No.394953

仮面ライダーディージェント 第17話:麗しき赤き閃光と拒絶の野獣

水音ラルさん

ここからはファイズ編に入ります。
また、今回より以前この小説を投稿していたサイトで募集していたオリジナルライダーが登場します。
気に入って頂ければ幸いです。

2012-03-20 12:00:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:898   閲覧ユーザー数:897

ファイズの世界……

 

その世界にある人の一切通る事のない山中にあるトンネルの中で、一人の中年男性が壁に凭れ掛かって荒い息を上げていた。

 

「ぜぇ…ぜぇ……な、何で、はぁ…俺が、ぜひぃ…こ、こんな目に…ぜぇ……」

「見つけたぞ」

 

女性独特の高く凛とした声がトンネルの中に響き、男は「ひっ!?」と小さく悲鳴を上げながらトンネルの出口を見た。

そこには黄色く発光する大きな円を真ん中から縦に割った様な複眼が付いたマスク。

黒いボディスーツの四肢に走った赤く光るライン。そのラインは腹部に備え付けられている横倒しになった携帯電話へと繋がっている。

そして胸部を包み込む銀色の装甲のパワードスーツを身に付けた人影が右手にバイクハンドルの部分だけを握って立っていた。

 

仮面ライダーファイズ…この世界に存在するライダーの一人である。

 

そのパワードスーツは胸部が膨らみ、腰が括(くび)れている事からその装着者が女性であることが分かる。

そのライダーはツカツカと男に近づいて行くと、男に変化が現れた。

 

「く、来るな…!クッソォ…!!」

 

男の顔に象の模様の様な痣(あざ)が浮かび上がり、更に男の身体が灰色に変色しながら盛り上がって行き、その姿を人と象を掛け合わせたかのような異形…オルフェノクへと変えた。

 

オルフェノクはこの世界の脅威であり、人類の進化系とも言われる存在だ。

人間が死んだ際に極稀に覚醒し、その人を超えた圧倒的な力に溺れて人を襲い始め、その襲った人をもオルフェノクに変えてしまう事もありうる灰色の異形である。

 

『うああぁぁぁ!!』

 

その象を模したオルフェノク…エレファントオルフェノクは我武者羅にファイズへ突っ込んで行くが、ファイズはその突進を横に軽く避けながら腹部に供えられた携帯電話型変身ツール・ファイズフォンの表面に付属されているメモリーカード型キー・ミッションメモリーを引き抜き、右手に持ったバイクハンドルのメモリー挿入口に挿入した。

 

[レディ]

 

電子音声が鳴り響くと、バイクハンドルの根元から赤い光線…フォトンブラッドが噴き出し、エネルギーブレードが生成される。

ファイズ専用武器の一つ、ファイズエッジである。

 

フォトンブラッドは強力な毒性を持つ、あらゆる生命体に有毒な流体エネルギーである。

それはこの世界の脅威でもあるオルフェノクにも有効であり、ファイズが逆袈裟にエレファントオルフェノクを斬り付けたあとからは、物質分解を起こした灰が飛び散っていった。

 

「はああぁっ!」

『ぐがあぁっ!何故だ!?なぜ俺の日常を奪おうとする!?俺はただ普通に生活したいだけだ!それなのにこんな姿にされた上に、逆らうなら死ねだと!?ふざけるな!!』

 

エレファントオルフェノクはその攻撃に怯みながらも、必死に語りかけた。

いつもの様に平穏に暮らしていたら、今の自分に似たような怪物に突然殺され、気が付けばそいつと同じ化け物になっていた。

その直後「貴方は選ばれた人類だ」などと言われ、人を殺すように命令してきた。それを頑なに拒んだ途端、目の前にこのパワードスーツを付けた女が現れ、襲い掛かって来たのだ。

こんな理不尽な事があってたまるか…!

