前回のあらすじ
俺、死ぬかもしんない……
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「……こ、こんにちは」
一応、挨拶はしておこう。それが礼儀だ……魔王にとっての礼儀だ。
「こんにちは。どうしたの?何か困った事でもあった?」
……うむ、何だろうか、このお姉さん口調は……。
まさか、この私が君より年下に見えるかね?……あ、見えますか。ですよねー。
「えっと……少し道に迷いまして」
「そうなの?じゃあ何処に行くのかな?お姉さんが連れてってあげるよ」
おぅ、案の定そうでした。この子、俺を同い年と見てませんねこれ。
あぁ、こう言ったデメリットや不祥事が起きるのか。なるほど把握。
「えっと、翠屋って分かりますか?」
「……にゃはは……それ、家の店だね」
「おぉ、マジか!っと……あの、お店まで案内してくれませんか?」
「にゃはは、お安い御用だよ。それじゃあ行こうか」
そう言って、俺の手を取り繋ぐなのは……。
いや、恥ずかしいのでやめてください……俺は一応、手を握られるのを回避する。
「あ、嫌だった?」
「あの、俺一応九歳なので、子ども扱いは止めてください……」
「………………」
あ、なのはが固まった。
最近俺の周りの人は良く固まる~、そんなに固まるのが流行ってるのだろうか?
「えぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「っ~……はぅ~……み、耳が……」
お前はトリコに出てくるゼブラか!
サウンドバズーカか!?それともサウンドミサイルなのか!?どちらにしろゼロ距離で放つな!鼓膜破けるだろうが!
「わ、私と同い年!?こんなに小さいのに!?で、でも、女の子だったら少しくらい成長が遅れてる子も……」
「だが男だ」
「……………」
おっと、オカリンの台詞を使ってしまった……。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
今度は事前に耳を塞いでいたので、耳がキーンってなる事は無かった。
まぁ、それよりも……。
「あの、お店案内してくれないんですか?」
「あ、ごめんごめん。それじゃあ行こうか」
なのははまだ引きつった顔をしてるけど、それでも何とか案内しようと体を動かす。
こうなったのは俺のせいではあるまい……。
なのはサイド
こ、こんなに可愛い子が同い年で男の子な筈がないの!
ありえないよ……絶対に!
「……どうしたの、高町さん?」
「あ、ううん!何でもない何でもない」
やっぱり、見れば見るほど、女の子にしか見えない……。
やっぱり嘘をついてる?でも、そんな嘘をついても特なんて何もないし、第一私達は会ったばかり。
じ、じゃあ本当に……。
「……高町さん?」
「は、はい!?」
「どうしたんです?本当に。さっきから顔が愉快なオブジェに変わってますよ?」
「そ、それってどう言う事かな?」
「……いや、変な顔をしていたので……」
そう言って、無表情に戻る彼(?)
その顔は整っていて、髪も私より長く、良く手入れが行き届いているのが分かる。
そして、何より圧倒的なのは……その身長!私とかなりの差があるの。
……やっぱり、信じられない……。
「……あの、さっきからコロコロと顔が変わるのは、何かの癖なのでしょうか?」
「ふぇっ!?」
「俺の顔をじろじろ見て、悩みだしたかと思えば、いきなり否定的な顔になり。でもやっぱり的な顔になったかと思えば、やっぱり否定的な顔に戻ったり」
うっ、全部読まれてるの……。
「まぁ、大方。俺が男だと信じ切れてないだけだと思いますけど」
「……ごめんなさい……」
「謝らないでくださいよ、もう慣れてますから。こんなの許容の範囲内です」
「で、でも……それでも……君を傷つけちゃった……かもしれないし……」
「……アニスです……」
「えっ……?」
「名前ですよ。そう言えば、高町さんは名乗ったのに、俺は名乗ってなかったじゃないですか。アニス・クロイツベルです。以後お見知りおきお」
そう言って……彼はニコッと笑った……。
あぁ、もう男の子か女の子かなんてどうでも良いの……取り敢えず……この子は可愛い、それで良いの!
アニスサイド
何やらなのはから嫌な視線が送られて来たが、スルーの方向で。
それにしても、こいつコロコロ顔変えてたな。全く、人の話は素直に信じてほしいわ。
まぁ確かに、自業自得ではあるけども。それでも、ねぇ?
