No.394327 高みを目指して 第6話ユキアンさん 2012-03-19 09:33:52 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:3241 閲覧ユーザー数:3082 |
予想外、別れ、ヒーロー
side 零樹
「全滅した!?」
「ああ、勇者ダイのパーティーはダイ、ヒュンケルを除いて死亡を確認した。ダイも記憶を消されディーノとして生きていくだろう。ヒュンケルも瀕死の重症だ。最もこちらもバランとミスト以外は全員が死亡した。そのバランとミストも重傷を負っている。ハドラーは現在蘇生中だ」
「……終わったな。もうこの世界でやる事は採取位だな。それが終わったら他の世界に行こう」
「バーンとはやり合わないのかい」
「あの程度今更だろうが。倒そうと思えばいつでも倒せる。そんな事をするなら他の世界で遊んだ方がマシだ」
「確かにそうだね」
「あっ、でもカイザーフェニックス、カラミティエンド、フェニックスウィング、ついでに天地魔鬪は見ておきたいな」
「そこらはバーンと話し合って模擬戦か何かをするしか無いね」
まあ、予想外な事が起きてしまい修正力の弱さを実感したオレたちは一年程採取、採掘を行ない続けた。そのお陰でかなりの量の鉱石や薬草を手に入れた。これならどんな世界に行こうとも問題等ないだろう。現在、世界はバーンの統治の元で平和になっている。勇者ダイは記憶を失ったままディーノとして生きている。転生者ダンは原作メンバーがほとんど死んだ事を知り、人類を救う事を諦め魔王軍に参入しディーノとバランと仲良く暮らしている。また腕は魔王軍に参入した時に復元している。ハドラーは天界に攻め入るその時の為に己を鍛え続けている。キルバーン、ピロロは既に死亡しているので問題は無い。ミストはヒュンケルに取り憑き肉体をバーンに返している。まあ、ヒュンケルが最後の足掻きにミストと魂で融合してしまったので正確等が微妙に変化してしまった。まあ、誤差の範囲らしい。そして、大魔王バーンは今
「くっ、まさかこれほどとは」
オレの目の前で倒れ伏している。
「こんな物か。まあ少しは強くなれたか」
今日はこの世界から旅立つ日だ。だからこそ今までの褒美として本気の模擬戦を行なってもらった。そして結果はオレの勝ち。当然の結果だ。この世界での最高速はルーラだ。そのルーラは瞬動よりも遥かに遅い。もちろん、超距離になれば最終的にはルーラの方が早くはなる。それはさておき、瞬動の速度での戦闘が基本となっているオレたちにその速度に付いて来れないバーンが敵うはずも無く、あっさりと勝ててしまった。当然、カイザーフェニックス、カラミティエンド、フェニックスウィング、ついでに天地魔鬪を喰らっては見たがあまり大したことは無かった。
「さて、これでオレ達はこの世界でやる事は終わった。2年程だったが中々楽しむ事が出来た」
「……行くのか」
「ああ、オレたちの望みを叶える為にな」
「そうか、あれを持て」
「はっ」
倒れていたバーンがハドラーに何かを取りにいかせる。少し待つとハドラーが一本の瓶を持って来た。
「餞別だ。余が特別な時に開けようと思っていたワインだ」
「ほう、いいのか」
「かまわん。まだもう一本残っている」
「なら遠慮なく受け取らせてもらおう」
ハドラーからワインを受け取りそれを影に放り込む。
「さて、それでは行かせて貰おう。大魔王バーンに神殺しの息子の祝福を」
姉さんたちが待っているこの世界の霊地に向かい、霊地の魔力を使い世界を渡る。視界が白に染まり、やがてビルの一角に出る。
「どうやら幾らか科学が発展している世界のようね」
「文化レベルで言うなら西暦2000年初頭から中期辺りだろうね」
「文字はどうやら英語のようですね。普通に読めますし」
「アメリカっぽい気がするのは気のせいではないな。どんなことが、うん?」
『本日未明から連続殺人犯、エディ・マクガイソンが職務質問をした警察官を殺害。現在、パトカーを奪い市街を暴走中。未だヒーロの姿は確認できません。ちなみにこの番組は皆さんご存知の通り、超能力を持つヒーローが犯罪や災害等、実際の事件現場で活躍する模様を生放送でお茶の間にお届け。活躍の場に見合ったポイントを加算し、キング・オブ・ヒーローを決めようというエンターテインメントレスキュー番組、HERO TV LIVE』
あ〜、なんだこれ?
