反応があったな」

「私の斬撃を受け止めるなんて……アムロさん凄いです!」

「たまたまタイミングがあっただけだよ。それで妖夢?そろそろ止めにしないか?」

「そうですね。このへんで切り上げましょう」

 

 アムロは刀を離し、武装を解除した。妖夢も刀をしまった。

 

「そういえばもう一つ刀があるのになんで使わなかったんだ?」

「この刀は迷いがある相手じゃないと切れないんですよ」

 

 そう言うとその刀を鞘から出した。使っていた刀に比べると少し短い。

 

「迷いがある者を切ればそれを断つ事ができますが、でもアムロさんには迷いがなかったんです」

「なるほど。いつか俺にも迷いがでたら切ってくれ」

 

 妖夢は困った顔をしていたが「分かりました」と言った。

 

 

「幻想郷を探検してみれば?」

 

 妖夢との一戦が終わった後、休んでいたのだがやることも無く暇にしていたら紫さんに呼ばれたのだ。

 

「今は異変も起こってないんだし、少しリフレッシュした方がいいわよ。それに貴方は当分この幻想郷にいるのだから少しでも知らないと」

「そう……ですね。いろんなところにいてみたいです」

 

 始めての土地というのは興味があるし、ちょうどいい機会だ。気の合う友人もできるかもしれないからな。

 

「分かったわ。私が『スキマ』を開くから入れば幻想郷のどこかに行くわ。その前に……」

 突然、紫さんが言葉を濁す。

 

「もし、さっきみたいな異変が起きたら……助けてほしいの。この幻想郷のみんなを」

「大丈夫です。俺は・・・・・・・護ります。まだ知らない事も多いし、どんな人や妖怪がいるか分かりません。でも、あなたたちを見てると安心します。人でも妖怪でも分かりあえるって思えるんです。だから俺が護るっていうのは「俺自身の意志」です」

 

 みんな分かりあえる。あの時みたいに敵味方関係なく、助け合えると。

 

「ありがとう。私も付いていきたいけど身体の調子が悪いのよ……さて、そろそろお行きなさいな」

「はい……何かあったら連絡ください。それでは」

 

 俺は『スキマ』に入ると紫様を見た。一瞬背後に何かいたような・・・・・・言おうとした瞬間、『スキマ』は閉じた。そして光の方向へ進む。

 

「さて、がんばろうか」

 

 やがて光に近付き、『スキマ』を出た。

 


 
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