No.394473

魔法少女リリカルなのは ~とある兄妹の転生物語~ 一章 闇の書編 #02

リィーンさん

―――――そして、とある兄妹の妹は、本格的に始まった物語に立ち会い、介入してゆく―――――

とある兄妹が転生してから、早数ヶ月が過ぎた。そんな中、闇の書の主の容態が悪化してしまう。それを食い止めるために、守護騎士たちと妹の五人は、主の意に反する行動を起こす。一方、兄の方は、介入の足掛かりを、固めていく

2012-03-19 17:17:08 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2009   閲覧ユーザー数:1954

 

 

 

 

 

 

闇の書の起動と、守護騎士達が目覚めてから、四か月近くが過ぎた後。10月27日、海鳴総合病院……………

 

ある一室に、はやての主治医である石田先生と、シグナムとシャマルの三人がいる………その部屋の空気は、かなり重苦しく、いるだけで押しつぶれそうな気がする場所であった

 

「命の、危険?」

「はやてちゃんが?」

「……………えぇ」

 

宣告されたのは、大切な主であるはやての事。その内容は、二人の騎士に衝撃を与えた

 

「はやてちゃんの足は、原因不明の神経性麻痺だと、お伝えしましたが………この半年で、麻痺が少しずつ、上に上がっているのです。この二カ月は、特に顕著で……………」

 

二か月。それは守護騎士達が目覚めてから今日まで過ぎた日々であり、闇の書が起動してからの月日だった……………

 

「このままだと、内蔵麻痺に発展する恐れがあるのです」

 

……………それはつまり、死ぬという事である……………

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

[ドンッ!!!]

「何故だ!! なぜ気付かなかった!!」

「ごめん、ごめんなさい………! 私……………!!」

「違う………ッ! 自分に言っているんだ……………」

 

ヴォルケンリッターの面々は、はやての異常事態にようやく気付いてしまった。いや、元から知っていたはずだった。だが、それが遅れてしまったのは、言うまでも無い……………

 

