No.393493

番外編 ムッツリーニと遊園地

ムッツリーニも俺の嫁

2012-03-18 00:42:42 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3631   閲覧ユーザー数:3440

アニスサイド

 

 

~~♪~~♪

 

 

「……ふみゅ……電話……?」

 

 

朝、俺は自分の携帯の着信音で目が覚めた。

うぅ、誰だよ~……俺は朝が苦手なんだ……。

仕方がないので、俺は電話に出る……。

 

 

ピッ。

 

 

「……はい……こふぃら、アニフでふ……好きな食べ物は……汁物でふ……九歳でふ……」

 

 

《……もしもし、土夜です》

 

 

「……ふぁ……ムッツリーニ……?……どうふぃたの?」

 

 

《……今日俺と、遊園地行かない?》

 

 

「……ムッツリーニ……冗談は……君の性癖だけに……してください……」

 

 

《……それは心外。俺は、普通だ》

 

 

「……ふぁ……そうでふね……それで……どうふぃて、俺なの?」

 

 

《……単純に、アニスと行きたいと思ったから》

 

 

「……わふぁりまふぃた……でふぁ……何時に……集合しまょう……?」

 

 

《……今が朝の六時半くらいだから……九時半に……海鳴公園で、待ってる……それじゃ》

 

 

ブツッ……ツー、ツー……ピッ。

 

 

……はぅ、どうやら……ムッツリーニ君は……俺とデートしたいみたいです……。

……どうしましょう……下着は……勝負下着の方が……良いですかね?

……まぁ、……俺はいつも……スパッツの下は……何も……穿いてないんですけどね……。

 

 

「zzzzzz……」

 

 

そして俺は、また眠りについてしまった……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「おい、アニス。起きろ!!」

 

 

「……ふぁ……アンふ?……もう少し……」

 

 

「何言ってんだ!もう八時半だ!いい加減寝すぎだ!」

 

 

「……八時半……」

 

 

はっ……思い出した……確かムッツリーニから電話がかかって来て、遊園地行く約束してたんだ。

危ない危ない。このままアンクが起こしてくれなかったら、ずっと寝てたよ。

 

 

「……おはよう……アンク……」

 

 

「あぁ……それより、顔洗って来い。もう朝飯だ……。あ、ちゃんと服着てから来いよ!」

 

 

「……はーい……」

 

 

バタン……。

 

 

「……さて……何を着て行こう……」

 

 

とにかく、今は顔を洗う事よりも優先すべき物はそれだな。

何を着て行こう……取り敢えず、最近某幻想郷の祟り神様の帽子を買ったので、それを被って行こう。

次に上……いつも通りパーカーで良いんだけどな~……どうせならクドリャフカみたいにマントでも羽織る?

よし、採用。

次に下……よし、ジーンズで決定だ。

 

 

「……すっげぇ痛い子に見える……特にマント……帽子は良いね。何かぴったりだ」

 

 

想像できない人は……そうだね、可愛い男の娘が、マントを羽織って、ジーンズ穿いてて、パーカー着てて、ケロちゃんの帽子を被ってるのは想像してみれば良いよ。

 

 

「さて、行きますか」

 

 

俺はそのままリビングに向かう。うん、まだ中に入ってないのに、朝食の良い匂いがしてくる。

 

 

「おはよー」

 

 

「あ、アニス君おはよう。どないしたん?そんなにめかし込んで?デートでも行くん?(笑」

 

 

「まぁ、そんな所だね」

 

 

ピシッ……。

 

 

空気が固まる音がした……何でだろう?あ、アンクが凄い形相でこっち見てる……。

何か近づいてきた、つうかこっち来た……。

 

 

「誰だ……何処のどいつとだ!」

 

 

「キャッ!?ア、アンク!?何々!?ちょっと……いたっ……痛いよ……」

 

 

「うっ……すまん……」

 

 

「全く……別に、デートって言うのは言葉の綾だよ。今日はムッ……じゃなかった。土夜君と遊園地で遊んでくるだけだよ」

 

 

「な……何や……男の子か……って……土夜君って誰や?」

 

 

「……俺は却下だ!何であんな変態と遊園地に行くんだよ!」

 

 

「えぇ!?その子変態さんなんか!?」

 

 

「いや、確かに変態だけども……あれでも結構面白い人だよ?まぁ、行くなって言われても行くけどね」

 

