No.392393

全ての終焉 51

ラグエスさん

第51話

2012-03-16 07:56:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1393   閲覧ユーザー数:1366

第51話『学園祭編その16 武道会③』

 

 

次の試合が始まるみたいだが、またまた遠い所から何かを感じた。

このもやもやした気配は何なんだ?

いきなり発生したからどう対処すればいいのかわからない。

う~ん、リイスに聞いてみるか。

 

(リイス、リイス)

(何ですか?)

(あの気配って何? 魔力が感じないけど別の力を持ってるのか? 先ほどから絡みつくような視線を感じる)

 

まるで僕の背中に死神がいるかのようだ。

多分、とりつかれたらこんな感覚だと思う。

 

(それは霊力と邪気を融合させたエネルギーです)

(霊力と邪気? って邪気!? 何でそんなもんがこの世界に?)

(おそらく……イレギュラーです)

 

ま・た・か、いい加減にして欲しいなぁ。

イレギュラーはもうあの龍と召喚士が操っていたアウルゲルミルだけでいいよ。

霊力と邪気って根本的な原理が違うのに融合って変な話だ。

 

(……ガノードみたいなもの?)

(そうですね。でもガノードに比べれば弱いでっ!?)

(っ!? ……あの気配が魔法世界まで移動した)

 

この近くではないが、とにかく日本から一気に魔法世界まで移動した。

早いなんてものじゃない。

XからYまでの移動速度が光速だったぞ。

 

(その事はひとまず置いといてください。今は危険ありませんから)

(リイスさん、何か知ってますね)

(あははは、大丈夫ですよ。ネギなら楽勝ですから)

 

「ネギ、次の試合が始まるわよ」

 

隣の明日菜さんが声をかけてきた。

話をしてたせいでいつの間にか、選手が試合場に立っている。

 

「ありがとうございます」

「いちいちお礼言わないの!」

 

明日菜さんは照れながら僕から顔を背けた。

その様子に笑みを浮かべ、リイスへ念話を中断するように言う。

 

(それならいいんだけど、試合が始まるみたいだから切るよ)

(はい)

 

念話を切った。

イレギュラー、魔法世界の方へ集中してるのは丸分かりだ。

やっぱり対策取った方がいいか。

 

『第2試合、クウネル=サンタース対その辺にいるモブキャラのお兄さんです!』

「モブってひでえ!」

 

朝倉さんの言葉に叫ぶモブキャラさん

事実だから僕からはノーコメントで。

さてさて、クウネルさんは白いコートを着て、フードもかぶってる。

エヴァにはバレてないみたいだ。

その本人が指を差してこう言った。

 

「何だあのフードを被った怪しい奴は」

「あれは確かアルって人です」

「な、何!?」

 

ほら、驚いた。

ってあれ? サンタースって一文字違うような。

 

「フフフ、そうかあいつはここにいたのか」

「兄貴、よくわかったっすね」

 

僕の懐から生える様に出てきた。

何か違和感があるって思ったらカモか。

 

「父さんと似たような気配を感じただけ」

「しっかし、あいつネギのほうちらって見てへんか?」

 

ベンチから離れていた小太郎がこちらに寄ってきた。

 

「う~ん、この試合が終わったら聞いてみましょうか」

「ああ、そうだな」

 

エヴァも賛同するって何でエヴァも頷くの?

 

『試合開始!』

 

朝倉さんの声でコングがなった。

 

 

無名のモブキャラは両手を前に出し、掌に気を集束させていた。

気の集束は続くが、クウネルはボーっと攻撃を待っていた。

この間に攻撃すれば時間の短縮になるんだが、してくれない。

集束が終わったのか、両手で握りつぶすように強くすると、一気に膨れ上がり両手では包み込めないほどの気球? が完成した。

 

「いくぜ! この波動玉を受けてみろ! 波動玉ぁぁぁ!!」

『おおっと! あれは漫画や架空で噂の「気」と言われる力でしょうか!!』

 

思いっきりクウネルの方へ両手を突き出した。

弾ける音と共に波動玉が高速で突き進んでいく。

このままクウネルに当たると思っていた所で、ヒョイと右へ回避した。

波動玉は観客の方へ向かうかと思いきや、Uターンした。

自分のところへ戻ってくると感じたクウネルはモブキャラのほうへ走る。

走ってると言うより飛んできてる方が正しい。

 