「あ、ここが翠屋だよ」
「おぉ、ここが……」
喫茶翠屋……またの名を、魔王の巣窟。
ここに入ったパーティは最後……骨の髄までしゃぶり尽くされると言う恐怖の館……。
おぅ、考えただけで寒気が。怖い怖い。
「ありがとうございます」
「あ、ううん!全然良いよ!どうせ帰る途中だったんだし」
「そうですか……では、これで」
俺はなのはにそう言って、翠屋の中に入る。
「いらっしゃいませ~。喫茶翠屋へようこそ」
そこは……魔王の巣窟何かじゃなかった……。
フワリと甘い匂い漂う店内……だけど、ただ甘いだけじゃない……コーヒーの苦みや紅茶の渋みの匂いも飛び込んでくる。
更には店内の雰囲気とマッチしており……それは凄く、美しく映った……。
っつくしー……これぞ調和!ハーモニーだよ!!
「あ、あの。どうしたのかな?」
「はっ!すいません、つい呆けてしまいました」
ヤバいヤバい……凄く遠い所に行ってしまった。
流石人気店。やはり伊達じゃない……よもやこの俺が魅了されるとは……侮りがたし、喫茶翠屋……。
「あら、小さいのに礼儀正しいのね。お母さんとかは来てないの?」
「あ、自分一人で来ました」
「お使いかしら?偉いわね~」
そう言いながら、俺の頭を撫でてくる。
えっと……誰だっけこの人?確か高町……。
「桃子、どうしたんだ?」
そう!桃子さんだ!思い出した思い出した!
いやぁ、頭ん中のモヤモヤが綺麗に晴れた!これでスッキリだわ!
「あぁ、士郎さん。ちょっと、小さいお客さんと、ね」
桃子さんは士郎さんに向けてウィンクをする。
けっ!リア充爆発しろ!イチャイチャすんな!砂糖吐きそうなほど甘ったるいぜ。
「おや?本当だね。お母さんのお手伝いかい?」
「あ……その……」
ついつい押し黙る。さっきは然程気にしなかったか……もう一回改めて言われると、キツイ物が……。
あぁ、鬱だ、死のう……つうか首吊らせて死なせてくださいお願いします……。
「お母さん、買って来たよ~。あ、アニス君、まだ選んでなかったんだ」
「あ、高町さん」
その時、厨房からなのはが出て来た。
どうやら裏口から入って着替えたのだろう……ウェイトレス姿でした。
羨ましい……俺も着てm……いやいや!俺に女装っ気は無いんだ!
「お帰りなのは。知り合い?」
「にゃはは、帰る途中に知り合って。どうやらここに来る途中に迷子になっちゃって。それで案内したの!」
「へぇ、そうなのか。偉いななのは」
士郎さんは笑いながらなのはの頭を撫でる。
そして、なのはは恥ずかしそうに笑いながら、それを受け入れる。
ふと、士郎さんの撫でる手が止まる。
「ん?アニス、君?」
あ、そこ気にしちゃう系ですか。
まぁ、そうですよね~。貴方の娘さんもそうでしたし。
「君、男の子なのかい?」
「あ、はい。それと、高町さ……なのはさんと同い年です」
ここには今高町の性が三人いるので、ごっちゃにならないように下の名前を呼んだ。
士郎さんは驚きで目が見開かれていたが、桃子さんはあらあらみたいな顔で士郎さんを見ていた。
何故驚かないし、桃子さん……。
~割愛~
「あの、ケーキ買いたいのですが。良いですか?」
「えぇ、どうぞ。好きなのを選んでくださいね」
……うむ、良い笑顔だ。これが俗に言う、接客笑顔なのだろう。
まぁ、桃子さんのは本当に笑ってるだけなんだろうけど。
さて、ケーキを買うにしても、何を買おうか……。
アンクはアイスしか食べないから、ケーキを買っても食わないかもしれん。
はやては食べるな、間違いなく。翠屋の名前くらいならはやても知ってるはずだ。
当然、その旨さも。
……ここはやはり、当店人気のシュークリームが無難だろうね。
後はショートケーキにやチョコケーキ。ショコラも置いてある。可愛いな~。
こう言った甘い物、ケーキとか作ってアンクに上げたら喜ぶかな?
それとも、食べてくれないのかな?アイスしか食べないアンクでも、俺の作った物なら!
