真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ
第9席 一刀、孫呉のために戦場に立つのこと。
-穏side-
こうして出番が来るのはいつ以来でしょうか・・・・
なんて冗談は放っておいてですね~
一刀さんがトンデモないことを言い出したらしいですね
穏 「まさかこの騒ぎに乗じて独立しちゃおう!!なんて言いだすとは~」
考えよりも策の方がトンデモなかったですけど
私は本陣で待機。黄巾党本隊を撃破したら即反転って・・・・
袁術軍が間抜けなのはわかってますけど、一刀さんは大将軍張勲が意外と切れること知らないんですね
この策なら何とかなるかも知れませんけど最悪の事態はどうするのでしょうね~
翔蓮 「私も聞いた時には驚いたわね~まさかあの一刀がこんな策を持ち出すなんてね」
翔蓮さまも同じですか~
わからないでもないです
冥琳さまですら圧倒的勝利だけで精一杯だったのに、さらにおまけで独立できちゃうんですから
冥琳さまを凌ぐ知略といい、蓮華さまや思春さんに劣らない武力。
そして常に何かを学ぶ姿勢を見習わないといけないですね~
穏 「そろそろ始まるころですね~」
開戦の狼煙も上がったようですし、私たち本陣は出来るだけゆっくり進まないと~
翔蓮 「はじまるわね・・・・・独立へ向けた第一歩が」
時間もちょうどいいですし、昼食にしましょうか~
片付く頃には伝令が来ると思いますし
穏 「ではぁ~お昼にしちゃいましょ~」
皆さん揃ってお昼の準備を始めてますね
翔蓮 「しばらくは伝令待ちね」
翔蓮さまも少し多めにご飯の盛られたお弁当をうれしそうに掲げてました~
兵 「伝令!北郷様より、『予定通り策を実行する。進軍を開始しろ』と」
来ましたね~予定通りとは
うまくことが運んでるようですねぇ
穏 「わかりました~♪翔蓮さま~」
お昼御飯を食べるために張った陣営を片付ける指示を全軍に出していきます
翔蓮 「もう?予定通りって・・・うまく運び過ぎてる気もするわね」
-蓮華side-
兵 「先頭部で接触を確認しました!!」
ついに始まった
一刀の考えた策であり、孫呉の独立へ向けた大勝負が
蓮華 「姉様の部隊が到着するまで押し込んで!」
今回の策の要である孫策はまだ合流できていない
蓮華たちの接触が一刀の予想より僅かに早かったのだ
兵 「後方に砂塵を確認!!孫策様です」
来た!
私は姉様の護衛に
『姉様の突撃に振り切られないように』
と伝令を出し戦線に視線を戻した
亞莎 「・・・あの蓮華さま。そろそろ前線を後退させる頃合いでは?」
今回の軍師である亜莎が進言してきた
そろそろなのだがもう少しだけ踏み止まってほしい
蓮華 「・・・まだダメ。姉様が突撃を始めるまで・・・・・・・今よ!」
伝令に前線は後退し、祭の隊と交代するように伝えた
右後方から姉様とその護衛(突撃部隊)は砂塵を巻き上げて突撃していた
亞莎 「こっちの策は上々ですね・・・・あとは袁術の方が」
姉様が少しでも早く首謀者の首を討ちとってくれることを願うしかない
蓮華 「・・・・思ったより厳しいかもしれないわ。祭の部隊に姉様を援護させるように伝えて」
亜莎は頷き伝令を出した
「「「おおおぉぉぉ!!」」」
それから四半刻程。鬨の声が上がる
ひとまず前半戦は終わったようね
雪蓮 「蓮華~♪あとは任せたわよ?」
姉様はいつも通りの人任せで馬に乗って本陣に向けて移動しようとしていた
蓮華 「姉様!!本陣まで真っすぐ向ってくださいね!!」
まるで子供を向かわせるような言葉しか出せない私だけど
姉様は笑顔で応えてくれた
雪蓮 「解ってるわよ~♪袁術は私たちに任せて、あなたは残党をお願いね」
私は頷き姉様の背中を見送った
蓮華 「残党を一人残らず殲滅する!全軍抜刀せよ!!」
将は祭と亜莎、私の3名で兵は五千で総攻撃する
首謀者を討たれた黄巾党の残党はただ混乱し戦うことすらできない
五千も兵が要るのか疑問だけど・・・・
亞莎 「投降する者はそのまま連れてきてください!」
兵数が増えることに変わりはないって一刀は言っていたけど謀反だけは御免被りたいわね
私はそんな考えを胸に一刀の居るであろう方角を見つめていた
-明命side-
張勲 「左翼に伝令です~♪敵を追撃してくださいね~」
今度は左翼に追撃命令ですか・・・・
左翼にはその場で迎撃だけしてもらいましょう
明命 「(なら・・・)」
伝令の兵を捕え、私の部下を代わりに変装させて向かわせます
内容をすり替えて
袁術 「七乃ぉ~妾は蜂蜜水が飲みたいのじゃ~」