今の生活が、それを忘れさせていた……………

今の、幸せな時間が、それを無くしていた……………

そして、はやてが言った言葉が、それを許してはいなかった……………

 

~~~「現マスター八神はやては、闇の書にはなんも望みない。私がマスターでいる間は、闇の書事は忘れてて。皆のお仕事は、うちで一緒に暮らす事。それだけや」~~~

 

その言葉が、守護騎士達を惑わせ、知っていたはずの事に、気付かせなかった……………

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

そして、場所は八神宅のリビングに移る

 

シグナムとシャマルは、その事をヴィータ、ザフィーラ、そして、ビビの三人に伝えた……………ビビにも伝えたのは、ある程度の事は知っているからであり、ほんの少しは関係していたからである

 

そして、三人はその事を聞いた瞬間、一気に表情が凍りついた。ヴィータとザフィーラに至っては、自分達の存在が、最愛なる主の負担になっている事に、言葉を失っていた………ビビは、この事を知っているためあまり驚いてはいなかったが、それでも、その場にいる事で、その空気に触れた事によって、心に余裕を保つことは出来なかった……………

 

「助けなきゃ………はやてを、助けなきゃ!!!」

 

叫んだのはヴィータであった。守護騎士達の中で、最もはやての事が好きだから………失うのが、嫌だから………ヴィータは、治療の魔法を得意とするシャマルにそう願うが、結局シャマルも、何もできなかった……………

 

「……………ビビ」

「な、なに?」

「お前は、主を救うために表れたのだと、言っていたな」

「う、うん」

「ならば、知っているか? 蒐集をせずに、主を救う方法を……………」

 

シグナムは、ここにいる中で唯一闇の書と関わりが浅い存在であり、そして、はやてを救うために現れたと言っていた存在に問いかけた………どうすれば、主を救う事が出来るのかを……………

 

「(……………さて、どうしようか……………)」

 

実のところ、未だに彼女自身、まだ決定的な方法が分からずじまいだったのである。色々と考えてはいたが、どれも成功できるか怪しい方法ばかりで、確実性に掛ける方法が思い浮かばぬまま、この状況になるまで来てしまったのである………

 

「(ううっ………どうすればいいんだろう……………)」

 

結局、今のところは現状意地、というのは無理な話。そして、下手に行動をとって結果が思わぬ方向に行くのは、彼女としては避けたかった………結局、彼女がとった行動は……………

 

「……………まず、闇の書を完成させない事には、事を起こす事は出来ないわ」

「「「「っ………!?」」」」

 

蒐集活動を行い、闇の書を完成させる。そういう事しか、今考えられる方法は無かった。しかしそれは、魔導師や魔法生物からリンカ―コアを抜き取り、膨大な量の魔力を奪わなければならなかった……………

 

「しかし、我々は……………」

 

だが、それ以前にその行為は今やタブーとなっている

 

“リンカ―コアを蒐集してはならない”という、主とかわした約束があるからである。もし、その行為を行えば、騎士の誓いに懸けてまで交わした誓いを、破らねばならない事になる……………

 

「でもこのままじゃ、はやてちゃんは死んでしまうわ。私は、絶対にそれだけは阻止したい。それについては、皆も同じ気持ちよね……………?」

「「「「……………」」」」

 

確かに、主を救いたい思いは、皆同じ………しかし、騎士の誓いが、それを邪魔する………誇り高き騎士である彼女らが、自ら誓いを破るなど………だが、今は……………

 

「……………あぁ、そうだな………今は、主を救う事を選ぼう。たとえ、後で主に恨まれようとも、我々は救わねばならない……………!」

「えぇ。はやてちゃんが苦しむのは、嫌」

「はやてを助けるなら、私は何だってする!」

「うむ……………」

 

騎士達は、誓いよりも、主の命を選んだ

 

「(これで原作通り、蒐集が始まる………だけど、蒐集対象は絞らないと、ね)その前に、皆。これだけは止めよう。人殺しや、他人に迷惑がかかるような事は、絶対に」

 

後に、はやてが罪の意識に捕らわれる原因と思う事。それが、他人を巻き込み、迷惑を掛けた事。例え原作にそんな描写は無いが、描かれていない部分で、彼女は色々と言われてきていたに違いない。ならば、それは避けなければならない

 

「蒐集対象は、魔法生物のみ。それ以外からは絶対に蒐集しちゃダメ。魔導師なんて絶対に襲っちゃダメよ。管理局にバレかねないし、何より、はやてちゃんの為に……………」

 

罪を背負わせない。それも、彼女が原作を見て思う、理不尽で、納得がいかない部分の一部であった……………

 

「「「「……………」」」」[コクッ]

 

守護騎士の全員もそれを感じ取って、彼女の案に乗った

 

「じゃぁ、今夜から……………始めましょう」

 

最愛なる者を、救うための戦いを……………

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

あの兄が使っているマンションの一室

 

「……………はぁ。だんだんと、近づいてきてるな……………」

 

先ほど、妹から念話で連絡があり、何かいい妙案があったら教えて欲しいという事を言われた………自分でなんとかしろ。と言いたいが、今の彼はそのことについてなら彼女よりも遥かに知識が豊富なのだ。故に、暇つぶし感覚で、考えてやることにした

 

「(なんでそんな面倒な事をやる、なんて言ったんだ? ったく、あんな奴を甘やかしていても、ろくな事にならねぇだろうに)」

 

どうせならぐうたら過ごすのも悪くないいと思っていた。が、そんな日常をしていても直ぐに飽きるのが関の山。故に彼は介入する事を選んだのだ………不本意ながら

 

「どうせなら、刺激ある生活の方がいいんじゃない?」

「……………」

 

またも、あのクソ神が勝手にその場に現れていた………

 

「てめぇ………はぁ、もういいよ」

 

彼がいきなり出てくる事にはもう慣れていた。故に、そうそう驚く事も無くなってきた

 

「で、いったい今日は何の用だ」

「別に。ただ、物語が面白くなりそうだったからね。生で見たかっただけだよ」

 

この神はホントに唯我独尊の道を歩んでいるなと思った。しかし、コイツの事を考えても時間の無駄である

 

