「こうなったこと後悔してない。」
腕の中で囁かれた声はどことなく不安げな、でも何かを確信したような強い響きの声。
その問いに、答えるかわりに強く抱きしめた。
後悔はしてない。求めていたことが実現したから、
手に入れた温もり、今までは感じ取ることができなかった
二人が一人になった温もり
「黙ってちゃ、わからないよ。」
すこし拗ねたような声が、腕の中からする。
「あれ、いまのじゃ答えになんない。」
「ならない。何のために言葉があるの?」
腕を少し動かし体をこちらに向かせて目を合わせた。
「してないよ。するぐらいなら最初からしない。」
何か言おうとした彼女の口をふさぎ、また一つなる。
つながりに多くの言葉はいらない。
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「こうなったこと、後悔してない。」
腕の中に包まれながら言った。
答えはなんとなくわかってる。
でも不安。間違いなく、負担だから。
そしたらギュッて強く抱きしめられた。
無言の答え。でも、十分だった。
けど声も欲しい、もっと実感したい。
「黙ってちゃ、わかんないよ。」
わかってるのに、天の邪鬼だな。
ちょと困ったような空気を感じる。
「あれ、いまのじゃ答えになんない。」
ちょっと困ったような照れた声で言われた。
「ならない。何のために言葉があるの?」
と言ったら、向かい合うように抱きなおされて目と目が合った。
「してないよ。するぐらいなら最初っからしない。」
それに対しての返事は彼の口に吸い込まれた。
『幸せでいても良いんだよ』って、彼の気持ちが流れこんでくる。
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甘い世界の二人