置き去り刹那
多少迷ってなんとか橋まで来た私とアレンさん。
アレンさんが『魔法』という単語に驚いていたがなぜだろう。私も魔法はそれほど詳しくは無いが、アレはどう見ても魔法の類としか言いようが無いのに。
そう思っていると前からいきなり攻撃が来た。
(アレは氷属性の魔法!?まさか!?)
氷属性の魔法を使えるのは私は一人しか思い当たらない。とすると、あの人は…
「フッ流石にこの程度は避けるか、まぁ貴様を殺すには十分だ。なぁ侵入者?」
やっぱりクラスメイトのであり、過去に600万ドルもの賞金首(今は無くなったらしい)になった吸血鬼。エヴァンジェリン・A・K・マクダヴェルさんだった。
アレンさんとエヴァンジェリンさんが2・3言話すと、エヴァンジェリンさんが私がいるのに攻撃してきた。
(もしかして、気づいてない?)
そんな疑問の中アレンさんは私を背負っているとは思えないほど機敏な動きで放って来た魔法の矢をかわして、橋の柱に隠れた。柱に隠れたときに矢が柱に当たったところから、それも計算づくだったみたいだ。咄嗟にそこまで考えれるなんて、この人はかなりの場数を踏んでいることを結論付けた。
アレンさんは如何しようか考えているみたいだけど、私を背負ったままでは両手が塞がっているので何もできないのではと思い声をかけた。
「あ…あの……」
少し控えめに声をかけると、アレンさんはこっちに振り向き驚いた顔をしていた。
……もしかして…貴方もですか……
どうやら忘れられていたらしい。少し傷付いていると、アレンさんは私を柱に背を預けるように座らせた。如何したのかと思うと、
「少しここで待っていてください。」
と言うと柱の影から出て行ってしまった。『待って下さい』と言う暇も無くエヴァンジェリンさんの前に行ってしまった。…なんだか、影が薄くなっている気がします。
その後はあっという間の出来事だった。また2・3会話をした後エヴァンジェリンさんの側にいた茶々丸さんがアレンさんに一撃を入れようとして、それをアレンさんが避け下がった後左手を私を助けたときのように変化させ茶々丸さんに振り下ろした。衝撃で粉塵が舞い、それがなくなると中指の爪を顔に突き立てられ動けなくなっている茶々丸さんがいた。
もう唖然とするしかない。立った一振りで状況を一変させてしまい、遠目だが茶々丸さんに傷一つ付いていない。しばらくの静寂の中エヴァンジェリンさんがアレンさんに声をかけていたが、何か考え込んでいるらしい。…背中から黒い何かを噴出しているが、私は知らないし何も見ていない……
そうしているとアレンさんが戻ってきた。
「あの…大丈夫ですか?まさか、また痛み出したんですか!?」
「へっ?あっ!へっ平気です…」
と言ってきたので、生返事だが大丈夫と伝えた。すると後ろから茶々丸さんがやってきて、私のことは自分に任せてエヴァンジェリンさんに付いて行って下さいと言う事を言った。
それを聞いたアレンさんはエヴァンジェリンさんに催促されながら私を茶々丸さんに任せて行ってしまった。なんだか大変な目にあっているなと思っていると、茶々丸さんが話しかけてきた。
「桜咲さん大丈夫ですか?どこを怪我なさったんですか?」
「へ?あ…足を捻ってしまったらしくて」
「でしたら、私が変わりに背負いますので、あなたはマスターに付いて行って下さい。余り待たせると、マスターが不機嫌になるので」
そう言って茶々丸さんは背中を向けてきた。アレンさんはエヴァンジェリンさんに付いて行き、私は茶々丸さんの背中に乗り保健室へ連れて行ってもらった。
背負われている中、茶々丸さんの背中は冷たいと思っていたら人肌とまではいかないが熱を持っていた。なので寒くはなかったけど、何だか寂しいと思ってしまった。いつの間にかアレンさんと茶々丸さんを比べているのに気が付いて、頭を振り気をしっかりさせた。
(でもアレンさんの背中はあたた…って、また何を考えて…でも茶々丸さんと比べ……だ~か~ら~!!)
茶々丸さんが声を掛けてくれるまで、しばらく続いてしまった・・・
灰マギ劇場 3夜 がんばれせっちゃん!
カ――ン!
刹那「・・・あの・・・茶々丸さん・・・」
茶々丸「はい。何でしょうか?」
刹「・・・私・・・影が薄いんでしょうか・・・」
茶「・・・・・・」
刹「なんだか居るのを気付いて貰えなかったみたいだったので・・・・・・」
茶「・・・・・・」
刹「?・・・あの茶々丸さん?」
茶「・・・私も気付きませんでした」
刹「えぇ!?・・・やっぱり影が「冗談です」な・・・ってじょ!?」
カカーン!!
ラビ「刹那ちゃんはからかうとおもしろいさ~」
刹「からかわないで下さい!」
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第四夜(裏) 置き去り刹那
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