No.391865

全ての終焉 12

ラグエスさん

12話

2012-03-15 16:05:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2733   閲覧ユーザー数:2636

第12話『ネットアイドルと妖精』

 

また副作用か……。

目が覚めて体を起こした僕は何か暖かい感じが両方から伝わっていた。

両方を見ると明日菜さんが右側、木乃香さんが左側で寝ていた。

何でなのさ……と天井を見る。

 

「起きてください。明日菜さん、木乃香さん」

 

落ち着かないと思った僕は2人の肩を揺らすと、普通に目が覚めた。

 

「良かったぁ、魔法で起こそうと思う所でした」

「……それはやめてほしい」

「そうやな……」

 

目を擦って背伸びをする木乃香さんに聞いてみるか。

 

「どうして僕のベットに入って来てるんですか?」

「だって……」

「べ、別に木乃香がそうしてみろっていうから!」

 

それだけ!?

明日菜さん、木乃香さんに言われたからってそれは。

そんな様子を見て僕は苦笑していた。

その時、お腹の音が鳴った。

 

「えと、それよりもお腹が空いたんですけど」

「今、作ってくる。ネギ君と明日菜は和食と洋食どれがええ?」

「洋食」

「和食」

 

明日菜さんが答えて僕が後に答える。

2つの返答に考えるそぶりもしないで返答が来る。

 

「じゃあ、和食な」

「私が言う意味ないじゃない!」

 

木乃香の判断に気付いた明日菜がそう言葉にする。

そういえば、今日って何かあるのかな。

マスターは既に風邪を引かないようにさせたし、

 

「あ」

「どうしたの? ネギ」

 

ベットから下に降りていた明日菜さんが僕の言葉に反応する。

 

「いえ、エヴァンジェリンさんのパートナーと会っていないなって」

「いるの?」

「契約方法はキスだけじゃないですから」

 

その方法は色々あるが、一番の成功法と言うか人気と言うか。

昔は血の契約とか色々あったらしいと明日菜さんに教えた。

 

「へぇ、そうなんだ。でも、確かに血ってのは嫌ね」

「とりあえず、準備しないといけませんね」

「あ、今日学校だっけ」

 

明日菜さんの言葉に頷いて、魔法で2階分へ空間を広くしていた。

ベットから赤いソファーまでダイブする。

 

「ふう……」

「そういえば、お風呂の時に罠貼ってるってどんなの?」

「見にくい糸とかの基本トラップですよ。後、レーザーとか色々」

「レーザー!?」

 

別に驚く事はないと思う。

どっかの旅館にもそういうのがあったし、漫画などでも必ず付いてた。

ネギは基本的に漫画とか好きになってしまっている。

そういう罠の部分だけという迷惑極まりないが。

 

「ええ、出力はそんなに強くありませんが、

行きたくないと拒絶させる属性を含ませてます」

「え~と、そうなんだ……はぁ、行かなくて正解だわ」

 

今、最後だけ小声で言ってて、よく聞き取れなかった。

さすがに僕の安息は一人でいる時だけだから。

世間話や色々な話題を明日菜さんと話していると

 

「ネギ君、はい」

 

エプロン姿の木乃香さんが朝食を運んできた。

運び方が既に魔法を使っているみたい。

 

「木乃香さん、誰かに見られたらどうする気なんですか?」

「大丈夫や、その辺は任しといて」

「木乃香が言うと逆に不安なのは気のせい?」

「それ、どういう意味なん?」

「まあまあ、早くしないと遅刻しますよ?」

 

木乃香さんと明日菜さんが僕を見て溜息を吐いた後、朝食にした。

朝食後、僕は2人に「先に行って」と言われたので部屋から飛び出した。

 

 

~通り道~

 

 

魔法も使わず走らずに歩いていた。

でも、人の気配がないのはおかしいが

駅まで歩いていると、結界に入ったみたいだった。

 

「え? ここってこんな結界あったっけ?」

 

まったく心当たりがないと思ったけど

この結界の貼り方に見覚えがあった。

僕の目の前に人が転移してきた。

 

「集めてきたぞ」

 

転移してきた人物が僕もどきだった。

こんなバカでかい魔法で作った結界を貼るな!と思う。

 

「いくつぐらい?」

「とりあえず、2つだ」

 

