No.392146

クラス代表決定戦前

rahotuさん

第十五話

2012-03-15 22:26:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2901   閲覧ユーザー数:2851

数千もの観衆の中、まるで古代の剣闘士の様に、俺とセシリアは戦い続ける。

 

楕円形のコロシアムを覆うシールドが、観客への被害を防ぐという目的以上に、俺達二人が逃げ出さないように囲っているように見える。

 

此処から無事、出る為には俺が相手の喉に剣を突き刺すか、或いは心臓を銃で撃ちぬかれるかのどちらか一つしかない。

 

長い二メートル以上もの刀を構える俺に、セシリアの周囲に浮かぶビットがその砲門を俺に向けビームを放つ。

 

一つのビットから、最大三条ものビームが放たれ、外側に向けられた砲門が、俺の逃げ道を塞ぎ、もう一つのビットからの一撃が俺の予測回避ポイントへと放たれる。

 

が、瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使い、無理やり射線軸から逃れ、セシリアへと突貫しようとしたその直後に、

 

「くっ!!」

 

背後からの一撃で体制を崩し、その隙に距離を開いたセシリアとビットからの攻撃で又しても状況は振り出しに戻ってしまった。

 

....残りシールドエネルギーも少ない。けど、このままじゃ.....。

 

ふと、セシリアではなく、アリーナの観客席へと目を向ける。

 

ハイパーセンサーで捉えたそこには、祈るように手を組み、顔を真っ青にして今にも泣き出しそうな顔の箒がいた。

 

「......一夏......。」

 

観客席とアリーナ内部とを分けるシールドで、観客席の声は聞こえないはずなのに、俺には何故か箒の声が聞こえた気がした。

 

「へっ.....カッコ悪りいな、俺。何が箒は俺のもんだ.....女におぶさってばっかじゃ、情けない。」

 

と、ハイパーセンサーに反応があり瞬間的にその場を離れた直後に、一条のビームが先程まで俺がいた場所を打ち抜く。

 

「あら、余所見とは余裕ですことね。でも、そんなんで宜しくて?なんなら今からでも手加減してあげましょうか。」

 

口に手を添えて笑うセシリアだが、目だけは獲物を射抜く猟師の様に鋭くギラギラと光っている。

 

「へっ、冗談。あばずれなんかに手加減してもらうほど、俺は柔じゃないぜ。」

 

シールドエネルギーは半分を切り、余裕がないのに笑ってみせる俺に、セシリアはカンに障ったのか、先程までの余裕の笑みを止め、真剣な表情で、

 

(それこそ俺を殺しかねないような視線で)

 

ライフルを構え、ビットを更に二機放出する。

 

「.....遊びはここまでよ。私を本気にさせたこと.....身をもって思い知りなさい!!」

 

先程までとは気迫も、感じる圧力も段違いで違うセシリアを前に、俺は不適に笑ってみせる。

 

そうして、刀を構え、一言、

 

「ぬかせ。」

 

その瞬間にセシリアからのビットが火を吹き、俺の振るう刀と真っ向からぶつかった.......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り一週間前。

 

あの後、箒とくんずほぐれつとなって、ベッドに箒を押し倒し、シャワーで汗を流した後の箒の体の臭いを鼻一杯に吸い込んだ。

 

鼻腔をくすぐる甘い臭いと、シャンプーをした後特有の女性の臭い。

 

それら全てが男の心を擽るフェロモンとなり、俺の意識を刈り取っていく。

 

「あ...い、一夏。その、恥ずかしい....。」

 

俺が箒の体の臭いを堪能していると、俺に組み敷かれた形になった箒が、顔を真っ赤にして体の大事なところを隠し小さな声で訴えた。

 

シャワー後に箒の体を隠していたバスタオルはベッドに押し倒す時には既に、床に捨てられ、今の箒の体を隠すものは何もなかった。

 

必至で隠す箒だが、アンダーから見える黒と、トップを押さえつけて隠している手が逆に豊満なそれを強調し、より一層官能的に見えた。

 

俺は、箒の緊張を解きほぐす為に、ゆっくりと指を箒の体に這わせ、ツーッと体のラインに沿うそれに、箒はくすぐったいやら恥ずかしいやら、体を震わせた。

 

うなじから箒の細い首筋を通って、鎖骨のラインに至り、そこから肩に入って箒の脇へと侵入する。

 

もう一つの手で箒の頭を撫でたり、うなじを解きほぐしたりしながら、俺は箒の反応を見て楽しんだ。

 