「さて、じゃぁ、俺はこれで失礼するよ」

「あっそ、じゃぁさっさと帰れ」

 

手をひらひらさせて、さっさと帰れと促す。神はそれに構わず

 

「おう。じゃ、またな♪」

[フッ……………]

 

またも、風が吹くかのように消えた……………

 

「……………はぁ。さて、また幻世にいって材料の調達に行くか」

 

そういって、腰かけていたソファーから立ちあがって、ある装置が置いてある部屋へと、向かっていった

 

「“タマモ”、転送ゲートの準備をしろ」

『了解しました』

「さて、今日も頼むぞ、“タマモ”。それに、“シュテン”」

『『はい』』

 

あの神から与えられたデバイス、“タマモノマエ”と、新たな相棒、“シュテンドウジ”と共に、介入への準備に取り掛かった……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《シグナム! そっちに大きいのが行ったわ!!》

 

蒐集開始から、早一ヶ月と少しが過ぎ………12月2日……………

 

「ハアァァァァァッ!!!!」

 

とある管理外世界で、騎士達は戦っていた。今は、巨大な六本足のトカゲとシグナムが戦闘を行っている

 

「“レヴァンティン”!!!」

『エクスプロジョン』

[ガシャンッ!!]

 

彼女が持っている刀剣から、一発の弾薬が排出され、その刀剣に炎を纏わせた。そのまま巨大トカゲの頭上から、大きく振りかぶり

 

「“紫電、一閃”!!!」

[ザンッ!!!!]

「■■■■■■■■■■■■■■■ッッ!!!!!!??」

 

巨大トカゲを、一閃の元に切り伏せたのだった。切られた巨大トカゲは、とても人間耳では理解不能な断末魔を上げ、その場に倒れ伏した

 

「ふぅ……………」

 

トカゲを切り伏せた騎士………シグナムは、未だに熱をもっている剣を鞘に納め、ため息を付いて、仲間の通信を聞いた

 

《お疲れ様。後は、私が蒐集しておくね》

「あぁ。次の反応は」

《休まなくてもいいの? これでこの種の魔法生物を十体以上と戦ってるでしょ?》

「だが、未だに頁は百にも満たぬ………まだまだペースを上げる必要がある」

 

そう、未だに闇の書の頁は、87頁しか埋まって無かったのである。不殺を決めていたが、それではあまりにも蒐集出来る数は少なかった………それに、魔法生物というのはリンカ―コアの質があまり良く無く、一匹に着き三ページ埋まれば上等と言えるぐらいだったのである

 

「(いくらビビが決めた事でも、こればかりは何とも言えんな………まぁ、焦っても栓無き事だがな……………)さて、次のに行くか」

 

そういって、次のターゲットが確認されているポイントへと、向かっていた

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

その頃、八神宅……………

 

「はぁ、今日も皆帰るのが遅なるん?」

「うん………でも、夕飯までには帰ってくるって言ってたから、おいしい夕飯用意して待ってよっか♪」

「うん♪」

 

八神家のリビングでは、その家の主であるはやてと、押し掛け介護ヘルパーをやっているビビの二人が、出かけていった家族の帰りを待っていた

 

因みに、ビビは蒐集活動にあまり参加していない。なぜなら、はやてを守るためであり、そして、介護ヘルパーなんていう立場上、はやての傍を離れる訳にはいかなかったからである………介護している人から離れる介護ヘルパーというのは変だ、という事で、彼女は活動から外されている………少し先の事を想定しておけばよかったと思ったのだが、彼女を一人にしておくわけにはいかないと考え、この立場を甘んじて受けている。それに、はやてが寝た後から起きるまでの間だけ、途中からの参加だが蒐集活動を手伝っている

 

「(でも、あまり頁埋まって無いし、ちょっとこりゃぁ不味いかな……………)」

 

自分がよく知る原作の内容に比べて、明らかに頁の溜まりが悪いのである。原作では、既にこの時には半分近くの300頁位はあったはず。それがこの違いである。守護騎士達も、ビビも、この現状にあまり好ましく思っていなかった

 

「(でも、例え魔法生物だけに限定しただけで、こんな違いが出るなんて………でも、原作じゃぁ確か魔法生物に関しては死ぬまで蒐集してたような気がするし。それに、魔導師からの蒐集もダメって言ったのが不味かったのかな………でも、はやてちゃんの事を考えたら……………)」

 

管理局にばれる事も、それから始まる管理局との戦いも、出来る事なら避けたいところだった………だが、この際は仕方ないかもしれない

 

「(魔導師からの蒐集も視野に入れるべきかも………それなら、管理局の目の届かない場所にいる魔導師達から蒐集すれば、管理局も感ずかないはず………でも、はやてちゃんはその事も責任感じちゃうかも………う~ん、困ったなぁ……………)」

「……………? ビビちゃん、どないしたん?」

「へ!? い、いや、なんでもないよ~。あ、あははは」

 

色々思考の渦に入っていた所へ、いきなり彼女から話しかけられた。どうやら、顔に出ていたみたいだった………それではいかんと心に強く言い、悩んでいる自分を隠すべく、満面の笑顔を見せる

 

「ほーか? ならええわ」

「ごめんね。ありがと、はやてちゃん(うん。やっぱりそれだけは止めよう。蒐集はいつも通り、魔法生物からのみに………この笑顔を、くもらせないために……………!!!)」

 

そう思った矢先に、事件は進展する……………

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

12月2日、夜………海鳴市、上空

 

「……………あっちに、デケェ魔力を感じるな……………」

 

そう呟く、小さな影があった………ヴィータであった。彼女は、この一カ月の成果に不満を持っていた。なかなか埋まらない頁にイラつき、ちまちまとしか集められない事に苛立ち始めていた……………

 

「(魔導師から集めちゃいけねぇのは分かってる。でも、このままじゃはやてが危ないんだ……………)」

[チャキッ]

「(そうだ。早くしねぇと、はやてが危ないんだ。だから………ビビ、ゴメン……………)」

 

最愛なる主の次に、好きな家族………その娘に心の中で謝罪し………そして、小さき影は移動し、結界を展開した……………

