No.402484 遠坂時臣のエイプリルフール2012-04-04 00:40:46 投稿 / 全4ページ 総閲覧数:2344 閲覧ユーザー数:2235 |
遠坂時臣のエイプリルフール
遠坂時臣は優雅にして一流の魔術師である。
だが彼は優雅で一流な魔術師であるだけではない。
家族を愛し、茶目っ気も持ち合わせている柔軟な思考の持ち主でもある。
そんな時臣は妻の葵、娘の凛と桜、庭にパンツ1枚で転がっていた宿敵の間桐雁夜、その隣に生えていたワカメ、自身のサーヴァントである英雄王ギルガメッシュ、魔術の弟子である言峰綺礼、そのサーヴァント\ アッサシーン /、生ゴミとして捨てられていたケイネス・エルメロイ・アーチボルト、自宅前に行き倒れていた空腹王セイバーを自らの書斎に集めた。
「俺たちを呼び集めて一体何のようだ? つまらないことだったら承知しないぞ、時臣っ!」
説明もないまま呼び集められた不満を代表して雁夜が述べた。
だが、時臣のポリシーは『常に余裕をもって優雅たれ』である。
間桐のへっぽこ魔術師に何か言われた所で腹が立つこともなかった。
逆に慈愛の気持ちをもって上から優しく接してしまおうという気になる。雁夜のような粗野の態度をとる無礼者がいるからこそ時臣は優雅に輝くことが出来る。
優雅であるとは上から目線の対応と紙一重でもあった。
「そう慌てるな。私今日、皆に楽しんでもらおうと思ってここに集まってもらっただけだ」
時臣は優雅にワイングラスを掲げた。
「皆も知っての通り、今日は4月1日。エイプリルフールだ。う~んルネッサンス~」
時臣の優雅が止まらない。
「エイプリルフールとは何でしょうか?」
炊いてない生ライスを口にバリバリと放り込みながら空腹王が尋ねる。
「私は横文字が苦手なもので」
空腹王は味噌をパックごと口の中にチューチュー吸い込みながら付け足した。
「つまりはそういうことだよ、偉大なるブリテン騎士王」
「はあ。そういうことですか? まるで意味が分かりませんが分かりました」
空腹王は割り箸を丹念に浸して作った遠坂家秘伝のメンマを頬張りながら首を傾げた。
「つまり、今日は戯言をほざき合う日という訳だな、時臣?」
英雄王が蔑んだ瞳で時臣を見下している。
「そうでございます。王の中の王よ」
恭しく一礼をとる時臣。
今この瞬間、時臣は己の態度に対して優雅の波に浸っていた。
礼節を欠かさないのは優雅であることが行動で示される最も大切な瞬間。
時臣は英雄王を出汁にしながら自分の優雅を感じ取っていた。
時臣が王の中の王をサーヴァントに召喚した理由はここにある。
「トレビア~ン」
声優ばりに良い声を出しながら自分に浸る時臣を英雄王が、そして他の面々が冷めた瞳で見ていた。
「では、これより遠坂時臣主催、エイプリルフール優雅戯言王選手権を開催する」
時臣がワイングラスを掲げながら大会の開催を宣言する。
「「「「「………………っ」」」」」」
だが、その声に呼応する者はいない。
皆、早く解放されたがっている。
そんな微妙な雰囲気を感じ取った時臣。大会を続けて良いのか一瞬悩む。
だが、このまま懇親会を中断させたとあってはホストとして失格である。
ホスト失格とはそれ即ち優雅ではない。故に認められない。
「では、私が指名した者からお題に従って喋ってもらおうか」
時臣は優雅を死守する為に自ら積極的に話を振っていくことにした。
「ではまず葵から皆に話の手本を示してもらうとしようかな」
時臣は愛妻を指名した。
「私、ですか?」
シャワーのほのかな香りを漂わせながら葵が立ち上がる。
魔術師の家系において頭首の命令は絶対。時臣の命にはそれがどんな面倒なものであれ従わなければならない。
「では、葵へのお題だが……夫である私には言えない秘密でどうだろうか?」
時臣はニヤッと微笑んで見せた。
時臣は知っている。魔術師の妻である葵は自分に隠し事が出来ないことを。
よって、葵には隠し事が何もない。つまり何を喋ってもそれは嘘にしかならない。
時臣は愛妻の為にトピックを提供する際の難易度を下げたのだった。
「そうね。じゃあ時臣への隠し事を話しましょうか」
愛妻は夫の面子を潰さない為に話に乗ってくれたのだった。
葵は雁夜に意味ありげに流し目を送るとゆっくりと語り始めた。
