第六話 形なきもの
side レイト
メガロから脱出したオレたちだが追撃がうざかった。
まさか駆逐艦を引っ張りだしてくるとは思わなかった。
エヴァが氷付けにしたけど。
そんな訳でエヴァの賞金が更に上がりました。
1200万$です。オレも地味に100万$になりました。
「悔しくなんか無いよ」
「まあ、なんだ不殺を志してるから仕方ないさ」
「......次に艦隊出して来たらオレが落とそう」
「不殺でか」
「不殺で」
「......好きにしろ。だが何れ誰かを殺さなければならなくなるぞ」
「だがオレは現時点では不殺を貫く」
そう、オレはこの世界に来てから誰も殺していない。
理由は単純だ。オレはこの世界の人間ではない。そんな人間がこの世界の未来を壊す様なマネをしたくなかったからだ。まあ、これはオレのエゴだ。だが、簡単に曲げるつもりは無いが必要なら命を奪うことも辞さない。既にこの身は血に塗れすぎているのだから。
「噂をすれば、レイト艦隊が来ているぞ。それも鬼神兵も連れて来ているな」
「なんだ鬼神兵って」
「簡単に言えばチャチャゼロみたいな人工生命体だ」
「そうかならば完全に粉砕させてもらおう」
オレは自分の影の中から魔法世界に来る前に入手したマスケット銃を取り出す。
「今更そんなものを取り出してどうするつもりだ」
「科学と魔法、二つをあわせた力を見せつけてみようかなって」
弾も込めずに鬼神兵に狙いをつけ引き金を引く。
すると弾が飛び出し一番先頭にいる鬼神兵に当たると辺り一面が氷に包まれる。
「これは、こおるせかいか」
驚くエヴァを尻目に凍っていない鬼神兵に狙いをつけまた引き金を引く。
また弾が飛び出し今度は業火が鬼神兵たちを襲う。
「次は燃える天空。一体何をしたんだ」
「弾の中に魔法をつめてそれを打ち出しているだけ」
「だが先程も弾を込めている様には見えなかったが」
「まだ試作段階で一定環境下じゃないと暴発するからゲートを使って込めてるからな」
喋りながらも次々と倒していく。
数分もしないうちに鬼神兵は全滅した。
「ほんじゃあちょっと乗り込んでくるわ」
「そうか、なら私は先に行っておくぞ」
「分かった」
エヴァと分かれオレはゲートを使い旗艦と思われる船に乗り込んだ。
side out
side 討伐艦隊艦長
夢を見ているのだろうか。
ほんの数分で鬼神兵が全滅した。
始めは闇の福音の魔法かと思われたが次々と広域殲滅魔法が鬼神兵たちを滅ぼしていった。
「艦長、どうします」
「魔力砲準備。闇の福音と形なきものがいると思われる範囲を全て吹き飛ばせ」
「はっ」
これだけの戦力を率いながら倒せなければ私の首は飛ぶだろう。
ならばいっそ全てを吹き飛ばしてやる。
そう思っていると急に船が傾いた。
「何事だ」
慌てた部下が艦橋に飛び込み報告する。
「形なきものがエンジンに侵入。見たことも無い封印術式でエンジンを封印して逃亡しました」
「総員退艦」
杖を使い外に出ると一隻また一隻と船が落ちていく。
負傷者及び死者0名でありながら艦隊は壊滅した。
報告によるとご丁寧に全ての封印が異なる術式で封印されていた。
船は全てエンジンを積み替えることになり封印されているエンジンは研究者どもが持っていった。
いざ研究を始めようとすると封印は解けてしまったらしい。
どうやら時限式だったらしく研究されない様にする為だったのだろう。
これほどの知識と魔法を持つ形なきものに私は恐怖した。
彼の逆鱗に触れれば魔法世界は簡単に滅びるのではないだろうかと。
side out
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呆れる位に面白い奴だ。
こんなにも退屈しないのは何時ぶりだ?
byエヴァンジェリン