No.402741

そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~ 第6話『嫉妬と蜂と医者』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-04 18:50:16 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1010   閲覧ユーザー数:1001

風都公園のベンチで、刹那達と同じ制服を着用し、眼鏡をかけた1人の少年がどんよりと暗い嫉妬、憎しみなどの負のオーラを放出しながら座っていた。

 

「くそっ!! なんであいつばかりあんなにモテるんだ!? 納得できない!!!」

 

少年……山田黒助は頭をかきむしりながら大声を上げた。

 

「女の子に告白しても、『私、お兄ちゃんが大好きなんです』なんてブラコン発言するし、その兄貴はついこの間恋人を作るなんてどこのギャルゲーだよ!!??」

 

山田は思いっきり叫びながら立ち上がった。その山田に緑色のコートを着た1人の男性が近づいていった。

 

「な、なんだ、お前は?」

「その欲望、解放しろ」

 

男性は山田の額に出現した投入口にメダルを入れると、どこかへ消えていった。

 

 

★★★★★

【風都商店街】

 

刹那とリインは夕飯の買い出しに来ていた。その両手には、いくつかの袋がかかげられていた。

 

「ふんふふんふんふ~ん」

「ずいぶんとご機嫌だな」

「イカロスさんが来てからお兄ちゃんと2人っきりで出掛けるなんてありませんでしたから」

 

ちなみに、イカロスがいないのは、事前にリインとの間で行われたじゃんけんで負けたからである。町の人達は、上機嫌なリインと刹那が歩く姿を暖かい目で見守っている。

 

「まあ、たまには兄妹のコミュにケーションも必要――伏せろッ!!」

 

寒気を感じた刹那はリインと共に地面に伏せる。それとすれ違うかのように突風が吹き、2人の目の前に蜂の様な怪人が降り立った。

 

「きゃあああぁぁぁぁぁ!!!」

 

1人の女性が悲鳴を上げたのを皮切りに町の人達が我先にと逃げ出した。

 

「リイン、これを持って逃げろ」

「分かりましたです」

 

刹那はリインに自分が持っていた袋を渡し、ゲイザードライバーを腰に巻いた。

 

「変身」

≪KAMEN RIDE:GATHER≫

 

ゲイザーに変身した刹那はライドブッカーⅡをSモードにし、緊張感を保ちながら相手の様子をうかがった。

 

「クドウセツナ…、ナンデオマエガ……ユルセナイ……」

(こいつ、俺が目的なのか!? まさかアロガンスに正体がバレたのか?)

 

怪訝に思うゲイザーにハチ型怪人が突っ込み、槍の様な突起物が装備されている左腕を突き出した。

 

「その程度の攻撃で……!!」

 

ゲイザーはハチ型怪人の攻撃をライドブッカーⅡで難なくいなし、胴体に一閃を決める。怪人の傷口からは何故か銀色のメダルがこぼれ落ちた。

 

「こいつ、ドーパントでもフォルスじゃない!! いったい何なんだ!?」

 

ゲイザーは未知の特徴を持つ敵に驚くが、決して動きを止めることはしない。戦場でボーッすることが死につながるとしっているからである。

 

「そいつはな、ヤミーって言うんだよ」

 

ゲイザーの問いに答えたのは、ミルクタンクを担いで後ろからやってきた男性だった。鍛えられたたくましい体にラフな服装の男性は工藤家にとって左翔太郎と同様に長い付き合いのある大切な人だ。

 

「久しぶりだな、刹那」

「伊達さん、何故こんなところに?」

「ちょいと仕事でな、そこにいるヤミーを倒しにきたんだよ」

 

そう言うと、伊達明だてあきらという名前の男性はミルクタンクを地面に置いて腰にベルトを巻き、左手で先ほどヤミーからこぼれ落ちたのと同じ銀色のメダルを持った。

 

「変身」

 

伊達は球体状バックルの左側に銀色のメダルを入れ、右側のダイヤルを回すと黒い装甲を身にまとい、仮面ライダーバースに変身した。

 

「伊達さんが仮面ライダー!?」

「はっ!」

 

伊達はハチ型怪人のスズメバチヤミーにバースバスターで攻撃を始めた。

 

「聞きたいことはいろいろあるけど、こいつを倒すのが先だな」

 

ゲイザーはライドブッカーⅡで体勢が崩れたヤミーに斬りかかった。その後、バースが射撃でヤミーをひるませ、その隙を付いてゲイザーが近接攻撃を仕掛けた。また、ヤミーがバースを攻撃しようとすればゲイザーがすれ違い様に足払いをかけ、バースが距離を取って射撃する。2人の即席コンビネーションによってヤミーは体を構成するメダルを次々とはぎとられていった。

 

「なかなかやるな、刹那」

「伊達さんこそ本業が医者とは思えないですね」

 

バースがゲイザーと軽口を叩きながらスズメバチヤミーを撃とうとした時、黒と緑色が特徴的な虫型の怪人が殴りかかった。

 

「伊達さん!!」

「メダルの収集を邪魔させるか!!」

「くそっ、グリードまで来ちまったか。刹那、悪いけどこいつのお守り頼むわ」

「分かりました」

 

ゲイザーはライドブッカーⅡ・Gモードで虫型グリードを牽制してバースから引き離し、入れ換わるようにして交戦し始めた。

 

「ちょうどいい。ここでお前を殺れば、ヤミーの親が欲望で満たされる」

 

虫型グリードがゲイザーに右腕の鎌で切りかかった。

 

「そう簡単に殺れると思うな!!」

 

ゲイザーは左腕で攻撃をいなしてライドブッカーⅡの銃口を突きつけるが、虫型グリードは空いている左腕で殴り飛ばし、ゲイザーの腹部にも膝蹴りを決めた。

 

「なるほど、伊達さんが遠慮したがるわけだ」

「これでお前の武器はなくなったぞ! 大人しく俺に殺されろ!!」

「だが、甘いな」

 

ゲイザーは右腕を上にかざし、ライドブッカーⅡを召喚した。

 

「何!?」

≪ATTACK RIDE:SLASH≫

 

ゲイザーは素早くライドブッカーⅡをSモードに変えて呆気に取られている虫型グリードを何度も斬りつける。

 

「くぅっ、ここは一旦退くか」

 

虫型グリードは頭の角から雷撃を放ち、辺りに塵煙を発生させた。

 

「俺の名前はウヴァだ!! 次に会ったら必ず殺してやるから首を洗って待っていろ!!」

 

ウヴァは捨て台詞を残し、ヤミーと一緒に逃げていった。

 

「逃げ足は速いねぇ」

 

バースとゲイザーはベルトを外して変身を解除した。

 

「積もる話があるからお前んちに寄っていい?」

「こっちもいろいろ聞きたいことがありますし、良いですよ」

「それじゃあ、警察が来る前にとっとと行くとしますか」

 

2人はそそくさとその場から立ち去り、工藤家へと向かっていった。


 
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