No.392642

第九話 アニス、魔王と仲良くなる

魔王魔王魔王魔王……あ、飽きた?

2012-03-16 20:48:31 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4133   閲覧ユーザー数:3935

前回のあらすじ

 

 

俺、死ぬかもしんない……

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「……こ、こんにちは」

 

 

一応、挨拶はしておこう。それが礼儀だ……魔王にとっての礼儀だ。

 

 

「こんにちは。どうしたの?何か困った事でもあった?」

 

 

……うむ、何だろうか、このお姉さん口調は……。

まさか、この私が君より年下に見えるかね?……あ、見えますか。ですよねー。

 

 

「えっと……少し道に迷いまして」

 

 

「そうなの?じゃあ何処に行くのかな?お姉さんが連れてってあげるよ」

 

 

おぅ、案の定そうでした。この子、俺を同い年と見てませんねこれ。

あぁ、こう言ったデメリットや不祥事が起きるのか。なるほど把握。

 

 

「えっと、翠屋って分かりますか?」

 

 

「……にゃはは……それ、家の店だね」

 

 

「おぉ、マジか!っと……あの、お店まで案内してくれませんか?」

 

 

「にゃはは、お安い御用だよ。それじゃあ行こうか」

 

 

そう言って、俺の手を取り繋ぐなのは……。

いや、恥ずかしいのでやめてください……俺は一応、手を握られるのを回避する。

 

 

「あ、嫌だった?」

 

 

「あの、俺一応九歳なので、子ども扱いは止めてください……」

 

 

「………………」

 

 

あ、なのはが固まった。

最近俺の周りの人は良く固まる~、そんなに固まるのが流行ってるのだろうか?

 

 

「えぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

「っ~……はぅ~……み、耳が……」

 

 

お前はトリコに出てくるゼブラか!

サウンドバズーカか!?それともサウンドミサイルなのか!?どちらにしろゼロ距離で放つな!鼓膜破けるだろうが!

 

 

「わ、私と同い年!?こんなに小さいのに!?で、でも、女の子だったら少しくらい成長が遅れてる子も……」

 

 

「だが男だ」

 

 

「……………」

 

 

おっと、オカリンの台詞を使ってしまった……。

 

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

今度は事前に耳を塞いでいたので、耳がキーンってなる事は無かった。

まぁ、それよりも……。

 

 

「あの、お店案内してくれないんですか?」

 

 

「あ、ごめんごめん。それじゃあ行こうか」

 

 

なのははまだ引きつった顔をしてるけど、それでも何とか案内しようと体を動かす。

こうなったのは俺のせいではあるまい……。

 

 

なのはサイド

 

 

こ、こんなに可愛い子が同い年で男の子な筈がないの!

ありえないよ……絶対に!

 

 

「……どうしたの、高町さん?」

 

 

「あ、ううん!何でもない何でもない」

 

 

やっぱり、見れば見るほど、女の子にしか見えない……。

やっぱり嘘をついてる?でも、そんな嘘をついても特なんて何もないし、第一私達は会ったばかり。

じ、じゃあ本当に……。

 

 

「……高町さん?」

 

 

「は、はい!?」

 

 

「どうしたんです?本当に。さっきから顔が愉快なオブジェに変わってますよ?」

 

 

「そ、それってどう言う事かな?」

 

 

「……いや、変な顔をしていたので……」

 

 

そう言って、無表情に戻る彼(?)

その顔は整っていて、髪も私より長く、良く手入れが行き届いているのが分かる。

そして、何より圧倒的なのは……その身長!私とかなりの差があるの。

……やっぱり、信じられない……。

 

 

「……あの、さっきからコロコロと顔が変わるのは、何かの癖なのでしょうか?」

 

 

「ふぇっ!?」

 

 

「俺の顔をじろじろ見て、悩みだしたかと思えば、いきなり否定的な顔になり。でもやっぱり的な顔になったかと思えば、やっぱり否定的な顔に戻ったり」

 

 

うっ、全部読まれてるの……。

 

 

「まぁ、大方。俺が男だと信じ切れてないだけだと思いますけど」

 

 

「……ごめんなさい……」

 

 

「謝らないでくださいよ、もう慣れてますから。こんなの許容の範囲内です」

 

 

「で、でも……それでも……君を傷つけちゃった……かもしれないし……」

 

 

「……アニスです……」

 

 

「えっ……?」

 

 

「名前ですよ。そう言えば、高町さんは名乗ったのに、俺は名乗ってなかったじゃないですか。アニス・クロイツベルです。以後お見知りおきお」

 

 

そう言って……彼はニコッと笑った……。

あぁ、もう男の子か女の子かなんてどうでも良いの……取り敢えず……この子は可愛い、それで良いの!

