ある状態のネギの一人称は台詞内では俺。地の文は僕となります。
ややこしくてもうしわけありませんが、その辺は突っ込まないで頂けると助かります。
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第60話『学園祭編その25』
エヴァの家前
時間は、大丈夫だね。
1週間後の世界なんて行く事が無い。
皆はみんなで色々やりたいだろうし、自由行動と行きますか。
「ここからは自由行動です。明日はかなりきつくなりますよ。修行に比べれば全然ですが」
「ネギ君はどうするん?」
「僕はこれを飲み込んでから行動しようかと」
飴玉を取り出す。
この飴玉はアレだ、学園長から貰った年齢詐称薬だ。
味はまあ、普通すぎる。
「年齢詐称薬?」
「何それ?」
「これは8年まで成長変化できる薬で、見た目もその年齢になるというオモシロな薬」
「それを飲むとネギ君は18歳になるって事ね?ってああ、あの時の」
あの時のとは、学園祭終了後の世界に来た時の事。
「ネ、ネギの大人姿? ナギさんに似るんじゃない?」
「そうね」
18歳になって行動してみようという事だ。
超さんと合う姿はこれにしよう。きっと驚くだろう、ククク。
僕はそれを口の中に放り込み、胃の中へ飲み込んだ。
すると僕の体は一気に成長し、18歳の姿へと変貌した。
「ふぅ……僕違和感あり過ぎるから俺でいいか。敬語もなしだな」
「そうすると完全にナギだな」
なぜか頬を赤く染めているエヴァがじーっと見つめてくる。
他の人も同様だ。
「ネ、ネギ先生!」
「な、何だ?」
「二人で街中を歩きませんか?」
いきなりあやかさんが僕の手を握りしめながら頼んできた。
それを割り込むかのようにまき絵さんが入り込む。
「委員長はそんな暇ないから駄目でしょ! ねえ、ネギく……ネギさん、私と一緒にどうかな?」
「ま、まき絵さん、いきなりなんですの!」
「ちょっと待ってください。ネギ先生はやる事があるんじゃあ」
「あるといえばありますけど、今はないですね」
ぶっちゃけ、この姿で行動していると超さんがどんな反応するのか見たかった。
この姿、実は姿だけじゃなく魔力なども変わってるからね。
2人の争いを見ていた皆のうち愛衣さんがこっそりと僕の隣に来て
「ネギさん、私お姉さまの所に戻ってもいいですか? その……そろそろ時間の限界で」
「ああ、そうだったな。じゃあまたな」
僕は愛衣さんの頭を撫でると、気持ちよさそうにされるがままになっていた。
時間といっていたから頭から手を離し足元に瞬移の魔法陣を展開する。
本人は気づかないけど。
「えへへ、撫でられちゃいました。かなり惜しいのですけど、それでは失礼します。ネギさん」
「またな」
笑顔で見送り、そのまま駆け出そうとするも瞬移を発動させた。
転移される前に「ええ!?」と驚いていた。
いなくなったのを見届けた僕は皆に言う。
「これからどうする?」
「私は出し物の手伝いかな? 夕映とのどかはあっちでしょ?」
図書館島のほうを指差すハルナさん
言われた2人は頷く。
「ウチはライブのリハーサル等あるから、ネギ君に付き合えないです」
「ライブは楽しみにしてるよ。小太郎は?」
「ワイは別の場所で修行……言いたいんやけどな! せっかくの祭りやし警備しながら行くわ」
「普通だな。じゃあエヴァは?」
僕がそう呟くと全員の視線が突き刺さった。
正確にはエヴァ以外の視線。
リイスは見届けるような表情になってこの状況を観察していた。
「わ、私はちゃ、そうだ! 茶々丸」
「何でしょうか? マスター」
いつも思うけど、出現の仕方が忍者っぽくなってるのは何故?
気にしたら負けよ、なのかな?