 

「……はぁ、何かされそうになったら電話しろよ?そいつ殺してやるから」

 

 

「あはは……アンクさん物騒やなぁ……許可するで」

 

 

おぉう……ムッツリーニ……君に死亡フラグが立ったよ……どうしましょう。

……まぁ、お触り程度なら怒らんけど、流石にムッツリーニも男。俺をどうこうしようと思うわけないでしょうに。

たぶん、俺の写真とか撮って、ムッツリ商会で売りさばくつもり何だろう。

 

 

「まぁそんな事より、朝ご飯にしよ?俺なら大丈夫、いざとなったら大声出して助けを求めるさ」

 

 

ごめんムッツリーニ……流石に俺は君の事を庇いきれないわ……なんてったって、ムッツリーニなんですもん。

まぁ、ムッツリーニは変態という名の紳士なので、そういう事は全くしないから大丈夫。

だから好きなんです。彼は別に、俺をどうこうしようと企んで遊園地に誘ったわけじゃないはず!

 

 

取り敢えず、飯食お……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

キング・クリムゾン!!

 

 

時を……結構消し飛ばした。既にアニスは待ち合わせ場所に着いている。

 

 

「つっちや~!!おっはよー!」

 

 

「………おはよう」

 

 

「もぅ、いきなり誘わないでよ。もし俺に用事とかあったらどうする気だったの?」

 

 

「………その時はその時」

 

 

「……はぁ……駄目だよ?ちゃんと一日前とかに言ってよ~。今度からはそうする事!良い?」

 

 

「……把握」

 

 

「ん、分かればよろしい。さて、行こっ!俺、遊園地とか初めてなんだ!エスコートお願いね」

 

 

「……任せて」

 

 

相変わらず、口数が少ないねぇ。

まぁ、そこがムッツリーニか……。

 

 

「……それよりも、着る物は統一した方が良い」

 

 

「あ、分かる?まぁ、これしかなかったんだ。似合ってない?似合ってなかったらマントは取るけど」

 

 

「……似合ってる。だけど、クドのマントを羽織るなら、帽子はやっぱりクドの帽子の方が良い。そのケロちゃんの帽子でも確かに良いけど……今度からはそっちをお勧めする」

 

 

前言撤回……結構喋る奴だった……。

お前、この小説に出てきてから一番喋った場面なんじゃね?あ、メタ発言禁止?知ってるよコノヤロー。

 

 

「それじゃ、行こっ!」

 

 

「………(コクリ)」

 

 

そんなこんなで、俺とムッツリーニは遊園地に向かった。

道中でムッツリーニは俺の写真を撮ってたが……まぁ気にしないでおいた。

それよりも、結海鳴から少し出るのか……あ、ただ今電車の中でございます。

そういや、転生してから電車に乗るのは初めてだな。

やっぱ休日なので、人がたくさん……だから立ちたかったんだけど……。

 

 

「吊革が……届かない……だと……」

 

 

「……やっぱり席に座ったら」

 

 

「ふっ、ムッツリーニ……この完璧健康なアニス君を舐めるな……吊革無しで立っててやる!!」

 

 

「……無理はいけない」

 

 

「へっ?ちょっ……!」

 

 

ムッツリーニはいきなり俺の手を掴み、引っ張って行く。

そして、着いたのは席が一人分空いている車両。

 

 

「……座って良いよ」

 

 

「ムッツリーニ……悪いよ、俺だけ座るなんて」

 

 

「………気にしない」

 

 

「いや、お前が気にしなくても俺が気にするんだが……あ、そうだ……。ムッツリーニが座って、俺がムッツリーニの膝の上に乗れば良いんだ!」

 

 

「……それは」

 

 

「ほら、早く早く!」

 

 

「………出来ない」

 

 

「もう!ほら、座った座った!」

 

 

「うわっ……!」

 

 

ドサッ……ポス。

 

 

「うん!これでオッケー!」

 

 

「………し、刺激が」

 

 

何か後ろで聞こえたが……気にしないでおこう……。

 

 

「あ、ムッツリーニ。鼻血は出さないでね?」

 

 

「………出そう」

 

 

「鼻押さえてなさい!」

 

 

「………」

 

 

「………おい、大きくするな……違和感あり過ぎて嫌だ」

 

 

「………ごめん」

 

 

「……はぁ、謝んないでよ。て言うか、欲情するな」

 

 

こいつは……大丈夫かな?

