No.392325

SPECIAL EDITION MAGICAL GIRL LIRICAL NANOHA STRIKER’S “GREEED OF GREED”   Kの実力/現われた奴

やっぱり冬はお茶だね。

どうも最高総司令官です。

さてさて、もう10話目ですね。早いねまったく・・・。

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2012-03-16 01:35:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1560   閲覧ユーザー数:1539

COUNT THE MEDAL!!

 

現在、アンクが使える欲望は・・・

 

タカ×4

 

クジャク×3

 

コンドル×3

 

ライオン×3

 

トラ×4

 

チーター×3

 

クワガタ×3

 

カマキリ×3

 

バッタ×4

 

サイ×4

 

ゴリラ×3

 

ゾウ×3

 

シャチ×4

 

ウナギ×3

 

タコ×3

 

プテラ×4

 

トリケラ×3

 

ティラノ×3

 

コブラ×4

 

カメ×3

 

ワニ×3

 

キリン×1

 

ドラゴン×1

 

ペガサス×1

 

???×1

 

???×1

 

???×1

 

 

クラナガン・ミッド記念公園・PM:12:57~

 

 

アンクとカリムの二人は、公園に生えている木に寄りかかっていた。二人の右手にはコアメダルが握られており、腰には他人からは見えないようにオーズドライバーが装着されていた(カリムのドライバーはヘイルが使っていたものをそのまま使用している)。

 

 

「にしてもこの世界のやつらは呑気だなぁ。宣戦布告から一か月、まさか殆どの人間が避難も脅えもせずに留まるとはなぁ」

 

 

「あら。今更他人の心配?」

 

 

「ハッ。馬鹿か」

 

 

そう言ってアンクは不敵に笑って談笑している主婦や砂場で遊んでいる子供達を見る。実に幸せそうな顔で遊び話していた。

 

なお、宣戦布告当初は管理局がデマカセだという広告や記者会見を開いたりしておさめようとしていたものの、ミッドから逃げようとしていた連中もいた。しかし一か月も経てばその恐怖は薄れ、人々は元の生活に戻っただけであり、別に脅えていなかったわけではない。

 

 

「さて、そろそろ時間よアンク」

 

 

「そうらしいなぁ」

 

 

そう言ってアンクは寄りかかるのを止めて、時計を見る。ディスプレイには、PM:12:59:30と表示されていた。

 

それを見たアンクとカリムはドライバーにメダルを装填して傾け、再び時計を見る。画面はすでに、13時10秒前を指していた。そして運命の針は刻々と時を刻んでいった。

 

 

5

 

 

「「さぁ」」

 

 

4

 

 

「「これが人類の」」

 

 

3

 

 

「「絶望の」」

 

 

2

 

 

「「始まりで」」

 

 

1

 

 

「「永久の闇の」」

 

 

0

 

 

「「始まりだ」」

 

 

キキキィン!!

 

 

 

『クワガタ!カマキリ!バッタ!!ガータガタガタキリッ♪バッタガタキリバ♪』

 

 

『シャチ!ウナギ!タコ!!シャシャシャウタ~♪シャシャシャウタ♪』

 

 

「「はぁああああああああああああああああああああ!!!!!」」

 

 

ゴォオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

オーズに変身したカリム(以下Kオーズ)とアンクは、変身に使用した余剰エネルギーを青と緑のオーラとして放出する。

 

 

ビキビキビキ!!!

 

 

バリィイイイイイイイイン!!!

 

 

するとそれに呼応するかのようにガラスや建物が被害を被り、人々が我先にと逃げ出していく。

 

 

「ふん・・・・・」

 

 

ババババババババババッ

 

 

オーズはその光景を鼻で笑うと、ガタキリバの固有能力である『ブレンチシェイド』と呼ばれる分身体を50体程作り出し、生き残った人間達を襲わせた。

 

 

「ハァァア!!!」

 

 

バリバリバリバリ!!!