「TIGER&BUNNYの世界か。なるほど、ほとんど収穫がなさそうな世界だね」
「フェイトは知っているのか」
「ああ、放送時期には君は子育てで忙しかった頃だから見ていなくても不思議ではない。どんなアニメだったかと言われるとあそこで放送されているヒーローたちが主役のアニメだね。ヒーロー達の色々と隠された悩み等にスポットが当てられたものだったよ。中々おもしろいとは思ったよ。調や焰達も気に入っていたからね。ただこの世界の超能力は遺伝で決まるみたいだから手に入れるのは不可能だと思うよ」
ヒーローか。何とも童心をくすぐってくれるというか。なんというか。
「おもしろそうね。零樹、あなたもそうは思わない」
「当たり前だね。だからこそやる事は一つだと思うよ」
こんな世界に合うとっておきの物がちょうどあるしね。
「なら行きなさい」
「姉さん達はどうするの?」
「今回もサポートに回ってあげる。お父様らしく振る舞いなさい」
父さんらしく、か。ならこれしか無いな。服装を白いスーツとソフト帽に変え、黒いバイクを取り出し、腰にベルトを巻き付ける。明らかに左右対称だったバックルの左半分を取り払った様なベルトだが父さんらしくするならこれしか無い。骸骨をモチーフにした「S」が描かれているUSBメモリの様な物を右手に持ち、スイッチを押す。
<<SKULL!>>
「変身」
メモリをバックルに装着し開く。
<<SKULL!>>
銀と黒を基調としたボディに骸骨に似た仮面と白色のボロボロのマフラー。額にある「S」の傷を隠す様に左手に持っている帽子を被り隠す。バイクに跨がり、アクセルを全開にして犯人がいると思われる場所に向かう。
side out
side other
『ヒーロー達はまだ姿を見せてくれません。さあ、誰が一番最初に、なっ、なんだー。犯人の乗ったパトカーに突如銃撃が行なわれたぞ。パトカーはそのまま壁にぶつかり大破。しかし犯人はすぐに逃走を再開したぞ。そこにまたしても銃撃。一体誰が』
画面には覆面をし、手に銃を持った男が慌てふためいている。それも当然だ。自分を追ってくるはずのヒーローはこんな武器を使っては来ない。それに逮捕しようとする為に殺される様な事もされない。だが、今の攻撃は明らかに人を殺せる様なものだからだ。
『なっ、何だあれは』
司会が驚愕の声を上げている。カメラがある物に焦点を合わせる。あり得ないものを見た。それはビルからビルに跳躍しながら犯人のいる方に向かっているバイクだった。しかも跳躍中に手に持った銃の様なもので犯人の足止めをしている。そして、とうとう犯人の目の前に降り立つ。司会とカメラを乗せたヘリがそこに近づいていくとバイクに乗った白い帽子を被った男?の声が聞こえる。
『さあ、お前の罪を数えろ』
『うるせぇ』
帽子の男がバイクから降り、犯人と対峙する。犯人が銃を構えて撃つよりも早く、帽子の男は犯人の持っていた銃を蹴り飛ばす。
『寝ていろ』
『がっ』
そして一瞬のうちに犯人は頭を蹴られ気絶する。
『あなたは一体誰なんですか』
ヘリがとうとう帽子の男と犯人がいる場所にたどり着き、司会がそう尋ねる。そこで初めて帽子の男の顔が映し出される。帽子の下に隠された顔はまるで骸骨の様な顔だった。
『オレの名はスカル』
それだけを告げるとスカルは再びバイクに跨がり何処かへと去ってしまう。
『ようやくヒーロー達が駆けつけて来ました。しかし、彼、スカルは一体何なのでしょう。この街の平和を守る新しいヒーローなのでしょうか。今後その正体や目的が分かり次第、番組内でお報せします。それではまた次回で会いましょう』
side out
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これをやっていれば少しは父さんの様になれるか?
いや、やめよう。そんな考えは。
オレはオレにしかなれないのだから。