「私はね、さっきまで雁夜くんと密会していたのよ」
「「「「「えっ?」」」」」
葵の爆弾発言に固まる一同。英雄王でさえ額から冷や汗を流しながら固まっている。
「ハッハッハッハッハ。葵は冗談が上手だな。エイプリルフールに打って付けの噺家だな」
1人、時臣だけは大きな笑い声を発している。
「今日はね、公園で2人きりで会って、私と雁夜くんの将来のことを話し合っていたの」
時臣以外の視線が一斉に雁夜を向く。雁矢は無言のまま壁際へと追い詰められていた。
「それで、私が雁夜くんのことを本気なんだって知って貰う為にこの家に招いたの」
「ハッハッハッハッハ。この屋敷は宝石結界により侵入者がいれば瞬時に私に教えてくれる。私に気付かれずに間桐魔術師の雁夜を家に入れるなどと、葵も面白い冗談を述べる」
雁夜を自宅の庭で拾ったことも忘れて時臣は笑っていた。ついでに言えば、遠坂家の防衛の要、宝石結界の宝石を管理しているのは妻である葵である。生粋のエリート引き篭りである時臣は庭にさえも滅多に出て来ない。
遠坂家はうっかりの家系なので時臣もまたうっかりさんだった。
「雁夜くんを寝室に招いた私はシャワーを浴びていたの。大人の一時を過ごす為にね」
時臣以外に冷たい矢のような視線が雁夜に突き刺さる。雁夜は今にも泣き出しそうな顔で壁に引っ付いている。
「でも、シャワーを浴び終えて寝室に戻った時、雁夜くんは室内にいなかったわ。だから私はバスローブ姿のまま廊下を探したわ。そして私が見た光景は……」
葵はそこで話を切って時臣を見た。
「まだ続きを話した方が良いかしら?」
「いや、もう十分だ。葵の話が荒唐無稽で事実無根であることは皆もよく理解している筈だ。十分面白かったしもう良いだろう」
時臣は上機嫌で葵の話を打ち切った。
「間桐雁夜。貴方は亭主がいる人妻と何と淫らなことを画策していたのですか? まるでランスロットのようですね」
空腹王がワインを瓶ごと噛み砕いて咀嚼しながら雁夜に軽蔑の視線を送った。
「ちっ、違うっ! 俺は決してそんな疚しい目的でこの家に来た訳じゃ……グハァッ!?」
雁夜は突然血を吐いた。
「どうしたの、おじさんっ!?」
病んでいた瞳が一転、心配げな瞳で桜が雁夜を心配して駆け寄る。
「何故か知らないが、バーサーカーが自虐行為に走って傷ついたダメージが俺に跳ね返って……グヘッ!?」
雁夜はまた血を吐いた。
何故バーサーカーが自虐行為に走ったのか。その理由を知る者はまだいなかった。
「では、盛り上がって来た所で2人目に行ってみようか」
雁夜に起きている惨劇を無視して時臣は2人目を指名することにした。
「凛、行けるか」
「はい。お父様」
時臣の長女遠坂凛が立ち上がる。その颯爽とした振る舞いはまだ小学校低学年にして彼女が既に気品と優雅を持ち合わせた存在であることを雄弁と示していた。
「では、お題は……父である私には言えない秘密というのはどうだろうか?」
時臣はニヤッと微笑んで見せた。
時臣は知っている。魔術師の娘、しかも正統後継者である凛は自分に隠し事が出来ないことを。
よって、凛には隠し事が何もない。つまり何を喋ってもそれは嘘にしかならない。
時臣は愛娘の為にトピックを提供する際の難易度を下げたのだった。
「そうですね。それではお父様への隠し事を話しましょうか」
愛娘は父の面子を潰さない為に話に乗ってくれたのだった。
凛は雁夜に意味ありげに流し目を送るとゆっくりと語り始めた。
「私はですね、さっきまで雁夜おじさんと密会していたんです」
「「「「「えっ?」」」」」
凛の爆弾発言に固まる一同。マーボー神父でさえ額から冷や汗を流しながら固まっている。
「ハッハッハッハッハ。凛も冗談が上手だな。エイプリルフールに打って付けの噺家だな。遠坂家は漫才師としても大成するかもしれないな」
1人、時臣だけは大きな笑い声を発している。
「今日はですね、公園で2人きりで会って、私と雁夜おじさんの将来のことを話し合っていたんです」
時臣以外の視線が一斉に雁夜を向く。雁矢は無言のまま再び壁際へと追い詰められていた。
「それで、私が雁夜おじさんのことを本気なんだって知って貰う為に後から家に来て貰うように約束して一旦別れたんです」
「ハッハッハッハッハ。凛は出掛ける時にコトネちゃんと遊んで来ると言っていたではないか。それに我が家は宝石結界により完璧に守られている。凛も面白い冗談を述べる」