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

グレイが使っているマンション

 

「……………はぁ」

 

盛大な溜息をしたのは、今のこの部屋の主であるグレイ・スティンであり、部屋にある大きな窓から外を眺めていた。視線は、海鳴市のある方角に。凝視しているのは、そこに展開されたあるモノ……………

 

「“封鎖結界”か。それも、ベルカ式……………」

 

つまり、それは……………

 

「はじまっちゃのねぇ、原作の開始点が」

「みたいだな」

 

またも、神が彼の隣に現れた。しかも、なんの気配もなく、だ。だが、もはや慣れたのか、彼が現れても、グレイはなんの反応も示さなくなった

 

「どうすんの? 介入しちゃうの?」

「いや。あのクソ妹が言わん限り、動く気は無い。それに……………」

[ウォン]

 

開示したのは、一つのウィンドウ。そこには、仮面を持ち、耳と尻尾を生やした二人の女性………リーゼロッテと、リーゼアリアの姿があった

 

「ほう」

「“リーゼ姉妹”、だったか? コイツらの事もある。コイツらが動き出そうとした時に、俺は動く。そういう手筈だからな」

 

今まで、目立った動きはしていないが、そろそろコイツらも動き出す時かもしれない。それを阻止するがために、今はこうして監視していたのである。とにかく、このリーゼ姉妹が動くまでは、動く気は無い

 

「かるく覗き魔だなw さすが前科持ち、やる事が違うねぇ♪ っていうか、やる気なさそうにしてた割には、なんか結構本気っぽいな」

「知らねぇよ………まぁ、やるからには徹底的にやりたいんだよ………っと、なんか動くことはなさそうだし、夕食の片付けでもするか」

「……………つれないねぇ。ま、面白い性格してるから良いけどw」

 

そうして神は、またも風のように消え去って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八神宅

 

「うし、お料理の下準備完了っと♪」

「あとは、シャマルが足りん材料を買って来るのを待つだけやな」

「だね♪」

 

今ここにいるのは、はやてとビビ、そしてザフィーラの三人だけだった。他の守護騎士は、蒐集に出ているため不在である。ちなみに、シャマルには足りない材料を買ってきてと頼んであり、それを使えば今晩の料理は完成である

 

「ほなら、帰って来るまでにお風呂の準備済ませなあかんな……………」

「皆疲れて帰って来るからねぇ~。私がやっとくから、はやてちゃんはゆっくり休んでて」

「は~い。ほなら、うちは余った材料でなんかもう一品作るわ」

「やった~! 期待してもいいよね?」

「もちろんや。ほなら、もうひと頑張りしますか!」

 

そう言って、はやてはキッチンに向かっていった………その、直後

 

「!!!?(この感じ、結界!?)」

 

いきなり感じた違和感。それはどこかで魔法が使用された時の感覚であった。そしてそのまますぐに張られた結界の解析に移った………構成されている式は、ベルカ式。そして、流されている魔力の元は……………

 

「(まさか………原作通り、ヴィータちゃんがやっちゃったか………あちゃ~(-“-))」

 

やっちまった☆ZE!!! って呑気な事をしてる場合じゃないっての!!!

 

「(こうなったら、なのはちゃんと、ついでにフェイトちゃんのリンカ―コアだけでも………って!!! ダメダメダメダメ!!! 我が嫁の二人を傷つける訳にはいかん!!! 早く行って、阻止せねば!!!!)」

 

そうして、彼女は外に飛び出し、現場に急行した………ちなみに、はやてには念話で急用だと連絡し、風呂の準備は自身の能力を使い、とある借金執事を召喚しやらせたという………その日のお風呂は、これでもかと言うほど綺麗だったとか、それはまた別のお話……………

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

住宅地のとある家の二階の部屋

 

「結界!?」

 

この家の三女………“高町なのは”は、突如訪れた異変に驚いた。いきなり結界のようなモノが展開され、その中に閉じ込められたのである

 

「いったい、誰が……………?」

『マスター』

「“レイジングハート”、いったい何が起きたの?」

『分かりません。ですが、強力な魔力反応を感知しました。おそらく、その者によるモノかと。そして、その反応が高速でこちらに接近してきています』

 

自分の愛用のデバイス………“レイジングハート”から、思いもよらぬ言葉が出てきた。その人は、自分を狙っているのだと……………

 

そして少女は、それに向かっていった。いったいなぜこんな事をするのかを、話し合うために

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

海鳴市、街中………結界内

 

 

[ダッダッダッダッダッ!!]

「あぁもう!! ヴィータちゃんのバカン!!!」

 

一人の少女が、誰もいなくなった市街地を叫びながら走っている。ビビだ。彼女は、結界内で魔法を使わずに、逆に気配を消して走っている

 

「(っていうか。確か一回戦目はなのはちゃんとの戦闘だったっけ。だったら、フェイトちゃん達が応援に来てくるから、その時に割り込んで、ヴィータちゃんを《ビビちゃん、いる?》シャマル!!?)」

 

いきなり念話でシャマルが話しかけてきた。おそらく、この自体に感知して、一番近くにいる自分のところに連絡をしたのだろう

 

《ヴィータちゃんが、この街で巨大な魔力反応を感じたって言って……………》

《まさか、知ってたの?》

《聞いたのはついさっき。私は止めたけど、ヴィータちゃんが聞かなくって……………》

《なるほどね………なら闇のs《それで、闇の書が今ヴィータちゃんが持ってるの》………ガッデムorz》

 

闇の書を持っていれば蒐集出来ないんだけど………つーか、マジでヤバい状況かも………つか、あれ? この時って確か、闇の書持って………たよね(;一_一)

 

《ど、どうしましょう……………》

《決まってるよ。ヴィータちゃんを止めるよ!! 今管理局に私たちの事がばれる訳にはいかないわッ!!! シャマルは、先に帰ってはやてちゃんのお手伝いをして!》

《分かったわ! あと、シグナムがそっちに向かってるんだけど》

