No.394409

真・恋姫†夢想 夢演義 『第二回!どきっ!?笑ってはいけない二十四時in恋姫!』 その五話

狭乃 狼さん

ss投稿も久々。

笑ってはいけないの続編でございますー。

さて、突如始まったヒトヤ犬捕縛のため、それを追ってとある場所へと向かう、

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2012-03-19 14:07:26 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4708   閲覧ユーザー数:4045

 

 現在時刻、PM21:30。

 

 食堂でのネタ披露会のその最中、突然もたらされたその報せに、めひいこ警察全署は騒然となった。

 

 様々な世界、あらゆる外史にて、女子限定ではた迷惑極まりない活動をし、そしてついに、このめひいこ警察の管轄する保健所に収容されていた、とある一匹の犬の姿へと擬態する能力を持った犯罪者が、こりもせずに再び脱走した。

 

 ヒトヤ―――――。

 

 性別的には女子のはずの彼女、それが何処をどう間違ったか、自分と同姓である少女(幼女から熟女まで、美少女ならば全て)が何より大好きと言う、某覇王さまも足元にも及ばぬほどの変態。

 

 警察署の敷地全体には、イベント終了後までけして誰も出ることの適わない結界があるため、敷地外、さらには他の外史へと逃れる術を持たない彼奴は、現在署内に潜伏しながら脱出の機を狙って逃走中。

 

 恋姫各員、ユーザー一同は勿論の事、漢女二人も加わっての激しい追跡劇が、めひいこ警察署内で繰り広げられる中、ヒトヤはある場所に向かって逃走し続けていた。

 

 めひいこ警察の本庁舎から、渡り廊下を通って向かうその先にあるのは、古びた木造二階建ての建物。

 

 建物内にまんまと逃れたヒトヤを追い、先に入っていった恋姫たちと生贄組以外のユーザー達、そして漢女二人に少し送れてその件の建物へと到着した、狼に先導される一刀、鴉、黒山羊、関平の四人。

 

 そこに待ち受けるのは、果たしてどのような事態なのか。

 

 では、先を見て行きましょう……くすくすw

 

 

 「あんのやろ。よりによってここに逃げ込むかあ?」

 「あのー。この、いかにもおどろおどろした建物って、一体何なんでしょうか?」

 「めっちゃホラー満載な空気が伝わってくるんですが……」

 「……ここはな、めひいこ警察の旧庁舎なんだよ。しかも、だ」

 「しかも?」

 「……出るんだよ、ここ」

 『げ』

 

 出る。

 古今東西、その言葉の意味するところはただの一つであろう。狼のその言葉を聞いた一同は、揃ってその顔を青ざめさせる。

 

 「その上、だ。この建物、他とは違う呪いと言うか、ルールの定められた空間になっていてな」

 「……ちょっと待った。まさか、その違うルールって」

 「そう。笑ってはいけないのルールを無効化し、その代り、驚いてはいけないというルールに、この建物内では縛られるのだ」

 『うわ来た。お決まりの時間』

 

 それもまた、このイベントのお約束。笑ってはいけないならぬ、驚いてはいけないのコーナー、そのお時間で御座います。

 

 「……まあもっとも、本来はもうちょっと遅い時間に、違う形で始めたかったんだけど、こうなった以上は仕方ない。ヒトヤの捕獲、張り切って逝ってみよーか♪」

 『いやいやいや、字が違うから』

 「あ、それと俺はここで待機して、奴が外に逃げないよう、見張ってるんで。じゃ、頑張って逝ってらっしゃーい♪」

 『だから字が違ってるってーの!』

 

 とまあ、その辺りの良くあるやり取りはさておき。玄関に一人残る狼に見送られ、嫌々ながらも建物内へと入っていく面々。

 

 そして件の建物内はと言うと。

 

 「うわ、薄暗っ」

 「一面ブラックライト、か。しかも、あちこちぼろぼろ。……雰囲気あり過ぎだって」

 「狼さんて、変な所凝り性だよね」

 「ま、ここでうだうだ言っててもしょうがないし、ヒトヤ犬探索に入りますか」

 『了解』

 

 周囲のいかにもな雰囲気に辟易しつつ、ヒトヤ犬を探すそのため、建物内の探索に入る四人。そしてまずは一階にある入り口から一番手前の部屋の前で、彼らはその足を止めた。

 

 「さて、まずはこの部屋から見ていくか」

 「じゃ、扉は俺が開けよう。みんな、何が出てきても驚かないよう、心の準備をしておいてくれ」

 『承知』

 

 メンバーの中から鴉が率先して部屋の扉を開けようとし、その手をかけたその瞬間。

 

 【びりびりッ!!】←扉の取っ手に電流

 「うぎゃッ!?!?」

 『うおわッ!?』

 【ばばーん。全員、アウトー】

 だだだだだっ!

