No.404377

死にたがりの第九十話 頑張らないと……

明後日から三年生だ……めんどくせぇ

2012-04-07 20:34:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2481   閲覧ユーザー数:2390

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……ある夢を見た……。

 

 

「……腐ってる……この世界は……」

 

 

中世的な顔立ちに、中性的な声……。

 

 

「斬魄刀は、道具なんかじゃない……」

 

 

だけども、その声は、怒りに満ち満ちていた……。

侮蔑と憎しみ、憎悪と嫌悪を入り混じらせて。

 

 

「それを、まるで人殺しの道具みたいに……」

 

 

刀を握りしめ、体が怒りで震えている……。

周りには魔力が渦巻き、カゲロウみたいになっている……。

 

 

「……ああ……潰すよ……クロイツベル一族を……」

 

 

そう呟き、そのままそいつは……。

 

 

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「んっ……」

 

 

目が覚める……。

さっきまで見ていた物が全て曖昧に頭の中で再生される……。

だけど、肝心の部分が抜け落ちてしまって、何の夢を見ていたのか分からなくなってしまう。

 

 

「……はぁっ……」

 

 

一つ、ため息をつく……。

とにかく、忘れてしまうと言う事は、別段気にも留める必要はないと言う事なのかもしれない……。

 

 

「んっ?」

 

 

気配を感じたので横を見ると、そこにははやてが居た。

……あー、見舞いですか、ありがとうございます。

 

 

「アニス君……」

 

 

「あ、おはようはやてちゃん」

 

 

「お、おはようやあらへんわ!人を散々心配させおって!そして!起きるなら起きるって言えや!」

 

 

「いや、無茶だからそれは……。でも。心配させたのはごめん」

 

 

「ホンマにやで。アニス君、いきなり血を思いきり吐いて倒れるから……」

 

 

はやてはるゆるゆるとパイプ椅子に座りこむ。

いやぁ、マジで悪い事をした……。

 

 

「守護騎士は?」

 

 

「シグナムさん達やったら、今日も蒐集や」

 

 

「あ、そうなんだ」

 

 

まぁ、仕方ないよね。

それにしても、少しだけお腹が減った……あれから何時間寝てたんだ俺?

確かあの時は夕方位だったから……。

 

 

俺は時計をちらっと見る。

……12時……過ぎ……。

えっと……12時間以上寝てたな俺……。

 

 

「はぁっ……しんどい……」

 

 

「大丈夫?」

 

 

「あはは、少しきついかも……」

 

 

色々とやられている様だ……。

はぁ、気持ち悪い……。

 

 

「あ、そうや。はい、これ」

 

 

そう言ってはやてが取り出したのはクイーンだった。

持ってきてくれたのか。

 

 

「あ、ありがとう。そこに置いといてくれる?」

 

 

「分かったで」

 

 

はやてはクイーンをいった所に置いてくれる。

それにしても、暇だ……。

 

 

「ふぅっ……は~……所でさ、俺が倒れてから何かあった?」

 

 

「あ、うん。少しだけな……。みんな、必死になって蒐集しとる。もうアニス君には、時間が無いんやて……お医者さんも言っとった……このままだと死んでしまうって……」

 

 

「そう……」

 

 

やっぱり、後は守護騎士任せって事か……。

もう、自分が何かしたいと思えるほど、余裕がなくなってしまった……。

 

 

「あー……何かホントにごめんね?迷惑掛けちゃって」

 

 

「ううん、全然気にしてんって。それに、うちが足動けん時もたくさんアニス君に迷惑かけてもうたし。お互いさまやで」

 

 

「そう……ありがとう」

 

 

「どういたしまして」

 

 

はやてはニコッと笑ってそう返してくれる。

ふぅ……さて、どうしたものかな。

 

 

もう少しで蒐集は完了するんだろうけど……何か嫌な予感がする。

フラグとかそんなんじゃなくて、マジで嫌な予感……。

 

 