まぁ、こいつに限って間違いはないと思うから良いけどさ。

 

 

「それより、大丈夫?」

 

 

「……何とか」

 

 

「……うん、分かった、分かったから耳元でハァハァしないで。弱いんだから」

 

 

「………善処する」

 

 

ま、まぁ……とにかく悪い奴じゃないし……仕方ない、許してやろう。

それも男の性だ。本編ではこいつ、秀吉でもこうだったし……まぁ、初めから怒ってないけどね。

俺も男、良く分かるよその気持ち。

 

 

取り敢えず、俺とムッツリーニは、遊園地に向かうのでした……。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「おぉ!ここが遊園地!でけぇ!テンションあがって来たよ!」

 

 

「…………(グッタリ)」

 

 

「……あの……俺が言うのも何なんだけどさ、大丈夫?」

 

 

「……心配ない」

 

 

「そっか、ごめんね、無理させちゃって」

 

 

「………子供に心配されるような軟じゃない」

 

 

「………えいっ」

 

 

俺は何かむかついたので、ムッツリーニに抱き着いてみた。

そしたらムッツリーニは鼻血を出して悶えてしまった。

 

 

「あはは!やっぱ軟じゃん!」

 

 

「………それは反則」パシャッ

 

 

「おっ、早速一枚?気が早いね」

 

 

「……撮れる内に撮っておく」

 

 

「いつ倒れても良いように?」

 

 

「………(コクリ)」

 

 

「あはは、やっぱ軟だ。それじゃ中に入ろうか?」

 

 

「……(コクリ)」

 

 

俺とムッツリーニはようやく遊園地の中に入る事にした。

まぁ、無駄話してたら時間無くなっちゃうしね。

 

 

「あ、そうだムッツリーニ」

 

 

「………?」

 

 

「手、繋ご?俺こんなナリだからさ、人ゴミに簡単に飲まれちゃうから。迷子になりたくないし、ムッツリーニにも迷惑掛けたくないわけよ。だから、繋ご?」

 

 

「………把握」

 

 

ムッツリーニはそう呟いて、俺が突き出している手をぎゅっと握る。

……やっぱ大きいな、ムッツリーニの手。まぁ、俺がほぼ幼稚園児と変わらない体格だから仕方ないんだけどね。

 

 

「えへへ、ムッツリーニの手、暖かい」

 

 

「………」パシャ

 

 

「もぅ、また写真。案外恥ずかしいんだから、自重してよ……あうあう……」

 

 

「………」パシャ、ボタボタ

 

 

「こらこら、鼻血流さない。変質者扱いされるよ?」

 

 

そんなこんなで、乗り物に乗るチケットを買い、そのまま遊園地内に入った。

それにしても、やっぱ休日だから人がいっぱい。

子連れからカップルまで……子連れは良い、だがリア充、てめーらは駄目だ。

 

 

「……何から乗る?」

 

 

「う~ん……ジェットコースター……と言いたいけど……あはは、この身長じゃ規定に引っかかっちゃうから駄目か……」

 

 

「……大丈夫、ここのジェットコースターは割かし安全にできてるから、小さい子でも乗れる仕様になっている」

 

 

「ホント!?じゃあ行こうよ!」

 

 

「……良い笑顔」パシャッ

 

 

「も~、だ~か~ら~!恥ずかしいってば!」

 

 

全く、油断も隙もない奴だ。

俺、あんまり写真撮られるの好きくない。

まぁ、それからも写真を撮られながらジェットコースター乗り場に着いたのだが……。

 

 

「うっわぁ、人がゴミの様だ」

 

 

「……ムスカ乙」

 

 

何か、長者の列が如くの勢いなのだが……。

あ、そうだそうだ、帽子とマント取っとかないと。ジェットコースターの勢いで飛ばされかねないし。

 

 

「……持とうか?」

 

 

「ん?大丈夫大丈夫。自分の荷物だし、これ位持てるよ。いくら非力だからって、それは心外だよ?」

 

 

「……冗談」

 

 

「おい、ムッツリーニ」

 

 

全く、こいつの冗談は分かりにくい。

それにしても、ホントに人気だよな、ジェットコースター。何処の遊園地でもそれが目玉だし仕方ないか。

 

 

