No.395831

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 ~Blue Wind~【~Prologue~】

こたさん

ソニックはいつものようにエッグマンの計画を阻止しようとしていた。だがそれはエッグマンの罠だったのだ。カオスエメラルドの力で別世界へと飛ばされてしまったソニック。そこはゲイムギョウ界と呼ばれた異世界だった。そしてその世界でネプギアと言う名の少女に出会い―――……ネプギアは姉を助け出すことは出来るのか?ソニックは元の世界へ帰れるのか?これは、ネプテューヌmk2にソニックが居たら――のもしもの物語である。――――

2012-03-21 20:12:14 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1283   閲覧ユーザー数:1232

ここは異世界ゲイムギョウ界―――四つの彩りあふれる国家から成る孤島である。

 

 

そして、それぞれの国は「守護女神」の加護の下にあった。

 

彼女達は人々の信仰の力を糧に久しくこの世界を守ってきた。

 

 

 

―――――――今日までは

 

 

 

 

 

 

 

ここはそのゲイムギョウ界で死んだ者が最終的に辿り着く場所――ギョウカイ墓場。

辺にはには人間のエゴによって捨てられた大きな携帯ゲーム機や不気味な建物がそびえ建っており、空は赤く薄暗かった。

 

 

 

ここでは今戦いが繰り広げられていた。

 

 

 

 

ガッ!!キィン!!バッ!!

 

 

剣と剣のせめぎ合う激しい戦闘の音が聞こえる。

 

 

「ハァッ!!」

黒い戦闘服に身を包み、艶やかな紫色の長髪を二つに結んでいる女性―――パープルハートは「彼女」にむかって切りかかる。雪のような白い額から飛ぶ汗が光った。

 

ガッ!

 

パープルハートの振り下ろした剣は「彼女」の鎌に軽々しく受け止められる。

「なッ……!?」

「甘い。」

 

バキッ!

 

「彼女」はそのまま鎌を振りパープルハートを吹き飛ばす。

 

ズザザザザザザッ!

 

「くッ……!」

何とか体勢を立て直し着地するも彼女の息は上がっていた。

「彼女」との力の差は圧倒的だった。

パープルハートの周りには先程まで共に「彼女」に立ち向かっていた3人の仲間が倒れている。

どう贔屓目に見ても勝てる見込みは無かった。だが、だからと言って諦めるわけにはいかなかった。

「…………」

そして少し離れた場所には守るべき妹――――パープルシスターが地に膝を着け、怯えるように小刻みに震えながらこちらを見守っていた。

純白の戦闘服を身に纏い、腰まで届くピンク色の長髪。そしてパープルハート同様雪のように綺麗な肌にまるで青空のような澄んだ色の瞳。

「!?」

パープルハートは顔を上げたが、先程までそこに居た「彼女」の姿が無くなっていた。

 

ガッ!

 

「!!」

だが、それに気づくと同時に―――目の前が真っ暗になった。

 

 

「お姉ちゃんッ!」

パープルシスターはその名を呼ぶが、彼女にその声は届いていない。

 

パープルシスターにも何が起きたのか理解しきれていなかった。

ただ、辛うじて分かったのはパープルハートの背後に突如「彼女」が出現したことくらいである。

そして―――目の前に大好きな姉が倒れていることであった。

「女神……所詮この程度か……」

「彼女」―――マジック・ザ・ハードは目の前に倒れているパープルハートを見下ろす。

左目に黒い眼帯を着けており、もう片方の右目が彼女を冷たく睨む。

大きく二つに分けられた長く紅い髪がなびく。

「ヒッ………!」

思わず声をあげてしまい、パープルシスターはハッと口を押さえる。

だが、もう遅かった。

「…………」

マジックはその声に反応しゆっくりとパープルシスターを振り返った。

 

ザッ―――

 

そしてゆっくり――――彼女へ歩み寄ってくる。

 

その光景に身も凍るような戦慄が奔る。逃げようとしても足が言うことを聞かなかった。

ただただ、震えるしかなかった。

「お願い……止めて……!」

懇願するかのように彼女は言った。

しかしそれで歩みを止める程マジックは甘くなかった。

 

