No.391832

全ての終焉 8

ラグエスさん

8話

2012-03-15 15:07:19 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3259   閲覧ユーザー数:3138

第8話『図書館島・下』

 

~図書館島・最深部~

 

 

眠っている僕は体を揺らされた。

何だよ、僕を起こすなんて自殺行為だな……。

魔力を高めているが、僕を起こす者が慌てた。

 

「ちょっと待って!」

 

この声は……明日菜さんかな?

僕は目を開いた。

開いた先には明日菜さんの顔がドアップだ。

 

「あ、明日菜さん」

「い、いきなり目を覚まさないで!」

「起きろって言ったの明日菜さんじゃないですか」

 

明日菜さんは僕の言葉に反論できずに落ち込む。

何で落ち込むんだ?

それはそれとして、ほかの人はどこへ?

 

「明日菜さん、ほかの人は?」

「木乃香達ならあそこ」

 

明日菜さんが指を差した場所に教室みたいな環境がってまたか。

何であるんだ? 学園長が仕組んだ可能性が高いな。

教科書もあるけど……どうでもいいか。

 

「そういえば、汚れてますよ?」

「ええ!?」

 

僕が指摘した事で明日菜さんが服やスカートなどを見る。

ちょっと待て、スカートの中まで見る事ないって。

スカートの中身はピンクだった。

その言葉を思わず口にする。

 

「ピンク色ですか」

「な、な!」

 

僕の目の前と気付かずに見られていた明日菜さんが赤くなり、

スカートでピンク色の下着を慌てて隠す。

本当に何やってんだか……。

 

「とりあえず、勉強はしておかないと駄目ですよ?」

「うん」

 

僕と明日菜さんは木乃香さん達がいる所へ向かった。

 

木乃香さん達は寛いでいた。

 

「皆、何をしてるんですか? 明日はテストですから勉強でもしましょうか」

 

「ネギ君、それはひどいんじゃないかな~」

「ワタシもやる気が出ないアル」

「拙者もでござる」

「あははは……」

 

バカレンジャーの態度にむかっと来た。

あはは、仕方が無い。

 

「点数が悪い人には春休みを全て補習にしましょう」

 

「「「「「ええ!?」」」」」

「そんなのひどいよ!って担任先生がそんなことできる訳が」

「大丈夫ですよ。学園長には拷いえ、よく言っておきますから」

 

残酷な事を言いそうになった僕は言い直して皆に聞かせる。

木乃香さんはため息を吐いているが、念話で話す。

 

(木乃香さんもですよ? メニューを倍に)

(それはやめてほしいんやけど……)

 

木乃香さんを見ると顔が青ざめていた。

皆、良い反応だね。よし、先生っぽくなってきたぞ!

黒板があったから、そこまで歩いた。

 

「授業をしましょうか」

「その前に食料探しをする必要がありますよ?」

 

夕映さんの言う通りかも知れないが、よし!

 

「そんな事もあろうかと、おにぎりを持ってきてるんです」

 

僕は左ポケットの中から小さな丸い袋を出す。

その袋を地面に落とすと、70個のおにぎりがあった。

その現象を見てまき絵さんが変な事を言った。

 

「これってポイポイカプム~~~」

「その続きはあかん!」

 

途中で木乃香さんが口を塞く。

口を塞いだ理由って何?と夕映さんに目を向けると、

 

「漫画にあるネタですよ」

 

何にも言ってないのに説明をしてくれた。

 

「すごいあるな~」

「さすがネギ先生でござる」

「そうですか?」

 

明日菜さんが僕の腕を掴んで皆から少し距離を置く。

 

「大丈夫なの?」

「何がですか?」

「これって魔法でしょ?」

「そうですけど、大丈夫ですよ? 

その気になれば記憶を改竄するくらい訳がありません」

 

だから、心配しないでください。

そう言う事を含めての表情で表わす。

明日菜さんが何か呆れていた。

もう慣れたのかな……。とか言いながら、ネギも慣れている。

 

「それよりも気付いてますか? ゴーレムがこの辺にいますよ?」

「何ですって!?」

「ある時間になればすぐにわかると思います」

「ある時間って?」

 

ポカンとしてる明日菜さんにゴーレムの正体を一部だけ明かした。

それを聞いた明日菜さんが呆れて手を頭に添える。

 

「木乃香が聞いたら怒りそうね」

「今は駄目ですよ? 僕が木乃香さんに魔法を教えていることがばれちゃいます」

「どうしてばれちゃいけないの?」

 

その気持ちはよくわかります。

親の方針ってどんなんだよ、その影響で刹那さんとの仲がおかしくなる。

これはネギの見方だが、大筋は合っている。多分……

 

「いろいろ事情があるから」

「そういうことね」

 

今の明日菜さんは木乃香さんの実家を知ってるのか?

知ってるような表情している。

どこまでこの世界は歪んでいるんだ?

そんな事は隅っこに置いといて皆の所に戻る。

 

戻ったら、おにぎりが後15個ぐらいしかなかった。

55個もないってどんなんだ?

