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……ある夢を見た……。
「……腐ってる……この世界は……」
中世的な顔立ちに、中性的な声……。
「斬魄刀は、道具なんかじゃない……」
だけども、その声は、怒りに満ち満ちていた……。
侮蔑と憎しみ、憎悪と嫌悪を入り混じらせて。
「それを、まるで人殺しの道具みたいに……」
刀を握りしめ、体が怒りで震えている……。
周りには魔力が渦巻き、カゲロウみたいになっている……。
「……ああ……潰すよ……クロイツベル一族を……」
そう呟き、そのままそいつは……。
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「んっ……」
目が覚める……。
さっきまで見ていた物が全て曖昧に頭の中で再生される……。
だけど、肝心の部分が抜け落ちてしまって、何の夢を見ていたのか分からなくなってしまう。
「……はぁっ……」
一つ、ため息をつく……。
とにかく、忘れてしまうと言う事は、別段気にも留める必要はないと言う事なのかもしれない……。
「んっ?」
気配を感じたので横を見ると、そこにははやてが居た。
……あー、見舞いですか、ありがとうございます。
「アニス君……」
「あ、おはようはやてちゃん」
「お、おはようやあらへんわ!人を散々心配させおって!そして!起きるなら起きるって言えや!」
「いや、無茶だからそれは……。でも。心配させたのはごめん」
「ホンマにやで。アニス君、いきなり血を思いきり吐いて倒れるから……」
はやてはるゆるゆるとパイプ椅子に座りこむ。
いやぁ、マジで悪い事をした……。
「守護騎士は?」
「シグナムさん達やったら、今日も蒐集や」
「あ、そうなんだ」
まぁ、仕方ないよね。
それにしても、少しだけお腹が減った……あれから何時間寝てたんだ俺?
確かあの時は夕方位だったから……。
俺は時計をちらっと見る。
……12時……過ぎ……。
えっと……12時間以上寝てたな俺……。
「はぁっ……しんどい……」
「大丈夫?」
「あはは、少しきついかも……」
色々とやられている様だ……。
はぁ、気持ち悪い……。
「あ、そうや。はい、これ」
そう言ってはやてが取り出したのはクイーンだった。
持ってきてくれたのか。
「あ、ありがとう。そこに置いといてくれる?」
「分かったで」
はやてはクイーンをいった所に置いてくれる。
それにしても、暇だ……。
「ふぅっ……は~……所でさ、俺が倒れてから何かあった?」
「あ、うん。少しだけな……。みんな、必死になって蒐集しとる。もうアニス君には、時間が無いんやて……お医者さんも言っとった……このままだと死んでしまうって……」
「そう……」
やっぱり、後は守護騎士任せって事か……。
もう、自分が何かしたいと思えるほど、余裕がなくなってしまった……。
「あー……何かホントにごめんね?迷惑掛けちゃって」
「ううん、全然気にしてんって。それに、うちが足動けん時もたくさんアニス君に迷惑かけてもうたし。お互いさまやで」
「そう……ありがとう」
「どういたしまして」
はやてはニコッと笑ってそう返してくれる。
ふぅ……さて、どうしたものかな。
もう少しで蒐集は完了するんだろうけど……何か嫌な予感がする。
フラグとかそんなんじゃなくて、マジで嫌な予感……。
はぁっ……嫌だなぁ、イレギュラーとかはマジで……。
結構今の状態で起きたら対処できないしね……。
「さて、アニス君も無事目を覚ました事やし。うちは家に戻るで」
「あ、そう?もしかして、ずっと見てた?」
「朝の九時くらいからずっと」
「お疲れ様です……」
「ええって。眠ってるアニス君見てるの、面白かったし」
「……悪戯してないよね?」
「……さぁ……どうやろうな?」
えっ、何その含み笑い……。
意味深すぎて怖いんですけど……。
「冗談やて冗談。病人にナニするつもりはないって」
「はやてちゃんだったら普通にしそうだから怖いんだよ……」
「そうかな?ほな、ウチは行くで?」
「うん、またね~」
手は振れないので声のみで見送る。
辛いねぇ……。
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「「「「こんにちわー」」」」
夕方。
学生はもう下校時間なのか、病室も窓からもちらほら制服を来た学生が歩いていた。
そしてここにも学生が……。
「何故俺が入院した事分かったし……」
「はやてちゃんに聞いたんだ」
「それで?久しぶりに会ったのに、久々の再開がまさか病院とわね」
「しょ、しょうがないよアリサちゃん」
「久しぶり、アニス」
来たのはなのは、フェイト、アリサ、すずかの四人だ。
うむ、久しぶりに会ったよ。特にアリサとすずか。
「体調はどう?」
「うん、何とか元気だよ」
「そう、良かった」
「全く。あんたも体弱いわねぇ。カルシウム取りなさいカルシウム!」
「あ、アリサちゃん。失礼だよ……」
ま、全く……このツンデレ少女めが……。
と言うか、この子に俺の状態言ってないんだこの子ら……。
いや、まぁ良いんだけどね……。
「あはは、手厳しいね相変わらず」
俺は思わず苦笑してしまう。
まぁ、これがアリサか。
「はやてちゃんは来てないの?」
「はやてちゃんは昼過ぎに帰っちゃったんだ。俺が目を覚ましたからって」
「そう……」
「アニスが無事でよかったよ……。あ、お母さんも姉さんも心配してたよ」
「マジですか……悪い事しちゃったなぁ……」
特にプレシア……。
あの人結構心配性だからなぁ……。
「何々?アニス、フェイトのお母さんに会った事あるの?」
「へっ?う、うん……」
「へぇ~……じゃあ、フェイトはもう自分の親にアニスを紹介したのね」
「しょ、紹介なんて……そんな……」
フェイトが顔を赤くしてしまった。
お前は何を言っているんだ……。
「それは無いからね?アリサちゃん」
なのはが笑いながらそう言うけども。
……黒い……色々と……。
「なのはちゃん達は学校帰り?」
「そうなんだ。今日みんなで話し合って、皆でアニス君のお見舞いに行こうって事になって」
笑顔を浮かべながらそう言ってくれるすずか。
マジ天使……。
「なのはとフェイト。アニスが倒れたって聞いて、ずっと暗い顔してたんだから」
「あ、アリサちゃん!」
「あ、アニスの前でそんな……」
「だって、ホントの事じゃない?まったく、アニスはモテモテね?」
「あはは、もしかして皮肉ですか?」
とまぁ……。
こんな感じでみんなと雑談したのだった。
そして、なのは達は五時くらいまで居て、帰ってしまった。
また一人の時間が来る。
……頑張ろう……。
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明後日から三年生だ……めんどくせぇ