No.405404

緋弾のアリア 白銀の夜叉

赤井修也さん

恋人を失い、誰も信じられなくなった主人公がアリアたちとのふれあいで本当の強さを得ていく。

2012-04-09 08:51:50 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1688   閲覧ユーザー数:1642

            第一話 仲間を求める緋色の少女と白銀の少年

 

 

 

 俺を睨む俺の愛する女・・・その目には憎しみと悲しみが含まれているのが楽に分かる。 そしてあいつは俺を銃弾と超能力で貫く。 痛みを感じるが、それは夢だと分かった。 いつ見ても嫌な夢だぜ・・・ 学校に行くには早すぎるので俺はシャワーを浴びる事にした。 胸には貫かれた傷がまだ残っている。 体の傷はいずれ消えるだろうが心には一生残るだろう。 あいつは本来天草宗家の人間が受け継ぐものを受け継いだとかいう事で、たくさんの人間に疎まれて強い力を恐れられて不良グループのリーダーにまでなる程荒れてた俺の傍に来てくれた。 そして、小さい頃に死んだお袋や爺さんのように俺を受け入れてくれた。 そして二人で一緒にチームを組み、そして一緒に生きていこうと誓った。 だが、俺にとっては夢のような時間は終ってしまった。 あいつに化けた何者かが俺に襲い掛かってきたのだ。 なんとか避けて本物のあいつの無事を確認しようとした矢先に本物のあいつに貫かれちまった。 俺はあいつが死んだことを聞かされると同時にあいつを襲った犯人として大阪武偵高校の奴らに扱われた。 幸い俺の身の潔白は証明されたがな。 そして俺は思い知った。 武偵憲章一条 『仲間を信じ、仲間を助けよ』なんざ所詮綺麗事。 俺は誰も信用しねえ! だけど何故か・・・

 

   「もう一度、誰かを信じ愛せるようになりたい」

 

 その思いが一人でここにやってきてからも消えなかった。 そして、ある女の事を知ってさらにその思いは深まった。 寮には実家から付けられた執事もいるが、信用はしてねえから洗濯しか頼んでねえ。 実家に帰れと言うがそれでもしぶとく残るためしぶしぶ寮に置いてやっている。 自分で飯を作って食い、俺は寮を出た。

 

 

 

      アリアSIDE

 

 あたしのママはイ・ウーという組織に罪を着せられ、事実上の終身刑がもう確定している。 絶対にイ・ウーの奴らを全員逮捕してママを助ける! そう決心したのに・・・何なのよ、このもやもやした気持ちは。 不安? バカじゃないの? 九十九回犯罪者を連続で一発逮捕してきたあたしが? 気のせいよ。 そう思おうとしてもこのもやもやした気持ちは日本に来てから消えなかった。 そんな時、あたしはふと『パートナー』という苦い言葉を思い出した。 知っての通りあたしの曽お爺様、シャーロック・ホームズ一世にはジョン・H・ワトソンという優秀なパートナーがいた。 このことからホームズ家では『パートナー』を見つけることが定められ、彼らがいることで一族の力を最大限に出せると語り継がれてきた。 でも、あたしはいつまでも作れない上に卓越した推理力を持っていなかったから『欠陥品』、いない者として扱われてきた。 ママの最高裁も近い。 何とか今のうちに最近話題になってた『武偵殺し』だけでも捕まえたい! あたしは一人でも十分戦えるけどパートナーはあたしに合わせられなきゃ話にならない。 それにまだ・・・『パートナー』という言葉があたしには重い。 だけど、まずは相手に求める力のハードルを下げて自分の意のままになる「奴隷」として仲間を手に入れよう!  あたしに合わせられる力を持つ奴はどこにいるのよ・・・ そう思って武偵高への道を歩いていたあたしはかなり驚くべきものを見た。 ちょっと整った顔たちで男の癖に背中まである銀髪の生徒がビルとビルの間をステップでもするかのように跳んでいたのだ。 それを見たあたしはあいつは使えるかも。 どんな武偵なのかしらと思った。