雁夜を自宅の庭で拾ったことも忘れて時臣は笑っていた。ついでに言えば、遠坂家の防衛の要、宝石結界の宝石を管理しているのは妻である葵と最近では娘の凛も手伝っている。生粋のダメ引き篭りである時臣は庭にさえも滅多に出て来ない。
遠坂家はうっかりの家系なので時臣もまたうっかりさんだった。
「そして私は雁夜おじさんが遠坂邸内を歩いているのを見ました。雁夜おじさんは私との約束を守ってくれたんだって。だから私は勝負下着のネコさんパンツに履き替えたんです」
時臣以外に冷たい矢のような視線が雁夜に突き刺さる。雁夜は今にも泣き出しそうな顔で壁に引っ付いている。
「だけど雁夜おじさんは部屋を勘違いしてお母様達の寝室に入っていきました。だから私が連れ出して、私の部屋に招き入れようとしたんです。でも、廊下を歩いている最中に突然……」
凛はそこで話を切って時臣を見た。
「まだ続きを話した方が良いですか?」
「いや、もう十分だ。凛の話が荒唐無稽で事実無根であることは皆もよく理解している筈だ。十分面白かったしもう良いだろう」
時臣は上機嫌で凛の話を打ち切った。
「間桐雁夜。貴方はまだこんな年端も行かない子供にどんな淫らなことを画策していたのですか? まるでケイネス・エルメロイ・アーチボルトのようですね」
空腹王が本棚を本ごと噛み砕いて咀嚼しながら雁夜に軽蔑の視線を送った。
「ちっ、違うっ! 俺は決してそんな疚しい目的でこの家に来た訳じゃ……」
「グハァ……っ!?」
雁夜は誰かが吐血する声を聞いた。
ケイネスは突然血を吐いた。
「どうしたのですか、魔術師殿?」
\ アッサシーン /が箱ティッシュを持ってケイネスの元へと駆け寄る。
「確かにそこの凛という娘はマホマホにそっくりな容姿で、こっちの桜はもっかんそっくりだ。だが、私は命を懸けて例え全身の魔術回路を暴走させようとイエス・ロリータ、ノータッチを貫く孤高の天才。間桐雁夜、貴様のような幼女なら誰でも良い男と一緒にするでな……グヘッ!?」
ケイネスはまた血を吐いた。ロリへの想いが強すぎて魔術回路の暴走を抑えきれない。
「凛、桜。あの金髪の魔術師と時臣に近づいちゃダメよ」
「「は~い」」
何故ケイネスが吐血したのか。その理由はうっかりさんの時臣以外の全員が知っていた。
「では、ますます盛り上がって来た所で3人目に行ってみようか」
雁夜とケイネスに起きている惨劇を無視して時臣は3人目を指名することにした。
「桜、やれるか?」
「話せるよ。だが、断るだよ。遠坂のおじさん」
時臣の次女であり、現在間桐家の長女である桜は起立を拒否した。自分を蟲の所に養子に出した時臣への不平不満が燻っていることを雄弁に示していた。
「えっと、桜ちゃん。時臣に協力してくれたら、きっと早くこの大会が終わるんじゃないかな?」
雁夜が控えめに桜に協力を促した。雁夜はもうすぐにでも帰りたい気持ちで一杯だった。
「間桐雁夜には自殺願望があるようだな。間桐桜に話を促すとは正気の沙汰ではない」
マーボー神父が愉悦った表情で雁夜を見ている。
「おじさんの言うことなら桜、何でも聞くね♪」
桜は元気よく立ち上がった。
雁夜の言うことなら素直に聞く桜が時臣には面白くなかった。
だが、そこは優雅力を持って押さえつけて会議を進行する。
「では、お題は……本当のお父様である私には言えない秘密というのはどうだろうか?」
時臣はニヤッと微笑んで見せた。
時臣は愛娘の為にトピックを提供する際の難易度を下げたのだった。
「わかった。じゃあ桜は遠坂のおじさんへの隠し事を喋るね」
愛娘はかつての親子の絆を思い出して話に乗ってくれたのだった。
桜は雁夜に意味ありげに流し目を送るとゆっくりと語り始めた。
「実は桜ね、おじさんとインモラルで爛れた関係なの」
「「「「「えっ?」」」」」
桜の爆弾発言に固まる一同。ワカメでさえ額から冷や汗を流しながら固まっている。
「ハッハッハッハッハ。桜も葵や凛と同じで冗談が上手だな。エイプリルフールに打って付けの噺家だな。やはり離れて暮らしても遠坂家の絆は変わらないのだな」
1人、時臣だけは大きな笑い声を発している。
「今日もね、おじさんと一緒に寝て起きたの。おじさん、毎晩荒々しくて凄いんだよ」
