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IP〜インフィニット・ストラトス・パラドックス〜 第八話



にじファンの方のを削除。皆様、今まで本当にありがとうございました。

2012-03-24 17:32:37 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1735   閲覧ユーザー数:1676

 

 

 

 

 

「というわけでっ! 織斑くんクラス代表決定おめでとうっ!」

 

「おめでと〜っ!」

 

 

ぱんっ! ぱぱんっ! と弾けるクラッカー。吐き出された紙テープが俺の頭に降り注ぐ。

 

今は夕食後の自由時間。既に営業の終わった食堂を貸切にして一年一組のメンバーが集まっており、各自飲み物やらお菓子を手にやいのやいのと盛り上がっている。

 

その壁にかかっている『織斑一夏クラス代表就任パーティー』と書かれた横断幕が全てを物語っていた。

 

・・・・・何これ?いや、分かってるけど・・・いきなり連れられてこられてこれは、ねぇ・・・・・

 

 

「・・・・随分と楽しそうだな」

 

 

はい、また何故ここで不機嫌ボイス?というか、どこをどう見て楽しそうに見えたのさ?

 

恐る恐る後ろを見ると、そこには飲み物を片手に不機嫌顔で立っている箒がいた。

 

 

「まあな。こういう騒がしいのは嫌いじゃない」

 

 

あのイマジンズ、思い出すしね〜。・・・・・あ、最近会いに行ってないな・・・今度いっとこ。

 

 

「・・・・・ふん」

 

「こういう時ぐらい不機嫌顔を止めたらどうだ?きれいな顔が台無しだ」

 

「き、きれいっ!?わ、私がかっ!?」

 

「今俺と話してるのがお前以外にいるのか?」

 

 

箒は子供のころからかわいいというよりはきれいって言った方が似合ってたからね〜。

 

 

「そ、そうか・・・私はきれいなのか・・」

 

「少なくとも俺はそう思っている。まあ、お前をきれいじゃないと言うやつはまずいないさ。自信持っていいぞ」

 

「そうか・・・・うん、そうだなっ!」

 

 

はい。そして急に機嫌がよくなりました〜。訳がわかりません。

 

顔を赤くしてウンウン頷いている箒を見て首を傾げながら俺はコーラを少しずつ飲んでいた。

 

 

「はいは〜い、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君に特別インタビューをしに来ました〜っ!」

 

 

急に顔の前にズイっとマイクにびっくりしながら、マイクが出てきた方向を見る。そこにはいかにも新聞部ですといった感じの人が立っていた。

 

 

「あ、私は黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ、名刺」

 

「ああ、これはどうもご丁寧に」

 

 

・・・・いや、正直に言って名刺をもらってどうしろと?

 

 

「ではではズバリ織斑君っ!クラス代表になった感想を、どうぞっ!」

 

「・・・・正直に言って人の上に立つのは苦手だから、どういう風にしたらいいのかが分からないと言ったところですかね?」

 

「ん〜じゃあ次っ!!意気込みをどうぞっ!!」

 

「・・・・・男と侮ってかかってきたものには絶望をプレゼントしよう、とでも言っときますかね?」

 

 

いや、冗談だよ?なんというか普通過ぎるのもあれかな〜と思いまして・・・・・すいません、調子にのって本当にすみません。

 

 

「おお〜いいね〜。ねつ造し甲斐があるよ〜」

 

 

ねつ造するのかよっ!?なら聞く意味なくないっ!?

 

 

「ついでじゃないけどセシリアちゃん、コメントちょうだい」

 

「私、こういうことは苦手ですが、よろしくてよ」

 

 

とか何とか言いながらも、セシリアは満更でもなさそうな表情を浮かべていた。・・・・絶対得意だろ。こういうの・・・・・

 

 

「ではまず、何故私がクラス代表に立候補したかと言うと」

 

「長そうだね。てか確実に長いよね? いいや、写真だけちょうだい」

 

「じ、自分からお願いしておいてそれはないんじゃなくてっ!?」

 

「適当に捏造しておくから大丈夫。そうだ、セシリアちゃんって織斑君に負けたんだよね? なら織斑君に惚れたということにしておこう」

 

「なっ!? ななな・・・」

 

 

いやいや、勝手にねつ造しすぎでしょ。セシリアが俺に惚れるとかあり得ないし。ほら、セシリアだって顔を真っ赤にして怒ってるし。

 

 

「織斑君。セシリアちゃんとのツーショットがほしいから、並んでくれる?」

 

「ああ、わかりました」

 

「つ、ツーショットっ!?そ、それは後でくれるのですかっ!?」

 

「うん、いいよ〜」

 

 

何故ツーショットでそこまで興奮するの?

