No.400527

異世界冒険譚 月殺し編 其の拾弐 再起

RYOさん

交通事故によって死んでしまった主人公。しかし、それは神の弟子が起こした事故だった!?主人公はなぜか神に謝られ、たくさんの世界へ冒険する。

2012-03-31 14:37:38 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3580   閲覧ユーザー数:3445

 

??? side

 

「…………」

 

林の中。虫達の鳴き声が聞こえる。その中にポツンと少年が眠っていた。眠り……といっても前に永遠のという言葉が付くが。

 

少年の額や体のいたる所には銃痕がありそこから大量の血が流れ出ていた。大量に流れた血液で少年の服や長く白い髪の毛が真紅に染まる。

 

数分後、その場に複数の男が現れた。

 

「…………あれ?」

 

ある男はその少年を見て違和感を覚えた。死んでいるにしては傷が少ない気がするのだ。

 

「おい、どうした?」

 

「……いや、なんでもない。早く片付けよう」

 

男はその違和感を無視して少年を片付ける準備をする。

 

「…………ん?」

 

ある男は少年の顔の周りを見て違和感を覚えた。

 

少年の顔の横に弾丸が転がっている。弾丸が体を突き抜けたならもっと遠くに転がっているはずだし、死体に向けて撃ったなら転がっているはずが無いはずなのだが……

 

男は職務を優先するため疑問を流す。

 

「……ん? んな!?」

 

ある男は驚愕する。

 

少年に出来ている銃痕が肉が意思を持っているように塞がっていく。

 

「なんだ!? これは!?」

 

その場にいる男達が全員驚く。

 

「…………ぷはっ!」

 

まるで今まで水の中にいて呼吸をしていなかったように少年は息を吹き返す。次の瞬間、男達はとてつもない衝撃を受けて気を失う。

 

side out

 

 

yukito side

 

魔力を開放し、一瞬で周りにいる男達を気絶させる。

 

「ああ、とっても懐かしい匂いだ。懐かしすぎて間違って全員殺してしまうところだった」

 

それにしても危なかった。もう少しで圭一が死んでしまうところだった。

それにしても本当に久しぶりに死んだ。今回はあんまり痛くなかったから良かった(?)けど……

 

ちなみに生き返ったのはリザオラルの効果だ。先にかけて死んだときに効果を発揮するザオラルで確実に生き返るが、完全な状態では回復しない。さらに死んですぐには生き返らない……のかな? よく分からないが。まあ、いいや。

 

「さて、梨花たちは向こうか」

 

俺はその方向に向かって跳びだす。

 

side out

 

 

rika side

 

「今夜は月が綺麗ね。あなたたちもそうだと思わない?」

 

後ろ手に縛られて転がされている私を見て鷹野が話しかけてくる。捕まってしまった。雪人が体を張って私達を逃がしてくれたのに!

 

「あんたは私達を殺すのね」

 

「ええ、他の子達は関係ないけど女王感染者のしたいが作戦の鍵だ物。そして、あなたは鬼ヶ淵村の伝説のピリオドになるのよ」

 

鷹野が笑いながら言う。

 

私は周りを見る。山狗が周りを囲んでいる。

 

「鷹野さん。連続怪死事件はあなたの仕業だったんですね。オヤシロさまの代行者のつもりですか?」

 

レナが鷹野に問いかける。

 

「違うわ。私がオヤシロさまそのものになるのよ」

 

「あはは、無理だと思うな。鷹野さんがどれだけオヤシロさまのふりしたって所詮ごっこ遊び。オヤシロさまにあなたはなれない」

 

「なれるわよ。これからなるもの」

 

鷹野がレナに言い返す。

 

「無理だよ。だってオヤシロさまは居るんだもの」

 

レナが笑いながら言う。

 

「…………」

 

鷹野がレナに銃を向けようとする。

 

「や、止めろ!」

 

圭一が鷹野に言う。

 

「やるなら、俺からにしろ!」

 

「……ダメよ。神に逆らったんだから。罰として祟りをあげないと」

 

鷹野がゆっくりレナに銃を向ける。レナは鷹野をじっと睨み付ける。

 

「止めろ! 止めろ止めろ止めろ! 畜生。ここまでなのかよ! 雪人が、命を懸けてまで俺を助けてくれたのに俺は誰も守れないのか!」

 

圭一の後悔の声に鷹野はますます笑う。もうだめか。私達全員がそう思った。

 

「諦めるな。圭一」

 

「っ!? 誰!?」

 

どこからか声が聞こえてくる。鷹野はその声に問いかける。

 

「……うわ!?」

 

私達の周りの山狗が声を上げる。私達はその方向を見るが誰も居ない。

 

「見たか? 我が村の仲間を害そうとした罰。鬼隠しだ」

 

「そんな! 今までここに居たのに!」

 

山狗の一人が怯えるように言う。

 

「どんどん消えていくぞ。ほうら、また……一人」

 

「……がっ!?」

 

「ひっ!?」

 

さらに山狗が消える。

 

「た……助けて……許してください! 神様あああ!」

 

「落ち着きなさい! 神も鬼も居ないわ! 何かのトリックよ!」

 

鷹野が山狗に呼びかけるが怯えた山狗には効果が無い。

 

「さて、それでは終幕と行こう」

 

山狗が一斉に消える。

 

「くっ! …………出てきなさい! じゃないと、こいつらを一人づつ殺していくわよ!」

 