 

 

アニスサイド

 

 

何やらなのはから嫌な視線が送られて来たが、スルーの方向で。

それにしても、こいつコロコロ顔変えてたな。全く、人の話は素直に信じてほしいわ。

まぁ確かに、自業自得ではあるけども。それでも、ねぇ?

 

 

「あ、ここが翠屋だよ」

 

 

「おぉ、ここが……」

 

 

喫茶翠屋……またの名を、魔王の巣窟。

ここに入ったパーティは最後……骨の髄までしゃぶり尽くされると言う恐怖の館……。

おぅ、考えただけで寒気が。怖い怖い。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「あ、ううん!全然良いよ!どうせ帰る途中だったんだし」

 

 

「そうですか……では、これで」

 

 

俺はなのはにそう言って、翠屋の中に入る。

 

 

「いらっしゃいませ~。喫茶翠屋へようこそ」

 

 

そこは……魔王の巣窟何かじゃなかった……。

フワリと甘い匂い漂う店内……だけど、ただ甘いだけじゃない……コーヒーの苦みや紅茶の渋みの匂いも飛び込んでくる。

更には店内の雰囲気とマッチしており……それは凄く、美しく映った……。

っつくしー……これぞ調和!ハーモニーだよ!!

 

 

「あ、あの。どうしたのかな?」

 

 

「はっ!すいません、つい呆けてしまいました」

 

 

ヤバいヤバい……凄く遠い所に行ってしまった。

流石人気店。やはり伊達じゃない……よもやこの俺が魅了されるとは……侮りがたし、喫茶翠屋……。

 

 

「あら、小さいのに礼儀正しいのね。お母さんとかは来てないの?」

 

 

「あ、自分一人で来ました」

 

 

「お使いかしら?偉いわね~」

 

 

そう言いながら、俺の頭を撫でてくる。

えっと……誰だっけこの人?確か高町……。

 

 

「桃子、どうしたんだ?」

 

 

そう!桃子さんだ!思い出した思い出した!

いやぁ、頭ん中のモヤモヤが綺麗に晴れた!これでスッキリだわ!

 

 

「あぁ、士郎さん。ちょっと、小さいお客さんと、ね」

 

 

桃子さんは士郎さんに向けてウィンクをする。

けっ!リア充爆発しろ!イチャイチャすんな!砂糖吐きそうなほど甘ったるいぜ。

 

 

「おや?本当だね。お母さんのお手伝いかい?」

 

 

「あ……その……」

 

 

ついつい押し黙る。さっきは然程気にしなかったか……もう一回改めて言われると、キツイ物が……。

あぁ、鬱だ、死のう……つうか首吊らせて死なせてくださいお願いします……。

 

 

「お母さん、買って来たよ~。あ、アニス君、まだ選んでなかったんだ」

 

 

「あ、高町さん」

 

 

その時、厨房からなのはが出て来た。

どうやら裏口から入って着替えたのだろう……ウェイトレス姿でした。

羨ましい……俺も着てm……いやいや!俺に女装っ気は無いんだ!

 

 

「お帰りなのは。知り合い?」

 

 

「にゃはは、帰る途中に知り合って。どうやらここに来る途中に迷子になっちゃって。それで案内したの!」

 

 

「へぇ、そうなのか。偉いななのは」

 

 

士郎さんは笑いながらなのはの頭を撫でる。

そして、なのはは恥ずかしそうに笑いながら、それを受け入れる。

ふと、士郎さんの撫でる手が止まる。

 

 

「ん?アニス、君?」

 

 

あ、そこ気にしちゃう系ですか。

まぁ、そうですよね~。貴方の娘さんもそうでしたし。

 

 

「君、男の子なのかい?」

 

 

「あ、はい。それと、高町さ……なのはさんと同い年です」

 

 

ここには今高町の性が三人いるので、ごっちゃにならないように下の名前を呼んだ。

士郎さんは驚きで目が見開かれていたが、桃子さんはあらあらみたいな顔で士郎さんを見ていた。

何故驚かないし、桃子さん……。

 

 

~割愛~

 

 

「あの、ケーキ買いたいのですが。良いですか?」

 

 

「えぇ、どうぞ。好きなのを選んでくださいね」

 

 

……うむ、良い笑顔だ。これが俗に言う、接客笑顔なのだろう。

まぁ、桃子さんのは本当に笑ってるだけなんだろうけど。

さて、ケーキを買うにしても、何を買おうか……。

 

 

 

アンクはアイスしか食べないから、ケーキを買っても食わないかもしれん。

はやては食べるな、間違いなく。翠屋の名前くらいならはやても知ってるはずだ。

当然、その旨さも。

 

 

……ここはやはり、当店人気のシュークリームが無難だろうね。

後はショートケーキにやチョコケーキ。ショコラも置いてある。可愛いな~。

 

 

 

こう言った甘い物、ケーキとか作ってアンクに上げたら喜ぶかな?

それとも、食べてくれないのかな?アイスしか食べないアンクでも、俺の作った物なら!

