No.406227

ACE学園 第6話『終焉を継ぐ者と覇王のビギンズナイト』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-10 20:40:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:895   閲覧ユーザー数:889

「ずっと疑問に思っていたんだが、」

 

「何だ、レイ?」

 

 

高等部の図書室で士樹とアインハルト、レイとヴィヴィオが読書を楽しんでいると、レイが話を切り出した。

 

 

「士樹とアインハルトって、どんな風に出会ったんだ?」

 

「ああ、そのことか」

 

「あの時は、関係各所が驚愕したよね。だって、いつの間にか付き合っていたんだから」

 

 

レイの問いに士樹が応答し、ヴィヴィオが当時の状況を語る。

 

 

「確か、高町家に居候して3年後のあの時だったな。僕とアインハルトが仲良くなったのは」

 

 

士樹はアインハルトとの出会いの話を語り始めた。

 

 

 

★★★★★

 

 

あれは、ヴィヴィオやリオ、コロナと練習場にストライクアーツをやりに行った時だったな。

 

僕は、リオと組み手をして汗をかいた後、スポーツドリンクを飲みながらヴィヴィオ達を探していた。

 

 

「士樹さん、なかなかやりますね」

 

「ガンナーといえど仮面ライダーは近接スキルが必須と言って過言じゃないし、近づかれたら終わりっていうのは余りに情けないからね」

 

「攻撃よりも受け流すことに重点を置いているのは、それが理由なんですね」

 

「そうだよ」

 

 

首にタオルをかけながら目を輝かせるリオと話をしながら僕達はヴィヴィオ達と合流するために足を進めていた。

 

その時、ある少女が目に入り、足を止めた。

 

蒼と紫の虹彩異色に長い壁銀の髪、それと華奢な体が特徴的な少女だった。

 

その前にいるのは、同い年ぐらいの男子だった。

 

どうやら、これから組み手をするようだ。

 

 

「中等部1年のアインハルト・ストラトスさんだよね、あの人。狙っている男子はけっこう多いって聞くけど、格闘技をやっているとは知らなかったなぁ」

 

「アインハルト・ストラトス…」

 

 

リオに言われるまでもなく、当時隣のクラスだったその少女のことを僕は知っていた。もちろん、思いを寄せる男子がいることも知っているし、僕自身も「Yes」か「No」かと聞かれれば、「Yes」よりだ。無口で何を考えているのか分からないけど、憂いをおびたその少女のことがとても気になっていた。

 

そんなことを考えている内に2人の組み手が始まった。その様子に僕は心を奪われた。アインハルトの動きは、華奢な見た目には似合わずに力強く、舞のように美しく、思わず見惚れてしまった。ぼーっとしている間に組み手は、ストラトスさんが相手の腹部に拳をめり込ませて終わった。

 

 

「すごいね、あの人。相手の男の子、そこそこ名の知れた人だったんだよ」

 

「あ…あぁ」

 

 

直後にリオが話しかけてきても生返事しか出来なかったことをよく覚えている。組手を終えたストラトスさんはこっちに向かって歩いてきた。何か物足りなさそうな顔をしながら…。一瞬、僕とストラトスさんの目があった。少し見つめ合った後、ストラトスさんは顔を赤くして早足で立ち去っていった。なんだか、それが寂しい気がした。

 

 

 

★★★★★

 

 

組み手を終えた後、私は心臓が止まりそうになりました。だって、密かに恋い焦がれていた仮面ライダーの前杉さんと目があったのですから。あの人は気づいていないようですが、この間私が天使の輪を持った怪人に襲われた時に助けてもらっているんです。

 

少し見つめ合った後、恥ずかしくなって早足で立ち去り、先ほどのことを考えないようにしながら廊下を歩き、人気のないところにあるベンチに座りました。

 

それに、たとえどれだけ恋焦がれようとも私が彼と結ばれることはない。だって、彼の周りには魅力的な人達がたくさんいるのですから。

 

 

「はぁ…」

 

 

まだだ。まだ力が足りない。この程度じゃ……

 

 

「何かを守ることは出来ない」

 

 

私がため息をつくと、予想もしていなかった声が聞こえてきました。

 

 

「それが、さっきから物足りなさそうな顔をしている理由か?」

 

「!?」

 

 

なぜ前杉さんがここに…?

 

 

「それは、ストラトスさんがほっておくと何かとんでもないことをやらかしそうな感じがしたからさ」

 

 

っ!? この人はどうやって私の心を!?

 

 

「経験と勘だよ」

 

 

彼はそう言って私の近くに座りました。

 

 

「ストラトスさんが何で力を求めるのか僕には分からない。だけど、これだけは言える。どんなことがあったとしても君は君以外の何者でもない」

 

「前杉さん…」

 

「さっきの試合も見ていたけど、とても美しかったよ。また見てみたいな」

 

 

前杉さんはにっこりと微笑みながら私にそう言いました。美しかった…。思いもよらない言葉で私の頭はパニックになりました。それでも言葉を返そうと必死に頭を振り絞り、ようやく発することが出来ました。

 

 

「前杉さん!!」

 

「何?」

 

「私と、

 

 

 

付き合ってください!!!」

 

 

何言っているんですかぁああああああ、私は!? ほら、前杉さんも呆然としているじゃないですか!?

 

 

「い、今のは『いいよ』えっ!?」

 

 

い、今なんと言いましたか!?

 

 

「君からの告白にOKと僕は返したんだよ、ストラトスさん」

 

「ほ、本当に私なんかでいいのですか?」

 

「もちろん。君が相手ならこっちからお願いしたいくらいだ」

 

 

それを聞いて、私の意識は遠のいていきました。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「それから、少しずつ仲良くなって、互いを呼び捨てにするようになったんです」

 

「あれからしばらくたった時の保健の授業の後は大変だったな?いきなり顔を赤くして公衆の面前で『私と子供を作ってください』って言ったからクラス中が沈黙に包まれたよ」

 

「あの後、現実を受け止められないアインハルトさんのファンクラブが士樹に襲い掛かったりしたよね」

 

「大変だったんだな…、お前も」

 

 

2人が出会いについて話し終わった後、4人はそれぞれにリアクションを取る。

 

 

「アインハルトも最初の頃は初々しかったけど、はやてさんが変な知識を次々と仕込むせいでR18な方向へとどんどん積極的になっていったな」

 

「今の私は嫌いですか、士樹?」

 

「いや、むしろ大好きだよ」

 

「士樹…」

 

「アインハルト…」

 

 

2人は甘い雰囲気を出しながら互いに顔を近づけ、キスをしようとする。

 

 

「公共の場所でそんなことをするな、このバカップルが!雰囲気が甘すぎるんだよ!!」

 

「そうだよ、ヴィヴィオもTPOをわきまえてほしいな」

 

「? 恋人なら普通だと思うけど…」

 

「そうですよ、2人とも。これは、普通です」

 

「駄目だ、こりゃあ」

 

「そうだね」

 

 

士樹達のバカップルぶりにもう1組のカップルは呆れるばかりであった。

 

 

 


 
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