 

 

「じゃあ、向かい合って握手して〜」

 

「わ、分かりましたわっ!」

 

 

・・・・だからどうしてそこまで気合いをいれるのさ?

 

俺とセシリアは向かい合って握手をする。・・・・・女の子って本当に柔らかいよな〜。

 

 

「じゃあ、いくよ〜。(5+6+7)÷8は〜?」

 

「・・・4分の9」

 

「せいか〜い」

 

 

・・・・いや、そこ普通2にするもんじゃないの?っていうかなんで皆さん、俺とセシリアの周りに集合しているんですか?というか、いつのまに入った?俺分かんなかったぞ。

 

 

「なぜ全員入ってますのっ!」

 

「ま〜ま〜ま〜」

 

「セシリアだけ抜け駆けはないでしょ〜」

 

「クラスの思い出になっていいでじゃん」

 

「む〜っ!」

 

 

 

結局パーティーは10時近くまで続いた。・・・・女子高生パワーってすごいのね・・・・・・

 

パーティーが解散した後、俺は精神的にふらふらになりながら部屋へと戻っていった。

 

 

「今日は楽しかっただろう。よかったな」

 

 

・・・・な〜んでまた不機嫌になってるのかね?

 

何やらとげとげしい口調で箒が言ってくる。

 

 

「さっきも言ったが、騒がしいのは嫌いじゃない。それにどうやらクラスメートには嫌われてないようだしな。安心した」

 

 

・・・・この前、あんなこと言っちゃったしな〜。てっきり嫌われるもんだと思ってたよ。

 

 

「・・・・再会した時から思ったが、何か変わったな一夏」

 

「ん?そうか?」

 

「ああ・・・なんというか・・お、男らしくなったというか・・落ち着きを持ってるというか・・・・」

 

「そうか・・・・・なら少しは近づけてるのかな、あの人達に・・・」

 

「あの人達?」

 

「俺の尊敬してる人達だ。・・・・・俺はもう寝るとしよう。今日はさすがに疲れたな」

 

「な、なら向こうを向いてくれるか?寝間着に着替えたいから・・・」

 

「ああ、分かった」

 

 

・・・・・・正直に言ってさ、俺がいないときに着替えてほしいと思うんだけど。でも、この前そう言ったらものすごく不機嫌な顔をされた。うん、意味が分かんない。

 

俺も健全な男子だ。同世代の女子が同じ部屋で着替えるとか、正直かなりキツイものがある。

 

 

「い、いいぞ」

 

「ん、分かった」

 

 

箒は寝間着には浴衣を着ている。ぶっちゃけると滅茶苦茶似合ってる。

 

 

「ん?帯いつものと違うな。新調したのか?」

 

 

いつものと色が違うね〜。

 

 

「よ、よく見ているな」

 

「まあ、毎日お前の事を見てるからな」

 

「そ、そうか。私を毎日見ている・・・か。そうかそうか」

 

 

何やら嬉しそうにウンウン頷いてる。・・・・どうしたんだ?頭でも打った?

 

 

「よしっ! では寝るとしようっ!」

 

 

意気揚々と就寝に入る箒。

 

・・・そんなに意気揚々として寝ようとしても眠れないと思うけどな〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝のSHR前

 

 

「織斑くん、おはよー。ねえ、転校生の噂聞いた?」

 

「転校生?こんな時期にか?」

 

 

こんな時期にね〜。珍しい・・・・

 

 

「なんでも中国の代表候補生なんだってさ」

 

「・・・・中国か・・」

 

 

中国と言えば、あいつどうしてるかな〜。連絡くれって言ったのにちっとも寄越さないで・・・愛理さんとかも心配してるし・・・・

 

 

「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら」

 

 

そしてイギリス代表候補生、セシリア・オルコット登場。また腰に手を当てたポーズが様になっているね〜。ちなみにセシリア、それは無いと思う。

 

 

「このクラスに転入してくるわけではないだろう? 騒ぐほどのことでもあるまい」

 

 

そして篠ノ之箒登場。・・・・・うん、何もないね〜。

 

 

「・・・・中国の代表候補生か・・」

 

「む、気になるのか?」

 

「まあ、な。俺も好奇心がないわけじゃない」

 

 

