第八話 講義
side レイト
アリアドネーに辿り着いて一週間が経った。その間に『教授』としての授業の為のテキストを作ったり、媒体を用意したり、カリキュラムを用意した。ちょうど入学式前の長期休暇時に辿り着いた為、きり良く新しい科目を増やせると学園長が言っていた。今日行われる入学式で顔見せとなっている。そして現在学園長のありがた〜いお話の真っ最中です。みんな嫌いですよね。オレも嫌いです。だからオレは話は簡潔に印象深い話しかしません。話が反れたか。
「そして、今年度から新しい科目が5つ増えます。詳しくは担当の教授から説明があります」
学園長が壇上から離れるのでオレは壇上の前に立ちます。
「はじめまして、諸君。オレはレイト・テンリュウ。『形なきもの』だ」
「「「「「えええええええええぇぇぇぇーーーー」」」」」
うん、良いリアクション。
けどちょっと五月蝿いので空気の振動を止めようと思います。
「我が手に宿るは風の精、汝の一部を我が意のままに」
急に音が無くなり慌てる生徒たちが面白いので落ち着くまで放置します。
その後、大半の生徒が落ち着いた所で魔法を解く。
「え〜、新しい5つの科目は先程の様に皆さんが習っている魔法とは全く違う魔法技術を教えることになっています。これは、帝国並びに連合も知らない技術で現在はオレと『闇の福音』だけが使える技術ですが、それを教えることになっている。興味があれば受講してもらえれば良い。あとは素質がある奴がいれば個人授業でオリジナル魔法やら超特殊技能を教えてやっても良い。こんな所だろう」
それだけ言ってオレは壇上から降りた。
そして、オレの初授業だがそこそこの人数が集まった。
教室の三分の二程の生徒と時間が空いている教授陣だ。
「さて、よく集まってくれた。しかし最初にこれだけは言っておかなければならない。私が教える授業全てに言えることなのだが、体質の関係上オレが教える魔法がまったく使えない者もいる。申し訳ないがその時はオレは知識を与えることしか出来ない。だが、その知識によって新たな道が見つかる時もある。それだけは覚えておいて欲しい。では授業を始める」
side out
side エヴァ
最近、レイトが私を構ってくれなくなった。
奴は今教授としてたくさんの教え子を持っている。
その上他の教授たちにも気に入られている。
私は一人研究室にこもり魔法の研鑽を行っている。
私も教壇に立つか?
ばかばかしい。
私は吸血鬼だ。誰が教わろうとする。
数年も立つとレイトは全ての者に認められていた。
あいつの世界の魔法以外にもこちらの世界の魔法を教える立場になっている。
更には新技術や論文等も世に出し神格化されていく。
そして私と会う時間が減っていく。
それどころか前回いつあったのかが思い出せない。
あいつの顔が見たい。
ここ数年あいつと会っていない。
あいつは私を見てくれなくなった。
心が痛い。
そして気付いてしまった。
私はあいつのことが好きだったんだ。
けれどあいつはもう私のことを見てくれない。
どうすれば良い?
あいつはどんなことが好きだった?
あいつは自分が知らないことを知ると子供の様に喜んでいた。
なら私だけの新しい何かを作れば、あいつはまた私を見てくれる。
そしてあいつが今見ているものを壊せばあいつは私だけのものに。
side out
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失ってから大切なものに気付くと言われていたが
本当にそうだな。
byエヴァンジェリン