 『げっ!鞭軍団来た!』【びしっ!】「げはっ!」【ばしっ!】「ほうっ!」【がしっ!】「いぎっ!」【げしいっ!】「だいっ!」

 だだだだだっ!

 「いででで……っ!くそ、南蛮’sの足つぼじゃないのかよ……」

 「つか、本家ならこの驚いてはいけないの間って、即オシオキじゃあ無かったろ……っ~」

 

 まあ、そこはそれ。本家との違いと言うか、んー、ぴりっと効かせたアクセント?みたいな♪くすすw

 

 

 「と、とりあえず、ドア開けるぜ……(おそるおそる)」

 

 電流の流れている取っ手部分には触れないよう、慎重に扉を開ける鴉。その時。

 

 【ぼふっ】「わぷっ?!」

 『な、なんだっ?!』

 

 扉を開けたと同時に、鴉のその頭に何かが落ちると同時に、そこらに舞い上がる白い粉。

 

 「ぺっぺっ。……なんだよ、これ、いきなり……って、黒板消し?」

 「……ドアに黒板消しって、また王道というか使い古された手を」

 「けど、急に来ると心臓に悪いな。辺りの雰囲気もあいまって、さ」

 「確かに」

 

 足元に落ちた黒板消しをじっと見つつ、そんな風につぶやく四人。というわけで。

 

 【ばばーん。『あ』全員、アウトー】

 だだだだだっ!

 「っ。相変わらず判定が厳し【びしっ!】「づっ!」【ばしっ!】「よいしょおっ!」【がしっ!】「あだっ!」【げしいっ!】「いだっ!」

 だだだだだっ!

 

 「あーででで……美衣達、まだお休み中かな……」

 「まあ、よい子は寝てるはずの時間だしな……」

 「……朝まで鞭が続くのかな、もしかして」

 「……勘弁して……」

 

 ぶつくさと文句をぶーたれつつ、痛む尻をさすりながら、改めてその部屋へと入っていく彼ら。

 

 「……暗くていまいち、何があるのか分かりづらいな」

 『……じゃあ~……灯りを……どうぞ~……』

 「あ、ありがと、風……へ?」

 『お兄さん~……みなさん~……はろはろ~』

 『ふ……っ!?』

 

 一刀になにやら灯りのようなものを、その彼の“頭上から”差し出したのは、ふよふよ宙に浮いてる半透明状態の程昱こと、われらが風ちゃん。

 

 「ふ、ふふふ、ふ、風!?あ、あの、ど、どうしたの!?か、体が透けてふよふよ浮いて、頭に三角巾なんか着けてるなんて、まるで」

 『……ふふふ……そうですよ~……風は今~……幽霊さんなのですよ~……うらめしや~……(おんどろおんどろ)』

 「な、なんで風ちゃんが幽霊に!?」

 『……お~……風に誘われて~……ついうとうと~としたら~……いつの間にか……』

 「いやいやいや!寝てる間に幽霊になるってなんか間違ってますから!」

 『ま~……なっちゃったものは~……しょうがないので~……幽霊らしくここは~……取り憑いてもいいですか……?うふふふふふふふふふふふふふふふ』

 『全力で遠慮しておきます!!』

 『……そうですか~……妬ましい~……恨めしい……呪ってやる~……(どろどろどろどろ)』

 『いいいいやああああああっっっっ!』

 

 幽霊化(ただの立体映像ですけど)した風に、さもおどろおどろしい雰囲気とともに追い立てられ、部屋を一目散に逃げ出す一同。でもってさらにしつこく。

 

 『……逃げるなんてひどいですよ~……ふふふふふ……風と一緒に死にませんか~……うふふふふふふ~……』←超高速で四人を追っかけ。

 『ひいいいいいいいいいっっっっ!?!?!?!』 

 

 薄暗い旧庁舎一階の廊下に響き渡る、彼らのそんな悲鳴でありました、まる(笑)。

 

 

 でもって、彼らが逃げついたその先は、旧庁舎のその二階。もちろん、先ほど驚いた分の罰は執行済みである。

 

 「ぜえ、はあ、ぜえ、はあ……」

 「ふ、風ちゃんてば、こういう時はほんと、容赦ないというか」

 「あれって、中の人ネタ、かな……?」

 「ああ……絶○☆魔王の、コト○・サンだっけか……」

 

 はい、そういうメタ発言は禁止です。

 