 

 

「ギャァアアアアアアアアアアアア!!?!」

 

 

一方、Kオーズもボルタームウィップを奮い、駆けつけた局員達を薙ぎ倒していた。

 

 

「このッ・・・!!化物がァ!!!」

 

 

ズガガガガガガッ!!!

 

 

すると一人の局員が懐から質量兵器であるマシンガンを取り出して、Kオーズに向けて発砲する。Kオーズはボルタームウィップをふるって、それを全て防ぎきる。

 

 

「・・・・・管理局のモットーは質量兵器の使用厳禁のはずだけど?」

 

 

「ウルセェ!!!てめぇらなんざに道理を問われる気はねぇ!!!死ねぇ!!!」

 

 

そう言って局員はマシンガンを構えなおす。カリムは再びウィップを構えなおし、迎撃の構えを取る。しかし、両者のそれは実行されることは無かった。

 

 

ドシュ

 

 

「ガ・・・ア・・・・」

 

 

「ふん・・・・。雑魚が・・・」

 

 

その理由は、オーズがカマキリアームで局員の心臓を貫き握りつぶしていたからだった。

 

オーズは握りつぶした心臓の残骸を軽く払うと、骸となった局員を遠くに放り投げ、一度変身を解除する。それに伴い、Kオーズも変身を解除した。

 

 

「ディバィイイイイイイイイイイイイイイインバスタァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

 

ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

 

 

「「!?変身!!」」

 

 

『タカ!クジャク!タコ!!』

 

 

『シャチ!ゴリラ!ゾウ!!』

 

 

そして変身を解除した直後、盛大な掛け声と共に桃色の砲撃が迫ってきた。それを見た二人は急遽体から各々3枚のコアメダルを排出して変身を行い、カリムはシャゴリゾ、アンクはタカジャタへと変身し、Kオーズはゴリバゴーンで、オーズはタジャスピナーでガードを行った。

 

 

シュゥウウウウウウウウウ・・・・・

 

 

「チッ・・・・。不意打ちとはやってくれるなぁ、高町なのはぁ!!!」

 

 

オーズが空を睨みつける。そこには、物凄い形相でオーズ達を睨みつけているなのは達機動6課の面々だった。しかし、どういうわけかレイとアキラが居ない。

 

 

「カリム・・・。本当に暗黒面に堕ちてもうたんやね」

 

 

はやては悲しげにカリムを見るも、完全に無視した。

 

 

「漸く来たか機動6課・・・。今日こそは「フザケルナ化物!!!」・・・あ?」

 

 

オーズが飛びかかろうとしたとき、宗助が吼えた。

 

 

「テメェらの勝手な行為でどれだけの人間が傷ついたと思ってやがる!!テメェのせいで何人の人間が悔しみ涙してたと思ってやがる!!てめぇは消し炭一つ残してやらねぇ!燃やし尽くしてやる!!!」

 

 

宗助は言うだけいってオーズに襲い掛かる。オーズはそれをタジャスピナーで防ぎ、はじき返した。

 

 

「ふん。真実を知ろうとしない貴様らよりはマシだと思うがなぁ。ラァ!!」

 

 

ゴォウ!!

 

 

「ちっ!?」

 

 

オーズは宗助に向けて火炎弾を放ち、宗助はそれを左に回避する。

 

 

「サンダー・スマッシャー!!」

 

 

バリバリバリ!!!

 

 

「!!ちぃ!!!」

 

 

キキキィン!!

 

 

ズドォオオオオオオン!!

 

 

上空から迫りくる雷を見た瞬間、オーズは急いでメダルを換装するも間に合わず、雷をくらってしまった。

 

 

「あら、アンクが雷を喰らっちゃったわね」

 

 

「よそ見をしている場合かな?」

 

 

ヒュッ

 

 

そう言ってシグナムは剣型デバイスである『レヴァンティン』を振り下ろす。

 

 

ガギィン!!

