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IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 第十七話~臨海学校へ!

水着の描写って難しい……。

2012-03-18 17:43:26 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1327   閲覧ユーザー数:1297

さてやってきました臨海学校。バスの中から綺麗な海が見える。日差しが反射していて、揺らぐ水面は穏やかな感じだ。

 

「周りのテンションが激しい……。でも着いたらもっと激しくなるんだろうなぁ」

 

 そう、バスに乗った時点でクラスの女子達のテンションが上がりっぱなしだ。更に海が見えたことで、またテンションが上がる。そして……うるさい……! 確かに嬉しいのは分かるけど、これは……。

 

[――恐ろしい風景だな……人はここまではしゃげるものなのか]

 

 アムロさんですら驚愕する程のクラスのテンションは上がっている。頂上の見えない山を登るように無限に上がり続けるこの密室で僕は大丈夫なのか……?

 

「はぁ~、早くこの密室から出たい……」

「何から出たいですって?」

 

 僕のため息に反応したのは隣に座っているセシリアさんだ。ここ最近、どうも機嫌が悪いのだが原因が分からないのです。今も鬼のようなオーラを発しているのが見えてしまう。

 

「まぁいいですわ。光輝さん、海に着いたらサンオイルを塗っていただけません?」

「……え? なんでまた僕に!?」

「そ、そんなに嫌な反応しなくても……いいじゃないですかぁ」

 

 いきなり泣きそうになるセシリアさん。ちょ、ちょっと! こんなとこで泣かない! 誤解されそうだ!

 

「分かったから、そんな顔するのは止めて!」

「本当ですわね?」

「ほ、本当だよ。僕で良いなら塗るよ」

 

 その言葉を言った途端、セシリアさんの顔が笑顔になる。なにも知らない無邪気で純粋な子供みたいに……。最近、こんな感じのトラブルが多い気がする。突然、通路を挟んでの席から異様なプレッシャーを感じてその方向へ向く。

 

 そこにはものすごい形相でこちらを睨みつけるラウラさんがいた。いつも冷静な彼女だがこうも感情をあらわにするのは珍しい。

 

「くっ、私がそこに居るはずだったのに……!」

「あら、ラウラさん。抜け駆けしようとした罰ですわ!

 

 この二人から火花が見えるのは気のせい? ってかこの二人は僕の隣の席に座る為に争っていたのか!? 僕の隣に来ても面白くもなんともないよ。バスぐらいは静かにしたいものだ。海に着いたら体力をかなり使いそうだし……。

 

「そろそろ旅館に着く。静かにしていろ!」

 

 お母さんの怒声一発で全員席に着き、静かになった……。わぉ、さすがお母さん。あれだけうるさかったバス内がエンジン音しか聞こえなくなった。

 

[――相変わらず千冬の指揮能力は凄いな。しかしこの雰囲気は違和感を感じてしまう]

「――そりゃそうでしょ。あれだけ騒がしかったのにいきなり静かになったんですから」

 

 アムロさんと話せるようになって数日後に心の光と会話が出来るようになったとお母さんに報告しに行った。さすがに驚いてたよ。ISが意志を持って喋るんだからさ。でもこれが公になれば政府からνガンダムを出せと問い詰められ、一生帰ってくることはないだろうと話していた。外では完全に喋らずに会話――意志疎通で会話をしろということだ。

 

 しばらくして無事、旅館に着くことが出来た。女将さんに全員であいさつをして部屋に行くのだが

 

「織斑兄弟は私と同じ部屋だ。そうでもしないと就寝時間を破ってお前らの部屋に女子が群がるからな」

 

 という訳で僕と夏兄はお母さんと一緒の部屋になったのだ。まさか家族が部屋のメンバーだなんて思いもしなかった。この方が気が楽にできていいや。

 

 しかしお母さんはあくまで教員なので基本的に敬語だ。まぁ仕方がないか……。

 

 一通り説明を受けた僕と夏兄は荷物を置いて海に行くことにした。さてこれからが一番疲れる所になってしまうのだろうか。

 

「自由だがあまり羽目を外し過ぎないようにな。怪我をされては困る」

「分かってます。じゃあ光輝、海行こうぜ」

 

 夏兄の後ろに着いて更衣室に向かう。女子更衣室の前を通ると、中が凄くうるさかったのはいうまでもない。

 

 

 

「織斑君たちだ!」

「えっ!? 水着変じゃないよね!?」

「一夏君も光輝君も水着似あってるなぁ」

 

 更衣室で着替えてちょうど隣の更衣室から出てきた女子と出会った。けっこう露出度が高いんじゃないか? あんまり直視しているとこっちが照れるっ!

 

 砂浜の砂が7月の日差しに照らされていて、とても暑そうだ……。あっ、夏兄が行った!

 

「あちちちっ」

 

 おうっ!? やっぱり暑いのか! だがここで勇気を出さなければ……! 勇気を振り絞って砂浜へ一歩を出す。

 

「……あれ? そこまで熱くないぞ。良かった……」

 

 あそこまで脅えてた自分が恥ずかしい……! あぅ~。

 

「さて体操して泳ごうぜ光輝」

「そ、そうだね……」

 

 泳いでる最中に足とか攣りたくないしね。アキレス腱伸ばして~、背筋伸ばして~、屈伸して~。と後ろから凄い勢いで足音が聞こえる。

 

 振り向けば鈴さんが夏兄に向ってダッシュしており、ジャンプ。夏兄に飛び乗ったのである。突然の重さに驚いた夏兄だけどすぐに体勢を整える。

 

「そんな歳になって体操なんかしてんの? さっさと終わらせて泳ぐわよ!」

 

そう言いながら鈴さんはあっという間に夏兄に肩車をしてもらっている状態になった。動きに無駄がない……! 慣れているなっ!