 

 

 

SIDEOUT

 

 俺が武偵高に着いてトレーニングを終えた後ふと校門の方を見ると何やら窃盗団による騒ぎがあったのをあの女、アリアが鎮めていた。 いつ見ても手際がいい奴だぜ。 俺は強襲科(アサルト)の授業で射撃訓練をしていた。 俺の銃は357SIG弾という弾を使うからなかなか反動が大きくてそのへんの武偵にゃ扱いきれねえ代物だ。 どこかで音が聞こえてきた。 誰かが担任の蘭豹(ランピョウ)に怒られてんだろ。 あの先公とは一度、模擬戦をした事があったが、あいつギリギリで引き分けに持ち込めたくらい強かったな・・・ ん?なにやら俺とは反対側でガバを撃ってるアリアに九割五分、俺に五分って具合で視線を感じるな・・・

 

 俺の中距離射撃訓練の結果は二位。 ちなみに一位はアリアだそうだ。 俺は銃技も得意と言っちゃ得意なんだが近接戦ほどじゃねえ。 溜息をつきながら帰ろうとすると、栗色の髪をした短いツインテールのチビな女が「アリア先輩と同じ強襲科で戦姉妹(アミカ)契約したいんだもん」とか言っていた。 あいつはアリアとの戦姉妹志望者か。 まあ、審査基準はあいつのことだから極めて厳しいだろうな。 するとチビ女のダチらしい金髪で長身の女が「なんなら近接戦技あたしが教えてやろうか?」とか言う。 だが「ライカは馬鹿でHだからやだ」と言い返される。 金髪の女はライカっていうのか。 だがライカは「馬鹿はそっちだろーが! アリア先輩は強襲科のトップ! お前はビリ! 組むどころか口をきけるチャンスすらねーんだよっ」とか言った。 まあ普通はそうだろうが・・・ すると黒髪ロングのお嬢さんっぽい、これまたチビ女のダチらしい女が「そうですよ、あかりさん。 人には適正や・・・身の程というものがあるのですよ」とか言うとチビ女は更に落ち込んだような面をした。 チビ女はあかりっていうのか。 にしてもダチの言葉は気に入らねえ! 少し焼きを入れてやる! そう思った俺はあかり達の方へ駆け寄った。

 「おい、あかりっていったな。 まだ試験すら受けてねえのに、ダチの言葉くらいで簡単に諦めようとしてんじゃねえよ! 勝負ってのはやってみるまで分からねえもんだろが。 それからあかりのダチ二人! てめえらもダチがあんなに真剣になってるってのに、それを応援してやろうとか思わねえのかよ!」

 「だ、誰なんですか? あなたは・・・」俺の様子に怯えるあかり。 一方ライカは「ええっ!? あなたひょっとして、天草竜也先輩じゃないっすか? アリア先輩と唯一互角以上に戦える実力を持つっていうあのSランク武偵の!」と驚いていた。 あかりは俺がアリアと互角以上に戦える実力を持つという話を信じられないというような顔で聞いていた。

「まあな。 それよりあかり。 おめえの希望を、先輩は聞いてくれるようだぜ」と俺は言ってある木の上を見上げた。 そこには当のアリアが立っていて、

「竜也って奴のいう通りよ。 あたしは、チャンスは誰にでも平等に与えられるべきだと思っている。 武偵は常在戦場、もしあたしが敵なら・・・頭に風穴が開いていたわよ! 間宮あかり! 戦姉妹を賭けて、あたしと勝負よ!」

