No.392240

IS~深緑の狙撃姫~「あの時は本当に嬉しかったな・・。」

十河さん

明かされるロックオンの過去・・。

その時楓は何を思うのか・・。

2012-03-15 23:55:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3043   閲覧ユーザー数:2920

楓はロックオンが何を言っているのかわからなかった。

 

「異世界・・ですか?」

「今何月だと思う?」

「え・・?何月ですか?」

「初夏の初めくらいかしら。」

 

楓は驚く。

だとしたらシャルたちが転校してくる前じゃないか。

 

「ロックオンさんのお話は本当みたいですぅ・・。私の所ではもう学園祭が終わってます・・。」

「そう。」

 

同じ頃、一夏も終に説明をしていた。

その際、終は自分の世界の一夏とは雰囲気が違うと感じ取った。

 

寮監室

 

ロックオンは終と楓について説明。

 

「異世界・・。本当にあり得るのか?」

「間違いないわ。で、二人はどうしましょう?」

「・・しばらくお前たちで保護を頼めるか?」

「わかりました。(丸投げしたわね。まあいいけど。)」

 

二人を保護する方向で決定、楓たちにその旨を伝える。

 

教室

 

真耶と千冬が入ってくる。

 

「皆さん、今日は転校生がやって来ました。それも四人。ですけどうち二人は期限つきです。」

 

その言葉に教室がざわめく。

 

「では入ってきて下さい。」

 

真耶の促しに四人が入ってくる。

 

「では自己紹介をお願いしますね。」

「音梨楓です。期限付きですが皆さんと仲良く出来ればと思います。」

「黒谷終。男だが期限付きでここにきた。」

 

終の自己紹介が終わると女子から歓声が上がる。

 

「また男子!」

「織斑くんはクール系だけど黒谷くんはワイルド系!」

「はいはい皆さん、まだ終わってませんよ。」

 

騒がしくなる教室を静める真耶。

次にシャルルが前に出て自己紹介をする。

 

「シャルル・デュノアです。こちらに同じ男子の方がいるということで来ました。」

「デュノアくんは守ってあげたい系!」

 

シャルルは一夏とロックオンにアイコンタクトを送る。

 

(話がしたいからまた時間作って。)

(わかった。)

(ああ。)

 

デュノア社はシャルルと一夏たちが知り合いだったことを知らなかった。

そして最後の一人のラウラの簡単すぎる自己紹介が終わり一夏を見つけて睨みつけ一夏の席へ向かう。

 

「貴様が教官の輝かしい経歴を汚した・・!」

「!」

 

ラウラが手を振り上げた瞬間、一夏が腕を掴んで机に押さえつけ、ロックオンがいつのまにか一夏の席に来て太股のホルスターからハンドガンを抜いて頭に押し付けていた。

 

「ぐぅ・・。バカな・・。貴様ら・・!」

「ドイツの軍人は初対面、それも一般人に暴力を振るうのかしら?だとしたら軍の教えって最低ね。」

 

ラウラはロックオンを睨むがロックオンはクールに対応、一夏はラウラを押さえつけながら千冬を睨みつける。

 

「織斑先生、あなたの教え子なら手綱をしっかりと握って下さい。あの事件(・・・・)の事で一方的に俺を恨まれても困るし、あなたは俺が叩かれそうになったのにただ見ているだけで止めようとしなかった。こいつもそうですがあなたも教師としてどうかしているみたいですね。」

「・・・。」

 

一夏の皮肉に千冬は何も言えず麻耶はオロオロとするばかり。

千冬はまさかラウラが手を上げるとは思わなかった。

その光景を見て終は人知れず口元を歪める。

 

(俺らの世界の一夏はシスコンでヘタレなのにこっちの一夏はあの千冬さん相手に大したものだ。それにロックオンっていう女もあの身のこなし・・。)

 

楓は・・。

 

(シャルさん、どこかたくましいです。一夏さんもかなり強いみたいですね。それにロックオンさん・・。)

