麻帆良壊滅一歩前
side レイト
ネギが授業をやり始めた週の土曜日、オレは仲の良い魔法先生達と一緒に魔法使い専用のバーに来ていた。とりあえず全員で酒をグラス1杯を飲み干してから雑談に入るのがオレたちの中での暗黙の了解になっている。
なんせほとんど酒を飲まずに話し続けるだけだからマスターに睨まれた事が多々あるからだ。オレは酒は好きな方だが飲むときはキティと一緒に飲むし、倉庫に熟成された酒が大量にあるので外で飲む事などあまり無い。と言うよりあまり旨いと感じないので飲まないのだ。だからオレが頼むのは一番高い酒をグラス1杯だけだ。後はおつまみを少し頼む位だ。他の面子は恐ろしい程酒に弱いのでやっぱりグラス1杯の酒とおつまみ。
それで2時間位話し込むもんだから睨まれて当然だな。
話している内容?
え~っと、その、あれだあれ。まあ、色々とアレなものだ。
ちゃんと話せって?分かったよ。話せば良いんだろう。簡単に話せばオレが新しく開発した魔法やら魔法具の元になっているものについての個人的な意見を交換しているんだよ。
閑話休題
いつもなら新しい魔法や魔法具に関しての意見交換が始まるのだが今日は違った。
「もう、麻帆良滅ぼして良いよね?」
『いやいやいやいや、ちょっと落ち着こうか』
落ち着いてるよ。ちゃんと結界とか張って他の人にこの話が聞こえない様にしたりしてるんだから。
「いや、だってね学園長が調子に乗ってるからさ。直接会っていないエヴァと零樹以外が今にも暴走しそうなんだもん。正直な所、麻帆良を滅ぼしてもオレにデメリットがほとんど無いしさ。精々賞金が上がる程度だろ、それ位なら身内で一暴れしてアリアドネーで隠居しよっかな~、って意見が上がってるんだよ。もちろんアリスも賛成している」
「だからって滅ぼすのはさすがに」
「大丈夫だって、一般人には一切手を出さないし裏の関係者は再起不能にして、霊脈を弄って霊地として使えない様に、というより周りに拡散させる様にして世界樹は……魔法世界の方に持ち込むか、そうすれば良い事尽くめだな」
「それだと魔法教会は極東の拠点を失う事になるんですが」
「関西呪術協会に協力を仰げば良いだろうが。条件次第で同盟を組むと何回も言ってるんだがな、学園長が素直に首を縦に振らんから冷戦状態になってるんだぞ。関西呪術協会と全面戦争になったらオレが手を出さなくても確実に関東魔法教会は負けるからな。仮面ライダーも使用不能にするからな」
「高畑先生がカブトを使えば何とかなると思ったんですけどねぇ」
「クロックアップの術式は木乃葉が使えるから五分だぞ。そんでもって使わせないから圧倒的に不利だぞ」
「木乃葉というと関西呪術協会の長の」
「嫁さん、学園長の娘だな。アレに似なくて良かったというのが笑い話の一つだ。息子だったらどうなっていた事やら」
「きっと似た様になるんでしょうねぇ、個人的には見てみたいですけど」
「きっと性格は封神演技の太公望みたいになるんじゃないですか?」
「それはないな。学園長、謀が下手だし、人を動かすのも下手だから」
『ああ、納得』
ここに来た魔法先生達は最初にオレが麻帆良に来た初日の事件の事を教えられる。学園長もオレたちの事は手を出さなければ何もしてこないと注意をするが注意するだけなのでたまに暴走する魔法先生がいる。そしてオレに手を出してきた魔法先生はその生涯を止められる。閉じられるのではなく止められる。簡単に言えばダイオラマ魔法球の中に放り込まれる。内外差が逆で極限までずらされているのダイオラマ魔法球にだ。時間差は500年を1時間、つまり外の500年が中の1時間。分かり難ければ竜宮城だと思えば良い。一番新しいのは眼鏡を掛けた褐色の男で、確か名前はガンドル、そう、ガンドルフィーニだ。さすが正義バカ、赴任初日に襲いかかってきたので速攻で魔法球に封印した。行方不明扱いで捜索はまだ続けられているらしい。その前は確か金髪の魔法少女だったかな。確かハーフで影繰術を使ってきたはず。まあ、オレの方が70枚位上手なのでやっぱり封印されてしまった。