 

「貴様はオルフェノクでありながらその使命を拒んだ。そんな反逆者を裁くのが私の仕事だ。怨むんだったら自分の運命を怨むんだな」

『ぬうぅぅぅ…ウガアアァァァァァ!!』

 

ファイズはファイズエッジをヒュンヒュンと軽く振りながら冷酷な答えを発した。

その発言に止めどない怒りが湧いてくると、その身体は何倍にも巨大化し、下半身は象の胴体と四肢が形成される。

エレファントオルフェノク・激情態である。

 

「激情態か……実に惜しい人材だな」

 

激情態はオルフェノクの中でもたまに見かけるが、その姿になったオルフェノクは戦闘力が数段強化される。ただ、怒りに身を任せて本能のみで暴れるので攻撃が単調になってしまうのが欠点だ。

殆どの者がそうで、その力を制御できる者は一握りしかいない。

このエレファントオルフェノクも例外ではなく、本能のみで暴れている。

 

『ウウゥゥゥ…バオォォォォ!!』

 

エレファントオルフェノクはその大木の様な足でファイズを踏み潰そうとするが、ファイズは前転してその攻撃を掻い潜りながらファイズエッジに付けたミッションメモリーを引き抜いて刀身を解除すると、今度は右腰に付けた懐中電灯型ツール・ファイズポインターを取り出してそれをメモリー挿入口に挿入した。

 

[レディ]

 

そしてそれを右足の脹脛(ふくらはぎ)に装着すると、ファイズフフォンを腹部に着けたまま開き、エンターキーを押した。

 

[エクシード・チャージ]

 

その電子音声が鳴ると、ファイズフォンからフォトンブラッドが右足のラインを通じてファイズポインターに送り込まれる。

それを立ったまま右足を一歩踏み出した状態で確認すると、その巨体ゆえにトンネルの中では上手く身動きが取れないエレファントオルフェノクに向かって助走と付けてトンネルの天井ギリギリまでジャンプした。

 

「はっ!やぁっ!!」

『バオォォォウ!?』

 

ファイズは空中でエレファントオルフェノクに右足で回し蹴りを放つと、ファイズポインターから赤い光線が放たれ、それがエレファントオルフェノクの背中に命中すると、光線が円錐状に展開し、拘束・ロックオンした。

 

「はああぁぁぁっ!!」

『バオオォォォォォ!!』

 

回し蹴りの勢いで空中で一回転すると、そのポイントに吸い込まれる様に飛び蹴りを放った。

その飛び蹴りがポイントに触れた瞬間、ポイントがドリルの様に高速回転し、エレファントオルフェノクを貫いた。

ファイズの必殺技の一つ・「クリムゾンスマッシュ」である。

完全に貫いてエレファントオルフェノクの前方に着地すると、その巨体にΦの文字が浮かび上がり、青い炎に包まれると、灰となって崩れていった。

 

 

 

 

 

(アレがファイズか…でもあれが『基点』という訳じゃないみたいだね)

 

灰色のビジネススーツを身に付けた歩は、トンネルの出口の物影に隠れながらその戦いを見ていた。

しかしこの世界の情報では彼女がこの世界の「基点」ではない事は明らかだ。

この世界の名は……

 

「“デルタの世界”…か……」

「ッ!誰だ!?」

「……見つかっちゃったみたいだし、そろそろ亜由美を迎えに行こっかな?」

 

そう呟くと次元断裂空間の中に溶け込むようにしてその場から消えた。

 

 

 

 

 

「いない…クソ、逃げられたか……!」

 

ファイズはすぐさま声が聞こえてきたトンネルの出口まで駆けつけたが、既に逃げられたあとだった。

もし一般人にこの光景を見られようものなら、自分の所属する組織の素性が公(おおやけ)に広がる危険性がある。早急に対処しなければ…!

