No.405705

ACE学園 第3話『クッキングハザード/Aの降臨』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-09 21:25:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1135   閲覧ユーザー数:1131

仲村ゆりが率いる死んだ世界戦線。

その部室ともいうべき場所では、皆が思い思いに遊んでいた。

 

「ほう。貴様、なかなかやるな」

「あなたも結構うまいわね」

 

複数あるテーブルの1つでは、生徒会と兼任している直井(なおい) 文人(あやと) と同じく生徒会所属だが、戦線には属していない立華(たちばな)(かなで)がオセロをしていた。

 

「しかえしマスに止まったからレイに10万請求するよ」

「お前、それがクラスメイトに対してやることか…」

「あはは、士樹は昔からえげつないところあるよね」

 

士樹は同級生のアインハルトに風凪レイ、同じ家に住んでいる中等部2年のヴィヴィオと人生ゲームをやっていた。

 

「次は、私の番ですね」

 

アインハルトがルーレットを回して駒を進める。

アインハルトの駒が止まった場所は、先ほど士樹の駒が止まったしかえしマスだった。

 

「私は、しかえしマスに止まったので10万を士樹に請求します」

「でも、この場合は、アインハルトさんが士樹に追突してるから、実際に払う金額は8万だね」

「せっかく手に入れたのに…」

 

士樹は名残惜しそうに8万をアインハルトに手渡す。

 

「次は、俺のターンだな」

 

レイがルーレットを回そうとした時、部屋の扉が静かに開かれた。

そこから死んだ世界戦線の最古参である日向秀樹が力なく入ってきた。

 

「あれ? 日向君、どうしたの?」

 

心配した大山が近づいた瞬間、日向は突然白目をむいて大山に襲い掛かった。

 

「うわあぁぁぁぁ!!!」

「大山!」

 

藤巻が叫ぶが、大山は日向に組み伏せられてしまった。

 

「日向、何をしているんだ!?」

 

音無が背後から日向に取り付いて大山から引き離す。

 

「大山、無事か!?」

 

藤巻が大山に駆け寄ってしゃがみ、大山の様子を確認する。

大山は藤巻には返事をせず、静かに立ち上がった。

その目は、日向と同じように白目をむいていた。

 

「大山!!」

 

藤巻に襲い掛かろうとしていた大山の頭部に青い光弾が直撃し、昏倒させる。

ほぼ同じタイミングで音無に抑えられていた日向にも魔力矢が直撃し、意識を失わせた。

音無と藤巻は、2つの閃光が飛来してきた方向を見た。

そこには、アクエリアスドライバーを構えた士樹とレイがいた。

 

「藤巻、大丈夫か?」

「すまねぇな、士樹」

「復活して襲われたら大変なことになったら大変だわ。松下君、TK、2人を縛ってくれる?」

「分かった、ゆりっぺ」

「OK」

 

松下とTKがゆりの命令でロープを持って日向達に近づいていく。

 

「2人がいきなり襲い掛かってくるなんて…、いったい何があったの?」

 

その時、警報が鳴り響いた。

 

『全ての学校関係者に伝えます。現在、高等部校舎内を中心として次々と人々が狂暴化していってます。発生源は食ど』

 

放送は、何かが暴れるような音と共に中断された。

 

「放送室もやられたみたいですね」

「そのようね」

 

アインハルトと奏が部屋にいたみんなに事実を認識させる。

 

「ゆりっぺ、いったいどうすれば良いんだ?」

 

第2話でこの小説が始まって以来の最速で退場した野田が、リーダーのゆりに解決案を求める。

士樹は対策を考え続けていた。

 

(ルルーシュの[森羅万象を無に還すギアス]でゾンビを片っ端から元に戻すのは…、いや、さっきの放送を聞く限りとてもあいつ1人で捌ききれる数とは思えない。だとすれば、)

 

士樹は自分の考えが実行できるかどうか確かめるため、ゆりの側にいる女の子に声をかけた。

 

「遊佐、地下にある科学研究ギルドへのルートは生きているか?」

「今のところ大丈夫です」

「科学研究ギルド…、そういうことね!!」

 

遊佐は淡々と状況を伝え、ゆりは士樹が何を考えているのか分かったようだ。

 

「科学研究ギルドの科学者にワクチンを用意してもらって、ゾンビ化した人々を元に戻すのね?」

「そうだ」

「事故現場である食堂も押さえるべきです。編成はどうしますか?」

 

高松が新たに案を出し、必要事項を述べる。

 

「そうね。食堂を制圧するA班はレイ君にヴィヴィオさん、科学研究ギルドに行くB班は士樹君にアインハルトで頼むわ。残りは、一般人の救助よ。異論はある?」

 

皆は声に出さず、頷いて肯定する。

 

「それじゃあ、オペレーション・スタート!」

 

後に「クッキングハザード」と呼ばれるゾンビ発生事件。

その解決に少年達が動き出した。

 

 

 

★★★★★

 

 

ギルド連絡通路B2。

まるでゲームに出てくるダンジョンのようなそこを士樹達は順調に進んでいた。

 

「この辺りは、まだ大丈夫みたいだな」

「油断は禁物ですよ」

「分かってるよ、アインハルト」

 

状況が状況なので士樹とアインハルトは辺りを警戒しながら進む。

その時、何かの足音が聞こえてきた。

2人は互いに背中を合わせて臨戦態勢に入る。

迫る足音と共に横の通路から出てきたのは、大学部の海堂直也が変身するスネークオルフェノク、音楽担当の教師が変身するフロッグファンガイアだった。

2人は、士樹達の姿を見るといきなり襲いかかってきた。

 

「ちぃっ! 例の病原菌は怪人にも効果があるのかよ!」

 

迫りくる怪人に対抗するため、士樹は1枚のカードを取り出してアクエリアスドライバーに挿入し、銃身をスライドさせた。

 

≪KAMEN RIDE≫

 

士樹は銃口を正面にいるフロッグファンガイアに向けながら引き金を引く。

 

「変身!」

≪AQUARIUS≫

 

銃口から出現した複数のシルエットは士樹と重なり、その姿を変える。

胸元と両肩にある蒼いバーコード状の装甲にこれまたバーコードを差し込んだかのような特徴的な水色の複眼を持つ頭部、接近戦を考慮して動きを阻害しない程度に装甲を付けられた腕部を持つ仮面の銃士。

それが、士樹が変身する仮面ライダーアクエリアスの姿である。

 

「武装形態」

 

アインハルトも陣羽織を彷彿とさせる騎士甲冑を身にまとう。

変身を完了した士樹はふろっぐファンガイアに銃を向け、アインハルトはスネークオルフェノクに殴りかかった。


 
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