 

 

恐怖に耐えられなくなり、とうとう彼女は叫んだ。

 

 

 

 

「このままじゃ、ゲイムギョウ界が壊れちゃうよ―――――――!!!!!!」

 

 

彼女の―――パープルシスターの叫びがギョウカイ墓場に木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を遥か上空から

一匹のハリネズミが見下ろしていたことに誰も気づくことは無かった。

 

 

 

それから三年の月日が流れた。

 

ここは地球。

 

そしてここは―――どこかの基地の司令室のようだった。

その周りではある科学者が自分に似せて作った赤いロボット達が彼の代わりに働いている。

 

「ホーーーーーーホホホホホホホホホホホ!!!!!!」

 

Dr,エッグマンは突如高笑いをあげた。

大きく横に広がる茶色い髭にサングラスのような黒く丸い眼鏡――そして名前の通り卵のような体型の彼は今日も地球のどこかでエッグマンランドを建設すると言う何とも馬鹿馬鹿しい計画を立てていた。

 

ブワンッ!

 

彼の目の前にある大きなモニターに外の風景が映し出される。

美しかった森がエッグマンのロボット達によって目茶苦茶にされている。

薄暗い空の下、木々は伐採されまるで遊園地のような設備を次々に建設されていた。

「順調じゃ!このままどんどん作業を続けるのじゃ!」

エッグマンは再び高笑いをあげた。

 

その時だった――――

 

 

ドガンッ!

 

突如モニターに映っていたロボットが爆発を起こす。

「あいッ!?」

何が起きたか理解できず、エッグマンは間抜けな叫び声をあげた。

そして基地の入り口前を確認できるメインモニターに「彼」の姿が映し出された。

 

 

「ヘヘッ!」

「ソニック!?」

 

「彼」――――ソニック・ザ・ヘッジホッグは余裕の笑みから表情を一変させイラついた面持ちになる。

青い胴体に白い手袋。そして赤い大きなスニーカーが特徴的な彼はエッグマンの手から何度も世界を救ったハリネズミである。

「エッグマン、今度は一体何を企んでんだ?」

ソニックは基地の入り口の上部にある大きなモニターに映し出されている見飽きたハゲ頭に尋ねる。

「それより貴様、どうしてここが分かった?」

「森の中にこんな馬鹿デカイ基地が出来てるのに気づかない方がどうかしてるぜ。」

もう何度目だろうか――――そう言いたげにソニックは額に手を置きやれやれと頭を振る。

「―――ったくダークの件が終わったらすぐこれか。そんなんだからいつまで経っても嫁さんが出来ないんだぜ?」

「黙れぃッ!!余計なお世話じゃッ!」

「エッグマン、今年のバレンタインはどんくらいチョコ貰った?」

「ええとじゃな……確か1個も―――って何を言わせる気じゃ!?」

「やっぱりな。俺は152個だったぜ。」

「こんのぉ……!!ムカつくハリネズミめぇ~~~~!!!!」

モニターの中でトマトのようにつるぴか頭を真っ赤にしたエッグマンは地団駄を踏んだ。

「……まぁいいソニック、出来るものならこのワシを止めてみるがいい。」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

 

エッグマンがそう告げるとモニター下部の大きな扉が開く。

「へぇ……随分とサービスがいいねぇ。」

「今回ばかりは貴様に邪魔はさせんわ!」

「望むところだ!」

 

ギュンッ!!

 

そう告げるとソニックは目にも止まらぬスピードで基地の中へ入っていった。

 

 

「アイエフさん、準備はよろしいですか?」

 

「はい、イストワール様。」

 

ゲイムギョウ界の国の一つプラネテューヌに佇む荘厳な建築物――その応接間で柔らかな金色の髪で浮遊する本に乗った小さな少女―――「イストワール」に片側のこめかみ辺りに緑色のリボンを付け少し大きめの青いコートを纏った少女―――「アイエフ」は首肯する。

