No.397798

スレイブ

むょりんさん

 ある所に奴隷がいました。生まれた時から奴隷であることが決められていたかわいそうな奴隷でした。奴隷は14の歳になると「出荷」され、とある主人のもとで働き始めました。奴隷は一生懸命に働き、それを主人も認め、奴隷は奴隷でありながら布団で寝られるほどに信頼されていました。
 しかし、その生活も長くはありませんでした。奴隷が主人の大切にしていた皿を不注意で割ってしまったのです。主人はひどく怒り、その日は奴隷を外の馬小屋で寝かせました。奴隷もそれを拒まず、大人しく外で寝ました。そして、奴隷がその後目覚めることはありませんでした。山から降りてきた人食い熊のスレイプに食べられてしまったのです。主人が翌日奴隷の様子を見に行くと、大量の血を残して奴隷は姿を消していました。主人は自分の行いを悔やみ、奴隷のためにわざわざ墓を作り、奴隷にプレゼントするはずだった服と生前奴隷がつけていた首輪をそなえました。 
 その翌日、主人が墓を見に行こうと外へ出た時、主人はあまりの驚きに気が遠くなりました。それもそのはずです。街中で恐れられていた凶暴なスレイプが薪を割り、雑草をむしり、箒を持って中庭の掃除をしていたのですから。
             ーークラフ昔話 第三話「くまと奴隷」より

2012-03-25 15:48:27 投稿 / 2000×1400ピクセル

2012-03-25 15:48:27 投稿
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