《シグナムには、しばらく結界内のどこかに潜んで貰って! もし管理局が来て戦闘になった時、途中で危なくなったら援護するように伝えて!! ヴィータちゃんは私が連れて帰るから、よろしくね!!》

《はい!!》

 

さ~って、O☆HA☆NA☆SIならぬ、O☆SI☆O☆KIだね。全く、せっかく人は狙わないようにしようと思っていたのに………でもまぁ、ちょうどいいかな

 

……………実は、この時のビビが何故はしゃいでいるのかと言うと、なのはと………もしかしたらフェイトにも会えるかも、という事でテンションがハイになっていたからである………そう、自分の嫁に会うために………とことんアホな変態女子であった……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

市街地、結界内。あるビルの中

 

「はぁ、はぁ、はぁ……………」

 

そこに、瀕死の状態で気を失い倒れている少女と、息を切らして倒れている少女を睨んでいる少女がいた。片方は、ツインテールの髪型に、白いワンピース、そして先端に金色のパーツに紅い宝石のような球体が付いたボロボロの杖を持った少女………先ほど部屋で勉強をしていたはずが、いきなり展開された結界の原因を調べようと出てきた高町なのはであり、予想外の戦闘で敗北してしまった。そしてもう一方は、赤い服に長めのおさげをし、先端が小型のハンマーの形をした武器を持った少女………ヴィータであった

 

「(ったく、手こずらせやがって。それに、はやてから貰った甲冑の帽子を……………!)」

 

最愛なる主から貰ったモノ。それを傷つけられた事がかなり頭に来ていた。だからか、元々使うつもりが無かったカートリッジを使ってしまった……………

 

「(まぁ、こんだけつえぇんだ。コアの質もいいかもな……………)」

 

だが、心の中では相手の事を称賛していた。曲がりなりにも、彼女も騎士。敵の事を見るのも、戦いにおいての礼儀なのだろう

 

「(さってと、さっさと蒐集すっか)」

 

そう思い、彼女の手にあるモノ………“闇の書”を広げ、瀕死の状態の少女に近付いた……………

 

 

その刹那

 

 

「ハァァァァァァァァァァッ!!!」

「っ!!!?」

 

突如上から殺気を感じ、そのまま後ろに跳んでその殺気を持つ攻撃を交わした

 

殺気の正体は、先ほど倒した少女と同い年の少女で、金色の長い髪を黒いリボンでツインテールにし、赤い目をしている。黒いコートを纏い、その手には彼女を染めている色と同じ、黒き斧のような武器……………否、デバイスを持っていた

 

「……………“バルディッシュ”」

『サイズフォーム』

[ガシャンッ!]

 

電子音と共に、彼女の持つデバイスの先端が動き、金色の魔力刃を展開し、大鎌へと変化した。そしてその少女は、先ほどまでヴィータが攻撃し続けていた少女を庇うように、間に立ちはだかった

 

「クッ………仲間か……………!!」

「……………友達だ」

 

いきなり現れた邪魔者に苛立ったのか、瞳が蒼一色に染まり、武器を構えた

 

「チッ………邪魔だァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

「ッ!! ハァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

互いの武器が交錯する……………瞬間に

 

 

 

「“火無菊”、“リリィ”、“梅厳”。“三天結盾、私は拒絶する”ッ!!」

[キィィィンッ][ガガキンッ!!!]

「「!!?」」

 

突如、両者の間に光る三角形の盾が割り込んできて、二人の攻撃はその縦に遮られて、互いに攻撃を止められた

 

「ストップ。これ以上の戦闘行為は無意味よ。引きなさい、ヴィータ」

「……………誰?」

「ビ、ビビ………!?」

 

ヴィータは、いきなり現れた家族に驚いた。そして、フェイトは突如現れた相手の仲間と思しき少女を睨みつけた

 

「はぁ………私、言ったわよね。管理局に感づかれるのは面倒だから、魔導師からの蒐集は止めようって」

「で、でも!! あんなチンケな魔法生物からじゃ、全然頁が埋まらないじゃねぇか!!」

「それでもよ。まったく、これでお尋ね者決定ね。どうしてくれるのかなぁ~?」

「う……………」

 

ニヤニヤしながら、ヴィータを見つめ、次の瞬間、ヴィータの頭に手を乗せて………一気に力を込めて握り出した

 

「イダダダダダダダダダダダダッ!!!?」

「言うこと聞かない悪い子には、アイアンクローだって、前に言ったよねぇ?」

「い、言ってない言ってない!! き、聞いたことないぞそれッ!!!」

「あれ? 痛くないのかなぁ? じゃぁ、もっと力を強めてみようかなぁ」

「イダダダダダダダダダダダダッ!!!?」

「……………あ、あのぉ」

「あ」

 

ふいに、後ろの方で唖然としていたフェイトちゃんから声をかけられてた。オシオキの方にばっかり意識を向けていて、フェイトちゃん達がいる事をすっかり忘れていた事にしまったと思いつつ、アイアンクローを外して、フェイトの方へとむいた………ヴィータは、その場で頭を抱えながら踞った

 

「ごめんなさいね、うちの子が迷惑かけたみたいで……………」

「い、いえ………あの、そのぉ……………」

「分かってるわ。この子には後できつく言っておくし、そこに倒れてる子の事も、ちゃんと回復させてあげるから………」

 

そう言って、私はフェイトちゃんの後ろで気を失って倒れているなのはちゃんへと手を向けた。つか、いつの間にか淫獣こと“ユーノ・スクライア”がいた。だが、そんなものを無視して、私は力を振るった

 

「“あやめ”、“舜桜”。“双天帰盾、私は拒絶する”」

[ポゥ……………]

 

なのはちゃんが淡い光を放つ盾に包まれた瞬間、傷ついた体やバリアジャケット。そしてレイジングハートも修理され、戦闘を行う前の状態に戻った

 

「……………う、うん……………?」

「「なのは!」」

「う………フェイト、ちゃん? それに、ユーノ君……………」

 

お、気を取り戻したね………って、アレ? そう言えばこの時なのはちゃんって、気を失ってたっけ? たしかあの時は、ヴィータちゃんに武器を向けていたような気が………大分原作と違う点があるような………でも、本筋は多分同じな筈だから、いっか♪ さて、と……………

 

「ごめんなさいね、うちの子が迷惑かけちゃって。怪我、もう大丈夫?」(ニコッ)

