No.395387

IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 コラボ小説 第五話~四 自分の気持ち

ラトラーターコンボを撃破した二人だがシャウタコンボの前にまともに戦うことができずにいたが、そこにエリスが助けにはいる。そして唯は、自分の感じている気持ちに気付き始めていた……。

2012-03-20 22:22:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1124   閲覧ユーザー数:1118

「このぉっ!」

「うあっ、サゴーゾのパワーにも劣らないね!」

 

 エリスはハイパービームサーベルでユリに斬りかかるが、ユリはサゴーゾ専用武器『ゴリバゴーン』をクロスに組んで防ぐ。しかしサーベルの出力が徐々に上がっているのか、ユリは少しずつ後ろに下がっていく。

 

「戦いを楽しむ奴になんか……負けるもんかぁ!」

 

 エリスの想いにZZが応えたのか、サーベルが通常の2倍ぐらいの長さと太さになった。

 

「くぅ……この力一体なに!?」

 

 ユリも負けじとサーベルを押し返そうとするが変化はない。

 

「こいつ、調子に乗るなぁ!」

 

 ユリはなんとかサーベルを押し返したが、エリスはすぐさま距離を取った。ISを纏っているエリスからピンク色のオーラが出ている。

 

「そのISの単一仕様能力《ワン・オフ・アビリティー》なの!? でもそんな姿は見たことないよ!」

「そんなことどうだっていい……今はユリちゃん――君を潰すだけだよっ!」

 

 

 

「サイコバーストと似てるけど色が違う……! ZZの単一仕様能力なの?」

 

 ピットにいる光輝らはZZを纏うオーラが出てきた事に驚きを隠せなかった。オーラを纏ってからはユリを圧倒しているエリスに千冬、セシリア、シャルロット、ラウラは只驚いていた。しかし、光輝とアムロはエリスに危険を感じていた。

 

[ZZがエリスの感情を力に変えているように見える。だがこのままだと……]

「感情を力に……ですが何が問題なんです?」

 

 千冬の問いかけに光輝が答える。

 

 

「あのままだと自分の感情に取り込まれる! もしそうなったら、エリスさんが壊れちゃう!」

「なっ! 今のリムスカヤから何を感じるんだ?」

「ユリさんに対する憎しみしか感じない……それに取り込まれたらエリスさんが!」

 

 光輝はすぐさまアリーナ内に行こうとするが千冬がそれを止める。

 

「なんで! このままじゃエリスさんが!」

「リムスカヤが壊れる? おまえはあいつを信じてやれないのか? リムスカヤは憎しみに簡単に負けてしまうような人間か?」

「そ、それは……」

「信じているならここで見守れ。リムスカヤはそんな感情に負けるような弱い心じゃないのはお前が一番分かっているはずだぞ」

「…………」

 

 光輝はアリーナ内に行くことを止め、エリスを見守ることに……。

 

『大丈夫。リムは絶対に憎しみなんかには負けないさ』

「今のは唯さん?」

[君にも聞こえたのか? もしかしたらユリの支配も弱まっているのかもしれないな……]

 

 突然聞こえた声に戸惑う光輝だが再びエリスを見守る。この戦いも終盤が近い。唯を取り戻せるか、あるいはユリの支配に染まるか? 

 

 

 

「ええぃ!」

 

 掛け声とともにユリは右ストレートをZZに当てるがびくともしない。サゴーゾのパワーはオーズの中でもトップクラス。徐々にユリは怯え始めている。しかしま、直撃したのにも関わらずZZは動きもしないのは相当な防御力である。オーラがZZの戦闘能力を上げているようだが、エリスはどうなってしまうのか?

 

「それが精一杯なの? ならお返しするよ!」

 

 エリスも右ストレートをユリに返す。本来のユリなら避けれたであろうその攻撃だが、ユリは避けずに直撃しぶっ飛んだ。わざと避けなかったのではなく避けられなかったのである。エリスから感じる圧倒的な実力にユリは硬直いしていたのだ。

 

 ユリの変身が解け、その表情があらわになる。誰がどう見ても完全に怯えている顔。恐怖を感じたことのないユリにとっては未知の域だろう。このままだと自分は確実に殺される。そう確信していた。逃げたくても体が動かない。

 

「い、いやっ。死にたくない……まだ死にたくないっ!」

 

 

 

 ユリちゃんが憎い。そう思った時から体の自由が効かなくなった。でも見ることはできる。さっきの右ストレートでユリちゃんの変身が解けた。それよりも私の方を見て怯えているのはどうして? 

 

 そんなことを考えていると声が聞こえてくる。

 

『気にしなくていいじゃん♪ 憎い相手さえ居なくなったらそれはもう最高って思わない?』

「え? まさか、その声は私?」

『そう。正確には憎しみの心をもったエリス・リムスカヤだけどね。今君の体を動かしているのは君自身の憎しみの感情だよ♪』

「私の憎しみの感情……だったらもういいよ! ユリちゃんと戦わなくていい! 相手は怖がってるんだよ? もういいから体を返してよ!」

『ん~本当にいいの? 君はユリちゃんを憎んでたよね。今ここで殺しておかないと唯くんも取り戻せないよ?』

「そんなことしなくったって唯くんは取り戻せる! それにユリちゃんとだってもしかしたら……」

『へぇ~、でもそれは本当に君の想いなのかな? 光輝くんが言ったからじゃあ自分もって感じじゃないの?』

「…………」

『ふふ、黙ってるってことはそうなんだよね♪』

 

 私は否定できなかった。確かに光輝くんが言っていたからって感じなのだから……。でも!