「……えへへ~……」
自然と顔が綻ぶ。
そうだ、今度日頃の感謝も込めて、ケーキを作ろう。
幾ら不格好でも良い……必要なのは相手を思いやる気持ちだって、誰かが言ってたな。
「あ、あの……アニス君」
「?どうしたんです?高町さん」
「あ……あの……その……わ、私と友達になってください!」
……いきなり何言ってんだ、この砲撃魔は……。
んだァ、その思わせぶりな表情は……あ、思わせぶりじゃない、本気。
あややや、こんな俺と友達になりたいとか、凄い変わった子ですねこの子。
「あ、はぁ。良いですけど……」
「本当に!?ありがとう!」
「……何でそこまで喜ばれるのか分かりませんが、よろしくお願いします」
「あ、、こちらこそ……。そ、それとね」
「まだ何かあるんですか?」
「その、敬語……使わなくて良いよ?同い年何だし、それに、下の名前で呼んでほしいの!」
「……うん、分かった。よろしく、なのはちゃん」
ははは、キミの頼みは断れないです。
元ネタ知らん人は、某動画サイトでうろ覚えでエルシャダイって検索してみろ。
まぁ、エルシャダイはもう古いが。俺は好きだ!
「………わ~………」
……何かなのはが呆けちゃったけど、気にしない方向で行きます。
さて、何を買おうかな~。
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「ありがとうございました~」
はい、買い終わりました。それにしても、すっかり話し込んじゃったな~
あの後、ケーキを選んだのは良いけど、なのはがちょうど休憩に入ったんだ。
それで、なのはが俺を誘って、一緒にケーキ食べながらお話ししよう?って言われたんだ。
……背筋が凍るように冷たくなったのは……気のせいだと思いたい。
しかも話が弾み、桃子さんと士郎さんからお昼をごちそうになり。
お昼を食べたらまたなのはと喋り、美由紀さんとブラコンが帰って来て、美由紀さんに愛でられ。
ブラコンは俺が男だと分かるといきなり襲いかかってきたが、士郎さんが取り押さえお説教。
俺は最後に、獣と言って止めを刺した。
そんでもう夕方です。いやぁ、すっかり話し込んじまったよ!
アンク、怒ってないと良いな~……。
そんな事を思いながら、俺は何とか迷わないではやての家に着きました。
……玄関から異様な殺気を感じるのは……嘘だと思いたい……。
「た……ただいま……」
「随分遅かったな、アニス……」
「ひぃっ!!」
そこには腕を組み、仁王立ちで待ち構えていたアンクの姿が!!
「ア、アンク……」
「今までそこほっつき歩いてたんだ?怒らないから俺に話してみろ?なっ?」
あぁ、顔は笑ってるのに、どうして目だけ笑ってないのでしょうか?
答えは単純明快!怒ってるからでーす!!
何それワロエナイ……。
「ア、アンク……」
「何だ?」
「……もし素直に話たとして、許してくれる?」
「……内容次第だ」
良い笑顔で突っぱねられました~。
でもやっぱり目が笑っていませんでした……。
そして、素直に話したら拳骨一発と、俺がどれだけ心配したか分かってんのか、と、くどくどお説教されました。
はやても同様です。
取り敢えず……ごめんなさい……。
あ、ちなみにだけど。まだ原作は始まってなかったお。ユーノもレイハさんも居なかったし無かったお。
オ・マ・ケ
「アンクアンク!」
「何だ?」
「ケーキ買って来たんだ。はやてちゃんの分もあるから、一緒に食べよ?」
「わぁ、ケーキ買って来たん!?やったでぇ!」
「ふん、俺は甘い物はあんまり好きじゃないんだ」
「何だよ~。せっかくこの町一番人気の喫茶店、翠屋のケーキとシュークリーム買って来たのに」
「マジかいな!?あの人気の!?はぁ、一度でえぇから食べてみたかったんや、そこのケーキ」
「喜んでくれて嬉しいよ。アンクも食べようよ?」
「だから、俺は!」
「じゃあ、さ……俺がアンクの為にケーキを作ったら……さ。その、食べてくれる?」
「………ふん………」
「……アンク?」
「……まぁ、食べてやらん事もない」
「「……ツンデレ乙」」
おぉう、はやても同じ事思って口に出したのか……。
アニスたんびっくり……。
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