 

 

「まぁ確かに、よそ見をしている場合ではないわね!!」

 

 

ズドッ!!

 

 

「ウグッ!?」

 

 

キキキィン!!

 

 

Kオーズはシグナムの腹部に蹴りを入れて一度後退し、メダルをすべて変えて再度メダルをスキャンする。

 

 

『ライオン!トラ!チーター!!ラタ・ラタ~♪ラ・ト・ラ~タ~♪』

 

 

「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

ゴォオゥ!!!

 

 

Kオーズはラトラーターへと変身し、熱風でシグナムを後退させる。

 

 

「クロスファイアー・シュート!!」

 

 

「ディバインバスタァアアアアアア!!!」

 

 

するとティアナとスバルが各々の技を繰り出してきた。しかしそれを、Kオーズは体を寸分ズラしただけですべてかわしてしまったのだ。

 

 

「「なっ!?」」

 

 

「あら。これしきの攻撃をかわせなくちゃ、アンクの傍には居られないわ」

 

 

キキキィン!!

 

 

『スキャニングチャージ!!』

 

 

そう言ってKオーズはメダルを再度スキャンして構えた。そしてチーターの加速を最大にして、一気にティアナ達に近づき、トラ・クローで相手を切断する技『ガッシュ・クロス』で二人を切り裂いた・・・はずだった。

 

 

「ロー・アイアス!!」

 

 

「なにっ!?」

 

 

ガギィィイイイイイイイイイイ!!!

 

 

バキャァアアン!!

 

 

突如、三人の間に割って入った人物が出した花型の盾によってそれは防がれ、逆にトラ・クローが折れ、トラが排出されてしまい、変身も解除されてしまった。カリムはそれをギリギリで掴み取ると、その人物を睨みつけた。

 

「くっ・・・。ついに現れましたか、レイ・メイスティーマ」

 

 

カリムは間に入ってきたレイをにらみつけながら、排出されたコアメダルを装填し直し、ライオンをシャチに換装して、カテドラルを傾ける。

 

対するレイの方は完全に沈黙しており、動く気配もない。どうやら念話をしていたようで、後ろにいるティアナ、スバル、シグナムが互いに頷いてから、戦闘中のなのはの元へと向かった。

 

 

「・・・・あなたに真実を教えます。騎士カリム」

 

 

「生憎とあなたの話を聞く気は更々ないの」

 

 

「例えあなたの想い人の話だとしても、ですか?」

 

 

「なんですって?」

 

 

その言葉にカリムが反応したのを見て、レイは一泊あけるとこう問うた。

 

 

「あなたは、転生者を信じますか?」

 

 

「は?」

 

 

そういったのだ。

 

 

~地上~

 

 

「・・・・・出てこないね」

 

 

「・・・・・うん」

 

 

一方、地上で戦闘を行なっているオーズことアンクは、未だに巻きあがっている土煙の中に隠れながら、頭を抑えていた。

 

 

(ツゥ・・・、ダメージはそこまで深刻じゃないか。しかし・・・・フェイト・T・ハラオウン。現役の執務官の中では最強に位置するといわれている人物で、ライトニング分隊の隊長格か・・・・。チッ、古巣の部隊とは言え、面倒な人材を持ってやがるぜ全く・・・)

 

 

そう言ってオーズは腕を怪人体にしてコアメダルとETARNALを取り出して戦法を練り始める。

 

 

(さてどうする?オーズの変身を解いてエターナルで行くか?・・・・駄目だエターナルじゃ対抗出来る手が限られてくるし、何より決定力不足だ。

 

ならやはりオーズで行くしかないが・・・、今はこいつを使うときじゃないしな。ならやはりこいつしかいないか)

 

 

そう言ってオーズは茶色のコアメダルを取り出し、すぐにしまって幻獣系のコアメダルを取り出し、カテドラルに装填してスキャナーに読み込ませた。

 

 

キキキィン!!