「俺のところへ来たな! もう一つの波動玉で終わりだ!」

「なかなかの技ですね。ですがこの私には勝てない」

 

先ほどと同じように作り出そうとしたが、

クウネルは瞬動でモブキャラの懐へ入り込み右の拳でお腹を当てる。

 

「隙が多すぎです。もう少し精進なさい」

「うっ!!」

 

あまりの苦痛で倒れこんだ。

クウネルの後方から飛んできてる波動玉を左腕で思いっきり横へ振り、掻き消した。

 

「フゥ……危なかったですね」

 

満面の笑みをした表情で危なかったって思いっきり嘘くさいな。

余裕の笑みを浮かべ、僕の方をチラッと見た後、朝倉さんに声をかける。

カウントを10まで数え終えても相手が起きない事で結果が決まった。

 

『試合終了。勝者、クウネル=サンタース』

 

結果を聞いた観客は大声で盛り上がった。

クウネルはそのまま僕達の方へ歩み始めた。

近くに来たクウネルにエヴァが張り倒す。

 

「おい! 何でお前がここにいる!」

「おや? エヴァンジェリンではありませんか」

「いいから何でここにいる! お前の事も探してたんだぞ!」

「本当でしょうか……ネギ君が気になって私の事探しも」

「何を言っとるか!」

「学園長が言ってましたから」

「あのクソ爺、後で覚えておけ!」

 

ああ、やっぱり知ってたみたいだ。

これだと僕の実力も知ってそうかな?

クウネルが僕を見る。

 

「君が彼の息子のネギ君だね」

「はい。初めまして」

「君は彼と正反対の性格を持つようだ」

 

その言葉を聞いた明日菜さん達がクウネルに反論する。

 

「いや、全然同じよ!」

「どこが同じなんだ!? ナギが80%ぐらい混ざってるぞ!」

「ひどいですね。僕は僕なりの性格を」

「私を平気で投げるし、エヴァちゃんをおちょくるし、魔法の修行はでたらめだし」

「後、ナギのようにモテるだな」

 

明日菜さんの言う事はうん、そうだなって思うけど、エヴァのは全く知らない。

それを聞いたクウネルは僕に手を差し出してきた。

 

「ん? その手を切って欲しいんですか?」

「い、いえ…握手です」

「面倒ですが、今後ともよろしくお願いします」

 

お互い握手を交わす。

すると、その様子を見ていた愛衣さんや高音さんが僕の横に来て

 

「あなたがアルビレオ・イマですか!」

「え、ええ。でも今の私はクウネル・サンタースです」

「どう違うんだ? アル」

「フフフ……」

 

意味が分からないという表情のエヴァが僕や明日菜さんに助けを求める。

明日菜さんも何とも言えない顔になる。

 

「そ、そういえば次は誰の試合でしたっけ?」

「拙者でござる」

 

僕の背後からニンニンと現れた。

 

「楓さんとよく分からない人ですね。興味ないですが」

「ひどいっすね」

「うるさいよ。カモ君は明日菜さんに預けますか」

 

明日菜さんに向けて放り投げた。

それを慌てて受け止める明日菜さんは僕を睨む。

 

「何で私なのよ」

「邪魔ですから」

「極移で木乃香のほうにでもやればいいじゃない」

「ああ、その手がありましたね」

「ネギ先生ってたまにボケてますね」

 

刹那さんに言われちゃった。

極移の目的物質をカモに選び、転移場所を木乃香さんの前に設定してっと。

 

「カモ君、木乃香さんの所にでも行ってて」

「ちょっとアニ――」

 

カモ君の否定の言葉を貰う前に転移をさせてもらった。

今頃、木乃香さんの前に来ているだろうと思った。

 

さて、カモ君もいなくなった所で、腕を組んでいる楓さんを応援するか。

 

「楓さん、がんばってくださいね」

「うむ。やる所までやるでござるよ」

 

そう言って、楓さんは試合場へ向かった。

 

「それより、クウネルさん」

「何ですか?」

 

いきなり背後に現れんなよ。

実体じゃないからせこいな。

それはそれとして、一つだけ聞きたいことがある。

 

「クウネル=サンタースじゃなくてサンダースの方がいいんじゃないですか?」

「それは名案ですね。今度からはそう名乗りましょう」

「そ、そうですか」

 

今後なんてあるの?