 へえ、んじゃ俺は高みの見物とさせてもらうぜとばかりに俺は退く。 あかりはアリアにのされていた。 まあ当然と言えば当然だがな。 アリアは校門から校外へと駆けていく。 さしずめ、試験形式は『エンブレム』か。 追いかける前のあかりをダチが励ます。 いい奴じゃねえか。 俺はあかりも校外へ出た後、アリアに追いつくためにアリアの匂いを探す。 俺は鼻が利くからある程度の鑑識ならいける。 俺はアリアの匂いを見つけるとビルとビルの間をジャンプしてアリアに追いついた。 「天草竜也だっけ。 あんたどうやってここまで追いついたのよ?」と聞くアリアにビルとビルの間を飛ぶうちにおめえを見つけたんだよと答えた。 超偵かと聞かれたのでそうではあるがこれは俺の身体能力だと答えたらアリアはちょっとぽかんとした顔をした。 だがすぐに立ち直り、俺に自分にもあかりにも味方するなと言った。 分かってるよ。 

 

 そんなこんなしてるうちにあかりがアリアに追いついたのはレインボーブリッジの上。 根性あるじゃねえかと思ったが足が震えている。 これは無理ねえな。 下でやってくれというあかりを無視してアリアは「邪魔が入ったみたいだけどタイマーは止めないわよ。 それがルールだから」、「あんたはそこでおとなしくしてなさい」と言ってワイヤーを使って降りていった。 あれは今朝の窃盗団じゃねえか! まとめて片付けてやる! 俺もワイヤーを使って下りていく。 降りていく中で、あんたのあたしと互角以上に戦えるっていう実力を見せてもらうわとアリアに言われた。 上等! 車輌科(ロジ)の生徒が襲撃を受けながら救援を要請していた。 「強襲科と狙撃科(スナイプ)の応援を早く!」 

 「「強襲科だけでもいい(か)?」」 俺とアリアはワイヤーで下りながら発砲して犯人グループの武器のいくつかを撃ち落とす。 俺はある程度まで下りるとワイヤーから手を離して空中回転し、アリアとは反対側に着地する。 そして俺は拳銃をしまい、ロッドに持ち替えてロッドの長さを伸ばして突入する。 ロッドで敵を次々に叩いて気を失わせていると犯人の一人が車でアリアをひき殺そうとしていた。 しまった! だが飛んでもアリアを助けるには間に合わねえ! だがそんな状況でいつの間にか下りてきたあかりが助け出した。 大丈夫か!? 心配する俺だがあかりはいた~~い!とは言うが立ち上がった。 こいつ俺並みに体のつくりが違うんじゃねえのか!? 残った犯人は逃げようとするが車のキーはあかりの手の中にあった。 どういうことだ? 

 

 そしてまたアリアとあかりは対峙する。 そんな中アリアはおもむろに「ご褒美に最後のチャンスをあげる。 そのかわり・・・もう一生『無理』とは言わない事。 これは人間の持つ無限の可能性を自ら押し留める良くない言葉よ」と言った。 その言葉を聞いたあかりは覚悟を決めたように「アリア先輩、あたしを襲って下さい。 先輩・・・ずっと逃げてた。 あたしも逃げるアリア先輩とは戦姉妹になりたくありません」と毅然とした声で言った。 いい度胸してんじゃねえか。 「言った事は取り消せないわよ!!」と言い、アリアは突進する。 突進の勢いも加わった突きであかりは海に落ちる。 だが、あかりはエンブレムを取っていた。 すげえじゃねえか! 交錯した一瞬で奪ったってことか。 どういう武術なんだよ。 帰る途中にアリアにやるじゃないと言われ、あかりにも「竜也先輩! ありがとうございます! 竜也先輩が背中を押してくれたおかげで試験に戦姉妹になれました! でも・・・アリア先輩と互角以上に戦えるのは本当だとしてもアリア先輩が負けるのは認められません」と言われた。 「俺は何もしてねえよ。 おめえが頑張った成果だろ。 それに、アリアや俺より強い武偵なんざこの世には星の数ほど居るんだぜ」と言って別れた。 こいつらとなら、きっとまた・・・ そう思いながら俺は眠りに着いた。


 
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