No.403213

劇場版仮面ライダーゲイザー~受け継がれし天使と悪魔の力~ EPISODE2

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-05 20:23:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:942   閲覧ユーザー数:942

昔、ある星に人々には知られていない天使の国があり、そこに最強と名高い少女がいました。

 

その少女は見た目は可憐で華奢ですが、並の兵士を圧倒する体術と剣術がありました。

 

その頃、特に大きな争いがあるわけでもなく天使の国は平和でした。

 

しかし、その平和は長くは続かなかったのです。

 

天使の存在と力を知り、その存在を危ぶんだ人間達がその身を人ならざる存在悪魔へと作り変える禁断の秘法を使い、天使達を殲滅しようとしました。

 

少女達はほかの天使達と共に悪魔の如き所業を行う人間達から国を守るべく剣を手に取り、幾多の戦場を駆けました。

 

その戦いはとても激しく、多くの人達が散っていきました。

 

そこで、少女は現状に苦しみながらももがいている1人の心優しい青年剣士と出会いました。

 

青年は人間達の中でも剣に優れており、少女を技と速さの剣士とするなら青年は力の剣士でした。

 

高い戦闘力を持つ2人の戦いは並の兵士では視認することも難しいほどのレベルでした。

 

2人は己の全てをぶつけて戦っている内に互いを理解し、愛し合うようになっていきました。

 

2人が自らの立場と恋心の狭間で苦しんでいる間に人間達の軍が天使達の一部を虐殺しました。

 

それに反発した青年は軍を離反し、撤退する天使達を守るべく果敢に戦い、少女も青年を支えるべく戦列に加わりました。

 

その甲斐あって天使達は無事に帰ることが出来ましたが、少女は帰れなくなり、青年と暮らすことにしました。

 

その後、青年と少女は1人の男の子を授かりました。

 

 

★★★★★

【天上学園・戦線本部】

 

「というのが、本人達が聞かせてくれた父さんと母さんのなれそめだ」

 

刹那達の加勢によって勢いを増した死んだ世界戦線は影を一掃した後、話をしていた。

 

「あの音無が悪魔か……想像できねぇな」

「そうだよねぇ」

「神族や魔族との交流があるってのもあまり実感が沸かないな」

 

青髪の日向に普通としか言いようがない大山、大男の松下が漏らす。

 

「本題の影についてですが、あなたが提供してくれた資料によると現世で少なくとも数回は現れているらしいですね」

「しかも、その影が人間を誘拐していて更に親玉がいるみたいね」

「マジか!?」

「残念ながらもう1つ悪い知らせがある。俺は親玉を追ってここにやってきた。つまり、この世界に親玉がいる可能性はかなり高い」

「おいおい、それは不味いんじゃねぇのか?」

 

メガネの高松に補足するようにゆりが喋り、日向が驚く中、刹那が告げた事にヤクザっぽい藤巻を始めとした戦線メンバーに動揺が走る。

 

「はっ! 昨日今日現れた奴の言うことなんか信用『ゆり、他に話すことはないか?』無視すんなぁぁぁぁぁ!!」

 

黒っぽい髪の野田がハルバードで刹那に斬りかかる。

 

「ガードスキル:ディレイ」

 

刹那は高速移動で野田の斬撃をかわして後ろに回り込み、ライドブッカーⅡの刃を首に突きつけた。

 

「なっ!?」

 

野田はある人物しか使えないはずの力を刹那が行使したことに驚愕した。

 

「今のは!?」

「天使と同じガードスキル!!」

 

日向と大山が目を見開いて刹那を見る。

 

「2人とも、武器を納めて」

 

ゆりの言葉に従い、2人は武器を納めて距離を取った。

 

「今後は、影への対処を優先とし、必ず複数で行動することを義務付ける。会議は、これで終わりよ」

 

ゆりの一声により戦線のメンバーは次々と本部を出ていった。そんな中、音無は刹那に近づいていった。

 

「お前、まだここに来たばかりだろ。俺が案内してやるよ」

「分かった」

 

音無はそう言って刹那の手を掴んで本部を出ていった。

 

「まずは、寮の部屋を確認するぞ。部屋の番号は分かるか?」

「ちょっと待って――305だ」

 

刹那が学ランの胸ポケットにいつの間にか入っていた紙に書かれた数字を読む。

 

「ってことは、俺と相部屋か。よろしく頼むな」

「分かったよ、父さん」

「まずは、校庭の花壇に行くぞ」

「校庭……いったい何故?」

 

初めに案内する場所がなぜ校庭なのかと刹那は頭にクエスチョンマークを浮かべる。

 

「それは、見てのお楽しみだ」

 

音無は何かを企んでいる顔で刹那を校庭へと連れて行った。

 

 

★★★★★

【校庭】

 

「なるほど、これが理由か」

「そういうことだ」

校庭に着いた刹那の視線の先には麦わら帽子を被って草むしりをしている立華奏がいた。

 

「おーい、奏」

「結弦、それに刹那……」

「案内ついでにお前に会いに来たんだ」

「そうなの……。でも、、まだ花壇の世話が残っているから……」

「せっかくだから俺も手伝うよ。ゆりっぺには複数で行動しろと言われてるしな」

 

刹那は奏とは別の花壇に行き、しゃがんで草むしりをする。

 

「仕方ないな」

 

音無も刹那の近くに寄って草むしりをする。しばらくの間草むしりをしていると、音無が刹那に聞いた。

 

「刹那、1つだけ聞いて良いか?」

「何?」

「来世で俺達はどうしている?」

 

音無の質問に刹那の手が一瞬止まったが、また動かし始めた。

 

「……神様ってのは残酷だよ……普通に暮らしていたのにいとも簡単にその幸せを踏みにじっていくのだから……」

「そうか」

 

刹那が沈痛な面持ちで答えたことから来世であまりよくない事態が起こったことを感じ取った。

 

「悪かったな、余計な事を聞いてしまって」

「なぜ謝るの? 普通は慌てふためく場面だと思うんだけど」

「来世とはいえ自分の息子の前でみっともないところをみせられるかよ」

(どこに行っても父さんは父さんと言うことか……普段は母さんを取り合っていたけど、いざという時は頼りになったな……)

 

刹那がしみじみとしていると、奏が無言で刹那に近寄り、頭をなでた。

 

「母さん……」

「辛くなったら私達を頼って……あなたはすぐに帰るかもしれないけど、ここにいる間は助けてあげられるから……」

 

そういうと、奏は刹那から離れてまた花壇の草むしりを始めた。

 

「あいつもやっぱりお前のことを気にしているんだよ」

「そうみたいだな」

「さて、草むしりの続きをするぞ」

(なんか忘れている様な……まあ、いいか)

 

刹那は校舎案内のことをすっかり忘れ、奏に撫でてもらった時の感触を思い出しながら草むしりを続けた。

 


 
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