鷹野が私達に銃を向けながら謎の声に言う。

 

「…………」

 

少しの沈黙の後、林から小さい影が現れる。その影を私は見た事があった。

 

「嘘……雪人……くん?」

 

その影はさっき頭を撃ち抜かれて殺されたはずの高科雪人だった。そっくな兄弟か何かと思ったがそんな事は聞いた事がないし、さっき殺された時のものだろう、髪の毛が赤く染まっていた。

 

「やあ、鷹野。今日は良い月が出ているな」

 

雪人が鷹野に話しかける。

 

「ど……どうして」

 

鷹野は目を見開いて雪人に問いかける。

 

「オヤシロさまが助けてくれたんだ」

 

雪人がそう言った。

 

「羽入! あんた何かしたの?」

 

普通なら嘘だと思うだろうが羽入の力で何度も繰り返している私は羽入を小声で問いただす。

 

(僕は何もしてないのですよ~!)

 

「じゃあ、どうやって雪人は生き返ったのよ!」

 

(今までも何度か感じてきましたが彼から妖魔の力を感じます)

 

羽入が真剣な声で答える。

 

「妖魔の力? 何それ?」

 

(呼んで字の如く。妖怪や悪魔、魔女などが持つ力ですよ。でも、現在は妖怪は殆ど居なくなって魔女になる方法も失伝しているはずなのに。それに……)

 

「? どうしたの? 赤くなって」

 

(な、なんでもないのです!)

 

よく分からないけど。助かった。のかしら?

 

side out

 

 

yukito side

 

「オヤシロさまが助けてくれたんだ」

 

「オヤシロさまですって!?」

 

「そう、オヤシロさまは縁結びの神。他人の心をも結ぶオヤシロさまが俺の体と魂を結んだんだよ」

 

ぶっちゃけ我ながら酷い良い訳だ。

 

「分けのわからない事を!」

 

そう言って鷹野は俺に銃を向ける。

 

「おい、俺は銃を人に向けるのも嫌いなんだが、向けられるのはもっと嫌なんだ。危うく殺してしまいそうになる」

 

「あらぁ、物騒ね。でも、大丈夫よ。あなたが私を殺す前に私がまたあなたを殺してあげる!」

 

「逃げろ! 雪人!」

 

鷹野が引き金を絞る。圭一が俺に向かって叫ぶ。

 

「ふっ!」

 

「なっ!?」

 

瞬動で鷹野に接敵、拳銃を投影した刀で切り裂く。

 

「銃を持って有利だと思うのは勝手だけど、俺があんなに居た山狗を全員倒した事を忘れちゃ困るな」

 

「くっ!」

 

離れようとする鷹野に近づき拳を腹に当て魔力を放つ。

 

「かふっ!?」

 

「お休みだ。鷹野」

 

魔力を持たない鷹野は少しの魔力でノックダウンできた。

 

「雪人、あなた……一体何者なの?」

 

梨花が聞いてきた。

 

「ただの人間さ。ちょっとばっかり変な力を持っている……な」

 

それから俺は梨花たちの縄を外した。どうやって生き返ったとかなんであんな力を持っていたかとかその刀はどこから出したとか色々聞かれたがそれは後でと言って今は再開と助かった事を喜び合った。

 

 

入江診療所

 

 

「まさか鷹野さんがこんな事をするなんて……」

 

「理由は本人にでも聞いてください。まあ、後はあなた達に任せます」

 

事件が終わって俺は入江京介と話していた。

 

「ああ、忘れてたけど富竹さん生きてるんで今日引き渡します」

 

「富竹さんが生きているんですか!? てっきり死んだものとばかり」

 

「事が起こる前に拉致リました」

 

「拉致!?」

 

「まあ緊急事態だったという事で一つ」

 

俺がそう言うと入江は呆れた顔をする。

 

「それにしても君は何者なんですか?」

 

また聞かれたな。最近、皆に聞かれている気がする。

 

「ただの少年ですって。ちょっと変な力を持っている」

 

そう言って俺は入江診療所から出て行く。

 

 

学校

 

「はう~~! 雪人君かあいいよ~! おっもちかえり~!」

 

「いや~~~! 犯される~~!」

 

「またかレナ!」

 

鷹野達を打ち倒した次の週の休み。俺たちは何時も通り部活をしていた。例の如く俺が罰ゲームで女装させられそろそろ女装にも抵抗がなくなってきた今日この頃。

 

俺はレナにお持ち帰りされそうになっていた。やめてほしいなと思いつつも持ち帰られるときに抱きかかえられるので柔らかい部分があたって気持ちいいので別にいいかなと思っているのは俺と読者とソウルブラザーズだけの秘密だ。

 

スキルの事も話した。使わないのかと聞かれたが色々できる事を伝えると禁止を部長から言い渡された。

 

 

「おーい! 雪人! 部活に行くぞ!」

 

今日も俺の家の一階から圭一が俺を呼んでいる。

 

「分かった!」

 

俺は一回に下りていって圭一と一緒に家を出た。

 

「今日は負けないぞ圭一!」

 

「はっ! それはこっちの台詞だぜ! 今日もお前に女装をさせてやる!」

 

そんな事もありつつ。俺は今日も雛見沢に住んでいる。

 

 

こんにちは。私が作者です。

 

次回で一応月殺し編は終わりです。ちょっと駆け足になりすぎてしまったのが残念な感じです。

 

次の世界がどこかは次回をお楽しみください。

 


 
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