 

 

『キリン!ドラゴン!ペガサス!!キ・ドラ・ゴ~ス♪キドラゴス~♪』

 

 

「ハァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 

ズドォオオオオオオオオオン!!!

 

 

 

「「!!?」」

 

 

オーズがキドラゴスコンボに変身した瞬間、巨大な雷がオーズの体に落ちた。その瞬間、6課陣は変身の失敗かと思ったが、すぐにそうではない事を悟った。なぜなら、土煙がけし飛び、中からとんでもない覇気と電気を纏ったオーズが現れたからだ。

 

 

「クッ!!バルディッシュ!!!」

 

 

『SONIC MOVE』

 

 

ビュッ

 

 

フェイトは何かを感じ取ったのか、ソニックムーブ(超高速で動く技。一応エリオも使うことが出来る)を使い、オーズの背後に回ってバルデッシュを振り下ろす。

 

 

ガギャゴン!!

 

 

「え・・・・・?」

 

 

「・・・・・トロいな」

 

 

ズガァアアアアアアアアアアン!!!

 

 

一瞬。

 

まさにその言葉があっていた。オーズは一瞬にしてバルデッシュの柄を粉砕し、ついでにフェイトの腹部に蹴りを20回たたきこんだのだ。フェイトは何をされたかわからずに吹き飛ばされビルの壁に激突、そのまま瓦礫に埋もれた。

 

 

「フェイト!!テメ・・・!!?伍式『円』!!」

 

 

バキャァアアアン!!!

 

 

「ガアアアアアアアアア!!?」

 

 

ドシャァ

 

 

オーズは右手から雷を放ち、宗助を襲わせる。それに気づいた宗助は、すぐに結界能力を持つ火竜『円』を召喚し、炎の結界を張った。しかし、それは2秒と保たずに破られ、宗助は火傷を負って地面に倒れ伏した。

 

 

「ふん・・・。オォオオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

 

バリバリバリ!!!

 

 

オーズが雄たけびを上げると、オーラングサークルからラインドライブを伝ってキリンヘッドへとエネルギーが集中される。すると、キリンヘッドの角『キリンホーン』が光り輝き、莫大な電気を蓄えていく。

 

 

「させない!!ディバインバスター!!!」

 

 

ゴォオオオオオオオオ!!!

 

 

なのははそれに脅威を感じたのか、十八番であるディバインバスターを放ち、発動の妨害をする。しかし、オーズをそれを避けてキリンホーンの充電を完了させた。

 

 

「さぁ、チェックメイトだ」

 

 

キキキィン!!

 

 

『スキャニングチャージ!!』

 

 

そして充電が完了したのを確認したオーズは、スキャナーにメダルを読み込ませて、必殺技を発動した。すると、オーラングサークル全体が光り輝き、ペガサスレッグに装着されているペガサスの目が光り、さらにはドラゴンアームの宝玉『ドラゴン・クリスタル』やキリンホーンも光りだした。

 

 

「はぁぁぁ・・・・ハァ!!」

 

 

「!!?跳んだ!?」

 

 

すると、オーズは空中に飛び上がり、そこから急降下を始める。それと同時にキリンホーンに蓄えられた電撃を体全体に行き渡らせ、ペガサスの翼『ウィングプロテクター』が巨大化し円錐状になって足に纏われ、さらに蒼炎が足にまとわりつき、体をドリルのように回転させ始めた。

 

 

「お前達!!何を呆けている!?奴を止めるぞ!!」

 

 

「「「「「「は、はい!!!」」」」」」

 

 

その光景に呆けていた6課メンバーはシグナムの叱責によって意識を取り戻し、各々の武器を構えてオーズの射線上に向ける。

 

 

「エクセリオンバスター!!」

 

 

「駆けよ隼!!」

 

 