 

 

「……えへへ~……」

 

 

自然と顔が綻ぶ。

そうだ、今度日頃の感謝も込めて、ケーキを作ろう。

幾ら不格好でも良い……必要なのは相手を思いやる気持ちだって、誰かが言ってたな。

 

 

「あ、あの……アニス君」

 

 

「?どうしたんです?高町さん」

 

 

「あ……あの……その……わ、私と友達になってください!」

 

 

……いきなり何言ってんだ、この砲撃魔は……。

んだァ、その思わせぶりな表情は……あ、思わせぶりじゃない、本気。

あややや、こんな俺と友達になりたいとか、凄い変わった子ですねこの子。

 

 

「あ、はぁ。良いですけど……」

 

 

「本当に!?ありがとう!」

 

 

「……何でそこまで喜ばれるのか分かりませんが、よろしくお願いします」

 

 

「あ、、こちらこそ……。そ、それとね」

 

 

「まだ何かあるんですか?」

 

 

「その、敬語……使わなくて良いよ?同い年何だし、それに、下の名前で呼んでほしいの!」

 

 

「……うん、分かった。よろしく、なのはちゃん」

 

 

ははは、キミの頼みは断れないです。

元ネタ知らん人は、某動画サイトでうろ覚えでエルシャダイって検索してみろ。

まぁ、エルシャダイはもう古いが。俺は好きだ!

 

 

「………わ~………」

 

 

……何かなのはが呆けちゃったけど、気にしない方向で行きます。

さて、何を買おうかな~。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「ありがとうございました~」

 

 

はい、買い終わりました。それにしても、すっかり話し込んじゃったな~

あの後、ケーキを選んだのは良いけど、なのはがちょうど休憩に入ったんだ。

それで、なのはが俺を誘って、一緒にケーキ食べながらお話ししよう?って言われたんだ。

……背筋が凍るように冷たくなったのは……気のせいだと思いたい。

 

 

しかも話が弾み、桃子さんと士郎さんからお昼をごちそうになり。

お昼を食べたらまたなのはと喋り、美由紀さんとブラコンが帰って来て、美由紀さんに愛でられ。

ブラコンは俺が男だと分かるといきなり襲いかかってきたが、士郎さんが取り押さえお説教。

 

 

 

俺は最後に、獣と言って止めを刺した。

そんでもう夕方です。いやぁ、すっかり話し込んじまったよ!

アンク、怒ってないと良いな~……。

 

 

 

そんな事を思いながら、俺は何とか迷わないではやての家に着きました。

……玄関から異様な殺気を感じるのは……嘘だと思いたい……。

 

 

「た……ただいま……」

 

 

「随分遅かったな、アニス……」

 

 

 

「ひぃっ!!」

 

 

そこには腕を組み、仁王立ちで待ち構えていたアンクの姿が!!

 

 

「ア、アンク……」

 

 

「今までそこほっつき歩いてたんだ?怒らないから俺に話してみろ?なっ?」

 

 

あぁ、顔は笑ってるのに、どうして目だけ笑ってないのでしょうか?

答えは単純明快!怒ってるからでーす!!

何それワロエナイ……。

 

 

「ア、アンク……」

 

 

「何だ?」

 

 

「……もし素直に話たとして、許してくれる?」

 

 

「……内容次第だ」

 

 

良い笑顔で突っぱねられました~。

でもやっぱり目が笑っていませんでした……。

そして、素直に話したら拳骨一発と、俺がどれだけ心配したか分かってんのか、と、くどくどお説教されました。

はやても同様です。

取り敢えず……ごめんなさい……。

あ、ちなみにだけど。まだ原作は始まってなかったお。ユーノもレイハさんも居なかったし無かったお。

 

 

オ・マ・ケ

 

 

「アンクアンク!」

 

 

「何だ?」

 

 

「ケーキ買って来たんだ。はやてちゃんの分もあるから、一緒に食べよ?」

 

 

「わぁ、ケーキ買って来たん!?やったでぇ!」

 

 

「ふん、俺は甘い物はあんまり好きじゃないんだ」

 

 

「何だよ~。せっかくこの町一番人気の喫茶店、翠屋のケーキとシュークリーム買って来たのに」

 

 

「マジかいな!?あの人気の!?はぁ、一度でえぇから食べてみたかったんや、そこのケーキ」

 

 

「喜んでくれて嬉しいよ。アンクも食べようよ?」

 

 

「だから、俺は!」

 

 

「じゃあ、さ……俺がアンクの為にケーキを作ったら……さ。その、食べてくれる?」

 

 

「………ふん………」

 

 

「……アンク?」

 

 

「……まぁ、食べてやらん事もない」

 

 

「「……ツンデレ乙」」

 

 

おぉう、はやても同じ事思って口に出したのか……。

アニスたんびっくり……。


 
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