剣と槍を渡してきた。

さすがに聖なるというから光に満ちている。

それを両手で持った僕は試しに僕もどきに攻め込む。

 

「ちょっと待て!」

 

慌ててバックステップで回避し、杖を持つ。

何時の間に持っていたんだという疑問は僕にはない。

槍を圧縮させ、ズボンのポケットに入れてから攻め込む。

 

「仕方がない! 風精霊の射手12」

 

僕の攻撃をかわした後、無詠唱版を散らばりながらこちらに向かってくる。

来たか、武器の威力を解くと味わってもらいましょうか。

 

「本当にこれって鍵なのか? まいっか」

 

右手で持っている聖なる剣をゆっくりと下から振り上げる。

すると、こちらに来る魔法の矢12が消滅した。

こんなものか……と僕は聖なる剣も圧縮させてからポケットの中に入れた。

 

「いきなり来るな、さすがの俺も焦る」

「残りもお願いしますね」

「わかった」

「これで後は鞘と盾と鎖か、聖なる魔力は聖霊魔法で代用するか」

 

魔法陣が現れ、僕もどきがその中に入ったら魔法陣ごと消えた。

フェイトの仲間が使ってたアレと似てるな。

僕は結界を解除した後、結局、学園に光速で向かった。

もちろん、電車なんて無視。

 

 

~3-Aの教室~

 

 

誰も休みがいなかった。

マスターも風邪を引かずに登校している。

僕の中で頷いた後、授業をしている最中に長谷川千雨さんの様子が変だった。

何かよくある動作だったが。

チャイムが鳴った後、ようやく思い出した。

きっとこれが無いと関わる事が消えるんだろうな~と思い、

千雨さんの後を密かに付いて行った。

この時、ネギの後ろから1つの影が付いて来てる事に誰も知らなかった。

 

 

後を付けて時間を空けてから、千雨さんの部屋の前に立った。

だが、僕は千雨さんの部屋の扉が開いてる事に気付いた。

扉が開いているなんて前回と同じだね。

入ってみるとこんな声が聞こえた。

 

「今日もちうちうは綺麗だぴょん」

 

千雨さんいえ、ちうさんがパソコンの前に座りキーボードに指を走らせていた。

相変わらず、こういう事に関してはすごい。

ある意味、才能を感じるよ。

僕は邪魔にならないように観察していた。

 

「今日はちょっと嫌な事があったの。ウチの担任がちうの全身を嫌らしい目で見てきたんだぴょん」

「言ってませんよ!」

「って誰だ!」

「こんばんわ」

 

つい、突っ込んでしまった。

いや、普通突っ込んでしまうと思わない?

目の前にいるちうさんの表情が優れなかった。

 

「どうかしたんですか?」

「おわった……」

 

この世の終わりみたいな表情になっていた。

僕は知ってるからどうでもいいけど。

 

「何がですか?」

「先生は軽蔑しますよね? 私がこんな事をしてるの」

「いえ、別に良いんじゃないですか? それにとてもお綺麗ですよ?」

 

前と同じ良い訳で解決させるのが一番だ。

ちうさんがそれを聞いて僕に近づいた。

 

「なっ!」

「ホームページはしっかり見てましたので最初から知ってましたよ?」

「つまり……最初から私がちうだと知ってて」

「もちろんです。ネットアイドルも大変ですよね?」

「フフフ……」

 

ずっと見ていたのはファンだったという理由を思い出した。

僕って覚えている部分少ないな~。

自分に呆れた様な表情になる僕を見て、笑顔の千雨さんがいた。

あ、眼鏡を外している時の千雨さんって可愛いですよね。

 

「人前だと駄目になる癖も直した方が良いですよ」

「何を言ってるんだ? それより10歳で教師なんておかしいと思う」

「それは色々な事情があるんです。この学園は別に意味で怪しいです」

「それは認める。ロボやら明らかに中学生には見えない奴もいる」

「茶々丸さんの事ですか? う~ん」

 

僕は考える。

ここで僕の正体を知ってもらうのがいいのかな?

ネットアイドルの事と魔法の事を取引すれば引き込めるかもしれない。

それを閃いた僕は千雨さんにこう言った。

 

「実はですね。僕は魔法使いなんです」

「はあ?」

「直球ね」

 

玄関から入ってきた明日菜さんがって何でここにいるの?