そういえば……何たら何たらの理由で招待されたっけ。

魔法世界に対策取っておかないと完全滅ぶな。

必要以上にイレギュラーの塊が移動したからって今はどうでもいい。

 

「次の試合が始まりますよ」

「ふぅ……」

 

『次の試合を開始したいと思います。長瀬楓VS前と同じくモブキャラである中村達也ですが、別に名前を覚える必要がありません!』

 

「おい、ひどすぎるぞ!」

 

モブキャラが批判の声を上げる。

言うまでもないが、その紹介はどうかと思います。朝倉さん

 

『さて、お互い準備が出来たようですね。では、開始!』

 

批判を無視して開始させる朝倉さんでした。

開始のコングが鳴り響いたと同時に中村でいいか、中村が右手に気を固め、

 

「いくぞ!」

「かかってくるでござる」

「くらえ!」

 

右手を斜め上に思いっきり振る。

気の塊が楓さんのほうへ飛んでいくが、楓さんの姿が一瞬に消えた。

 

「ど、どこに!?」

「ここでござるよ」

 

背後から聞こえた中村は振り向いて左手に気の塊をぶつけようとする。

その前に楓さんが中村の首に手刀を入れて気絶させた。

 

あまりのあっけない結果に立ち尽くす朝倉さんだったが、誤魔化すように咳を一回。

 

『おーっと! 長瀬楓選手はまるで忍者のようにささっと移動して気絶させた!!

どうみてもカウントをするまでもありません! この試合の勝者、長瀬楓!!」

 

毎回思うけど、盛り上がりすぎだよ。

隣の明日菜さん達も呆れている。

 

「まったく朝倉は」

「一般人相手じゃあこうなるのは当然だがな」

 

フッと笑みを浮かべ、腕を組むエヴァ

 

「さて、次は誰でしたっけ?」

「あの、アソコの掲示板にトーナメント表ありますよ」

 

刹那さんが微妙な笑みをしながら向こう側を指す。

確かに掲示板はあるが、う~ん次はってあれ?

 

「龍宮さんが僕の前だって言ってましたけど違いますね」

「私が入ってませんわ」

「真名は知り合いで言ってたのでしょう」

「ああ~」

「なるほど、ようは高音さんの存在を知らないって事ね」

 

その納得の仕方はどうかと思う。明日菜さん

わからなくもない。

龍宮さんと高音さんの会話なんて存在しなかったし。

刹那さんが僕の方を見ながら緊張した声で言った。

 

「次の試合は派手になりますよ」

「クーちゃんは何とか何とかの優勝者だからね」

「明日菜はどんだけ物覚えが悪いんだ? 一般に関してだけ」

「う、うるさいわよ! エヴァちゃんは覚えてるわけ?」

「当然だ。バカレッドと同じにされたら私の人生は落第まっしぐらだ」

 

だんだんとケンカ腰になってきた2人を聖なる鎖で拘束する。

 

「ネ、ネギ!?」

「何をする!?」

 

僕を睨む2人だったが、ここは何処だと思っていると念話と視線で返す。

2人はうっと恥ずかしくなり、顔を赤くする。

 

「わかったから外してくれない?」

「なぜか力が抜ける」

 

反省したみたいだから、聖なる鎖を消した。

拘束されてた2人は跡が残ってないか調べていた。

明日菜さんがジト目で見てきた。

 

「もうちょっと止める方法はないの?」

「血が昇ってる2人はちょうどいい薬です」

「それよりあの鎖、空間を割って出てきてたな」

 

エヴァの言うとおり、聖なる鎖は空間から出した、というかそうするように設定した。

 

「普通の鎖に見えましたが?」

「あれは普通の鎖じゃないわよ。刹那さん」

「そうなんですか?」

「魔力が使えなかったし」

「力が抜けたから吸収特性の鎖か」

 

そう結論を出したエヴァはうんうんと納得する。

でも違うんだよそれ、聖の逆の属性を減少させる能力付きなだけ。

減少させてるだけだから吸収と間違えやすい。

減少させた力は別次元に流してるだけだし。

 

「それは後でこっそり話します。それより」

「ああ。そうだな」

「そうね」

 

そういえば、実況いない。

茶々丸さんがしないって言ってたから代役がいるかと思いました。

そんな存在いないんですね

 

『コッホン! 次の試合を開始したいと思います。両選手準備してください!』

 

第4試合が今ここに始まろうとしていた。

 

 

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