「スターライトブレイカー!!!」

 

 

「悪しきものを縛りし鎖よ今ここに!!アルケミック・チェーン!!」

 

 

「ジェット・エッジ!!」

 

 

「ブレイク・ザ・フリーゲン!!」

 

 

「ディバイン・キャノン!!!」

 

 

ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

6課メンバーはそれぞれが最強だと思う技を出し切り、それらをすべてオーズに直撃させた。・・・はずだった。

 

 

スッ

 

 

「「「「「「「消えた!!?」」」」」」」

 

 

「ハァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

オーズは一瞬で姿を消し、そして彼女達の後ろに現れ、キドラゴスコンボの必殺技『ペガサスパイラル』を発動、6課陣のメンバーに直撃した。その結果、彼女達は声を上げることもなく気絶した。

 

 

「ふぅ・・・・。さて、うまくやってるかね?」

 

 

オーズは変身を解除して溜息を吐いてから空にいるであろう姉に思いを馳せた。

 

 

ヒュルルルルルルルル・・・・

 

 

「・・・・・・?」

 

 

ズドォオオオオオオオオオオオオン!!!

 

 

「ヅァ・・・・!!!」

 

 

突如何かが落下してくるような音とともに、地面に何かが激突する。アンクは何が落ちてきたかはわからなかったが、男のようなうめき声が聞こえたので、この場にいないアキラかレイのどちらかだろうと察した。

 

 

「あらアンク。もう終わってたの?」

 

 

そんな声とともに、プトティラコンボと化したKオーズが地上に戻ってきて変身を解いた。

 

 

「お前が遅いだけだカリム。とりあえず状況の報告を頼む」

 

 

「はいはい」

 

 

そう言ってカリムは今まで何があったのかを説明しだした。

 

 

~ちょっと前(曖昧でごめんなさい)~

 

 

「・・・・・・というわけなのです」

 

 

「ふぅ・・・。要約してしまえば、貴方達は狂ってしまった歴史(原作)を修正する為に、別世界から別世界の神に頼まれてこの世界に来た、そういうわけね?」

 

 

「はい」

 

 

そう言ってレイは一度黙る。その間にカリムはレイによる説明をまとめていた。

 

レイの話を要約すると、レイやアキラを含む年若の男の多くは、別世界からの転生者であるとのこと。

 

しかもレイを含む転生者達は、ありとあらゆる世界の能力や、自分で作った力を保有しているというのだ(レイは後者)。

 

正直信じられる話ではないが、それらが本当だとすれば、レイや宗助の並はずれた力やまるで何かを知っているかのような行動もすべて納得がいく。

 

しかしそんな事はカリムにとってはどうでもいい事だった。一番聞きたいのはアンクの事だった。

 

 

「それじゃなに?アンクもこの世界に転生したって言いたいわけ?」

 

 

「おそらく」

 

 

馬鹿げてる。

 

カリムは内心腸が煮えくり返っていた。アンクには元々ジン・ヘイストンという確固たる名前がある。その名はすでにアンク自身が捨ててしまったものだが、それはこの世界に、ジン=アンクという人物がいたという証明になる。

 

少なくとも世界がアンクを忘れても、自分だけは覚えていよう。

 

カリムは心の底にそう誓っている。

 

カリムはその気持を外に出ないように抑えつけ、必死の気持ちでレイに問うた。

 

 

「最後にあなたに問うわ。・・・・なぜアンクを殺したの?」

 

 

「なぜ貴女がそれを知っているかは知りませんが、邪魔だったからですよ」

 

 

「・・・・・邪魔・・・・ですって?」

 

 

カリムは右拳を握りしめ歯を食いしばり、話を何とか聞こうとする。そんな様子はつゆ知らず、レイはまるで何かに浸るかのように話をつづけていく。

 

 

「だってそうじゃないですか。彼がいるだけで6課の調和と穏やかな雰囲気が破壊されてしまう。いうなれば真っ白なキャンパスの紙にポツンと黒い染みのようがあるような感じですよ。僕はそのキャンパスの紙を切り取っただけですよ」

 

 

(・・・・・・・ふざけるな)

 

 

レイが話し続けている間、カリムは拳を更にきつく握りしめる。

 

こいつが憎い。

 

カリムの感情はただそれひとつだけだった。

 

 

「あぁ、勘違いしないでください。貴女はまだ白いままだ。正直に言って貴女にいなくなられると困るんです。だから・・・・!?」

 

 

ゴゥッ!!!