この部屋に入った後、誰かが付いて来てるってのは知ってたけど。

じーっと目を細めて説明を求めると明日菜を睨む。

その視線に怯んだ明日菜がネギに状況を説明した。

 

「木乃香が何か妙な生き物を見つけたって」

「え? ああ、オコジョですか」

「知ってるの?」

「とりあえず、千雨さん……ん?」

 

僕は途中で言葉を止めて嫌な予感を感じる。

明日菜さんに指示を出す。

 

「明日菜さん、ドアを閉めて!」

「え? わかったわ」

「何を…!?」

 

明日菜がドアを閉めた後、PCのモニターから変な動物が実体化した。

動物の姿がライオンに変わり、大きさが2メートルもある。

 

「な、何だこれ!」

「ですから、魔法で召喚されたものでしょうね」

 

でも、誰が仕掛けたんだろう。それに子の魔力感じたことがあるぞ?

心当たりを思い出そうとするが、獣が襲ってくる。

こちらに突進してくる獣に対抗するため、僕は魔法の矢1を撃った。

獣に魔法の矢が直撃するが吸収される。

 

「何? 僕の魔法を吸収しただと?」

「今のが魔法なのか?」

「そうよ、千雨ちゃん」

 

明日菜さんが千雨さんを守るように立ち、僕に聞いてきた。

 

「ネギ、手伝おうか?」

「今からちょっとした強力な魔法使うからいらない」

「そ、そう」

「詠唱なんて面倒だから無しでいいよね……雷の斧!」

 

ちょっと威力を絞った雷の斧を獣に解き放つ。

無詠唱だから威力は従来より弱い。

獣がそれを吸収しようと抵抗している時、

 

「魔法の矢10!」

 

ここで追加として魔法の矢10を獣に発射。

レーザーって言った方が良いのか?

そんな速度の攻撃が獣に直撃する。

 

「ぐおおおおお!」

 

苦しみながら砕け散った。

声あったんだ……何でモニターから出てきたのか。

とりあえず、この部屋を精霊魔法で浄化させた。

 

「こんなものでしょうか?」

「これで終わりよね」

「千雨さん、もう何もないです」

「……夢か?」

「永眠させましょうか?」

 

氷の塊を掌から作り出しそれをぶつけようとする。

千雨さんが横に振り慌てて訂正を求めてきた。

 

「冗談だから!」

「そうですか……」

 

残念そうに僕は氷の塊を蒸発させた。

それを見て安堵を息を漏らしていた。

 

「明日菜さん」

「何?」

「魔法の事、バレちゃいました」

「……自分で言ってるじゃん」

「そうですね」

 

あっさりバラしたのは先ほどの様な事が起きると予想だけしていた。

あくまで予想だけだったが、まさか本気で起きるとは…

千雨さんの表情が硬くなっていたが僕の前に近づいた。

 

「私が黙ってればいいんだろ?」

「そうですね。今のところは黙ってくれればいいです。

明日菜さん、行きましょう」

「え? いいの?」

「大丈夫ですって」

 

千雨さんは絶対に行ったりしませんよ、

この頃、まだ非常識嫌いですし巻き込まれるのはゴメンとか言ってた。

前の事を思い出しながら僕は不安そうに千雨さんを見ている明日菜さんの手を引いて

千雨さんの部屋から出て行った。

これで、とりあえず、魔法の事を認識させる目的はクリアしたネギでした。

 

 

~ネギの部屋~

 

 

明日菜さんと僕が部屋に戻ると木乃香さんがオコジョを捕縛魔法陣で縛っていた。

はあ? カモ、何をしたんだ?

木乃香さんを見ると溜息を吐いた。

 

「あ、兄貴! 助けてくれ~」

「カモ君、久しぶり」

 

捕縛されている状況を無視して挨拶する。

そんな僕を見て目を丸くした木乃香さんが僕に尋ねてくる。

 

「ネギ君、知ってるん?」

「まあ、ええ。ところで何しに来たの?」

「何か困ってるんじゃないかと思ってな!」

「別に困ってはないかな? あるとすれば仮契約か」

「「え?」」

 

2人は驚きの声を上げる。

何で驚いているの?ああ、オコジョだからか。

 

「その事に関しては任しとけ! で? 仮契約してるパートナーっていんのか?」

 

カモの言葉が何か違う、まあ気にする意味はないか。

 