はぁっ……嫌だなぁ、イレギュラーとかはマジで……。

結構今の状態で起きたら対処できないしね……。

 

 

「さて、アニス君も無事目を覚ました事やし。うちは家に戻るで」

 

 

「あ、そう?もしかして、ずっと見てた?」

 

 

「朝の九時くらいからずっと」

 

 

「お疲れ様です……」

 

 

「ええって。眠ってるアニス君見てるの、面白かったし」

 

 

「……悪戯してないよね?」

 

 

「……さぁ……どうやろうな?」

 

 

えっ、何その含み笑い……。

意味深すぎて怖いんですけど……。

 

 

「冗談やて冗談。病人にナニするつもりはないって」

 

 

「はやてちゃんだったら普通にしそうだから怖いんだよ……」

 

 

「そうかな?ほな、ウチは行くで?」

 

 

「うん、またね~」

 

 

手は振れないので声のみで見送る。

辛いねぇ……。

 

 

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「「「「こんにちわー」」」」

 

 

夕方。

学生はもう下校時間なのか、病室も窓からもちらほら制服を来た学生が歩いていた。

そしてここにも学生が……。

 

 

「何故俺が入院した事分かったし……」

 

 

「はやてちゃんに聞いたんだ」

 

 

「それで?久しぶりに会ったのに、久々の再開がまさか病院とわね」

 

 

「しょ、しょうがないよアリサちゃん」

 

 

「久しぶり、アニス」

 

 

来たのはなのは、フェイト、アリサ、すずかの四人だ。

うむ、久しぶりに会ったよ。特にアリサとすずか。

 

 

「体調はどう?」

 

 

「うん、何とか元気だよ」

 

 

「そう、良かった」

 

 

「全く。あんたも体弱いわねぇ。カルシウム取りなさいカルシウム!」

 

 

「あ、アリサちゃん。失礼だよ……」

 

 

ま、全く……このツンデレ少女めが……。

と言うか、この子に俺の状態言ってないんだこの子ら……。

いや、まぁ良いんだけどね……。

 

 

「あはは、手厳しいね相変わらず」

 

 

俺は思わず苦笑してしまう。

まぁ、これがアリサか。

 

 

「はやてちゃんは来てないの?」

 

 

「はやてちゃんは昼過ぎに帰っちゃったんだ。俺が目を覚ましたからって」

 

 

「そう……」

 

 

「アニスが無事でよかったよ……。あ、お母さんも姉さんも心配してたよ」

 

 

「マジですか……悪い事しちゃったなぁ……」

 

 

特にプレシア……。

あの人結構心配性だからなぁ……。

 

 

「何々?アニス、フェイトのお母さんに会った事あるの?」

 

 

「へっ?う、うん……」

 

 

「へぇ~……じゃあ、フェイトはもう自分の親にアニスを紹介したのね」

 

 

「しょ、紹介なんて……そんな……」

 

 

フェイトが顔を赤くしてしまった。

お前は何を言っているんだ……。

 

 

「それは無いからね?アリサちゃん」

 

 

なのはが笑いながらそう言うけども。

……黒い……色々と……。

 

 

「なのはちゃん達は学校帰り?」

 

 

「そうなんだ。今日みんなで話し合って、皆でアニス君のお見舞いに行こうって事になって」

 

 

笑顔を浮かべながらそう言ってくれるすずか。

マジ天使……。

 

 

「なのはとフェイト。アニスが倒れたって聞いて、ずっと暗い顔してたんだから」

 

 

「あ、アリサちゃん!」

 

 

「あ、アニスの前でそんな……」

 

 

「だって、ホントの事じゃない?まったく、アニスはモテモテね?」

 

 

「あはは、もしかして皮肉ですか?」

 

 

とまぁ……。

こんな感じでみんなと雑談したのだった。

 

 

そして、なのは達は五時くらいまで居て、帰ってしまった。

また一人の時間が来る。

 

 

……頑張ろう……。


 
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