 

「お前のちゃんと準備体操しとけよ。溺れても知らないぞ」

「あたしが溺れたことなんかないわよ。前世は人魚ね」

 

 人魚って……空想上の生き物じゃないか。そんなことを心の中で突っ込んでいると後ろから声をかけられた。

 

「光輝さん」

「ん? あぁセシリアさん。どうしたの? そんなに荷物を持って?」

 

 セシリアさんだった。手には簡単なピーチパラソルとシート。それにサンオイルを持っている。

 

「もう、先ほどのバスの中で約束したではありませんか! サンオイルを塗ってくれると!」

「そういやそんなこと言ったね……」

 

 僕達は程なく準備を終え、さぁ塗ろうとするが……。

 

「どうしましたの? 早く塗って下さいまし」

「う、うん……」

 

 そう言われても……女子の肌に直接触るのはどうかと思ってしまう。青のパレオを脱ぐと下の露出度が高い……更に背中に塗る訳だから、首の後ろで結んでいたブラも解いたわけで……正直、直視できない。今のセシリアさんはいつも以上にセクシーな気がする……。

 

 約束したのに塗らない訳にもいかず、サンオイルを手に出して両手で少し温めて……、織斑光輝、行きますっ!

 

「んっ、光輝さん、お上手ですわ」

「そ、そう? 後、変な声出さないでよね……。すっごく恥ずかしいんだから……」

 

 うぅ~、多方向からの視線が痛い……、この状況、誰か助けて~!

 

「あっ、光輝くんになにしてるのさセシリア!」

 

 この声はエリスさん! 救世主だ! 

 

 塗ってる最中にその方向へ向くと、手が止まってしまった。今のエリスさんは、オレンジのビキニにオレンジのパレオ――つまりレゾナンツに行った時に決めた水着を着ている。その姿が凄く似合ってて――つい見惚れてしまう。

 

「あらエリスさん、私と同じタイプの水着なんて、花が無いですわね!」

「でもでも、この水着は……光輝くんが決めてくれたんだもん! それだけで……」

 

 セシリアさんの表情が固まる。そりゃ僕が決めたけど本人に似会ってるかなんて分からないし、でもエリスさんはオレンジが似会うイメージだからそういう水着にしただけで……でも今、言えることは一つ! 今のエリスさんは可愛い! 

 

「光輝さん! 手が止まっていますわよ!」

「わ! ごめんなさい!」

「セシリア! そんな言い方はないでしょ!? いい光輝くん? サンオイルなんてこう塗ればいいのよ!」

 

 と言いながらエリスさんはサンオイルを僕の手から奪い、激しい勢いで塗りつけていく。

 

「エ、エリスさん! そんな手つきで塗らないで下さい!」

 

 いきなりセシリアさんが立つ。……うわああっ! 慌てて眼を隠すがわずかに見えてしまった。セシリアさんの……はぅぅぅ。

 

 セシリアさんは悲鳴を上げ、旅館に戻ったと言う。うぁぁぁぁ……ごめんなさいセシリアさん……。

 

 

 

「はぁ~、つ、疲れた……」

「まだ一日目だぜ。明日からが本当じゃないか」

 

 時は進んで夕食後の部屋にて。今日はいろんなことがあった。セシリアさんパニックにピーチバレーの乱、夕食戦争……こんなことで明日から大丈夫なのかな? ちょっと休んだら夜の海辺を散歩しに行こう。

 

「お前らだけか……女の一人も連れ込めないようじゃまだまだだな」

 

 襖から出てきたのはお母さん。てかその発言は教師としていいのでしょうか!?

 

「そうだ、織斑先生。エリスさん呼んでもいいですか?」

「別にかまわんが、どうせならいつものメンバー全員呼んで来い。就寝時間には帰ってもらうがな」

「分かりました。それじゃあ行ってきますね」

 

 

 

「――それにしても今日は疲れました。でもたまにはいいのかもしれませんね」

[――そうだな。僕はこう見ることしかで出来ないが、悪くはない]

 

 いつものメンバーを呼びに行った後、僕はそのままアムロさんと話しながら夜の浜辺を散歩していた。波の音が大きく聞こえる。昼の様子と比べるとギャップの激しささえ感じてしまう。

 

[――この世界は平和だね。でもISによる差別は健在中なのが気にいらないな。ISが女性しか使えないにしても使わなければ男性も女性も平等だということを分かっていないのだろうか?]

 

 確かに女性がISを使わなければただの人間だ。それが分かってない女性がほとんどなのは確かだと思う。

 

[人の知恵はどんな苦難だって乗り越えられると信じてる。人は生きている限り可能性は無限にある。それを潰すような行為は許せない]

「――アムロさん……」

 

 一段と波の音が大きく聞こえる。アムロさんのいつもの優しい声とは違い、真剣で少し怒りに満ちた声だった。

 

[――さぁそろそろ戻ろうよ。明日の為に今日は早めに休んだ方がいい]

 

 僕はその言葉に従い、部屋に戻るようにする。その刹那、あれに似たプレッシャーを感じた。まさか……ね。

 

 


 
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