 

 

レイがカリムに触れようとしたその時、それを遮るかのように紫色のエネルギー球がカリムの掌から放たれた。レイはとっさにそれを避け、カリムの方を見る。

 

するとそこには、右腕をグリード化させて、オーカテドラルにコアを装填し、オースキャナーを構えているカリムの姿がそこにいた。

 

 

「・・・・私は初めて貴方の話をアンクから聞いた時、ただの理想屋かと思った。でもそれは間違っていたようね」

 

 

キキキィン!!

 

 

カリムはそこで一度言葉を途切ると、スキャナーをカテドラルの上で滑らせる。すると、カリムの体がメダル状のエネルギーに包まれる。しかし、他系統のコンボや亜種とは違い、カリムを包んだメダルはすべて紫のメダルだった。

 

 

「貴方は他人から見たら善人かも知れない」

 

 

『プテラ!』

 

 

「でも」

 

 

『トリケラ!』

 

 

「私達《・・》から見たら貴方は」

 

 

『ティラノ!!』

 

 

「ただの屑よ。レイ・メイスティーマ」

 

 

『プ・ト・ティラ~ノ♪ザウル~ス♪』

 

 

「ふぅ・・・。残念ですよ。カリム・グラシア」

 

 

カリムはKオーズ・プトティラコンボへと変身し、周りに強烈な冷気を放出する。レイもあからさまに残念そうな顔をして、ガディアスを取り出し、Kオーズもメダガブリューを取り出す。

 

 

「悪いけど時間がないわ。だから早めに決めさせてもらうわ」

 

 

ドン!!

 

 

Kオーズはメダガブリューを奮って、レイへと襲いかかる。

 

 

「フッ!」

 

 

ガギャァン!!

 

 

レイはそれをガディアスで受け止め、互いに拮抗する。その力はほぼ互角といった感じで、両者一歩も引かない状態だった。

 

 

「ふん・・・」

 

 

スカッ

 

 

「なにっ!?」

 

 

「オリャァ!!!」

 

 

ドガァ!!

 

 

「グハッ!?」

 

 

しかし、その拮抗はあっさりと破られる。Kオーズはメダガブリューに込めていた力を抜き、右に体を逸らす。すると、ガディアスに力を入れていたレイはそのまま振り下ろす体制となってしまった。その隙をKオーズが見逃す手はなく、大腿部の骨格の一つである『テイルディバイダー』を尻尾型にして、レイにたたきつける。その衝撃に耐えきれなかったのか、レイは少し先に吹き飛ばされる。

 

 

キキキィン!!

 

 

『スキャニングチャージ!!』

 

 

「ふっ!!」

 

 

ズドッ!!

 

 

「ガハァッ!?」

 

 

ピキィイイン

 

 

Kオーズは咄嗟にメダルを再スキャンさせ、必殺技を発動させる。そして、肩部の装甲に着いている『ワイルドスティンガー』を伸ばし、レイに突き刺す。そして、頭部のプテラヘッドの能力である『エクスターナルフィン』を発動、レイを氷漬けにした。

 

 

「フゥウウウウウウウ・・・・フン!!」

 

 

ドガン!!

 

 

ズドォオオオオオオオオオオオオン!!!