茶々丸さんはエヴァの近くに寄っていた。
エヴァは茶々丸にしゃがませ、耳打ちしていた。
「……わかりました」
といきなり僕の前まで来て、まっすぐ僕と向き合う。
「ネギ先生、茶道部に来てくれませんか? お茶をごちそうします」
「あ、ああ。それは別に構わないけど、う、うん。千雨はどうするんだ?」
「い、いきなり呼ばないでください! ビックリするじゃないですか」
「千雨ちゃん、18歳のネギ君にメロメロやな~」
「ち、違うわ!! わ、私は別に、だな」
本人は否定するが、木乃香さんは動揺する反応を見てニヤニヤしていた。
動揺してる影響で敬語になってるからわかりやすい。
「まあ、ウチもそうやから、なぁせっちゃん」
「な、なな何でわひゃひに」
「……ネギって本当かっこ、じゃない! どんだけよ」
アーニャはそっぽを向きつつも僕をチラチラと見ていた。
それにしても刹那さんかみ過ぎだよ。
今は木乃香さんに頭を撫でられているから落ち着いてる。
「もう各自行動すればいいだけだろ」
「そうよね。それがいいわ。万が一の事があったとしてもカードを通じて連絡を」
「携帯電話のほうが早くないですか?」
「夕映、ネギ先生の番号知ってるの?」
「い、いえ……知りません」
ハルナさんの言葉に落ち込むように俯く。
確かに携帯電話の方法もある。万が一の事があるし皆に教える方がいいか。
「じゃあ、俺の番号教えるから準備はいいな」
「ネギ君、あう……いつも呼んでるからくせになっちゃうよ」
「中身は10歳だからどっちでもいいだろうに」
腕を組んで、ポケットから携帯電話を取り出すエヴァが呟く。
僕がそれ以上という秘密は明日菜さんとリイス以外知りようないから無理も無いが。
そして、皆に僕の電話番号を教えた。
そこで、茶々丸さんが僕に
「ネギ先生、私を使えば一瞬で登録できたのですが」
「あ……忘れてた」
「たまに茶々丸ちゃんがロボだって忘れる事あるわね」
「そうやな~。ウチも今の茶々丸ちゃん好きや」
「あ、ありがとうございます」
恥ずかしそうにお礼を呟き、見えないように俯く。
まだ魔法世界でもないのに、こんなにも感情を持つとはよかったよかった。
「これでネギ君にいつでも、ね? のどか」
「あ、あの、わ、私は」
ハルナさんがのどかさんを茶化してるのを見ている夕映さんは溜息をはく。
ちなみに部屋が同じ3人は既に知っていたりする。
電話は滅多にかかってこないけど、何でだ?
「さて、今からちょっくら行ってくるか。じゃあまたな」
相手の返事も聞かず、僕は普段より速く走り出す。
背後から待って、だの聞こえたが、気のせいという事にした。
~街~
人が多い。
今の時間から数時間後にライブがあるんだっけ?
告白すると発動する魔法は発動中のようだ。
あくまでそれだけしか動かないように書き換えたけど、翌日には消え去る。
「明日、イレギュラー来るのか?」
「イベント中は来ませんよ?」
「うわっ!?」
後ろに振り向くとリイスがいた。
「よくわかったな」
「私は魔導書、あなたの……ですよ?」
「そ、そうだな」
最後の方、何ていったか聞こえなかった。
とりあえず、時間を潰すしかないと思うが、それより
「リイス、どこに行き―」
「キャッ!?」
誰かにぶつかり、倒れそうとする体を支える。
姿を見ると裕奈さんだった。
後ろにはアキラさんやチアリーティングの子までいるが。
「あ、ありがとうございますってあれ?」
「うわあ~。すごいイケ、そうじゃなくて」
「……リイス、ちょっと予定変更する。言いかけた事忘れて」
「い、いえ。でも本当に教えるつもりですか?」
「やらないに越した事は無いよ」
どうせ、魔法世界から帰還した時にバレたんだから遅かれ早かれだな。
リイスに目を向けると、溜息を吐き頷く。
「さてと、因果から外れし場所を一時創造せん」
周りが灰色に染まり、僕とリイス、裕奈さん、アキラさん、美砂さん、円さん、桜子さん以外誰も動かなくなった。
皆、いきなりの事で驚いてる。アキラさんも初めてだから混乱するよな。
無理も無いけど、落ち着かせよう。
「5人とも落ち着け」
「落ち着けっていわれても」
「人が動かなくなっちゃった」
「空が、周りの風景も皆灰色になっちゃってるのに落ち着けって無理ですよ!」
「しょーがないな」
場所を移そうと極移の魔法陣を地面に展開し、人気が無い場所まで転移した。
世界樹の森側に到着してから、因果孤立空間を解く。
灰色だった世界が元の色に戻り、人の声や音楽、効果音が聞こえる。
5人とも落ち着いた後、僕を見る。
「さてと、あむ」
年齢詐称薬を飲み込んで、18歳だった体が元の10歳に戻る。
すると、6人から「ええええええええええ」という大きな驚きの声が響く。
「ネ、ネギ先生だったの!?」
「でもどうやって!?」
「夢、でも見てるの」
頬っぺたをつねりだす
「今のは魔法の薬で年齢詐称薬といい、指定された範囲まで年齢を上下できる効果を持つ魔法薬」
「え? 魔法?」
「そうです。この学園、というか世界には魔法使いが普通に存在します。この学園にいる一部の生徒、先生がいます」
「そ、そうなんだ。魔法って実在するのね」
「ネギ先生が魔法使い、か」
「裕奈さんのご両親も魔法関係なんですけど」
「「「「え?」」」」
アキラさん達が一斉に裕奈さんを見る。
ってあれ? アキラさん知らなかったっけ?