 

楓はロックオンと戦ってみたいと思った。

 

(あいつなら私も本気でやりあえる。)

 

楓の裏人格の椛もそう思った。

 

放課後・ロックオンの部屋

 

ロックオンと楓はさまざまな話をしていた。

この世界と楓たちの世界の違い、楓に過去の記憶がないこと、一夏とロックオンが仮面ライダーであること、仮面ライダー部のこと。

色々話した所でロックオンはおもむろに立ち上がりクローゼットを開ける。

 

「?ロックオンさん?」

「楓、あたしたち仮面ライダー部の秘密基地を教えてあげるわ。」

「え?はわわ!?何ですか~!?」

 

ロックオンは楓をクローゼットに押し込んでラビットハッチに向かう。

 

ラビットハッチ

 

楓は戸惑いを見せながら周囲を見渡す。

クローゼットからなぜか施設に繋がっていたのだから無理はない。

 

「あの・・ここって・・。」

「月よ。」

「え~!?」

 

驚く楓を尻目にロックオンは服を脱ぎ始める。

青の下着が楓の目に写る。

 

「ろ、ロックオンさん!?///」

「早く脱いで。外に出るわよ。」

 

月面

 

宇宙服に着替えた二人は宇宙に不馴れな楓の手を取りながら月面を進む。

 

「わぁ、すごい・・。」

 

楓の目に写るのは蒼く輝く地球。

そして満天の星たち。

 

「どう?ここが宇宙。」

「地球ってあんなに小さかったんですね。」

「ふふ。」

 

楓の感想にロックオンは薄く笑う。

二人は腰を下ろし、楓はロックオンがなぜ自分に構うのかを聞く事にする。

 

「ロックオンさん、どうして私を構うのですか?」

「何となく雰囲気かな?あたしと似てるからかしら。」

「?」

 

楓はロックオンの言っていることがよく理解出来なかった。

 

「・・あたしはね、小さい頃戦場にいたの。物心ついたときからずっと銃を取っていた。」

「・・・。」

 

ロックオンの話を楓は黙って聞いていた。

 

「あたしは本当の両親の顔を知らない。アイルランドの両親はあたしを引き取ってくれて名前をくれた。」

「え・・?」

 

ロックオンの過去に驚く楓。

さらにロックオンは話を続ける。

 

「あたしが生まれた時の名前はなかった。名無し。それが戦場にいた時の名前。アイルランドに引き取られて初めて名前をもらった。セリス・スカーレットという名前を。あの時は本当に嬉しかったな・・。」

「ロックオンさん・・。」

 

その時を思い出してロックオンは涙を流した。

幼い時から銃を手に取って戦場へ赴き、名無しと呼ばれ、沢山の人を殺めた何とも言い難い孤独と恐怖。

 

「引き取られてからはいろんな人たちに接して他の人が知っていてもあたしが知らなかった物を見せてくれた。あたしにとってアイルランドという環境は戦いしか知らなかったあたしの心をほぐしてくれた。」

 

両親に引き取られてからは常識はずれな事を繰り返したりもしたがそれでもアイルランドの人たちは笑ったりせず、ロックオン自身も前向きに生きることができた。

 

「だけど・・両親は何物かの襲撃にあって死んだ。あたしは両親からこのラビットハッチやフォーゼシステム、メテオシステムとかを託された。あたしは両親の命を奪った何かをを見つけるためにロックオン・ストラトスと名乗る決心をした。」

「それがロックオンさんの戦う理由・・。」

 

マスク越しでわからないが楓にはロックオンが苦しんでいるように見えた。

その時通信が入る。

 

『ロックオン!ゾディアーツが暴れてるわ!急いでグラウンドへ向かって!」

「わかったわ。楓、ついてきなさい。あなたも仮面ライダー部の一員だからね。」

「はい!いつまでいられるかわかりませんがよろしくお願いしますね♪」

 


 
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