 

「でも私は、自分の憎しみになんかに負けるわけにはいかない!」

『……よく言えました♪』

「え?」

 

 私は唖然とした。いきなりそんなこと言うなんて、気が抜けるよ。

 

『まぁ合格かな。絶対に憎しみには捕われてはダメだよ。これでZZの単一仕様能力は解放されたけど使い方を考えてね♪ じゃあね、エリス♪』

 

 そう言い残してもう一人の私の声はしなくなった。そして体の自由が戻ったと同時にΙSが解除された。

 

「あれ? 何でなの?」

 

 そういえば単一仕様能力が解放されたとかって言ってたなぁ。その影響なのかな?

 

「それはそうと、ユリちゃん大丈夫!?」

 

 私はユリちゃんの近くに駆け寄り様子を見る。私を見る目が恐怖で揺らいでる……。これは私が悪いことしたね。

 

「ごめんね、ユリちゃん。やり過ぎたよ」

「な、何で謝ってるの? ボクはエリスちゃんを殺す気でいたのに……」

「関係ないよ。確かにユリちゃんのやってることは許せない。でもユリちゃんはそうすることを考えたんだよね?」

「う、うん」

「ならそれは自分がそうしたいってことだね。私はピットに戻るよ。ISも当分は起動出来ないし、殺そうとしてもいい。でも光輝くんと戦ってみて。そしたら答えが見えてくるから……」

 

 そう言った私はユリちゃんの頭を撫でてピットに戻った。ユリちゃんは生身の私に攻撃してこなかったよ。

 

 

 

「エリスさん大丈夫!?」

 

 エリスが帰るなり心配していた光輝が近寄る。

 

「大丈夫だよ。なんかZZの単一仕様能力も解放されたし、ユリちゃんとも話せたから良かったよ」

[ZZの能力が解放された? じゃあ、あのオーラはその影響か……]

「オーラとかはよく分からないけど、もう一人の私がそう言ってましたから。まぁそれはいいとして、次は光輝くんだね」

「メンバー的にそうなるのか……やっぱり戦わないといけないのかな?」

「ううん。もしかしたらその必要はなくなるかもしれないよ。さっきユリちゃんと話した時に何か迷いができたようだから……ユリちゃんの話を聞いてあげて欲しいんだ」

 

 確かに今のユリには何かの迷いがあるとみていい。ピットに戻る際に背を向けて帰っていくエリスをユリは殺さなかったのである。いつものユリならすぐさま殺していたはずなのに……。心境の変化に戸惑っているのか?

 

「分かったよ。ユリさんと話してみる。唯さんも取り戻して、ユリさんとも分かりあおう。絶対にね」

 

 光輝はアリーナ内へ向かう。その門を潜る手前で光輝は千冬に声を掛けられた。

 

「死ぬなよ」

「はい!」

 

 単純な言葉だが確かな想いを感じ、光輝は対話という戦場へと駆けていった。

 

 

 

「そっか、最後は本命の光輝ちゃんだったね……その光を消してボクは――」

「……本当にそれでいいのユリさんは?」

「何を言ってるの? ボクはこの体が欲しい。ボクは紫のグリードとして自分の欲を満たしたいんだ」

「それがユリさんの欲望? でもそれってグリードとしてのだよね? じゃあユリさん自身の欲って何?」

「僕自身の?」

「そうだよ。グリードとしてではなくユリさんとしてのだよ」

「でもボクはグリードなんだ。その事実からは逃れられないんだ!」

「そんなことはいいんだよ! ユリさんは列記とした人だ! 人と同じように笑って怒って嬉しがって! この戦いを見て感じたよ。ユリさんも感情豊かな人間だって! グリードとかそんなことはいいから!」

 

 ユリは困惑し続ける。エリスといい光輝といい、話していると訳の分からない感情が胸にいっぱい詰まって壊れてしまいそう。こういう時、どうすればいいのかさえ分からない。

 

「やめろ、もう何も言うな。ボクは唯を壊してこの体をもらえばそれでいいんだ!」

「そんなこと言うから目の前のことしか見えなくなるんだよ! もっと落ち着いてまわりを見て! もし分からないことがあったら誰かに聞けばいいんだよ!」

 

 ユリの体がビクッと跳ねる。誰かに聞けばいい? そしたら――

 

「じゃあこの気持ちは何!? ボクの胸の中がモヤモヤした感情でいっぱいなんだ……。この感じは嫌いだっ! 何もかも壊れちゃえばいいんだ!」

 

 涙を流しながら、ユリはそう言うと体から紫のメダル3枚が飛び出た。それがベルトにセットされる。

 

「光輝ちゃんを壊したあとに全てを壊す! このメダルならそれができる! このモヤモヤだって!」

「待ってユリさん! そんなことしたって何も変わらないんだ!」

「うるさい! お前の言うことはもういい! ボクを困惑させて……おかしくなりそうだよ!」

[ユリはきっと自分の気持ちを表現の仕方が分からないんだ、きっと。まずはユリを止めないと!]

 

 ユリの瞳が紫に光り、オースキャナーが勝手にメダルをスキャンしていく。

 

『プテラ! トリケラ! ティラノ! プットティラ~ノザウル~ス♪』

 

 ユリの周りに冷気が発生し恐竜のような雄たけびをあげて現れたのは、全てを無に還す恐竜系コンボ『プトティラコンボ』だ。

 

[あのコンボなんだ!? 唯からもあんなコンボがあるとは聞いてないぞ!]

「ユリさん……! アムロさん、HI‐νガンダムで戦います!」

[了解だ。必ずユリも唯も助けるぞ!]

 

 アムロの言葉に光輝はISを纏う。しかしISを上回るオーズの力に光輝は敵うのか?最後の戦いが始まる!


 
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