・・・・・いつものことながらやる気を吸い取られるですね
兵 「(北郷様より伝令です―――――)」
ついに来ましたです
独立に向けての策の最後の詰め
明命 「(わかりました。かなりこちらも―――)」
混乱しているみたいですし、合流時の作戦を開始する頃合いですね
兵 「(はっ。では予定通り進めます)」
兵は下がり、袁術に詰めを宣告するための策を巡らせに行った
-一刀side-
『予定通り策を進めます』
明命から伝令が来た
一刀 「最後の詰めだ。気を引き締めて行くぞ」
先陣は殲滅部隊の蓮華・亞莎・祭さんと雪蓮で予定通り首謀者を討取った。
冥琳・俺は先行部隊の本陣で待機していた
冥琳 「ここからはお前の指示一つに懸かっている。我らの未来、預けたぞ?」
俺は頷いて袁術軍に向け移動を開始するように、本陣に伝令を出した
雪蓮 「たっだいま~♪」
最高のタイミングで雪蓮が合流した
さっきまでの黄巾党戦は下準備。ここからが本番になる
一刀 「おかえり。一つ聞きたいんだけど、この策が無かったら大人しく本陣で待機しててくれた?」
絶対におとなしくしてないって答えるだろうけど・・・・
一応聞いておく。理由?そんなの決まってるじゃないか―――
雪蓮 「絶対無理ね♪護衛の兵を振り切ってでも突撃してたわ~」
冥琳 「・・・はぁ。雪蓮、ちょっとこっちに来なさい?(グイッ)」
――――冥琳の鬱憤も晴らさせたいからね。
雪蓮 「じょ冗談よ冗談。わかってるでしょ?冥琳~(ジタバタ)」
冗談に聞こえないんだよ・・・・
いつものことだから。
(ズルズル)
ご愁傷様とでも言うべきか
一刀 「今回の策に影響が出ない程度にね」
冥琳は不気味な笑みを浮かべて雪蓮を引き摺って行った
さて、明命からの伝令だと未だに袁術達は苦戦してるらしい
それもこっちの予想以上に
一刀 「伝令さ~ん。先行の隠密隊と本陣に伝令お願いしま~す」
伝令内容は
隠密隊には『袁術軍の後方をある程度攻撃開始せよ。伝令は決して張勲の下に辿り着かせるな』と
本陣に『予定通り策を実行する。進軍を開始しろ』だ
こっちもそろそろ明命たち隠密隊に合流できる頃だ
兵 「はっ!では」
伝令さんは馬を蹴って先を急いで行った
一刀 「さてと。俺も腹を括りますか」
兵に人を殺めさせることを指示することを。
本陣に合流するために俺達は行軍を急いだ
今までが上手く策が進み過ぎたというべきか
当然その反動というか、予定外も起きる訳だ
兵 「伝令!袁術軍が分隊の首謀者を討ち取りました!」
明命の部隊からの伝令で俺の策は殆ど意味を成さなくなった
一刀 「やっぱりか・・・・冥琳。」
冥琳も難しい顔をしていた
俺も対抗策を練っている最中だ
冥琳 「帰還してくる袁術軍を奇襲してはどうだ?」
それは俺も考え付いた
流石にそれは駄目だと思って言わなかったのに
一刀 「じゃあ冥琳は孫呉に悪評を背負わせるつもり?」
当然、奇襲するということはだまし討ちだ
要は独立を奪い取った時に汚い手を使ったという悪評が残るというわけだ
例え相手があのバカな袁術であってもだ
冥琳 「それは分かっている!だが他に手がないのだ」
他がない。ねぇ・・・
本当は嫌なんだけど最後の手段に出ますか
一刀 「言わなかったっけ?予備の策はあるって」
やっぱり使うしかないか・・・・
ある意味でのジョーカーを
冥琳 「だがそれは・・・」
冥琳のことだ気づいてるんだろう
一刀 「俺の命が掛っている。か?」
当然、謀反(嘘)を起こすわけだ。例え嘘の謀反であっても罰する必要がある
もちろんそれだけじゃない。迎え撃つこともしないと袁術に怪しまれる
冥琳 「・・・・言いたくないがそうだ。なにもそこまでする『(一刀)しなきゃいけないんだよ』・・・そうか」
冥琳の言葉を遮って言い切る
俺が今しないといつ誰がするんだ?と
雪蓮 「・・・・仕方ないわね。ただし私たちも手加減はできないわよ?」
雪蓮が寄ってきて確認を取ってくれた
そんなものは百も承知だ
一刀 「将になるって答えたとき俺は言ったよな?『孫呉の夢のために』って」
孫呉の夢のためなら危険を冒しても構わない
俺の居場所はここなんだから
冥琳 「・・・・ならもう何も言わない。何人ほど兵を分け与えればいいんだ?」
冥琳は本当に話が早いな
一刀 「二百もいれば十分だと思う。兵種は弓と槍で一五○と五十で頼む」
これだけいれば前衛を長物で固めて突撃、後方から弓で牽制しながら袁術の下に雪崩れ込むこともできる
雪蓮 「じゃあ私たちは袁術の護衛を買って出ればいい訳ね」
雪蓮は相変わらずの勘か