箒は、シャワーで火照った以上に体を赤くし、耳まで真っ赤にしたそれを、面白いと思った俺は、いきなり箒の耳へと顔を向け、舌を這わせる。

 

ビクッと反応する箒だが、体に力が入らないのか既に体を隠していた手はだらりとベッドに横たわり、抵抗する力ない代わりに、恨めしそうにして俺を睨んだ。

 

だが、そんな事では俺は諦めない、耳朶をアマガミし、外ぶちをから綺麗にするように舌でなめ取る。

 

そうすると箒の目が段々と虚ろになってトロンとして、息が荒くなり、体の自由が利かなくなる。

 

俺はそろそろいいかなと思い、這わせた手を背中から腰へ、そうしてもっと下のほうに向け......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでの妄想僅か十分!!

 

一夏に抱きつき、泣き続ける箒の声と、箒の体臭を嗅いだ一夏の脳内では、大量に紳士成分が分泌されエントロピーを凌駕してしまった!!

 

更に!!緊急事態と見た愚息が「もっこり」と起き上がり、丁度箒の足と足の間に当たってしまうような位置のため、是を重く見た脳内は急遽、脳内麻薬を大量分泌し一夏をアッチノ世界へとトリップさせてしまったのだ。

 

クウ~、惜しい、物凄く惜しい!!今の一夏ならさっきの妄想以上の事が出来るのに、そこにシビアコな展開が出来ない!!

 

兎に角一時の慰めで箒を落ち着かせたのと同時に、一夏は何とか社会的に抹殺寸前であったトラップを回避することに成功したのだ。

 

だが、据え膳食わぬは男の恥、と決して言うな。

 

兎に角ベッドの仕切りの向こう側に座り、箒が着替えるまで待った一夏は、その後荷物を取りにいくといって部屋を出て行った。

 

その時の彼は、顔を真っ赤にして薄暗くなった道を歩いていく。

 

だが、箒も箒で、先程のやり取りを思い出したのか、突然胸がキュンッと来てしまいベッドで枕に顔を埋め、イヤイヤ////と転がりまわるのであった。

 

箒も妄想の中で一夏に優しくリードされ、最終的には一夏に首輪をつけて貰う所まで想像し、中々に変態ぷりを噴出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事務室に取りに来るのが遅くなってすみませんと謝り、何とか明日からの生活の為の道具を、運ぶ事が出来た。

 

途中千早ね...千冬先生に出会い如何して箒と一緒の部屋にしたのかを聞いたのだが....。

 

「まあ、あいつは見ての通りの状態だからな、こっちに来ても相変わらずだ。私としても、篠ノ之やそしてお前を巻き込んでしまったことを後悔している。」

 

そこまで言って、千冬先生は夜空を見上げ、

 

「あの時の私は馬鹿だったんだな。目の前の幸せが何時までも続くと勝手に思い込んで、挙句の果てにお前や箒に地獄の思いをさせた。許してくれとはいわんだ。だが、アイツの隣に居てやれるのはお前だけなんだ、頼む。」

 

そういうと、千冬先生は頭を下げ箒のことを頼むといった。

 

続けて、

 

「無論、お前のことも何とかしてやりたい。だが、私はここでは一教師だ、できる事には限界がある。すまないがお前には本当に申し訳ないと思っている。」

 

千冬ねぇが人前で頭を下がるのをはじめて見た俺は、呆気に取られ、一瞬だが何を言われているのか分かっていなかった。

 

「今のお前たちを判ってやれるのは同じ苦しみを味わったお前達だけだ。.....だから一夏、昔のお前に戻ってくれ.....。」

 

頭を上げ、俺の目を真っ直ぐ見て言う千冬ねぇの目には涙が浮かんでいた。

 

ああ、本当にこの人には適わないな。

 

俺のことなんかとっくに分かっていたんだ、それでも何も出来ない自分を恥、許してくれとは言わずに俺達のことだけを考えてくれる。

 

千冬ねえは、コホンと咳払いをして俺の肩に手を置く。

 

その顔には、先程の涙などこれっぽちも浮かんでおらず、その代わり身の速さにさすがは教師の鑑だと感心した。

 

ダケレドモ、俺の肩を万力のような力で掴むのは止めてくれませんか.....いや切実なお願いなんですけど。

 

「そうそう、最後に言っておくがIS学園では恋愛をするなとは言わん。だが、節度ある行動をしろよ。もし万が一にも箒のお腹が膨れたり、二人部屋なのに三人になったりしたら私はお前の首をはねた後に篠ノ之の両親の前で腹を切る。」