代表候補生か〜。どんな専用機もってるんだろうな〜。って程度にはね。

 

 

「今のお前に女子を気にしている余裕があるのか? 来月にはクラス対抗戦があるだろう」

 

「そうですわっ! 一夏さん。クラス対抗戦に向けて、より実戦的な訓練をしましょう。相手ならこのわたくし、セシリア・オルコットが務めさせていたたきますわ。専用機を持っているのはまだクラスでわたくしと一夏さんだけなのですから」

 

 

『だけ』の部分が妙に強調されたね〜。

 

でもまあ、実戦的な訓練をするにはセシリアに頼むのが一番だ。訓練機は使うのに申請と許可、整備に丸一日使ってしまう。

 

セシリアなら専用機を持っているし、ISの経験も豊富だ。訓練の相手には申し分無い。

 

 

「戦うからには勝つさ」

 

「そうですわっ! 一夏さんには勝っていただきませんと」

 

「そうだぞっ! 男たるもの、それくらいの気構えでいかねばどうする」

 

「優勝賞品は学食デザートの半年フリーパス券だからね」

 

「織斑くん、がんばってねっ! わたしたちのフリーパスのためにも」

 

「織斑くんが勝つとクラス皆が幸せだよー」

 

「今のところ専用機を持ってるクラス代表って一組と四組だけだから余裕だよ」

 

 

もろ私欲ですねっ!?逆にそれがすがすがしいよっ!

 

俺は皆からの激励?に苦笑いしながら軽く返事を返した。

 

 

 

 

 

 

「その情報、古いよ」

 

「「「っ!?」」」

 

 

突然盛り上がっているクラスに割って入る声がした。クラスには聞き覚えの無い声。だが俺にはそれは久し振りに聞く声だった。声の正体は教室の入口にいた。

 

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」

 

 

そいつは1年前に中国に帰国した俺の幼馴染であり、パートナーだった。

 

 

「お前・・・・鈴か?」

 

「そうよ。中国代表候補生、鳳鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ」

 

 

ふっと笑みを漏らし、トレードマークのツインテールが軽く揺れる。

 

 

「・・・ハァ」

 

「な、何よっ!?その溜息はっ!!」

 

「何気取ってるんだ。まったく似合ってないぞ」

 

「ばっ・・・・!? 何言ってんのよ、アンタはっ!」

 

 

はい、素に戻った。

 

 

「大体、アンタなんで——」

 

「話はまた後でな。そろそろ来るからな」

 

「はぁ?」

 

バシンッ!

 

 

呆けてる鈴の頭にオーバーキルの威力を持った出席簿アタックが落ちた。

 

はい、鬼教官のおでまし〜。

 

 

「いっったっ!? 何すんのよっ!」

 

バシンッ!

 

 

二度目の出席簿アタック。それによって、鈴はようやく織斑先生の存在を確認する。・・・馬鹿だねぇ〜

 

 

「もうSHRの時間だ。教室に戻れ」

 

「ち、千冬さん・・・・」

 

「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、邪魔だ。」

 

「す、すみません・・・・」

 

 

すごすごとドアからどく鈴。

 

相変わらず織斑先生は苦手みたいだな。

 

 

「また後で来るからねっ! 逃げないでよ、一夏っ!」

 

「俺は逃げも隠れもしないよ」

 

「さっさと戻れ」

 

「は、はいぃっ!」

 

 

鈴はトライアル真っ青のスピードで教室に戻っていった。

 

にしても、あいつがIS操縦者とは・・・・・。まったくもって驚きだな。

 

そう思ってると、クラス全員に囲まれた。

 

 

「一夏、今のは誰だ? 知り合いか? えらく親しそうだったな」

 

「一夏さんっ!? あの子とはどういう関係で——」

 

 

他クラスメイトからも質問の数々。

 

お〜い。今そんなことしちゃまずいでしょ。

 

 

バシンバシンバシンバシンッ!

 

「席に着け、馬鹿共」

 

 

ああ、ほら・・言わんこっちゃない・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

それから、何故か箒とセシリアは授業に全く集中しておらず、昼までに山田先生から注意五回、織斑先生に三回叩かれたのであった。

 

・・・・お前ら、織斑先生の授業でボゥっとするとか自殺行為以何ものでもないぞ。

 

 

「お前のせいだっ!」

 

「あなたのせいですわっ!」

 

「いや、考え事してたお前らが悪い」

 

 

そして何故か責められました。いや、言い返したけど・・・。

 

 

 


 
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