正義バカって本当にバカだよな。正義は必ず勝つと考えてるから。勝者が正義なんだよ。これが分からないのは子供だけだと思ってたんだけどな。これ、一般論だよね。
オレの持論は正義=悪<身内<キティだ。正直なところ正義だろうが悪だろうがどうでも良い。キティが居ればそれだけで良いやという感じだ。
曲がらない一本の信念があれば大抵の事はどうとでもなる。たぶんキティが死んだりしたら2、300年位立ち直れないな。前回もそうだったし。
まあ、昔の事は考えないでおこう。鬱になるから。今が幸せならそれで良いじゃないか。
閑話休題
ええっと何の話をしてたっけ。ああ、茄子が調子に乗ってるから麻帆良を滅ぼそうぜって話だったな。
「とりあえずさあ、そっちの方で学園長に警告しといてくれないか。そろそろ本気で麻帆良を滅ぼしたくなってるって。滅ぼされたくなかったらこれ以上オレたちの機嫌を損ねるな。生徒は確かに大事だが家族の方がオレは大事だからな。と伝えておけ」
「わかりました。ちゃんと伝えておきます」
「それより、この前頼んだアレは出来ましたか」
「ああ、デモンベインの術式か。アレはまだ威力がでかすぎて警備とかじゃ使えないから調整中だ。神聖と魔性が高い物もあるし実用化が怪しい。オレとかエヴァ、あとはぎりぎりアリスじゃないと使えんぞ」
「ネギ君は」
「イタクァを握らせた時点で魔力が無くなって喰い尽くされるかもしれんな」
実際、龍宮がヤバい事になったからな。慌ててアリスが仮契約をして魔力供給したおかげで命は助かったが魔族化が一気に進行してしまったので封印を施してやったのはつい先日の話だ。ちなみに龍宮が手に入れたアーティファクトはオレの銃器コレクションの一つだった。
名を『段ボールから狙い撃つぜ』(笑)
ああ、ネタさ。形状は普通の狙撃銃だが、性能は弾は実弾、魔力弾、魔法弾を意思一つで倉庫から直接装填され、ある程度のホーミングも付き、使い手を心理ステルス状態に持ち込む事が出来る優れものだ。オプションで段ボールを召還できる。しかもなにげに硬い。
野菜の白き雷位なら1回だけ受けれる位には硬い。
「一応レムリアインパクトを1回だけならタカミチでも使えるかな?」
「それじゃあ、トラペゾは」
「アレは完成する前に封印した。すごいぞ、途中までしか書いていない設計図が特1種封印指定にされちまった」
「どこの古代兵器ですか!?」
設計図を書いてた途中にあれ、なんかヤバくね?と思いアリアドネーにそれを送ったら封印指定を受けちまったんだよ。久しぶりに吃驚した。
「デモンベインの凄さを再認識した今日この頃だ」
「それを開発してしまうレイトさんの方が凄いと思うんですけどね」
「オレの場合は開発ではなくて模造だな。新しく作るんじゃなくて元からある物を自分で使える様にしてるだけだからな」
「それでも十分人外ですよね」
「人外は迫害される運命にあるが迫害できるもんならしてみろ」
『いや、絶対無理ですから。むしろ人間絶滅のお知らせ』
ですよね〜
こんな感じでバカな話を続けていくのがいつもの風景だ。
まあ、麻帆良を滅ぼしたいのは否定しないよ。それでも知ってる顔には死んで欲しくないので宣戦布告をちゃんとしてから亡命の手伝いくらいはしてやるがな。
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数十分で麻帆良を落とせ?
3分で十分だ。
byレイト