 

 

そしてKオーズはテイルディバイダーでレイを地面へとはたき落とした。そして、その生死の確認のついでに近くにいたアンクに声をかけた次第らしい。

 

ちなみにこれら一連の動作にはキチンと名称があり、名を『ブラスティング・フリーザ』というらしい。

 

 

~現在~

 

 

「っていう事があったわ」

 

 

「そうか。よくやったな姉貴。後は奴を殺せばいいだけだ」

 

 

アンクはカリムをほめた後、気絶していると思われるレイに近づき、右手をグリード化させて構える。

 

 

「あばよ小僧」

 

 

ヒュ

 

 

そして、アンクはレイの頭を右拳で砕いた。・・・・はずだった。

 

 

ガシッ

 

 

ゴバァ!!

 

 

「なにっ!?ガハァ!!」

 

 

「!?アンク!!」

 

 

突然レイの体から細い腕が出現し、アンクの拳を受け止めたのだ。

 

同時に、アンクに向かって金色の光の波動を放つ。その衝撃によりアンクはセルメダルを撒き散らしながら吹き飛ばされた。

 

 

「ヅゥ・・・!大した事はない!しかし今のは・・・」

 

 

「やれやれ・・・やってくれましたね化物共」

 

 

「「!?」」

 

 

アンクとカリムが驚愕する中、レイの体から伸びていた手が残りの体と共に這い出してくる。そしてレイの体の中から出てきたのは、20代前半と思われる女性で、金髪のロングヘアーに純白のワンピースを着ていた。

 

 

「・・・・・・チッ」

 

 

キュィイイイイイイイン

 

 

「・・・アンク?」

 

 

アンクはその女を見た後、軽く舌打ちして怪人態へと変身する。その顔はいつもの不敵のものではなく、焦燥感やその他の感情が入り混じっているものだった。

 

アンクはこの女を見て即座にマズいと感じた。そしてこの女に対しての感情がもう一つ。それは、

 

 

(この女には絶対に勝てない)

 

 

それは久しく忘れていた感情。かつて6課や裏社会に属していた時に常に抱いていた感情。

 

それは『恐怖』。

 

いつ死ぬかもしれない恐怖や親しい者に裏切られるかも知れない恐怖、そして自分よりも遥かに強い者と相対した際に生まれてくる恐怖。今回は3番目に値する感情だろう。

 

 

「チィイ!!!」

 

 

ボォ!!

 

 

アンクはその焦燥感や恐怖を完全に隠す事が出来ず、右手から火球を放って牽制を図る。

 

 

「無駄な足搔きを・・・」

 

 

バシュッ

 

 

女はため息を吐いて手を横に振る。すると、火球がまるで紙に書かれた絵が消しゴムで消されるかの如く、消えてしまった。

 

 

「なっ!!アンクの火球がかき消された!?」

 

 

「クソッ!!逃げるぞカリム!!こいつはヤバイ!!」

 

 

アンクはカリムに呼びかけ、体内からシャチ・ウナギ・バッタのメダルを排出させ、カテドラルに装填し、スキャナーにメダルを読み込ませた。

 

 

キキキィン!!

 

 

「変身!!」

 

 

『シャチ!ウナギ!バッタ!!』

 

 

「オラァア!!!」

 

 

ザパァアアアアアアアアア!!!

 

 

オーズ・シャウバに変身したアンクは、シャチとウナギの能力を最大限に使い、右手から電気を纏った高圧水流を放つ。

 

 

「クッ!」

 

 

すると女は今度はその水流を消すのではなく、回避をしてやり過ごした。

 

 

ズドン!!