しかし、気になる事もあった。ここは山中で、隠れる場所などいくらでもあるが、自分のオルフェノクとしての感覚さえ使えばそんな物など無いに等しい。

だと言うのに、先程の気配や臭いがまるで煙の様に完全に消えているのだ。とても一般人どころかオルフェノクに出来る芸当ではない。

 

「とにかく、この事は正幸(まさゆき)に報告した方が良さそうだな」

 

そう言ってファイズフォンを取り外して開き、オフキーを入力すると、全身を包んでいたパワードスーツが赤く発光し、変身が解除された。

中から現れたのはウェーブ掛かった首筋まである茶髪に、鋭い目つき、プリッとした柔らかそうな唇、更に黒いレディススーツを身に付けたクールビューティーとも称されそうな美女だった。

その女性は軽く髪を掻き上げると、自分がここまで来るために乗って来た黒をベースとした赤いラインが所々に入ったバイク・オートバジンの左部分にバイクハンドルを差し込んでから跨り、ヘルメットを被るとその場を後にした。

既にエレファントオルフェノクの灰の山は風に吹かれて跡形もなく消え、何事もなかったかのようにその場を沈黙が支配した。

 

 

 

 

 

皆葉好太郎は現在の状況に戸惑っていた。

人が自分に寄って来ない事などあの時(・・・)から日常茶飯事なのだからもう慣れたが、その逆の展開が訪れるとは夢にも思わなかった。

今自分の背後にはテコテコと自分の後ろから高校生くらいの少女が後を付いて来ているのだ。

この少女は自分がこの世界に来た時に倒れているところを発見して、気まぐれで保護したのだが、少女は自分から離れるどころか付いて来ているのだ。

 

「……何故俺に付いて来る?」

「え?う~ん、何でですかね?多分、助けてくれたから、じゃないですか?」

 

自分の質問に少女…須藤亜由美はそう答えた。

助けたから、付いて来た……?そんな理由で?自分がアレ(・・)を持っている限り、向こうから自分に寄って来る事など無い筈なのに……。

ならアレの副作用が消えたのか?いや、それはない。何故ならこの亜由美という少女を除いて、周りが自分を避けているからだ。

 

好太郎はある理由で“人から避けられる体質”になっている。

それこそ満員電車に乗ろうものなら自分の入った車両だけ貸切も同然の状態になったり、子供に近付いただけで大泣きされたり、今だって周囲の人間が自分から避け、目も合わせない様にしている。

その筈なのにこの少女だけはそんな素振りは一切見せず、自分に付いて来る……この女、一体何者だ?世界の脅威というわけではなさそうだが……。

 

「あの、一つ聞いていいですか?」

「……何だ?」

「ここってどこですか?」

「………」

 

亜由美の口から予想外の質問が出て来た。

そんなの、こっちが知りたい。俺はこの世界に来たばかりなんだぞ?

 

「……知らん。というか、お前はここの人間じゃないのか?」

「あぁ~でもこれって教えてもいいのかな~?歩もあまり関わらない方がいいって言ってたし」

「歩?誰だそれは?」

「私の兄。今いろいろあってはぐれちゃって、探してるんです」

「……だったら、俺に関わってないで探しに行ったらどうだ?」

「う~ん…そうしたいんですけど、この辺りの事よく分かんないから、せめて知り合いと一緒にいた方が安心なんじゃないかな~って思って……」

「知り合い?誰の事を言ってるんだ?」

「好太郎さんの事。だって互いの名前知ってますよね?」

(……どうしてこうなった)

 

好太郎は自分の浅はかさを後悔した。

これは例えるならアレだ。捨て犬がかわいそうに見えてエサをあげたら懐いて後を付いて来てしまった感じだ。

 

『ぎゃあぁぁぁぁ!!』

 

そんな事を悶々と考えていると、丁度差し掛かった路地裏の隙間から悲鳴が聞こえてきた。

この世界にも脅威が存在している事は知っている。だとすれば、誰か襲われたのだろうか。

いくら自分が全てに拒絶される存在だとしても、助けられる命を放っておく事など出来ない。

好太郎は路地裏に入ってその悲鳴の聞こえた場所まで走りだした。

 

「あっ!ちょっと、待ってくださぁ~い!」

「何故付いてくる!?危ないからどっか行け!!」

「誰かが襲われてるかもしれないのにほっとけません!それにこのまま私の事撒くつもりだったんじゃないですか!?」

「チッ!勝手にしろ!!」

 