時臣以外の視線が一斉に雁夜を向く。
「違うからっ! 文字通り同じ布団で寝ているだけだから。桜ちゃんが1人だと怖くて眠れないというから一緒に寝てるだけ。寝相が悪いのは昔からだから!」
雁矢は壁際へと追い詰められながら言い訳した。
「それと、桜はね。毎日おじさんと一緒にお風呂入ってるんだよ。おじさん、桜と一緒にお風呂に入っている時が一番幸せだって♪」
「それも誤解だからっ! 風呂に浸かっている時は誰だって幸せ。だってここ日本だもの。桜ちゃんと一緒に入っているからじゃないからっ!」
雁夜は必死に弁明する。だが、時臣以外の視線はどこまでも冷たいまま。
「でもね、最近はツインテールの悪魔と要済みのバァさんが桜のおじさんを狙って鬱陶しいの。だから遠坂邸に乗り込んで2人の前でおじさんとの関係を見せつけてしてやることにしたの」
「ハッハッハッハッハ。雁夜が複数の女性からモテる訳がない。それに、それに我が家は宝石結界により完璧に守られている。桜といえど、間桐の魔術師は私の許可なく入れんよ。桜も面白い冗談を述べる」
雁夜を自宅の庭で拾ったことも忘れて時臣は笑っていた。ついでに言えば、遠坂家の防衛の要、宝石結界の宝石を管理しているのは妻である葵と最近では娘の凛も手伝っている。桜も遠坂家に出入りする内に結界の隙を覚えていた。生粋の屑引き篭りである時臣は庭にさえも滅多に出て来ない。
遠坂家はうっかりの家系なので時臣もまたうっかりさんだった。
「そして桜は、おじさんがツインテールの悪魔と要済みのバァさんにこの家で誑かされている姿を発見したの」
時臣以外に冷たい矢のような視線が雁夜に突き刺さる。雁夜は今にも泣き出して壁に引っ付いている。
「要済みのバァさんはおじさんをはしたなくも寝室に誘い入れ、今度はそれをツインテールの悪魔が横取りしようとしていたの。だから桜は実力行使に出ておじさんを奪いに行ったの。そうしたら要済みのバァさんも現れて3人でおじさんの所有権の奪い合いになったの。それでおじさんの服がビリビリに破けちゃって、おじさんは勢い余って窓から落っこちて地面に突き刺さっちゃったの」
桜はそこで話を切って時臣を見た。
「まだ続きを話した方が良いの?」
「いや、もう十分だ。桜の話が荒唐無稽で事実無根であることは皆もよく理解している筈だ。十分面白かったしもう良いだろう」
時臣は上機嫌で桜の話を打ち切った。
「間桐雁夜。貴方はこんな年端も行かない子供にどんな淫らなことを画策するだけでなく、女性を1人に決めることが出来ないヘタレ野郎なのですね。まるでワカメのようですね」
空腹王が壁を柱ごと噛み砕いて咀嚼しながら雁夜に軽蔑の視線を送った。
「ちっ、違うっ! 俺は決して不倫王でもペドでも優柔不断男でもなくて、そもそもそんな疚しい目的でこの家に来た訳じゃ……」
「グハァ……っ!?」
雁夜は誰かが吐血する声を聞いた。
ワカメは突然血を吐いた。
「どうしたのですか、増えるワカメ殿?」
\ アッサシーン /が箱ティッシュを持ってワカメの元へと駆け寄る。
(兄とは妹のことだけを考えて生きる存在。妹のこと以外を奴は兄とは別の生き物。間桐雁夜、貴様のような妹以外の女のことも考えているNOT兄と一緒にする……グヘッ!?)
ワカメはまた血を吐いた。
「フム。このワカメ、どうやら我様を見て、有り得るかも知れない自分の未来像を見たようだな。この様子を見るに、大人になったワカメは妹に対して酷く当たっているらしい。理想と現実は相入れんものだな。いや、実に楽しいぞ」
英雄王が吐血するワカメを見ながら笑った。
「また1人、愉悦に浸れる対象がこんな所に。今夜はマーボーフェスティバルだ」
綺礼もツヤツヤした表情でワカメを眺めている。
「フム。予想以上の盛り上がりを見せているイベントとなったな。私は自分のプロモーターとしての能力が怖い」
時臣は雁夜、ケイネス、ワカメの3人が血反吐を吐いて倒れている惨状を無視してホスト能力を自画自賛していた。
続く?
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急遽書いてみましたが失敗作ですね
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