 

「僕たちの分も残してくださいよ」

「ごめんね~、お腹空かしてたから、どうしても」

「一番食べたのってクーちゃんだよ?」

「へえ~」

 

食った犯人を僕は制裁するために魔力を開放する。

人前? 何それ……食い物の恨みは晴らす。

 

「クーフェイさん、反省してくださいね」

 

魔法の矢を作ろうとしたその時、後ろから木乃香さんが抱きついてきた。

後ろからなので、背中に密着しているこの感触が……。

駄目だ、完全に怒りが消えていく。

木乃香さんが僕の耳元でこう言った。

 

「ネギ君、駄目」

「でも、僕のおにぎりが」

「しゃ~ないな~、テストが終わったら二人でデートせえへん?」

 

ここでですか!?確か、明日菜さんの誕生日で誘われるはずのアレが

だが、時期が全然違うし、どうなって……

抱き付く木乃香さんがさらに言葉を続ける。

 

「聞きたい事とやりたい事があるから」

 

と言って、木乃香さんが離れた。

その言葉が気になるけど、今を考えよう。

冷静になったネギは全員にこう告げる。

 

「今から勉強してビリから抜けましょう! 

そうすれば、僕も3-Aの担任になれます。僕は皆さんと数カ月だけなんて嫌です」

 

ネギの真剣な言葉を聞いた全員のテンションが上がる。

でも、この言葉はネギのために頑張れって言う事を誰も気づいていない。

全員の様子を見る僕は密かに笑みを浮かべていた。

 

「たまには真面目に勉強しますか。のどかに悪いですし」

「ネギくんがここから出て行くのは見たくないよ!」

「ネギ先生の言葉には感動したでござる」

「皆、がんばろ~!」

「「「「「「おおおおおお!!」」」」」」

 

皆の心が一つになった。

さすがの僕も感動しているぞ。

なら、僕が出来る限り皆の助けに今回は、協力します。

 

「授業を始めましょう!」

 

木箱ではなく机と椅子があった。

それを見た僕は素直な感想を口にする。

 

「何であるの? ここって地下なはずなんだけど」

 

まあいいか、机と椅子を並べる。

明日菜さん達も全員の協力で全部並べきれた。

以前は本当に木箱だったよ。

 

僕が授業を始めて120分経過した所だった。

 

「では、この問題はわかりますか?」

 

黒板に書かれている問題を誰かわかるか聞く。

すると、木乃香さんが手を挙げた。

 

「は~い!」

「じゃあ、木乃香さん」

「いつ、ここから出られるん?」

 

当てられた木乃香さんが答えと違う事を呟く。

ある意味正しい事にこの場が凍る。

空気ぐらい読んでください、木乃香さん…。

 

「でも、ここって誰も入ったら出た事無い場所なんでしょ?」

「一生、このままアルか?」

「それは嫌ですね」

「地上に帰りたいよ~」

 

全員が弱気になった。

誰が見ても、木乃香さんのせいだ。

うん、修行の時はきつくしてあげよう。

そう誓ったが、なんか音がした。

 

「ん?」

 

僕は教科書を放り捨てて水の中に沈めた後、耳をすませる。

これは、ゴーレムか。と言う事は学園長か。

その事を明日菜さん達に言う。

 

「みなさん、あのゴーレムがここにいるようです」

「もう来たの?」

「同時に落っこちたのかな~」

 

違う、僕が原子崩壊で消したはず。

スペアぐらいあるけど、そこまではしないだろう。と思ったが、

そうでもなかったみたいだ、あの妖怪爺め。

呼び名が段々と変化させてるネギ。

 

「本当にいたああ~!?」

「うおおおおおおおお!!」

 

巨大になって帰って来たゴーレムさんだった。

学園長いや、妖怪爺、後で覚えておいてくださいね。と口パクする。

ゴーレムに恐れて皆が逃げ出す。

 

「明日菜さん、木乃香さんも逃げましょう」

「でも、余裕で足止めできるけど」

「そうやで」

「ここにはまき絵さんとかいるんですよ?」

「「あ……」」

 

2人揃ってドジっこになるんじゃないか?って一瞬だけ思った。

とりあえず、2人を連れて逃げる。

 

「あっちに階段があるでござる!」

 

楓さんが見つけたみたいだ。

小さくだが、エレベーター直通階段と書かれている。

皆はそんな文字を気にしないで登っていく。

 

「ゴーレムも追って来てるみたいなのです」

「「「「ええ?」」」」

「待つんだ~!」

「ノリノリね……」

「そうですね」

 

明日菜さんと僕は正体を知ってるから笑うしかないが、

木乃香さん達は慌てていた。

その時、行き止まりだった。

 

「何なのですか?これは……」

「問題アルよ」

 

答える意味もないから、僕はバレない様に光速版魔法の射矢1を打ち込む。

当然、射矢の力が強すぎて先にある問題がある門も砕けた。

そんな事とつい知らず、楓さんがうんうんと頷いた。

 

「これはラッキーでござる」

「そう、そうですね」

 