「つうか、前が見えん……」

 

 

「……まだだいぶある」

 

 

「そうか……あ~、暇だ……」

 

 

「……アニスって、結構無責任」

 

 

「あはは、俺もまだ子供ですから。でもま、自分で言った事は大体責任持ってるよ?まぁ、今回はホントに先が見えないからつい口にだしちゃったけど」

 

 

「……やっぱりアニスは俺より大人」

 

 

「あはは、気持ち悪くないかな?実際、他の同い年の子よりも成長してないけど、口調とか考えが逸脱してるから……」

 

 

「……そんな事ない。大丈夫、アニスは気持ち悪くなんかない」

 

 

「……えへへ~、ありがとう」

 

 

「……いただき」パシャッ

 

 

「あぅ、油断した……」

 

 

くっそ、ムッツリーニめ……。

速すぎる、表情が戻りきる前にシャッターを切るから反応できない。

 

 

「えぇい!いい加減に自重しろ!パシャパシャ撮るなぁ!」

 

 

「……それは出来ない」

 

 

「……お前、今日遊園地に誘ったのは、10割方俺の写真を撮る為だろ?」

 

 

「………(フルフル)」

 

 

「あれ?違うの?」

 

 

「………9割9分9厘」

 

 

「おい!変わらねぇよ!ほとんど一緒だよ!?何考えてんだお前!」

 

 

「………」パシャッ

 

 

「えぇい!無言で撮るな!」

 

 

その後も、順番が回って来るまで何回も写真を撮られた。

ちくせう……どんだけ撮られたんだ……。

 

 

そして、ジェットコースターの乗る俺とムッツリーニ。

 

 

「それでは、発射いたします」

 

 

そうアナウンスが入り、コースターが動き出す。

帽子とマントと、ムッツリーニの愛用のカメラはスタッフに預けたから、これで落ちる物は無くなったわけだ。

そして撮られる心配もない。

 

 

 

まぁ、流石にムッツリーニも、ジェットコースターに乗りながら写真を撮ろうとする馬鹿では無いと、俺は信じている。

まぁ、危ないしね。

それよりも……。

 

 

「あう……緊張してきた……」

 

 

ガタガタガタガタガタ……!

 

 

ゆっくりと進んでいは行くが、徐々に徐々に、高くなっていく……。

普段空飛んでるのに、どうもこう言った機械仕掛けの物に乗るのはな~……って、デバイスも一応機会に入るやん。

 

 

「……大丈夫」

 

 

ギュッ。

 

 

ムッツリーニはそう言うと、俺の手を握る。

あう……若干安心したのは、秘密だ。

 

 

「は、恥ずかしい……」

 

 

「……さっき自分から握ろうって言ってたくせに」

 

 

「じ、自分からなら案外恥ずかしくないんだよ?って、キャァァァァァァァァ!」

 

 

無駄話をしていたら、いつの間にかジェットコースターが一番上まで来ており、そのまま発車した。

す、凄い速度!

 

 

「キヤァァァァァ!!」

 

 

他のお客も叫んでいる。

まぁ、大半はカップルなのだが……リア充爆発しろ。

 

 

「あ、なんか慣れてきた」

 

 

案外慣れるものなんだね、ジェットコースターって。

 

 

「キャハハ!楽しー!」

 

 

俺は隣にいるムッツリーニの事を忘れてはしゃいで楽しんだ。

一方、ムッツリーニは……。

 

 

「………………」

 

 

叫びもせず、笑いもせず、ただ無表情にアニスを見続けるのであった……なんか怖い。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「いやぁ~、楽しかったね!ムッツリーニ!」

 

 

「…………(コクリ)」

 

 

あれからジェットコースターを降りて、遊園地内をブラブラしてる。

ホントに人がいっぱいだな~、はぐれたら迷子になりそうだ。

 

 

「ムッツリーニ、絶対に手、離さないでね?」

 

 

「………大丈夫、離さない」

 

 

「えへへ、ホントだよ?」

 

 

「…………(こくり)」

 

 

「うん、なら安心だね♪」

 

 

「……………」パシャッ

 

 

「あ、くっそ。油断した」

 

 

「……油断大敵」

 

 

「お前が言うな!」

 

 

まぁ、何やかんやで楽しいわなこれ。

それから俺とムッツリーニは、色んな乗り物に乗り、昼飯を食べてから、また違う乗り物に乗りまくった。

 