驚くことかな、それにこの学園自体冷静に調べれば魔法が絡む事ぐらい理解できる。
「ちょっと待って、じゃあ裕奈は魔法知ってるって事?」
「私、知らないんだけど」
「心当たりはあると思いますよ? 小さい頃の記憶とか思い出せます?」
「え? う~ん」
思い出そうと記憶を掘り起こそうとしてるのだろう。
裕奈さんって別に記憶をいじられた形跡ないしな。あの呪文を言ったほうがいいか。
「裕奈さん自身知ってるはずですよ? プラクテ ビギ・ナル アールデスカットというね」
「!? あ、あれって魔法だったの?」
「そうです」
「……ん? 裕奈、そのネギ先生の言った魔法できるの?」
「あえっと、小さなステッキがないとできないかな」
裕奈は手を後ろに回し頭を掻きながら苦笑する。
初心者用の杖、僕持ってないんだよね。前は持ってたんだけど無詠唱可能になってから地中に埋めた。
「私、持ってますよ?」
リイスは裕奈さんの前に立ち、初心者用の杖を渡す。
「あ、ありがとう。今、できるかなぁ……プラクテ ビギ・ナル アールデスカット」
呪文を唱えてから杖を前に差し出すと、杖の先からライターの火より大きく燃え上がる。
「裕奈すごい!」
「あれ? 裕奈にできるのなら私達にもできるの? ネギ先生」
美砂さん、円さん、桜子さんが目を輝かせていた。
前の時もできてたから何の問題ない。
「できますよ? ですが練習の必要があります。裕奈さんは小さい頃に練習してたからできてただけです。それにすぐにできたりしませんよ。自分自身の魔力から具現化させるようなモノなんですから」
「ネギ、練習しなくてもできた人がいたんですが」
「リイス、できる人は大概裏を知っているものぐらいですよ」
「あ、はい」
「それとですね……」
全てではないが、ある程度までの情報を5人に教えた。
一般人が魔法知った時の処置を最後に言う。
「え? 記憶?」
「大丈夫ですよ。黙っていれば問題ありません。どちらにしろ魔法は学園祭終わってからですね」
「う~ん、チアリーティング部もあるからあまり時間ないかも」
「明日菜達がネギ君の、か。これは負けてられないかも。サボろ!」
「ネギ先生、私達も魔法教えてね」
「うんうん」
チア部の3人はテンション高めで承諾した。
僕がある提案をしたからだ。魔法関係者になってしまえばいいと。
あの時と同様、問題ない。
「ネギせんせい」
「何ですか? アキラさん」
「これってもしかして」
「うん。もしものための対策をするため」
「そうですか」
後は裕奈さんだけ。
僕は世界樹の方を見ている裕奈さんを見つめるが、僕の視線に気づいたのか振り向き
「私も参加するよ。お父さんやお母さんがそうなら、2人の娘である私も参加しなくてどうするの!」
裕奈さんがえいえいおお!と元気よく手を伸ばしていた。
これで4人増えた。後は多重アーティファクトの完成を急ぐのみだ。
その前に仮契約しないといけないが、本人達の気持ちだから完成するかどうかはわからない。
「用件は終わったし、そろそろ行きます」
「おっ! もう行くの?」
「もうちょっと話してよ」
「時間がある時にでも……あむ」
年齢詐称薬を口に含み、18歳の状態に変化する。
「ネギ先生、かっこいい!」
「うわ~」
「大きくなったらこんなイケメンになるのね」
「……じゃあ居た場所まで戻してやる。極移」
違う人の視線、明日菜達以上に恥ずかしいから誤魔化す様に魔法陣を地面に展開する。
すぐに先ほど居た場所まで転移し、その場で5人と別れた。
第61話『学園祭編その26』
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今回の収穫?
・チア部の3人と裕奈に魔法を教えた。学園祭後に魔法予定
この話はただの強化への伏線と思っていただければいいです。
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第60話。ようやく完了しました。
次からは向こうにもなかった61話目ですが、向こうでも告知したとおり、次の更新は4月中となります。