??SIDE
少女はゆっくりと湯船につかって大きくため息をついた。
「ふぃぃぃ。政務のあとのお風呂は気持ちいいなー♪でも最近案件が多すぎるよ~。私がもう一人いたらなー。ただでさえひとつの案件に時間かけちゃうのに」
ぶつぶつと愚痴を言っているのは蜀王である桃香。
「私このままでいいのかなー」
彼女の心にいまだ残っている華琳の言葉。三国で協定を結びようやく手にした平和。それからの忙しい毎日、民の生活改善や政治のことばかりで余計なことなど考えている暇はなかった。でもこうして一人静かなところにいるとどうしても考えてしまうのだ。その上今処理にすごく悩んでいる案件も一つある。だから本当に気分も落ち込みぎみになってしまう。
「・・・・御使いさんがいたら、違ったのかなあ。会っていたら変われたのかなぁ・・・。会ってお話ちゃんとしたいな~」
御使いさんは天の国に帰ってしまったのだというのを風の噂で聞いた。確かにそのころの魏のみんなは元気がなかった。御使いさんはそれだけ大事な人だったのだということがよくわかった。
「ああっ、もうこんなんじゃダメダメ!」
頭をぐしゃぐしゃと掻いてふと空を見上げると流れ星が流れた気がした。
「私に道を示してくれる人・・・・・うんうん、私たちがもっと成長できるために想いを通わせられるような、そんな人に会いたい!!!」
すがるような気持ちでお願いしていた。
「って、私何言ってんだろ・・・・、もうあがろ」
そう言って立ち上がろうとすると、なにやら流れ星が近づいてきているような気がした、いや近づいてきている。
「ええっ!!!どうしよ、どうしよ」
慌てているうちに流れ星はどんどん近づいてきて、ついには『バッシャァァァン!!!!!』目の前に落ちてきた。そこには不思議な雰囲気の、そうとても不思議な雰囲気の男の人がいた。
一刀SIDE
まずは、落ち着け!!!!状況整理だ!!ここは風呂だ。周りの感じや浸かっているお湯からも判断できる。そして目の前には可愛い女の子だ。・・・・・・うん、とても立派なおっ(ゾクッ) 『ひぃぃ!!』
わからない、わからないけど首筋になにか当てられた感じが、でもこの感覚をなぜか知らないが懐かしいと感じてしまっている自分はおかしくなってしまっているのだろうか。ただ今言えることはこのままでは確実に死ぬということだ。何とかしなければ・・・・・
桃香「(あれ?あの人の視線がやや下を向いている気が・・・・・ハッ)き、きゃぁ『うわわぁぁ』ムググググ・・・・・」
叫びそうになった彼女の口を塞いだ。
一刀「(今叫ばれたら人が来て死ぬ、確実に死ぬ!!)落ち着いて!!怪しいものではない、いったん落ち着いて、そう、俺は君の望みを叶えに来たものなんだ!!(こういっておけば、なにかしらの返答があるはず、すぐには人を呼ばないはず・・・・呼ばないといいなぁー【涙】)」
いきなり女子風呂に入ってきて、仮面をつけて正体を隠しているうえ、いきなり裸の少女の口を塞ぐ・・・・・・どっからどう見ても不審者や犯罪者以外の何物でもない。
桃香「ええっ!!じゃあじゃあ貴方が私の悩みを解決してくれるの!?」
そう言って近づいてくる。
一刀「(うん・・・・・この子天然だ。それもかなりの。というより今状況忘れてるよね!?なんでそんなに密着してくるの!?)そうだよ、それより君の名前は?(とりあえず、話をして気を紛らわせなきゃ!でなきゃ俺の、俺の息子が!!)」
桃香「私のこと知らないの~【涙】ウウー確かに国の王っていう自覚がないってよく言われるけど、実際知られてないと、意外とショックだよ~。」
一刀「いや、俺実はこの国の人じゃないんだよ。だから知らないんだよ・・・・って王?もしかして劉備玄徳さんだったりする?」
桃香「そうだよ。よかったー、お兄さん、ちゃんと知ってたんだー」
一刀「(嘘だろ・・・まあ見た感じ曹操や孫権って感じじゃないよな)それよりも何か悩みがあるんじゃないの?」
桃香「うん、実は・・・・」
劉備さんはゆっくりと語った。蜀の王としての自分のあり方の不安などを悲しそうな顔で・・・・・
気づいたら俺は劉備さんを抱き寄せていた。
桃香「ふぇ!えっえっ!!お兄さん」
こんなにか弱い子がどれだけ多くのものを背負って戦ってきたんだ。仲間に頼り切っていた中でどれだけ悔しい思いをしただろうか。そして平和になった今なのに自分という存在に不安を抱いている。なんて脆い、今すぐ崩れ去ってしまいそうなほど弱く感じてしまう。俺はこの子の支えになりたいと思った。
俺は劉備さんの頭をゆっくりと撫でた。そしてゆっくり諭すように囁いた
一刀「君は結果的に負けてしまった、けど君のその時の気持ちに後悔なんてないはずだ。最後の一歩が足りなくて、悔しかったろう。でもそれだけで君の理想が劣っていたとは思わない。人に言わせれば甘いのかもしれない。でもそんな理想を持ち続けた君を俺はすごいと思う。変わりたいと思ったのならゆっくりと変わっていけばいい。君のその優しさがあればきっとみんなが笑って暮らしていける答えが見つかる。それでも君が不安になるんだったら、俺が君の理想を肯定しよう。君の支えになろう。だから笑っていて。せっかく可愛いのにもったいないよ」
俺は笑顔でそう言った。
桃香「ポ~~~~~~~~」
なにやら劉備さんが顔を真っ赤にして俺の顔をぼぅっと眺めている。
一刀「劉備さん、大丈夫!?もしかしてのぼせた?俺今出ていくから早く上がった方が」
そう言って上がろうとすると
桃香「っ!!嫌」
劉備さんは俺の服の袖をつかんで上目使いで見つめてきた。 胸の鼓動が止まらない、あっちでいくら言い寄られても揺るがなかった心が揺らいでいく。どれだけの時間見つめ合っていただろう。ほんの数秒だったかもしれないだけど俺にはそれがものすごく長く、まるでそこだけ時が止まっているかのようで・・・・
愛紗「桃香様!!先ほどこちらの方角に何かが落ちたきたという目撃が・・・・・・・・」
また時が止まったそうそれは「嵐の前の静けさ」と呼ぶにふさわしいそんな静けさが・・・・・・
あとがき
さあ、次はどんな話にしようか。ただ愛紗の暴走は確実だ・・・
Tweet |
|
|
24
|
1
|
追加するフォルダを選択
御使い伝らしい話に仕上がったと思う。