夕方

 

 

「いや~、すっかり日が暮れちゃったね……」

 

 

「………(コクリ)」

 

 

「……もう帰ろっか」

 

 

「………そうだね。そろそろ電車も来る時間だし、帰ろうか」

 

 

俺とムッツリーニは、そう言って、ベンチから立ち上がる。

あはは、少し疲れちゃったな~。はしゃぎ過ぎた。

 

 

「う……ぁ……ふぁ~……ねむ……」

 

 

「………大丈夫?」

 

 

「ん……大丈夫。ちょっとはしゃぎ過ぎて疲れちゃっただけだから」

 

 

「………無理は良くない」

 

 

「ふわぁ!?」

 

 

ムッツリーニは何を思ったのか、いきなり俺をお姫様抱っこしだした。

ちょっ、いきなり何だし!

 

 

「はぅ、ムッツリーニ……は、恥ずかしいよ……」

 

 

「………子供なんだから、無理はいけない」

 

 

「む~、子供扱いするな~!バカバカバカバカ!!」

 

 

俺は手足をバタバタさせて反抗する。

 

 

「………暴れたら駄目。幾らアニスが軽いとは言え、流石に落としそう」

 

 

「うわっと、ごめん……って!降ろせば済む問題じゃん!」

 

 

「………無理はいけない」

 

 

「お前はそれしか言えんのか!降ろせ!今すぐ降ろせ!呪うぞ!アホー!」

 

 

「………それじゃ、おんぶなら良いの?」

 

 

「うっ……ま、まぁ……それならまだまし……かも……」

 

 

「………そう」

 

 

ムッツリーニはそう言うと、俺を降ろし。

俺の目の前で後ろを向いた状態で屈む。

 

 

「………はい」

 

 

「……い、良いの?」

 

 

「………(コクリ)」

 

 

「……鼻血出さない?」

 

 

「………頑張る」

 

 

「……そ、それじゃあ、お言葉に甘えて……よいしょっ」

 

 

俺はムッツリーニの背中に乗る。

そしてそのままムッツリーニは立ち上がり、そのままスタスタと歩く。

 

 

「……ムッツリーニ」

 

 

「………何?」

 

 

「今日はありがとうね。俺、すっごく楽しかった」

 

 

「……これ位お安い御用」

 

 

「えへへ、ムッツリーニは優しいね」

 

 

「………ありがとう」

 

 

「えへへ~。……ムッツリーニの背中、暖かい……眠たくなってきちゃった……」

 

 

「……寝ても大丈夫。着いたら起こす」

 

 

「……う、ん……ありが……とう……」

 

 

俺はうつらうつらと船をこき、睡眠の波に飲まれ、そのまま眠りについてしまった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ニス……ア……ス」

 

 

「うっ……ふぁっ……ひゃい……」

 

 

急な振動……誰かに揺さぶられている様だ。

う~、誰だよ~、気持ちよく寝てたのに……。

 

 

「……アニス、着いたよ。もう海鳴市だ」

 

 

「ふぇっ……」

 

 

おいおい、まさかおんぶされたまま電車に乗ったってこと?

……恥ずかしい……。

 

 

「……はぅ……電車に乗る前に……起こしてほしかったよ~」

 

 

「……たぶん、兄妹にしか見られてなかったと思う」

 

 

「……字が違う気がするんだが……まぁ良いか……もう降ろして良いよ?」

 

 

「……駄目」

 

 

「えっ……何で?」

 

 

「………疲れてるんでしょ?このまま家まで送る」

 

 

「あぅ……だ、大丈夫だよ!少しだけだけど、寝たし、体力も回復したよ!だから降ろして?自分で帰れるから」

 

 

「………そう?」

 

 

「そう!」

 

 

「………分かった」

 

 

ムッツリーニはそう呟くと、すぐに降ろしてくれた。

 

 

「ありがとう、ムッツリーニ。また今度誘ってね」

 

 

「……アニスが行きたいなら、また連れてく」

 

 

「あはは、ありがとう。それじゃ、バイバイ」

 

 

「…………(こくり)」

 

 

俺はムッツリーニに手を振り、駅からはやての家まで歩いて帰る。

いや~、今日は楽しかった。また行きたいな~。

 

 

じゃあ、そんな感じで、終わりますわ。


 
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