好太郎は追って来る亜由美を怒鳴り散らすが、如何やら簡単には離れてくれないらしい。

それでも、この先に待ち受けているであろう脅威と、自分のあの姿を見ればどうせ逃げ出すに決まってる。

 

そう、全てを拒絶するあの姿を見れば……。

 

 

 

 

 

歩はバイクに乗って亜由美の気配を追っていた。

このバイクはディージェントドライバーの成長記録機能が手に入れた情報によって構築したディージェント専用のバイク・マシンディージェンターだ。

インディゴカラーのボディに黒いラインが所々に矢印を描く様に走っており、前方にはディージェントのマスクと同じ二本線の大きな矢印が下を向いた状態で入っているのが特徴だ。

今まで殆ど乗る機会がなかったが、こうして久々に乗るのは実に一年ぶりだったりする。

因みに免許証はこの世界に来た時に役割と同様に手に入れた。

 

「……どうやら、この先にいるみたいだね」

 

歩は路地裏への入り口で止まるとヘルメットを外してバイクから降り、次元断裂空間を展開してその中に飲み込ませると、マシンディージェンターは跡形もなくその場から消えた。クラインの壺へ入れたのだ。

 

クラインの壺は無尽蔵に貯蓄できる異次元空間であり、その概念と演算法さえ理解していれば、ワールドウォーカーなら誰でも使う事が出来るのだ。

他のDシリーズに付属されているカードホルダーにもこの概念が使われている。

 

歩は路地裏へ入ろうとした所で別の気配がする事に気付いて立ち止まった。

 

(この気配…まさか……)

 

歩が感知できる気配は三つある。一つ目は自分の異次元同位体…つまり亜由美の事だ。

二つ目は今自分がいる世界の「基点」。しかしこれはコンタクトを取った人物が「基点」であるかどうかが分かる程度の物だ。

そしてもう一つは…自分と同じ存在・Dシリーズだ。

この先からはDシリーズと亜由美の二つの気配がするのだ。

何故亜由美がDシリーズと一緒にいるのかは分からないが、少なくとも他のDシリーズは、Dプロジェクトを知らずに好き勝手に世界を回っている連中が殆どだ。

最悪の場合はこの計画をよく思っていない者がいて、戦うことにもなるかもしれないだろう。

 

「………」

 

歩は険しい顔をしながら、バイクから降りてからもずっと着けていたグローブを強く嵌め直すと、そのDシリーズと亜由美の気配がする路地裏へと入って行った。

 

 

 

 

 

亜由美と好太郎は悲鳴の発信源である開けた場所に辿り着いた。

そこには腰を抜かして倒れている男性と、灰色の人より一回り大きい猿の形をした怪物がいた。

男性はその灰色の猿を見上げながら、必死に逃げようとしており、灰色の猿はその様子をただ見ているだけだった。

 

「大丈夫ですか!?」

「た、助け………」

「!?」

 

亜由美は男性に駆け寄りながら声をかけると、男性はこちらを向いて助けを乞おうとしてきたが、言いきる前に男性の身体が灰になって崩れた。

 

「そ、そんな…どうなってんの…?」

「……お前がやったのか?」

『あったりめぇだろうが。他に誰がいるんだよ?』

 

亜由美が目の前で起きた現象に驚愕しながら、元は男性だった灰を見つめていると、好太郎が灰色の猿に地面に響くような低い声で問いかけていた。

それにあっけらかんと言った態度で灰色の猿が答えると、好太郎は更に続けた。

 

「何故こんな事をした……」

『そんなの決まってんだろぉが、仲間を増やす為だよ。偶にあるんだよ、俺達オルフェノクが人間を殺したら、そいつもオルフェノクになる事が』

「……なら、これを見た俺達もこうする気か?」

『そりゃそうだろ、これが俺の仕事だからな』

 