夕映さんが僕の方をチラっと視線を向けたが元の方向に戻した。

バレないように撃ったはず……。

考えているとゴーレムが襲いかかってきていた。

それを見た明日菜さんが僕に大声を出してこちらに来る。

 

「ネギ!!」

「ウオオオオオオオオオオオ!」

 

襲いかかってくるゴーレムを明日菜さんが魔力と気の同化使って下に落とす。

落とされたゴーレムは悲鳴を叫んで落ちていった。

 

「明日菜さん」

「ネギ、行こ!」

 

明日菜さんが嬉しそうに僕の手を握ってエレベータへ目指す。

明日菜さん、すごいですね。

ネギにとっては誤算だった。

本来上、あそこで思いっきり原子崩壊を打ち込み、

消滅させてやろうと考えていたのにそれを明日菜さんが……、

じーっと明日菜さんを目を細めて見る。

視線を感じた明日菜さんがゴメンと小声でつぶやく。

 

「まあいっか……」

 

目的の本は回収したから、もう用はない。

明日菜さんの手をギュッと握りしめる。

その事に気付いた明日菜さんが僕を見て目を丸くした。

 

「ネギ……皆に追いつくわよ!」

 

その答えとして僕は頷く。

 

 

僕と明日菜さんが先行にいる楓さんとクーフェイさんの所まで追いついた。

そろそろ直通エレベーターか、と気分よく走る。

ようやくエレベーターを見つけた。

 

「やった~、エレベーターだ!」

「これで帰宅できます」

「やっと休めるアル」

「拙者は足りないでござるが」

「ようやくね」

「ウチも疲れたわ~」

 

エレベーターの扉が開き全員が入ると

重量オーバーの警報が鳴った。

ああ、木乃香さんがいるからか、理由はなんとなくわかった。

 

「どうすれば……」

 

皆を戻すのが先ですね。

そう決めた僕はエレベーターから出た。

警報音が消えた。やっぱりか……

 

「皆さんは先に行っててください」

 

まるで遺言の様に言い聞かせる。

あのゴーレムに用があるだけだ。ククク……

笑みを浮かべて皆に見せる。

 

「わ、わかったわ……ネギも気をつけて」

「ネギ君、気を付けてな~」

 

僕の真意に気付いた明日菜さんと木乃香さんから激励をくれた。

まき絵さん達が何か言う前に扉が閉じてエレベーターが上に動いた。

完全に上へ行った後、安堵を漏らす。

 

「良かった~。さてと、覚悟はいいですか?」

 

誰もいなくなり、遠慮が無くなった。

目の前にいるゴーレムに死刑申告を言う。

もちろん、拒否権はない。

ネギ自身には年寄りにやさしくって言葉が存在しなくなった。

 

「魔法の射手50、発射!」

 

無詠唱による魔法の射手・無属性を放った。

一本一本の射手が早すぎて、相手は抵抗すらできないまま、粉砕された。

おじいちゃん(学園長)の悲鳴とか聞こえたが無視して、

下へ降りてきたエレベーターに乗り、上に向かった。

 

 

~図書館島・地上~

 

 

エレベーターで上に着いたら、皆がいた。

 

「ネギ君、無事だったんだね」

「ええ、破か……逃げてきました」

「今、何か妙な事を聞いた気が」

「気のせいですよ、夕映さん」

 

夕映さんに笑顔で見る。

僕から視線を逸らした。何故?

 

「そろそろ、戻らないと時間が無いのです!」

 

夕映さんは僕から背を向けて歩いていった。

そして、木乃香さんと明日菜さん以外はこの場から姿を消した。

 

 

「疲れた……」

「そりゃ、疲れるやろ」

「あのゴーレムって木乃香さんのおじいちゃんですよ?」

 

それを聞いた木乃香さんの態度が急に変わる。

目を細めて黒いオーラの様な幻覚を見る。

いや、そんなもの見えない! 見えちゃいけない!

 

「ふ~ん、そうなんや……」

「木乃香さんが怖く見えるのは気のせいですか?」

「幻覚じゃないわ、私もよ」

 

明日菜さんも同じように感じているのか。

あはは、木乃香さんが黒くなるのはちょっといや、大分嫌だな~。

 

「木乃香さん」

「はいな!」

 

明るく返事をする木乃香さん。

 

「そろそろ、戻りましょうか」

「そうやな、後でおじいちゃんには言っとかないと」

「それは駄目ですよ」

 

僕は木乃香さんの説教を反対する。

これだと、木乃香さんが魔法を知ってる事が!

今はまだ駄目、マスターにも筒抜けになる。

 

「どうしてなん?」

 

首を傾げている木乃香さんに事情を話した。

不満そうな表情をしていたが、なんとかわかってくれた。

 

「わかったえ」

「良かった。戻りましょうか」

 

僕達は部屋に戻っていった。

その後、僕の別荘で明日菜さんの勉強に付き合った。

木乃香さんが途中で入ってきて修行もした。

 

 

 

ついに、その日がやってきた。

 

 

 

期末テストで順位がビリなら3-Aの担任になれない!

 

一体、どうなる?

 

もし、ビリになっても、その後のネギがやる事は予想がつくだろう。

 

 

 

 

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