No.394027

IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 第二十話~彗星の背負う闇

この回からあらすじを書こうと思います。

シャアの相手をすることになった光輝とアムロはシャアのところまで赴く。
再び対峙する宿敵にシャアは何を思う?

2012-03-18 21:00:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1604   閲覧ユーザー数:1590

 相手はどうやら止まってこちらが来るのを待っているようだ。近づけば近づくほど強くなるプレッシャー。でもやられるわけにはいかない!

 

 海上を飛んで探しているとほどなく見つけた。血のように赤く染まった機体で、全体的に重そうなイメージがあるけど意外なほど早いんだろうね。この効果はサイコフレームというMS用の構造部材のおかげらしい。

 

 機体の基本性能を飛躍的に上げる物で、未知の部分が多いが「人の思稚を受信させる」ということだけはアムロさんの体験で分かったと言っていた。

 

――MSN-04Ⅱ ナイチンゲールと判定。サザビーが二次移行したもので、武装はサザビーと変わりませんがスカートアーマー内には隠し腕があり、接近戦闘能力が上昇しています。どの武装も出力が上がり、危険度は増しています。また見た目に関わらず機動性、運動性も高いです。

 

[来たか……。久しぶりだな、アムロ。それに織斑光輝]

[シャア……!]

 

 ハイパーセンサーの解説を見ているとナイチンゲール――シャア・アズナブルが話しかけてきた。彼から感じるのは今までに感じたことのないプレッシャーだがその中に、悲しみと狂気がある。一体なにが彼を襲ったのだろうか……。

 

[シャア、もう俺達が争う意味もないはずだ! なのになぜ!?]

[アムロ、私はもう人を信じれない……。あの光を見ても人は変わらなかった! 変わろうとしなかった! もう人の可能性などもういらない!]

[そんなことはない! 人は変わっていける! この世界に来てよく分かったんだ。誰かがそのきっかけを作れば変われると……!]

[だが、この世界でもISという存在が人の可能性を潰している。 それでもまだ信じるとうのか!?]

 

 人は変わらなかった……。アムロさん達の世界では絶え間なく人が争い続けている。僕達の世界だってISという存在が火種になってそうなる可能性もあり得なくはない……。

 

「だけど、それでも僕は人を信じます! 貴方やアムロさんの世界がどんなものだったか詳しくは知りません。でも絶望の中、人の暖かみがどれほどの勇気を与えてくれるか、どれほどの優しさを与えてくれるか! それがあれば人は人を信じることができる、分かり合えることが出来ます!」

 

 僕はそれに救われた。だから今の僕がいるんだ。

 

[確かに君のその純粋な気持ちが人を変えていくんだろうな。しかし、もう人はそれにすら気付かなくなっている!]

「そんなことはないです! 少しずつ、少しずつその輪を広げていけば必ず成し遂げれます!」

[……いいだろう。その覚悟見せてもらう。いいな?]

[光輝君!]

「分かってます! 彼に人の心の光を見せてみせます!」

[いくぞ、この世界のニュータイプ! 君の覚悟を見せてもらう!]

 

 僕とシャアさんはビームサーベルを抜き、互いに接近して鍔迫り合いになる。二次移行しただけの事はあって相手の出力の方が上だ!

 

 ――っ!

 

 危険を感じると同時にスカートアーマーからの隠し腕ビームサーベルで攻撃したところを離れて避ける。それを読んでか、ビームショットライフルで狙ってくる。

 

 それを身体全体で避けながらビームライフルで応戦する。相手は拡散と収束を織り交ぜていて、避けるのが難しいがなんとかなる! 

 

 [ファンネル!]

「行って! フィンファンネル!」

 

 同時にファンネルを展開したが相手のファンネルは10基。こちらは6基。数では不利だけど、必ず……!

 

 ここで一気に攻めよう! 僕はビームライフルとビームキャノンで牽制しつつ接近して一気に勝負を決めようとする。相手はそれを読んだのか僕の射撃を避けながら接近してくる。どれも最低限の動きで避け、隙が少ない。

 

 接近するたびにビームサーベルとビームトマホークの光が交錯し、ファンネルの撃墜したりされたりしている。交錯する度に互いのエネルギーを削り合う。そして再び、鍔迫り合いになる。ビームトマホークの出力が高過ぎてすぐに弾かれ、お腹を蹴られぶっ飛んでしまう。

 

「つ、強い……。こっちも性能をあげたのに、二次移行したISはここまで性能があがるのか……」

[それだけじゃない。前よりもシャアの反応が良くなっている。長期戦は不利になるぞ]

「そうですね……。だったらサイコバーストを使います。これならなんとかなるかもしれません」

[だが君の精神を蝕むんだぞ? 僕にも原因が分からないから対処のしようがない]

「大丈夫ですよ。どのみちここでシャアさんを止めないといけないんです!」

[……分かった。だが無理はするな!]

「はい! 行くぞ、サイコバースト!」

 

 その言葉に反応して身体から緑の光――人の心の光が溢れ出す。残されたファンネルは2基。これならっ!

 

 フィンファンネルを本体だけに集中させ、ビームライフルでナイチンゲールのファンネルを落としていく。

 

[ファンネルが落とされたか……。やるなっ]

 

 サイコバースト状態のフィンファンネルを避け続けるの!? なんて運動性なんだよ!

 

 瞬間加速で一気に近付き、後ろから切りかかる。当たった! と思ったが攻撃していたフィンファンネルが破壊され、紙一重で回避され、サーベルを持っている右腕を掴まれた。

 

[その状態の性能はさすがの私も反応ができるかできないぐらいのものだが、まだまだだな]

 

 よく見るとナイチンゲールの周りから黒いオーラが見える……。これは……人の意志か? 気持ち悪い……。

 

[気づいたようだな。これは私達の世界の戦いの中で死んだ者の意志だ。憎悪を感じるのだろう? 所詮、人間はそんなものだ]

 

 恨み、妬み、憎悪が渦巻いて叫んでいる。それを力にしているのか!? こんなに気持ち悪い感覚は初めてだ……。その負の意志が僕の中に入り込んできた。

 

「うあああっ! いやだぁ! 怖い、やめて……もうやめてぇぇ!」

 

 僕は隠し腕で何回も殴られながら、その感覚に囚われそうだった。底の見えない闇を歩いているような感じで、考えるのがどうでもよくなってくる。

 

[光輝君! しっかりしろ!]

 

 アムロさんの声が遠のいていく。もう……どうでもいいや。このまま楽になりたいよ。このままどんどん闇に落ちていくけど気にしない。どうせ心の光を見せるなんて無理な話なんだ。

 

 最後に見たナイチンゲールはモノアイが妖しく光っていて――そこで意識は途絶えた。

 


 
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