“仕事”…そんな言葉で人を殺した事を割り切った灰色の猿に亜由美は嫌悪感を抱いた。

それは好太郎の方も同様で、その目は憤怒の色に染まっていた。

 

「……そうか、なら俺がこれからする事も、その“仕事”だな」

『あぁん?何する気だぁ?』

「お前を…消す……」

『消す?……お前、もしかして今噂になってるデルタか?』

「違うな、俺は……」

 

そこで言葉を区切ると好太郎は、ロングコートの内ポケットからトリケラトプスの横顔を模したグレーのゴツゴツとしたバックルを取り出し、それを腹部に宛がうと、トリケラトプスの後頭部に当たる部分から帯が飛び出して好太郎の腰を一周すると、ベルトを形成した。

 

(え!?アレってもしかして…!?)

 

亜由美には見覚えがあった。形は違うものの、歩のディージェントドライバーに酷似しているのだ。

更に好太郎は、右ポケットから一枚のカードを灰色の猿に見せながら言い放った。

 

「全てを拒絶する者だ」

 

そのカードにはディージェントに酷似した赤黒いライダーが描かれていた。

好太郎はそのカードをバックルの上部に設けられているカード挿入口に挿入した。

 

[カメンライド………]

 

挿入されるとトリケラトプスの口の部分が滑らかに動いてカード認証音声を発し、「ギュインギュイン」という待機音声が流れだした。

 

更に好太郎は左足を前に出すように広げて低く構え、右手を鉤爪の形にして自分の顔の前まで上げて相手に鉤爪を向けた状態から自分の方に反転させると唸るように呟いた。

 

「変身…!」

 

[ディジェクト!グオオォォォォ!!]

 

「キャッ!?な、何!?」

 

右手の甲でバックルの突起部分である角を振り下ろす様に叩きつけると、再びトリケラトプスの口が動いて認証音声を発し、恐竜のような雄叫びが衝撃波の様に周りに広がって行く。

 

この感覚は物理的な物ではない。強いて挙げるならば精神面に響いて来るような…“恐怖”という感情だ。

 

その雄叫びと共に、好太郎の身体に変化が起きた。

好太郎の身体が灰色のドロリとした、まるで溶岩を彷彿とさせる様な次元断裂に包み込まれる。

更にトリケラトプスの赤く輝く目から無数の黒い刃物の様な物が飛び出し、腕・脚・背中・そして頭部に突き刺さる。

腕と脚に付き刺さった黒い刃物は外側に突き出る形に備われ、背中には縦二列に突き刺さり、まるでステゴザウルスの背中の様な形になっている。

そして頭部には他のものより二回り大きい黒い刃物が前に突き出す形に二本突き刺さり、黒い刃物が突き刺さった箇所から一瞬だけ鮮やかなマグマの様なオレンジ色に染まるが、すぐにマグマの温度が下がったかのようにダークレッドに変色する。

そして最後に二本の角が若干上部に刺さった紫色の大きな複眼が禍々しく光り、その全ての変化を完了させた。

 

ダークレッドの装甲に、身体中に突き刺さった黒い刃物の所為で若干見えづらいが、黒いボディスーツの四肢にジグザグに走った白いライン。

トリケラトプスを彷彿とさせる黒い二本角に、肉食竜の如く口が裂けるほどに広がった銀色のクラッシャー。

その姿はまさしく仮面ライダーであり、どことなくディージェントに酷似した姿だった。

 

「グゥゥ…ガアッ!」

 

低く唸り声を上げたかと思うと、右拳を思いっきり地面に叩き付けた。その際、「ドゴン!」とまるで隕石でも落ちて来たかのような音が大気を震わせ、地面に拳サイズの穴を作っていた。

 

(もしかして、好太郎さんが歩の言ってた他のDシリーズ!?)

「さあ…遠慮なく暴れようか……」

 

ゆっくりと顔を上げながら好太郎だったDシリーズと思われるライダーは低く呟いた。

その声はまさしく、何もかもを拒絶する絶対者の声だった。


 
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