まぁ説明する手間が省けるのはありがたいけど
冥琳 「わかった。誰かある!」
冥琳の兵からそれぞれの兵を借りる
兵に指示を出すのは初めてだけどやるしかない
一刀 「・・・・じゃあ俺は一時離脱するよ?袁術の下に着いたらこれを使ってくれ」
俺が渡したのは狼煙を上げるための矢だ
冥琳 「これに火を点けて上に放てばいいんだな?」
俺は頷いてその場を去る
二百の兵を預かり進路を変えて行く
「我らの独立を賭けて全力で芝居を打とうではないか」
冥琳の呟きを最後に後の言葉は蹄の音で聞こえなくなった
-冥琳side-
『我らの独立を賭けて全力で芝居を打とうではないか』
聞こえたかどうかはわからんが北郷と交わす最後の言葉になるやも知れん
我らとしては最後にするつもりはないが
雪蓮 「へ~冥琳がそこまでするなんてね・・・・もしかして惚れた?」
・・・雪蓮を誤魔化すことは不可能。か
冥琳 「・・・・それはどういう意味だ?」
睨んでおけば今は誤魔化せるだろう
この話は袁術を討ってからじっくりすればいいさ
雪蓮 「う・・・冗談よ・・で?これからどうすればいいの?」
今は目先のことを考えねば
雪蓮もそれはわかってるはずだが・・・
冥琳 「どうするもない。袁術のところに行って、護衛を買って出るそのあと少し手抜きで護衛すればいい」
本音を言えば我らで袁術を討ちたいところだが・・・
そう贅沢も言えんからな
雪蓮 「またあの馬鹿のところに行くの~?」
嫌がるのもわかるが仕方あるまい
あやつの考えたの策なのだから
冥琳 「仕方ないだろう?『一刀』の策だ。少しは我慢してくれ」
雪蓮の我儘をどうにかするのを忘れるとはな・・・
私も当然袁術の下へ行かねばならんだろう
張勲 「もうちょっと早く来て欲しかったですね~」
言うと思ってはいたが言われると腹が立つのは仕方ないか
雪蓮も相当腹立たしいようだな
雪蓮 「仕方ないでしょ?そっちより数多かったんだもの」
珍しくちゃんとした言い分が出てきたな
何時もは面倒だの言っていたのに
冥琳 「これでも相当急いだほうだが?」
追い打ちをかけるが張勲は全く気にしていない
張勲 「そうですか~なら帰りの護衛でもお願いしましょうか♪」
向こうから頼んでくるとは
何かあるのか?それとも考えなしなのか?
冥琳 「承知した。では我らはこれで」
ひとまず策を実行する伏線は張れたな
後は一刀次第か・・・・
雪蓮 「私たちの誰かが一刀と打ち合うことになるのね」
嫌なことを言うな・・・・
事実なのだがなんとなく受け入れ難い
私と雪蓮は袁術の護衛をするために天幕を出た
兵 「北郷将軍とその配下二百名、予定通り伏せたとのことです」
予定通りかあとは偽の伝令を仕組むだけだな
冥琳 「わかった。あとはこちらで判断する」
後はこの矢を空に向けて放つのみ
時期を見失ってはいけない
兵 「では失礼します」
偽の伝令か・・・・
一刀が出すと言っていたがいつ来るのだ?
あとがき
霧龍「第9席いかがだったでしょうか?」
霧龍「一刀君の最後の手段が発動しちゃいましたね~」
霧龍「今後の展開やいかに!!」
雪蓮「何が『今後の展開やいかに』よ!一刀を危険な目に合わせるんじゃないの!」
霧龍「原作とは違う道に進むわけですから、危険を伴うのは当たり前じゃ?」
雪蓮「そんなの関係ないわよ!(シャリン)」
霧龍「ちょっ!?南海覇王なんか抜いてももう話は変わりませんからね?!」
雪蓮「えぇ。わかってるわよ?でもあなたを斬らないと気が済まないのよね」
霧龍「・・・・・ひとまず退散!!冥琳。次回予告は任せたよ!!」
冥琳「引き受けようか・・・ついでに政務をサボった雪蓮もな」
雪蓮「げっ!?・・・・・め~りん」
霧龍「そうしてくれると非常に助かるんですが・・・・」
冥琳「予告さえ終わらせればこのまま連れ帰ってやろう」
冥琳「次回、『真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ』第10席 お楽しみに~だそうだ」
霧龍「だから追っかけてくるなぁ!」
雪蓮「逃がすわけないでしょ!」
冥琳「いい加減にしてほしいものだな」
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一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ 第9席
第9席 一刀、孫呉のために戦場に立つのことです
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