 「(ごりゅ)ん?何か踏んだ……っ?!」

 「ど、どうしたの関平?」

 「ほ、ほ、ほ、骨え?!」 

 「へ?」

 

 関平のその足元、というか、足の下に下敷きになっていたのは、どこからどう見ても間違う事なき人骨。で、当然のごとく頭の部分もそこに転がっているわけですが。

 

 「……関平さんてば酷いですねえ。人の体を踏まないでくださいよ」

 『が、骸骨がしゃべったー!?』

 

 がしゃんがしゃんと。驚く面々を他所に、床に散らばっていた人骨が独りでに動き出し、人骨標本そのものな姿に合体していく。

 

 「まあ、こんなところで寝ていた僕も悪いですけど、足元には注意してくださいよ?」

 「って、お前さん、骸骨さん……か?」

 「へ?じゃあ、彼も、管理者、なの?」

 「あ、これは一刀くん。はじめまして。管理者の一員にして、アンデッドの癖に何故か鼻血の出る骸骨です♪……む?!」

 「な、なに!?」

 『おお~……骸骨さんが居るのですよ~……ここは逃げの一手なのです~』

 「あ、風、まだ居たんだ」

 「おのれ!まだ成仏していなかったか、(性質の悪いという意味で)悪霊!この超S級エクソシスト、骸骨が今度こそ、極楽浄土に逝かせてやる!まてえ~!!」

 

 がしゃがしゃと、派手に音を立てながら、逃げていく霊体(しつこいですが立体映像です)の風を追いかけ、その場から足早に立ち去っていくのであった。

 

 「……なんだったんだ、今の」

 『さあ?』

 

 まあ、それはさておき。

 

 【ばばーん。全員、アウトー】

 だだだだだっ!

 【びしっ!】「おうふっ!」【ばしっ!】「なはっ!」【がしっ!】「とおーっ!」【げしいっ!】「いーっ!」

 だだだだだっ!

 

 「……けつ、痛い……」

 「くっそ、心臓に悪いは尻に悪いわ……」

 「早いとこ、ヒトヤ犬の奴を見つけないとな……」

 「だな……こっちの体が持たないし……」

 

 色々カオスな今の状況に、色々不満をもらしつつも、律儀に探索を再開する彼らであった。

 

 

 「よし、今度はここの部屋を探ってみるか」

 「……一刀くん、どうぞ」

 「電流びりびりにおびえてるのか?いくらなんでも、ネタの使いまわしはしないだろ」

 

 と。おっかなびっくりな鴉を尻目に、一刀が目の前にあるその扉を開けようとした、その時。

 

 「【ばんっ!!】あいたあっ!?」

 「っ!?か、勝手にドアが開いた?!」

 「ポルターガイストか!?ポルターガイストなのか?!」

 

 【ばばーん。全員、アウトー】

 だだだだだっ!

 【びしっ!】「おふっ!」【ばしっ!】「はぎゃっ!」【がしっ!】「おうっ!」【げしいっ!】「なーっ!」

 だだだだだっ!

 

 「いちちちち……顔面ぶつけた……なんで勝手に開くんだよ」

 「つか、まだ扉が続いてるんですけど」

 「あ。ほんとだ」

 

 一刀が開けた、というか、勝手に開いた扉のその向こうにもう一枚、まったく同じ仕様の扉がもう一枚あったりして。

 

 「また勝手に開かないだろうな、おい」

 「じゃあ、今度は俺が……そーっと」

 「あ。今度は普通に開いた」

 「……よし、それじゃあ気を取り直して中に入るか」

 「気をつけてな、関平。また何があるか」

 「ああ、分かってるよ、べっ?!【がんっ!】」

 『へ?』

 

 開いた扉から中に入ろうとした関平だったが、黒山羊の声に返事をしながら余所見をして歩き出したその瞬間、思い切り『壁』に激突したのだった。

 

 「いってえ~……っ!なんだよ、これ」

 「あ、これただの壁だ」

 「トリックアート、っていう奴か。ち、(こす)いまねを」

 「暗がりだから余計に分からなかったよな。関平くん、大丈夫?」 

 「……ぶつけた耳が痛いです……」

 

 【ばばーん♪関平ー、アウトー】

 「ちょ!嘘でしょ!?」

 だだだだだっ!

 【びしいっ!】「あぎゃっ!」

 だだだだだっ!