「ふぇ!!? だ、大丈夫です!! ///」

「そっちの子も、さっきは驚かせてごめんね」(ニコッ)

「えッ? あ、いえ、こ、こちらこそ、その、すみませんでした………///」

 

………フッ、フッハッハッハッ………ハァーハッハッハッハッハッハッハッ!!!! 今回も炸裂“魅了の笑み”ッ!! 今回はなんと二連続ッ!! しかもあの二人によ!! 私の初恋の相手によ!!! やだ、あの表情もう最高すぎるッ!!! やだやだもう、そんな目で私を見つめちゃってぇ~。もう、そんな愛らしい君たちが大好きだ~~~ッ!!!! あぁ、許されるのなら、この場でハグしたい!!!! でも、今はそんな空気じゃないわよねぇ………ぐぅ、今のところは我慢するけど、いつかベッドの上で………グッフッフッフッフッフッフッ!!!! さぁ、このまま一気に甘美なる“百合ハーレム”を完成へ導いちゃうわよ~~~!!!! オォーッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッ!!!!

 

って、いかんいかん。またもトリップしてしまった。いけないいけない、今はそんな空気じゃないよね……………

 

「さて、ヴィータちゃん? 隠さずにアレ、出しなさい」

「……………はい」

 

そう言って、しぶしぶ闇の書を渡すヴィータちゃん………ヤバい、その仕草に興奮してる自分がいる……………

 

「よし、良い子良い子♪ でも、しばらくヴィータちゃんにはこれを触る権利を許しません。私が良いと言うまでは、シャマルかザフィーラの二人で行動するように。いいわね」

「な………それじゃぁ!「返事、は♪」う………は、は~い……………」

 

うんうん、躾完了。さってと、そんじゃぁ帰ろっかn[ガキンッ!!!]

 

と思ったら、背後からなんか飛んできた………んで、見てみたら………どっかで見た事がある、蒼白い剣の形をした魔力刃が、地面に刺さっていた……………

 

「……………何、コレ?」

 

そういった後、コレが飛んできた方向を見てみた、ら……………

 

「……………」

「(な、なんでいんの………? KY)」

 

そう………リリなの1の空気読めない少年………そう、あの黒い男の子がいました………それはもうスンゴイ形相で………今にも私を攻撃しそうな勢いかも……………

 

「……………時空管理局執務官、“クロノ・ハラオウン”だ。君の持っているその本を………“闇の書”を、渡してもらおうか」

 

なんでアンタがいるのよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!!!!!!

 

確かさ、確かさ………この時にここに来るのって、フェイトちゃんにアルフ、そんで淫獣(ユーノ)の三人じゃなかったかな? そうだよね? そうだったよね? あれ? 私の記憶違い? まぁ、いいか………って、よくないってばッ!!! 今は、この状況をなんとかしなきゃ!!

 

「あ、あのぉ~「君が、今の闇の書の主か?」はい?」

 

うわ、ホントにKYだ………人の話は最後まで聞けよ………でも、良い案思いついた♪ まずは……………

 

《ヴィータちゃん、私に話を合わせて》

《え? わ、分かった……………》

《シグナムも、聞いてたよね?》

《あぁ、分かった。任せる》

《ありがと》

 

さて、一芝居打ちますかな

 

「えぇ、そうよ。私が今のこれの………闇の書の主よ。ねぇ、鉄槌の騎士」

「あ、あぁ。そう通りだ、主ビビ」

 

うんうん、いいよヴィータちゃん! そう、なるべく情報は隠しておくべきよ! はやてちゃんの存在は、管理局に知らせないようにしなきゃ

 

「ッ………そうか……………」

[チャキッ!]

「君を、“ロスト・ロギア不法所持”の容疑で、拘束させてもらう」

 

うわぁ~、予想通りの反応。やっぱ堅物ね、コイツ………しかし、こうもあれだと、逆にやりやすいなぁ~。ほんとはコイツ、馬鹿なんじゃない? っていうか馬鹿ね、馬鹿なんだわ

 

「抵抗しなければ、弁護の余地はある。おとなしく、してもろうか……………」

 

……………何? 何様のつもりなのこのクソ野郎は? マジでムカつく、死ねばいいのに。こんな奴が、未来のフェイトちゃんのお兄ちゃんだと思うと虫唾が走る………こうなったら、フェイトちゃんハラオウン家の養子になるのを阻止するのも有りか………まぁ、今はどうでもいいか。今は………このKY、どうしよう……………?

 

「……………悪いけど、私達はこのまま捕まるわけにはいかないの。それに、闇の書もアンタに渡す気は無いからね」

「それは危険なモノなn「知ってるわ。主を喰らい、呪いを掛け、挙句には自爆に誘う………狂ってしまった魔導書………でしょ?」っ………そこまで知っていながらなぜ!!?」

「なぜ? 簡単よ………必要だから」

「必要?」

「そう。私の大切な人を助けるために、私が救いたいと思う人を、救うために……………」

「しかしそれはッ!!」

「五月蠅いわね、まったく………いい? 私は助けたい人がいるの。この、“夜天の魔導書”によって呪われた人を………だから」

[スッ]

「悪いけど、邪魔をするなら………容赦はしないよ」

 

そういって、私は闇の書を持ちながら、身構える………ちょうどいい。このKY、ここでフルボッコにしてあげよ(黒笑)

 

「ッ………ならば、仕方ない……………なのは!! フェイト!! ユーノ!! そいつらは次元犯罪者だ!! 捕縛するから、協力してくれ!!」

「「次元、犯罪者………ッ!?」」

「なッ!!?」

 

ナッ!!!? コイツは悪魔か!!!? 私の愛しの天使ちゃん達を命令し使うだと!!!? マジ許せん!!! コロス!!! ブッコロスッ!!!!……………でも、殺すとあの二人が悲しむから………うう(T_T) 今回は半殺し程度に我慢してやるから覚悟しなさい!!!

 

《どうするんだ、ビビ。あたしなら、いつでも行けるぜ》

《ビビ。私もいつでも出られます》

《ヴィータ、シグナム………しょうがないわね。逃がしてもくれなさそうだし、こうなったら………こいつ等を、倒すわよ。でも、殺しも蒐集もダメよ》

《おう!》

《承知!》

 

そして、軽い作戦を立てた。私はクロノを相手に、ヴィータちゃんはなのはちゃんとフェイトちゃんの相手を、シグナムは、ヴィータちゃんの所が不味くなったら不意打ちで攻撃を………そういう事で行くことにした……………

 