 

さっき以上に真剣な表情で見る千冬ねぇの目は一切笑ってなく、俺は肩の痛みで目に涙を浮かべながら何度も頷く羽目になった。

 

ああ.....箒調教計画が....素晴しい道具の数々や芸術的なまでの体位が消えていく.....。

 

千冬ねぇが去った後、俺は痛む肩を押さえ、夜道でポツンと呟くのだった。

 

帰ってきたときに箒がベッドでグルグル回ってたのには呆れたが.....千冬ねえの声を思い出して特に何もしなかった。

 

その後、遅めの夕食をとり、学校の勉強は箒に頼み込んで(というか、箒が墜ちている事は判っていたので言うだけでいい)何とかしてもらい、終わった後にとりあえずISのことについて相談した。

 

「なあ、箒。ものは相談なんだが俺にISを教えてくれないか。」

 

唐突なこの一言に対して、箒は慌てず寧ろ呆れ顔で、

 

「何を言ってるんだ?当然じゃないか、私はお前がクラス代表に決まったときからこうなることを予想していたんだ。」

 

誇らしげに言う箒に、すこし悪戯心を出して尋ねる。

 

「ふ~ん、何時から?」

 

「ん?ちょっと前に気付いて教えることにした。言っとくが私の鍛錬は生半可ではないからな。ついてこれるか?」

 

挑発するように笑みを見せる箒に俺は、スカートの内側へと手を這わせ、真っ赤になった箒の耳元で、

 

「勿論さ、それと夜のISの操縦の仕方も教えてくれるとありがたいんだけど....。」

 

蕾のように固い箒の体を腰に手を当てて体を寄せ、箒の長い髪に顔をうずめる。

 

ああ、いい、恥ずかしがってなんと答えたらいいか判らない箒をからかうのは本当に楽しい。

 

耳元で優しく囁くようにして、

 

「ウ・ソ。」

 

と、言うまで箒は俺にされるがままだった。

 

その後、怒った箒が俺の胸を叩くが、全然力が入っていないのか余り痛くはなく、逆にじゃれ付いているかのように見えた。

 

...........................................................

 

 

 

 

「コホン、兎に角明日の朝から私と共に鍛錬を開始して、放課後や時間を見繕って座額をやるしかないな。」

 

暫く二人でじゃれあった後、本題に戻り、箒が真剣な表情で説明する。

 

「?となるとISの実機は動かさないのか。確かISは搭乗者の使用時間で性能が上がるとか何とか.....。」

 

「ああ、それはあるが、大体が百時間以上や中には千時間を越えてからでないと余り期待は出来ん。今回一夏、お前が戦うセシリアのことだが、調べてみたがこいつは桁外れに強いぞ。」

 

「そんなにやばいのか。」

 

「ああ、セシリア・オルコット。イギリスの代表候補に十四の時選ばれ並居るIS搭乗者を押し退けてIS学園にイギリス代表として入学。IS搭乗時間は学生のなかでトップの二千時間越え。入学時の適正ではA+、一夏お前よりも上だ。使用ISはイギリスの第三世代型実験証明機ブルーティアーズ、資料では中遠距離を主体とした機体で新型兵器ビットを装備しているらしい。」

 

なるほど、つまりは相手は新型でしかも学生トップクラスのエリート様か、ISに触って一日かそこらの人間では逆立ちしたって勝てないか.....。

 

「だが、勝ち目がないわけじゃない。距離を置いて戦う機体ならば接近戦はそれ程想定はされては居ないはずだ。だから....。」

 

「だから如何に奴との間の距離を詰めてクロスレンジに収めるか....だろ。」

 

箒のセリフを先にいい、親指を立てる俺に箒は若干呆れが混じったため息を吐き。

 

「その自信は何処から来るんだか......まあ、昔の一夏みたいで嬉しかったよ。」

 

その言葉に、チクリと胸に痛みが走るが、表情には出さず俺達はもう夜も襲いとベッドへと入っていった。

 

......無論俺は箒と一緒のベッドで寝るがな。

 

 

 

 

 

 

「あっ、だめ、一夏吸っちゃいや.......だめ声出ちゃう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くの間部屋の中には女性の嬌声が鳴り響いたとか........。

 

次の日、一夏だけが織斑先生に呼び出されて頭をしたたかに殴られたのはご愛嬌だが。

 

 

 


 
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