 

 「……うう、踏んだり蹴ったりとは、まさにこのことだよ……チクショウ」

 

 耳と尻とを抑えつつ、一人そうぼやく関平を哀れみつつも、一向はまた別の所へとその探索の足を向けて移動していく。

 

 「……にしても、ほんとにヒトヤ犬の奴、一体何処に隠れてやがるんだか」

 「この旧庁舎…だっけ?外からみた感じじゃあそんなに大きく無かったし、階数も二階までしかなかったから、潜伏できる所は限られてくると思うんだけど」

 「となると、後は屋上ぐらい……か」

 

 そうして意見の一致を見たところで、揃って屋上へと続く階段を上ろうとして、一段目から二段目へと足を動かそうとした時。

 

 『ふべっ!!』

 

 全員、足が何かに張り付いて、ものの見事に転んで顔面を強打したのでした。

 

 「なんだこれ……っ!足が床にへばり付いて取れない……っ!」

 「とりもちか何かか……これ?」

 「粘着剤って……ごきぶりか、俺達は」

 「あ、ぶつけた鼻から血が……ふがふが」

 

 といった些細なアクシデントを通過し、屋上へと上がってきた一行。夜の帳がすっかり落ちた外は、星すら見えない暗闇の世界だった。

 

 

 「わー。星の一つも見えないぐらい真っ暗」

 「だな。……んー、とりあえず、人の気配は何もしないけど」

 「流石に、真っ暗闇のここには、誰も居ないk」

  

 じゃじゃんじゃじゃじゃん♪じゃじゃんじゃじゃじゃん♪

 

 「な、なんだ?!」

 「これ、ター○ネーターの曲……?」

 「つーことは」

 「丈二さん……だろうねえ」

 

 ばん、と。関平のその台詞が終わるやいなや、一体何処から照らしているんだと、思わず突っ込みたくなるスポットライトが、屋上の一部を煌々と照らし出す。そこに現れたのは。

 

 『なんでピ○ポ君とガチ○ピンとム○クがそこにいる?!(笑)』

 

 警察のマスコットとしてとても有名なピ○ポ君を中心に、その左右に立っているのは、某子供向け番組に出ている(今でも出てるのかな?)、ガチ○ピンとム○クだった。

 

 「……れっつ、みゅーじっく!」

 

 突然その場に出てきたその三人(三体?)に、おもわず笑いながら突っ込みを入れる四人。そんな彼らの反応を他所に、場に流れ始める超アップテンポなノリノリダンスミュージック。

 そしてそれをBGMに、その場で思い切り唐突に、その姿とはかけ離れた、素晴らしいブレイクダンスを披露し始める、ピ○ポ君とガチ○ピンとム○ク。

 

 「わは、わは、わはははは!」

 「に、似合わな過ぎも良いところだろ、その格好でそのダンスは!」

 「ひっひっひ、は、腹が痛い……っ!!」

 

 完全によじれるんじゃあないかというぐらい、思い切り腹を抱えて笑い転げる四人の前で、三体の着ぐるみたちは完璧なまでのダンスを披露し終え、そのまま再び、闇の中へと消え去ったのであった。

 

 と、言うわけで。

 

 【ばばーん♪全員、アウトー】

 「って、ちょっと待てオイ!俺達別に驚いて無いぞ!」

 

 あ。屋上までには《驚いてはいけない》のルール、適用されてませんので、通常通り、笑ってはいけない方のオシオキです、あしからず。

 

 「なんだその理不尽はー!」

 だだだだだだっ!

 【びしっ!】「なあっ!」【ばしっ!】「ひぎゃっ!」【がしっ!】「あおっ!」【げしいっ!】「だーっ!」

 だだだだだだっ! 

 

 

 

 と、お約束な理不尽オシオキにあった四人の悲鳴が、屋上から周囲にこだましていたその時。旧庁舎玄関前で待機していた狼のその傍には、一人の犬の被り物をした少女がその姿を見せていた。

 

 「……おー、おー。派手にやられてますなあ。けけけ」

 「……なんだかなあ。俺も外道だの変態だの、お前らから普段散々言われているけどよ。性質の悪さじゃあお前さんも似たようなもんだな」

 「そうかい?ま、マジな時はしっかりマジに。で、遊ぶ時にはしっかり遊ぶ。それが俺の身上なものでな。……あー、だがな」

 「?」

 「……一つだけ言っておくぞ。俺はお前やカモメほど、見境の無い変態じゃあない。人としての理性の箍まで、捨てちゃあ居ないからな。……そこだけ、勘違いするなよ?」

 「……ふん、良く言うよ。このむっつりスケベ狼」

 「だれがむっつりスケベ狼だ!……ここで殺るか?え?“ヒトヤ”」

 