「……………管理局側の人間としては、そうなるかもね………でも、捕まるわけにはいかないわ!!」

[バッ!!]

 

そう宣言した後に………今は、闇の書の仮の主である私は、守護騎士たる少女に告げた

 

「鉄槌の騎士よ。私達の目的を達成するために、目の前の敵を………粉砕せよ」

「おう!!!」

[チャキッ!!]

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

……………それは、僕にとって、最も忌むべきものだった……………

 

第一級捜索指定遺失物、ロストロギア、通称“闇の書”

 

あの魔導書は、幾百もの被害を生み続けてきた。幾千もの、傷跡を残し続けてきた。幾万もの………いや、幾億もの悲しみを、造り続けてきた………僕も、その幾億もの悲しみの、一つだ……………

 

「君を、“ロスト・ロギア不法所持”の容疑で、拘束させてもらう」

 

幼いころ………父さんが殺された………原因は、任務から帰還している最中に起きた戦艦爆破事故………その時はそう教えられた………でも、実際は違っていた………殺されたんだ、あの呪われたロストロギアに………!!!!!

 

それを知った時、僕の心の中で生き場の無い気持ちが炎のように燃え盛って、どうにかなりそうだった………そして今、その気持ちが、また僕を支配しようとしている………!!!

 

「しかしそれは!!」

 

あの時………僕から父を奪ったあの魔導書が、目の前にある………それだけで、僕の心の中に巣くう化け物が、僕を支配しようとその手を伸ばしてきている……………

 

 

―――――ダメだ、感情的になってはダメだ―――――

 

今は仕事中だ、そう、僕は執務官としての任務を………責務を果たせねばならない………!!! でも、怪物はそんな僕をあざ笑うかのように、浸食を広げていった……………

 

 

―――――……………許せない、赦せない、ユルセナイ………!!!―――――

 

 

体が、理性が弾けそうになる………湧き出てくる怒りを、今は必死に押さえていた。そうして、僕はなんとか理性を保っていた……………だが

 

「ッ………ならば、仕方ない……………なのは!! フェイト!! ユーノ!! そいつらは次元犯罪者だ!! 捕縛するから、協力してくれ!!」

 

憎悪の獣が、吠えた

 

最悪だ、公私を混合させてしまうなど………執務官としては、恥ずべき行為だ………無関係な三人まで、巻き込んでしまった………だが、無情にも………相手は、牙を剥けてきた………当然だ。こちらから牙を向けてきたのだからな………過ぎた事は仕方ない。こうなったら、闇の書と、その主を………確保するまでだ!!!

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

海鳴市上空。そこでは、二回目のヴィータとなのは、そして今回はフェイトが参戦しての戦闘が行われていた

 

「レイジングハート!!」

『“ディバインバスター”』

「バルディッシュ!!」

『“サンダースマッシャー”』

[[ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!!!]]

 

先に動いたのは、なのはとフェイトの二人による同時砲撃。桜色と金色の二つの光の柱は、この夜空を明るく照らし、ひとつの目標へと向かっていく

 

「チィッ!!! アイゼン!!」

『“フェアーテ”』

 

でも、そんな牽制に対してヴィータは、二人の砲撃を高速移動を用いて回避、難なくそれをよけて、次の行動へと自然に移る

 

『エクスプロジョン』

[ガシャンッ!]

『“ラケーテンフォルム”!』

 

回避したままの状態でカートリッジをロードし、彼女のデバイス、“グラーフアイゼン”をハンマーフォルムから、噴射口と杭のような突起物が付いた“ラケーテンフォルム”に変形させて、反撃へと移る

 

『“ラケーテンハンマー”!!』

[ゴオォッ!!!!]

「ウオォォォォォォォォォォッ!!!!」

 

噴射口から勢いよく魔力で出来たバーニアを噴き出し、先ほどの高速移動も相まって、高速で二人に突撃していく

 

「「!!」」

 

二人はその速さに驚き、判断をするのが遅れていた。が

 

『“フラッシュムーブ”』

『“ブリッツアクション”』

 

でも、二人の相棒である二つのデバイスがすぐさま高速移動の魔法を使い二人を危機から救った。そこへ、さらなる追撃の手が、別の方向からやってきた

 

「“リングバインド”!!」

[バシィィィッ!!!]

「ぐあッ!!?」

 

突如として表れた第四者からの横やり攻撃を喰らい、ヴィータはその身を捕獲された。更に

 

「“チェーンバインド”!!」

[バシィィィッ!!!]

 

そこへ間髪いれず、結界魔導師たる淫獣が鎖状の拘束魔法を使い、完全に逃げられないようにした

 

「ユーノ君!」

「アルフ!」

 

第四者………桜色の魔導師の師であり友であるユーノと、金色の雷光の使い魔であるアルフが拘束の魔法を使い、鉄槌の騎士を捕らえた

 

「フェイト! なのは! やっちゃえ!!」

「今のうちに、魔力ダメージで気絶を!!」

 

そして、止めの一撃を放とうとした

 

「レイジングハート!!」

「バルディッシュ!!」

『“ディバインバスター”』

『“サンダースマッシャー”』

[[ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!!!]]

「ッ!!!?」

 

桜色と金色、二つの光の奔流が、紅き騎士を飲み込もうとする………が

 

[ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!!!!!!!]

「「「「!!!!??」」」」

 

突如、何かが互いの間に入り込み、砲撃を食い止めた

 

《大丈夫? ヴィータちゃん》

《サンキュービビ、助かったよ》

 

砲撃を防いだのは、今現在ビビが召喚している“盾舜六花”の技の一つ、“三天結盾”。盾の外を拒絶する力を持つ、強固な盾を作り出す能力である。そして、相手は自分達の最大の砲撃を防いだ盾に驚いており

 

「ハァァァァァァァァァァッ!!!!」

[ガキンッ!!!]

「うわッ!!?」

「「「フェイト{ちゃん}!!!」」」

 

さらなる襲撃者に、気付けなかった

 