「最後に確認します。本当に1人で行くつもりなのですか?」

念を押すかのようにイストワールが尋ねる。

「ええ。私だけで―――」

「あいちゃん!待ってくださいです!」

アイエフの言葉を何者かが遮る。

「コンパ?」

アイエフが振り向きその名を呼ぶ。

厚めの白いセーターに淡いオレンジ色の髪を靡かせながらこちらに慌てたように走ってくる姿があった。

「ハァ―――ハァ――間に合ってよかったです……」

「どうしたのよそんなに慌てて?」

そんなに大した距離ではないのにちょっと走っただけで息が上がっているコンパにアイエフは尋ねる。息を整えアイエフの眼を見て彼女はしっかりと言った。

「あいちゃん、私も連れて行って欲しいです!」

「止めときなさい」

「!?」

しかし躊躇無く発せられたアイエフの言葉に呆気無く止められた。

「どんな危険が待ち受けてるか分からないのよ?ここは私だけで―――」

「ねぷねぷを助けたいのはあいちゃんだけじゃ無いです!」

「お化け屋敷みたいなのとは訳が違うのよ?ただでさえ今でも1人じゃお化け屋敷に入れないのに――」

「いい加減その話をするのは止めて欲しいです……」

聞きたくなかったのかコンパは若干涙目になっていた。アイエフは苦笑いをする。

「ごめんごめん。……でもやっぱアンタは待っていなさい。わざわざコンパまで危ない目にあう必要は無いでしょ?」

「今までも私は危険な目にあってきました。でもあいちゃんやねぷねぷ達と一緒だったから……助けてもらっていたから、今度は私がねぷねぷを助けたいんです!」

「…………」

断固として意志を変えないコンパの様子にアイエフは嘆息する。

「コンパさん、よろしいのですか?」

とうとうイストワールが口を開いた。

「イストワール様?」

アイエフが聞き返す。

コンパは本の上に腰をかけている綺麗な顔をした少女の顔をしっかりと見つめていた。

「確かにアイエフさん1人で行くよりもコンパさんと二人で行った方が良いと思います。二人で協力してネプテューヌさん達を助けに行くことをお願いしてもよろしいですか?」

優しい笑顔でイストワールは二人に告げた。

「「……はい!」」

二人の声が一致する。

「決まりですね。では今から二人をギョウカイ墓場へ送ります。」

 

ドガ―――ン!!

 

大きな爆音が響くと同時に地面が揺れる。

「のぁっ!?」

エッグマンはその振動に倒れそうになるが何とか持ちこたえた。

モニターに映っていた画面は全てノイズが奔った状態になっている。恐らく監視カメラが全て破壊されてしまっているのだろう。

「おのれぇ~!ロボット達は何をやっておる!?」

エッグマンは力任せにキーボードを叩く。

 

その時だった―――

 

バゴォッ!!

 

「むぅッ!?」

入り口から突如響いた大きな鈍い音にエッグマンは振り返った。

煙に満ちていて入り口の向こう側が確認できない。

 

タッ――――

 

その姿は一つ足を出す。

「来てやったぜエッグマン。」

「ソ、ソニック!?」

煙の中から青いハリネズミの姿――――ソニック・ザ・ヘッジホッグが姿を現す。

エッグマンは後ずさり背後にあったキーボードに手をつける。

「どうしたエッグマン?最初の威勢は何処行ったんだ?」

「な、なんてこったい!おわぁ~、ワシの計画が滅茶苦茶じゃあ~!」

ソニックの問いかけにエッグマンは若干わざとらしく焦りだす。

「……?エッグマン、今度は一体何を――――」

「今じゃあッ!」

 

ボチッ!!

 

「!?」

エッグマンが突如何かのボタンを押す。

しかし何が起きたのか分からなかった。

「ホーーーーホホホホホホーーー!!成功じゃ!ソニック、今度こそ貴様の最期じゃあ!」

その刹那、先程と変わらず目の前に立っているエッグマンは高笑いをした。

訳が分からないかのようにソニックは首を傾げる。

「What’s wrong?」

ソニックは足を踏み出す。

だが――――

 

ゴンッ!