 

 

「・・・逃げられましたか」

 

 

女は大して気にしていない様子で明後日の方向を向く。そこには、真木グリードと化したカリムといつの間にかタトバコンボへ変身していたオーズが撤退していく姿があった。

 

 

「まぁ、やつらなんて私達《・・》の前では無力同然。そう思わない?」

 

 

「その通りだ」

 

 

女は誰もいない場所に声をかける。すると、近くの建物の残骸から同じく白い服を着た年若の男が腕を組んで近寄ってきた。

 

 

「ところで、お前の愛しの旦那様とその仲間達は放っておいていいのか?」

 

 

「oh my gad!!忘れてた!!」

 

 

女は本気で忘れていたような顔をして、倒れているレイの元へと近づいていった。

 

 

「・・・・・さて、俺も宗助達を助けに行かんとな」

 

 

そう言って男は宗助達のほうに近づいていった。

 

 

~ムディ・アンクのアジト~

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・ア、アンク・・・、彼女達は一体・・・?」

 

 

カリムは息も絶え絶えといった具合に、変身を解除したアンクに尋ねる。アンクは少し言いずらそうな顔を見せるも、一言だけ言い放った。

 

 

「わからん。だがたった一つだけ言える事がある。俺達にはやつを倒せない。間違いなくな」

 

 

「その通りじゃ」

 

 

「!?誰だ!!」

 

 

アンクの話に割り込むかの様に、入口付近から声が聞こえた。その声を侵入者と勘違いしたのか、カリムが身構える。

 

そこには銀髪で半月型のメガネをかけ、銀色のローブらしきものを身に纏い、その手には30cmにも満たないであろう、小枝のような杖を握った老人が立っていた。

 

その人物を見たアンクは驚愕のような表情とともに、何かの合点がいったような表情を浮かべた。

 

 

「やれやれ・・・随分物騒なお出迎えじゃのぅ。ジンよ・・・・、いや、今はアンクと言った方が適切かの?」

 

 

「好きに呼べ。・・・・とりあえず久しぶりだな『死神』。何かあったのか?」

 

 

そう。アンクのアジトに訪れたのは、かつてジン・ヘイストンをアンク・エドゼロンとして復活させた死神だったのだ。

 

しかしその姿は、以前見たものとは何処か違っていた。以前は何処となく頼りなかった覇気や風貌は何処となく鮮麗されたものとなり、死神の体内に感じられる力(此方も以前あった時は頼りなさげで弱々しかった)も、以前とは比べ物とはならない力を内包しているように見えた。

 

 

「まぁ何かあったと言えばあったの。というよりも、お主ならもうわかっておるのではないか?」

 

 

「・・・・・チッ。なんでもお見通しって訳か」

 

 

「ほっほっ。そう不貞腐れるではないて。ところでそこのお嬢さんはカリム・グラシアかの?」

 

 

アンクは若干不貞腐れるかのような態度をとり、死神はそれをなだめ、カリムの方へと視線を向けた。

 

 

「あぁ。お前の知っているカリム・グラシアで間違いない。俺の姉であり協力者だ」

 

 

「私はカリム・グラシアと申します。アンクの恩人だと知らずに働いた先程のご無礼、お許しください」

 

 

「初めまして。ワシは一般的に死神と呼ばれておる。あと、さっきのことは別に気にして居らんわぃ。追われる者であれば、当然の反応じゃて」

 

 

そう言ってカリムは一礼する。それを聞いた死神はそれにつられて挨拶を返した。

 

 

「で?あいつらは一体何者だ?少なくともこの世界の生命体じゃないな?」

 

 

「まさしくその通りじゃ。やつらはこの世界の生命体でもなければ、別世界の生命体でもないのじゃ。いうなれば、精神体と呼ぶべき存在かの?」

 

 

「「精神体・・・・?」」

 

 

アンクとカリムは死神の言葉に首をかしげる。それを見た死神は知らなくても当然といった。

 

 

「やつらは・・・・・ワシの世界の者達じゃ」

 

 

「なに!?じゃあまさかあいつらは!?」

 

 

「察しての通りじゃ。やつらこそ、転生者どもに力を与え、そしてこの世界を狂わせた元凶である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神じゃ」

 

 

~THE NEXT STAGE ~


 
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