「シグナム!」

「大丈夫か、ヴィータ」

[パキンッ!!]

 

そう言って、ヴィータをバインドから解き放った

 

「チッ、魔導師のくせに………もう容赦しねぇからな、覚悟しろぉ!!!」

「魔導師如きに、我らベルカの騎士が遅れを取ると思うな………!!」

 

そして、二人の騎士は、魔導師達に接近した

 

「「「「!!!」」」」

 

回避しようと動き出そうとして瞬間

 

[バシィィィッ!!!]

「「「「え!?」」」」

 

突如、四人全員の足に、空間固定型のバインドが付けられた………その隙をみて、ヴィーyタはなのはに接近し

 

「接近すりゃぁ、こっちのモンだァァァァァッッ!!!!!!」

『エクスプロジョン』

[ガシャンッ!]

[ブンッ!!!]

 

カートリッジをロードし、威力を底上げさせた渾身の一撃を、放った

 

「“ラケーテン!! ハンマァァァァァーーーッッ”!!!!!!」

「ッ!!!?」

 

対してなのはは、防護壁を張って身を守ろうとしたが………それが効かなかった事を思い出し、回避をと考えたが、足場は固定され身動きが取れない状態であった………故に

 

[ガキンッッッ!!!!!!!]

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!!!」

 

無意識で杖を身構えて直撃を防いだが、威力があまりにも大きかったため………吹き飛ばされて、そのまま後ろのビルの壁に叩きつけられた

 

「「「なのは!!!!」」」

 

残った二人の魔導師と使い魔は、友達の白き魔導師の名を叫んだが、その直後、もう一人の騎士が、既に武器を振り上げ

 

『エクスプロジョン』

[ガシャンッ!]

「“紫電、一閃”!!!」

 

フェイトに向かって、振り下ろした

 

[ザンッ!!!]

「うわぁッ!!!?」

[ズドオォォォォォォォォォォォンッッ!!!!!!!]

 

フェイトは、とっさにバルディッシュで防御の姿勢をとったので、対したことはなかったが、その代わりバルディッシュの握り棒が真二つに切られ、その反動で身軽な身は吹き飛ばされ、地面にたたき落とされた

 

「フェイトッ!!?」

「フェイトォォォォォォォォォォォォッッ!!!!!!」

 

残った二人は、二人の安否を想った。そして、吹き飛ばされ、壁と地面に叩きつけられた二人の少女は……………

 

「「ッ……………」」

 

そのまま、気を失ってしまった……………

 

「フンッ、あたしらに敵うわけ無いだろ」

「ヴィータ。残り二人だ、早めに倒すぞ」

「おう!!!」

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

その頃、ビビの方はというと……………

 

「どうしたどうしたぁ!? 執務官さんッ!?」

[ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババッッ!!!!!!!]

「クウゥゥゥッ……………!!!!」

 

有りえない量の魔力弾の弾幕を張り、一歩たりとも近づかせていなかった。それをしながらも、彼女はもう片方の戦闘の援護をしているのであった

 

「くっそう!!!」

「無駄よ!! この弾幕をかいくぐるなんて芸当、貴様には出来まい!!!」

 

クロノは防戦一方だった。ときおり彼女が使う謎の召喚術に翻弄され、魔力弾の弾幕に耐えながらも攻撃を行っていったが、防護壁のようなものに阻まれ、手を出せずにいた……………

 

「(隙を………隙をついて、急所を!!)」

「無駄よ!!!」

[ヴンッ……………]

 

言い放ちながら展開したのは、小型の召喚魔法陣。そこから召喚されたのは

 

「出てきなさい、“ザイゴード堕天種、炎型”、12体!!!」

[ウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォンッ!!!]

 

卵のような形に、女性の上半身、天使のような羽を生やした一つ目の奇怪な形状の魔物……………“荒神”と呼ばれる存在を12体召喚し、それを壁にしながら弾幕を張り続けた

 

「アァーハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!! さぁ、もがき苦しみなさい!! 私の逆鱗に触れた罰として………私の天使ちゃん達へ愚かにも命令した罰として!!!! 地面に這いつくばりなさいッッ!!!!!!」

[ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババッッッッ!!!!!!!!!!!!!]

「なっ!!!?」

 

さらに弾幕の層が厚くなり、そう簡単に突破できるモノではなくなった………

 

「(クソッ、このままじゃぁ………ん? アレは)」

 

だが、一か所だけ弾幕が薄く、突破が可能と思う隙間があるのを見つけた。やはり、そう完璧な事は

 

 

 

「(アホめ!!! そんなの罠に決まってるでしょうが!!!)死んでしまえ!! このKYッ!!!!」

 

そう言い放ち、右手を前に突き出し……………

 

「喰らいな………“セロ”ッッ!!!!!!」

 

[ゴオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!!!!!!!]

「ッッ!!!!!!?? ウワアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!!!」

 

先ほどの二人の砲撃以上の威力を持つ砲撃を放ち、漆黒の魔導師は気絶し、地に墜ちて行った……………

 

「雑魚が図に乗るからよ、フッフッフッ……………」(黒笑)

 

憎き相手を倒したことで、ご満悦になった妹であった……………

 

《ビビ、こちらは終わりました。そちらはどうですか》

《あ、シグナム♪ ナイスタイミング、こっちも丁度終わった所だよ》

《分かりました。では、こちらは撤退しておきます》

《うん。いつも通り、散開して後で合流。いいわね》

《はい》

《おう》

 

そして、三人はバラバラに逃げ去り、散って行った………戦場に、敗北者達を残して……………

 

 

 

 

 

 

 

 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択