 

「アウチッ!」

何も無い所に何故か頭をぶつけソニックは足を止める。

「Han……?」

そっと手を前に出すと何も無い場所で何かに手が触れる。

「何だこれ?」

両手で前を探るがやはり何かにぶつかる。

「ようやく気づいたか!これこそまさにこのDr,エッグマン様が開発した『ハリネズミを別世界に送っちゃおう』マシ――」

「へー、別世界ねぇ……」

エッグマンの言葉を遮りソニックは言う。

「いや最後まで聞けよ……」

「あん?What?」

 

コォォォッ――――

 

聞き返したソニックの体から七つの光る何かが現れる。

赤・緑・黄・青・水色・白・紫色の光だった。

「んなっ!?」

「貴様の持っているカオスエメラルドで貴様を異世界へ送ってくれるワイ!」

ソニックの体から現れたのは――――七つ集めると奇跡を起こすと言われている宝石「カオスエメラルド」だった。

カオスエメラルドは悠然とソニックから離れていく。

「チッ!」

ソニックが慌てて掴もうとするも壁が邪魔して手が届かない。

「ぐふふふふ……初めからこれが目的じゃったのだ。貴様の七つのカオスエメラルドを逆に利用し人工カオスコントロールで貴様だけを異世界へ送り、残ったカオスエメラルドでワシは今度こそ『エッグマンランド』の建設を―――」

「またそれか。まだ諦めてなかったのか?」

「いやだから聞けってのに……」

「んで、俺を何処へ飛ばす気だ?」

エッグマンはモニターを振り返る。

「……ワシにも分からん。」

「Han?」

「……じゃがな、こう設定しておいたワイ。」

口元がにやけたエッグマンが顔だけをこちらへ向けた。

 

「―――これから絶望へと変わりつつある世界じゃ。そこで貴様はただ1人彷徨うがいい……」

 

そう告げたエッグマンは静かに笑いをこぼす。

「ほぅ……絶望へと変わりつつある世界ねぇ……」

ソニックはまるで考えごとをするかのように顎に手を置いた。

そして笑顔でエッグマンのツルピカ頭に告げる。

 

「だったらその『絶望』を俺が『希望』に作り変えてやるさ!その後にエッグマン……お前の野望も必ず打ち砕いてやる!」

「ぐふふ……戯言はもういいワイ。今すぐ貴様を異世界へ送ってくれる!」

エッグマンは目の前にあったキーボードをカチャカチャと叩く。

 

グオオオオオオオ――――ン!!!

 

ソニックの周りのカオスエメラルドが高速で回り始める。

それと同時にカプセルが光りだす。

「ホーーーホホホホホホーーー!!サラバじゃ!忌々しいハリネズミよ!」

エッグマンはとうとう高笑いをする。

「へッ!髭を洗って待ってなエッグマン!俺は必ずこの世界へ帰ってみせる。その時は必ずお前の野望を阻止してみせるさ!」

ソニックの表情には恐怖や不安に捕らわれたようには見えなかった。

 

――――ただただ、その顔には笑みしか無かった。

 

シュンッ!

 

カプセル内のソニックの姿が消えた。

それと同時にエッグマンの方が小さく震える。

「………やったぞ……やってやったワイ!今度こそワシの目の前からあの忌々しいハリネズミが消えおったワイ!!」

エッグマンは満面の笑みで1人ガッツポーズを取っていた。

「よーし、ではワシはカオスエメラルドを―――」

エッグマンが独り言のように言い先程までソニックが居た場所を振り返る。

「……あッ!無いッ!?」

そう、そこにあるはずのカオスエメラルドが一つ残らず消えていたのだ。

「くそー、どうやら製造ミスのようじゃな……グフフ、まぁ良いわ。あのハリネズミが消えたことに変わりは無い。今度こそ我が『エッグマンランド』建設再スタートじゃーー!!!ガーーーーーッハッハッハッハッハッハッハッハッブブフェブホッブホッ!む、むせたワイ。」

エッグマンは司令室でただ1人笑っていた。

 

 

 

 

 

―――だが彼は……自分のこの行動が別の世界の運命を大きく変えることになるとは予想もしなかっただろう。

 

 


 
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