 犬の被り物のせいでその顔は口元しか見えないが、その口元を吊り上げてにやにやと笑う、ブレザータイプのどこかの学園指定制服を身に着けたその少女-ヒトヤに、先ほどまでの穏やかな笑顔からとは一転、殺気の篭った鋭い目を向ける狼。

 

 なお、何故捕獲対象となっている筈のヒトヤとともに狼が居るかと言うと、じつはこの脱走劇云々も、すべては予定通り、生贄組をこの建物へと誘導するためのお芝居だったと、そういうわけである。ちなみにこのことは、恋姫たちも漢女たちも、そして他のユーザー達も全て承知のことだったりする。

 ……まあもっとも、約一名というかスターダストに関しては、本気で彼女の事を焼こうとして追い掛け回し、その途中、本来なら生贄組をはめる筈だった落とし穴に自分で落ちて、そのマリアナ海溝より深い穴の底で、現在猛省中だったりするが。

 

 とりあえず、その件については閑話休題と言うことで。

 

 「……止めとくよ。いくら俺でも、お前や丈二、南華老仙といったレベルの連中を相手にするのは、やっぱ骨が折れるからね。……ここにいる間は休戦……そうだろう、狼?」

 「ちっ。……まあ良いさ。ところでヒトヤ?カモメは今何処に居るんだ?」 

 「カモメの奴なら、次のネタの仕込み中だよ。じゃ、俺もあっちに合流するかね」

 「……ヒトヤ」

 「……なんだ?」

 

 次なるネタの準備のため、狼に背を向けて歩き出したヒトヤを、その狼がふいに呼び止める。

 

 「……いい加減、こっちに戻ってくる気は無いのか?お前だけじゃない、カモメやもう一人の鳥も、元は真っ当な管理者だったろが。……このまま今の状態を続けるなら、俺も、今度こそは覚悟を決めなきゃならなくなる」

 「……」

 「確かにお前らが言うように、理性の箍を外して欲望どおり、心の赴くまま自由に動くのも、ある意味正しいかも知れん。だがそれでも人は」

 「……るっさいよ」

 「ヒトヤ」

 「あんたの説教はもう聞き飽きた。……俺らはこれからも、俺らの感情の赴くまま、自由に行動を続ける。だれも、それを束縛なんぞ出来やしない。……管理者には、その権利もあるんだからな。……このイベントが終れば、俺とお前はまた敵同士。けして相容れない水と油だ。そのこと、忘れるんじゃあないよ。……じゃ、俺は行くぜ」

 

 すたすたと。狼の言葉の一切を拒絶し、次のステージのための準備を行なっている仲間の下へと、その後は一切狼の方へと振り返る事無く、無言で歩いていくヒトヤだった。

 

 「……っの、分からず屋が……」 

 

 星明りも一切ささない闇の中、かつては良き仲間であったその少女の、頑なまでのその態度に、不思議な苛つきをその心中に覚えながら、黒一色の空を見上げる狼。

 

 《……いいいいやあああああっっっ!もう、勘弁してくれええええええっっっっ……!!》

 

 静まり返ったあたり一面に聞こえるのは、何処からとも無く聞こえてくる、生贄組四人のそんな悲鳴だけであった……。

 

 つづく

 

 

 と言うわけで、笑ってはいけない二十四時、in恋姫の続編、久々のお話でした。

 

 今回は主に、笑ってはいけないのこれもまた名物コーナーとも言える、驚いてはいけないの方をメインとして、お話を書かせていただきました。

 

 さて、これで後消化出来ていない、ユーザーさんから貰ったネタも、残りは三つほどまで来ました。とはいえ、文章での表現が難しいと言うか、限りなく不可能に近いネタも一つ混じっていますので、それを提供してくださったユーザーさんには申し訳無いですが、すこしまたいじって使うことになりますこと、この場でご承知の方お願いします。

 

 ところで今回、お名前だけちらと出させていただいた、

 

 『西湘カモメ』さま。

 

 前回のコメで出たいと仰ってましたので、次回でヒトヤ犬と一緒に、ネタ披露を行っていただく予定です。まあ、どんなネタをやるかは、その時をお楽しみに、ってことでw

 

 そうそう、そのヒトヤ犬さんとボクの、最後のちょっとだけシリアスなやり取りについては、深く突っ込まない方向でお願いします。

 

 べつに、ボクは連中を弁護する気はさらさら無いですが、それでも、変態扱いばかりも本っっっっ当にちょいとだけ、心苦しいんで、たまにはあんな場面を作るのもありかいなと。

 

 ……ま、いつかは必ず、狩りますけどね。ふふふふふwww

 

 

 

 それでは今回はこの辺で。

 

 再見~www 


 
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