「ここにいる2人だけ」

「じゃあ、何でオレっちがいるんスか?」

「僕の仮契約の魔法陣だとスカートがめくりあがらないんだよ」

「ほう? 兄貴もいい趣味すんじゃねーか」

 

それを言った瞬間、木乃香さんがカモの言葉に乗っかってくる。

 

「ネギ君、そんなに下着が見たいん?」

「違いますよ……」

 

横に逸らす。

あはは……カモ、後で雑巾の刑にしてやる。

自分の招いた事をカモに押し付けるネギであった。

 

とりあえず、木乃香さんに誤解を解いてから次の話に入る。

 

「そういえば、この寮でペットって大丈夫なんですか?」

 

この時の僕はまだそんな事を知らない。

一応、同じように進ませなきゃ僕の計画も遂行できない。

既に例外の出来事が起きているが

 

「大丈夫や、今からウチが許可貰いに」

 

そう言って嬉しそうに許可を貰いに行った木乃香さん。

カモにかかっている捕縛魔法陣を解除する。

 

「カモ君、勝手に行動しちゃあ駄目だよ?」

「わかってますぜ、兄貴。それよりも、兄貴の運命的なパートナーがいるんすよ」

「へえ~、それは誰なの?」

 

何か滅茶苦茶な圧力が襲ってきた。

後ろに振り向くと、なぜか笑顔の明日菜さんがいた。

何気に影がある様な怖い雰囲気だ。気にしちゃ駄目だ!

 

「兄貴、写真とかないんすか?」

「え~と、出席のやつにありましたよ」

 

それをカモに見せると、しっぽをビンビンと立たせてその写真に指?を差す。

明日菜さんがじーっと僕を見てきたが、僕が何をしたって言うんですか?

 

「この子っすよ! この嬢ちゃんにオレっちは反応したんす」

「本屋ちゃんか~、やっぱ仮契約した方がええんとちゃうの?」

 

何時の間に帰ってきていた木乃香さんが僕の横から呟いた。

気配が感じなかったぞ?と思ってるネギだが、

実は明日菜の視線で気配を感じている状況ではなかっただけだ。

 

「早かったですね」

「誰にも会わんかったからな~」

 

誰にも会わなかったのか。

どこまで前と状況が違うんだ?

本当にこの世界は僕の過去か?と言いたいぐらい疑問を持った。

 

「ネギってある意味、問題児よ」

「どういう意味ですか?」

「ああ、そういう意味なら問題児やな~」

「え? どういう事ですか?」

 

僕の言葉に2人が溜息を吐いた。

呆れた表情にもなっているがよくわからん。

ポカンとしているとタンスの上にある目覚まし時計が鳴った。

 

「修行の時間ですね」

「今日は何するん?」

「え? ほぼ実践ですが」

 

すると、明日菜さんと木乃香さんが青ざめていた。

カモは僕達の言う意味に理解できず問いかけてきた。

 

「兄貴、修行って?」

「2人に魔法を教えているんですが、そろそろ僕も限界なんですよ」

「限界?」

「師匠を僕じゃなくて別の人にしましょうって事」

 

「「ええ!?」」

 

「何でなん?」

「僕は基本形しか教えれないんです。回復系重視の木乃香さん、

接近戦重視の明日菜さんだと僕の限界があるんです。

明日菜さんの場合は剣術を学んでる人の方が早いです」

「剣術って誰なんですかい?」

 

僕は木乃香さんをチラッと見た後、言葉にする。

 

「桜咲刹那さんです。でも、今はまだ無理ですね」

「せっちゃんが?」

 

疑問になっている木乃香さんに出席のやつを広げて刹那さんの所に小さく書いている文字を見せる。

出席のやつってのは正式に読むのがめんどくさいからそう読ぶ。

 

「神鳴流って書いてるわ」

「これって剣術なん?」

「はい」

 

本当は獲物を手段としない何だっけ……忘れた。

忘れてしまった事は隅っこに置いておく。

 

「木乃香さんはエヴァンジェリンさんにお願いしようと思います。もちろん、明日菜さんもね。明日菜さんの場合は刹那さんとエヴァンジェリンさん両方からですよ」

 

「「ええ!?」」

 

全体の女子寮まで2人の驚きの声が聞こえたという、嘘だけど。

 

ちなみに、この話の結論は……

 

 

 

 

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